グランプリ北九州からわずか一週間。しかも、スタンダードはもはや環境終盤だというのに。
メタゲームは、確実に動いている。
その証拠に。
今日の晴れる屋トーナメントセンターオープン記念大会スタンダード杯、参加人数も満員御礼300人でスイスドロー9回戦という、小さなグランプリにも匹敵する規模のこの大会で。
7回戦を終えて7戦全勝の2人、間中と別所。彼らが使うデッキはどちらも、キブラーグルールでも黒緑コントロールでもないことはもちろん、呪禁バントでもジャンドでもないのだ。
そのデッキ。
エスパービートダウンと、赤白黒の人間アリストクラッツ。
《燃え立つ大地》の登場により弱体化したと思われた、特殊地形満載の3色ビートが、今再びトップメタに上りつつあるのかもしれない。
(移転前の)晴れる屋にはよく来ていたという、常連の別所は語る。
別所「アリストクラッツずっと使ってるんですよね。とにかく大好きで。メタ的に弱かった時期とかも、使い続けてました」
別所のアリストクラッツ愛が、今こそ報われる時が来たか。
オープンしたばかりの晴れる屋トーナメントセンターのフィーチャーエリアから、早くも新たなメタゲームの産声が上がる。
Game 1
先手は間中。《神無き祭殿》《神聖なる泉》からの《悪名の騎士》という立ち上がりから、別所の《血の芸術家》を即座に《ディミーアの魔除け》で除去する。
しかし別所は《血の芸術家》《教区の勇者》と並べ、続く間中の《聖トラフトの霊》に対しても、《ザスリッドの屍術師》で意に介さない。
一方、土地が3枚で詰まってしまった間中は《ルーン唱えの長槍》を置くのみでターンを終える。
この隙に別所は4枚目の土地を置くと、ついに愛用の《ファルケンラスの貴種》を降臨させ、レッドゾーンへと送り出す。
さらに、返しに間中が《ルーン唱えの長槍》を纏わせた《聖トラフトの霊》で攻撃するのも、男気溢れる全スルー。盤面のリソースを守りつつあえて8点をテイクすると。
返ってきたターンに別所がキャストしたのは、2体目の《ザスリッドの屍術師》!!
《教区の勇者》と《ザスリッドの屍術師》2体を全て《ファルケンラスの貴種》に捧げた7点パンチの後、出たゾンビトークン分の血をも啜った《血の芸術家》が、間中のライフを一瞬にして削り取った。
間中 0-1 別所
Game 2
1ゲーム目同様に《悪名の騎士》からスタートする間中に対し、別所は《教区の勇者》から《町民の結集》のロケットスタート。しかし間中が2体目の《悪名の騎士》をキャストすると、プロテクションによる絶対防御を前に白い人間たちは沈黙するしかない。
……いや待て、別所のデッキを侮っていた。《ザスリッドの屍術師》をプレイしてフルアタックすると、ブロックされた人間はプロテクションをかわす黒のゾンビに生まれかわる。これなら時間をかければ《悪名の騎士》を突破できそうだ。
だが間中がプレイしたのは3体目の《悪名の騎士》!!『賛美』が恐ろしいスピードで別所のライフを削りにいく。さすがに通せない別所は《ザスリッドの屍術師》でチャンプブロックすると、返すターンに《教区の勇者》2体と《宿命の旅人》を並べ、一気に盤面のクロックを肥大化させる。
間中も《遠隔+不在》でプロテクションをすり抜けるゾンビトークンだけを狙って処理していくが、別所が2体目の《ザスリッドの屍術師》をキャストし、既に十分なサイズにまで育った《教区の勇者》3体でアタックすると、さすがにその全てをブロックすることはできず、絶対の防御にも陰りが見え始める。
さらにここでようやく4枚目の土地を引き込んだ別所、《カルテルの貴種》《町民の結集》を追加。これにより《教区の勇者》のパワーは既に11、7、6。1体は《アゾリウスの魔除け》するものの、間中の残りライフは6と頼りない。
一方、度重なる賛美アタックにより、実は別所のライフも残り2点。いよいよ大詰めか。
ここで別所、冷静に《カルテルの貴種》にプロテクション黒をつけて一旦2点ずつ削るプランに出る。《悪名の騎士》の攻撃は、《ザスリッドの屍術師》のトークンで牽制できている。
そして次のターン。致死量に十分とみるや、2体目の《カルテルの貴種》をプレイすると、プロテクションをつけてフルアタック!
間中も溜めに溜めた《瞬唱の魔道士》で《アゾリウスの魔除け》をフラッシュバックするのだったが、圧倒的なゾンビトークンの量を前に、ついに地に沈んだ。
間中 0-2 別所