ここまで5戦全勝。
国内グランプリを控え、目まぐるしく移り変わるスタンダードのメタゲームに、ここにきて大きなインパクトを与えにきたのは、晴れる屋TCの12月の企画、『静岡/20』で何と3回も当選したほどの『豪運』、岩瀬。
20分の1の3乗を引き当てるほどの運の持ち主が使うデッキは、「らしい」というか、コロッサルグルール。
だが、そもそも平日大会で3-0を繰り返すだけの技量からして、単なる運では片づけられない、確かな構築力&プレイスキルを感じさせる。
黒単信心を駆る鈴木を相手に、ぶん回りを見せつけることができるか。
Game 1
鈴木が先手2ターン目に《群れネズミ》を出すと、このあまりに獰猛な1/1クリーチャーを前にして、岩瀬に残された猶予は少ない。
それでも何とか《エルフの神秘家》《旅するサテュロス》から3ターン目に《世界を喰らう者、ポルクラノス》を送り出すが、これは即座に《究極の価格》され、《変わり谷》と合わせて8点アタックを受けてしまう。
さらに《歓楽者ゼナゴス》から《カロニアの大牙獣》を展開し、ブロッカーとして立たせようとするが、これも《英雄の破滅》され、またしても8点アタックの大打撃。
岩瀬も諦めずに《世界を喰らう者、ポルクラノス》《狩猟の神、ナイレア》と並べるが、残ったわずかなライフを《アスフォデルの灰色商人》に吸い尽くされてしまった。
岩瀬 0-1 鈴木
Game 2
《奔放の神殿》から1ターン遅れの《エルフの神秘家》をプレイすると、鈴木に後手2ターン目までのアクションがない。これを機と見るや《炎樹族の使者》から《ドムリ・ラーデ》と並べる岩瀬だったが、3枚目の土地が置けない。
対する鈴木はファーストアクションとなる《生命散らしのゾンビ》で岩瀬の手札から《クローサの大牙獣》をリムーブすると、岩瀬にとって大きなプレッシャーとなる《冒涜の悪魔》を送り出す。
だが岩瀬も《炎樹族の使者》からの《紅蓮の達人チャンドラ》で《生命散らしのゾンビ》を処理すると、《炎樹族の使者》を悪魔への生け贄に捧げてプレインズウォーカーを維持する。
鈴木も《群れネズミ》をプレイ、即座にコピーを生み出すが、《ドムリ・ラーデ》の-2能力による『格闘』と《紅蓮の達人チャンドラ》の+1能力でネズミを根絶し、さらに《旅するサテュロス》2体を展開。《冒涜の悪魔》に次から次へと生け贄を捧げつつ、マナを伸ばしていく。
そして鈴木がようやく《紅蓮の達人チャンドラ》を《英雄の破滅》し、2体目の《群れネズミ》を出したところで、岩瀬は《ドムリ・ラーデ》の+1能力で《高木の巨人》を手に入れると、満を持して《獣の統率者、ガラク》をプレイ!
さらに即座に-3能力(!)を使用し、《高木の巨人》のマナを踏み倒して戦線に投入する。
鈴木も2体目の《冒涜の悪魔》を召喚し、岩瀬を何とか追い詰めにかかるが。
ここで岩瀬、待ちに待った《ニクスの祭殿、ニクソス》をトップデッキ!
岩瀬 「耐えた甲斐があった……」
起動して8マナ、《高木の巨人》を『怪物化』、《旅するサテュロス》でアンタップ、また8マナ出す、《世界を喰らう者、ポルクラノス》召喚、《ドムリ・ラーデ》で格闘、まだマナが余って……
鈴木 「投了します!」
岩瀬 1-1 鈴木
Game 3
鈴木の1ターン目《思考囲い》を見るや、岩瀬が
岩瀬 「うわ、超きつい。死んだかも」
とボヤく。それもそのはず、オープンされた手札は
《旅するサテュロス》
《高木の巨人》
《森林の始源体》
土地4
というもの。《旅するサテュロス》が抜かれると、残ったのは初動5ターン目という無残な手札。
それでも岩瀬、2枚の『占術』土地の力で《エルフの神秘家》にたどり着くと、さらに引き込んだ《ドムリ・ラーデ》の+1能力で《炎樹族の使者》をめくる。《ドムリ・ラーデ》《高木の巨人》と立て続けに《英雄の破滅》《破滅の刃》で退けられるが、生き残った2/2クリーチャーが小さなクロックを刻む。
だが、再び引き込んだ《ドムリ・ラーデ》はまたしても一瞬で《英雄の破滅》され、既に明らかなフラッドに陥ってしまっている岩瀬。開き直って最後の切り札、初手から握っていた《森林の始源体》をついに降臨させる。
……と、3枚の手札を抱えた鈴木、これに対してはエンド前に除去を撃たない。
先ほどから《欺瞞の神殿》の『占術』もカードを下に送り続けている。これはもしや……?
そんな岩瀬の淡い期待に応えるように、鈴木は《森林の始源体》のアタックをそのまま受ける。
ということは、やはり……?
力なくカードを引いた鈴木により公開された手札は、4枚の《沼》だった。
岩瀬 2-1 鈴木