長かった戦いも、いよいよ最終ラウンド。
8回戦にも及ぶ激闘を経て、278人もいたレガシープレイヤーも、今やたった2人だけが8勝0敗。全勝の栄誉に浴することとなった。
その2人、川北と小笠原。
両者とも立川方面でレガシーを嗜んでいた顔見知りとのことだが、この局面で対戦者となった以上、遠慮はむしろ失礼にあたるだろう。
何せこの戦いは、晴れる屋トーナメントセンターのオープン記念大会である。
ということは、このマッチの勝者は晴れる屋トーナメントセンターにおける最初の大会の、最初のチャンピオンとなるのだ。
これから連綿と続いていくであろうトーナメントセンターの歴史の、表紙を飾るべきたった一人の全勝優勝者。
レガシー杯、参加者278人の頂点。9勝0敗の、文字通り無敵のプレイヤー。栄光を手にするのは、一体どちらか。
そして最強のデッキは、川北のデスブレードか、小笠原の《若き紅蓮術士》か。
その結論を得るために。
最後の戦いが、始まった。
川北 「そのデッキ嫌なんだよねー」
小笠原 「知り合いだとデッキがバレてるのが嫌だw」
Game 1
先手は川北。《Volcanic Island》から《思案》で手札を整える小笠原に対し、《不毛の大地》で足止めしにいく。対して小笠原は《ギタクシア派の調査》からの《陰謀団式療法》により、川北の土地ばかりの手札から《剣を鍬に》を奪い取る。
続いて川北はトップした《闇の腹心》をキャストするが、これは《渦まく知識》+フェッチのレガシーA定食を挟んでからの《稲妻》で焼き鳥ならぬ焼きボブに。
なかなか主導権を握れない川北、《名誉回復》で小笠原のマナを縛りにいくのだが、返すターンにはついに小笠原のデッキの中核である《若き紅蓮術士》が降臨してしまう。
だが川北も《未練ある魂》《石鍛冶の神秘家》とプレイし、イージーウィンを許さない。
それでもここで小笠原、《稲妻》で《石鍛冶の神秘家》本体を葬ると、《陰謀団式療法》フラッシュバックで川北の手札から《殴打頭蓋》を抜き、さらに溜まりきった墓地を使用して《墓忍び》をプレイするビッグイニング。川北の手札に見えた《精神を刻む者、ジェイス》も、《不毛の大地》で川北の《Underground Sea》が割れているため、青青が出なければプレイできないはず。
しかし。
ここで引けないような男が、今この場に座っているわけがなかった。
川北のドローは値千金のフェッチランド!
勢いよく《精神を刻む者、ジェイス》をプレイして《墓忍び》をバウンスすると、《不毛の大地》で小笠原の動きをさらに縛る。
小笠原も悪あがきに《精神を刻む者、ジェイス》の0能力を《もみ消し》たりしてみるものの、川北の陣容には《闇の腹心》まで加わり、かなり一方的な盤面に。
その後《闇の腹心》が《剣を鍬に》までめくってしまい、逆転の目がなくなった小笠原は投了せざるをえなかった。
川北 「未練が強かったね」
小笠原 「いやそれよりジェイスが強すぎるよー」
川北 1-0 小笠原
Game 2
1ターン目にアクションのない小笠原に対し、川北は《死儀礼のシャーマン》と幸先の良いスタートだが、先手2ターン目に小笠原の《若き紅蓮術士》が早くも降臨し、さらに返す《未練ある魂》が《目くらまし》されてしまうと、2ターン目にして川北に絶望感が漂ってきた。
さらに小笠原は《陰謀団式療法》をプレイ、指定《精神を刻む者、ジェイス》は外すものの、川北の手札は運悪く《ヴェールのリリアナ》2枚と《殴打頭蓋》。フラッシュバックで《ヴェールのリリアナ》が抜かれてしまい、川北早くも大ピンチ。
しかしここで川北のトップはサイドインの《青霊破》!《若き紅蓮術士》を葬り、どうにかこれ以上のトークン生成を許さない。
それでも小笠原はなおも2枚目の《陰謀団式療法》で《殴打頭蓋》をぶち抜くと、《セドラクシスの死霊》を送り出す。これは《未練ある魂》のトークン2体と相打ちになるものの、続けて2体目の《若き紅蓮術士》を。小笠原、詰めにかかる。
だが川北、残りの手札2枚は一発逆転の《至高の評決》!!さらにセット《忍び寄るタール坑》し、逆に小笠原を追い詰めにかかる。
……が、そんな川北の奮闘むなしく。
《忍び寄るタール坑》アタックには《渦まく知識》から《稲妻》を合わせられると、さらに3体目の《若き紅蓮術士》を送り出されてしまい。
加えてトップした《石鍛冶の神秘家》も即座に《稲妻》されると、唯一残った《死儀礼のシャーマン》に《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte(BOK)》をまとわせて生き延びようとはしてみるものの、圧倒的な物量を前に押しつぶされてしまった。
川北 1-1 小笠原
Game 3
マリガンの小笠原に対し、川北が各ターン《もみ消し》をケアしつつ《死儀礼のシャーマン》、《渦まく知識》、《石鍛冶の神秘家》とやりたい放題。
それでも小笠原、ようやく後手3ターン目に《若き紅蓮術士》をプレイすると、露払いの《陰謀団式療法》をプレイ。これにはスタックで《剣を鍬に》が飛ぶが、《Force of Will》でしっかりキャッチ。まずは見えている《殴打頭蓋》が指定され、川北の手札は《殴打頭蓋》と、《闇の腹心》《未練ある魂》そして抜けない《忍び寄るタール坑》が公開される。仕方なくトークンを生け贄にフラッシュバックし、《闇の腹心》を落としておく。
だが、川北は2ゲーム目同様にベストタイミングのトップ《青霊破》で《若き紅蓮術士》を撃破。《未練ある魂》は《目くらまし》され、《セドラクシスの死霊》は着地するものの、フラッシュバックと《忍び寄るタール坑》、そして何より《死儀礼のシャーマン》のクロックが馬鹿にならない。
小笠原もここで《死儀礼のシャーマン》を送り出すが、既に残りライフは7点。《忍び寄るタール坑》の起動を《もみ消し》てどうにかターンを得るものの、《不毛の大地》が引けない。
ついには残りライフ2。ファイレクシアマナも支払えない《ギタクシア派の調査》素打ちでトップに賭けるものの、最後の最後でマジックの女神は小笠原に背を向けたのだった。
川北 2-1 小笠原
晴れる屋トーナメントセンターオープン記念レガシー杯、優勝は川北 史朗!