あなたの隣のプレインズウォーカー ~第29回 さるかんミニオン~

若月 繭子

若月 繭子



 こんにちは、ウギン!


精霊龍、ウギン



 待ってました! 2014年のクリスマスプレゼントはウギンでした。小プラスは《幽霊火》! 奥義は《プレインズウォーカー、ニコル・ボーラス》の真逆! 絵も何だか対になっている感じ、そしてどう頑張ってもウギン単体ではボーラスに勝てない……実にフレイバーに満ちたプレインズウォーカー・カードですね、素晴らしい……。ちなみにタルキール覇王譚までのウギンについては第27回に書きましたので、物語が気になる人は要チェック!


 そんなでこんにちは、若月です。今年も「あなたの隣のプレインズウォーカー」をどうぞよろしくお願い致します。
 公式記事「Uncharted Realms」において「週刊連載」で展開されているタルキールブロックの物語は、今も動いています。激動の運命再編からタルキール龍紀伝に向けて、ゆっくりじっくり余すことなく話していきますよー。


悟った達人、ナーセット

タルキールのヒロイン枠はかしこくてかわいい、まさかのナーセット!? 待て続報!


 まずはアラーラとゼンディカーから、「サルカン編」スタート!!



1. アラーラのサルカン


サルカン・ヴォル


 ご存知の通り、サルカンはアラーラの断片からの登場です。そのセットでは各断片に所属するプレインズウォーカーが4人同時にカード化されたのですが、「断片出身のプレインズウォーカーが2人、別の世界出身が2人」という触れ込みでした。前者はアジャニとテゼレット、後者がエルズペスとサルカン。そういえばエルズペスもサルカンも、モダンマスターズで再録されていましたね。そしてエルズペスはテーロスの、サルカンはその次のブロックであるタルキール覇王譚の主人公です。もしかしてこの再録は伏線だったのかしら? まさかー。
 その中でもサルカンは「ジャンド担当」。当時は「ドラゴンが絶滅した故郷の次元から、ドラゴンを追い求めてやって来た」という設定でした。





 「赤」を中心色とする断片ジャンドは、生態系の頂点にドラゴンが君臨する獰猛な世界です。白と青、統制や秩序の色を欠くことから、混沌の情熱がその断片を支配しています。予測不能の火山噴火、一切の容赦ない弱肉強食の生態系。緑マナが存在することから密林も広がっているのですが、それらもまた多くの肉食植物が生息する危険な領域です。サルカンはこの荒々しい次元を心から気に入り、長いこと滞在していました。《サルカン・ヴォル》のプレビュー記事「Alara, a World Broken」にはこうあります。


(記事より抜粋・訳)
「他の断片、ナヤ、バント、エスパー、グリクシス、その名前は知っているが俺が滞在したのは僅かな間だ。俺の魂はすぐに、どこに属するべきかを知った。ジャンドは渦巻く炎と黒曜石の地獄だ–俺にとっては、楽園だ」


 他の断片へも行ったんですね。小説『Agents of Artifice』には、各断片は分かれていながらも物理的に非常に近い距離にあるように描かれていたので、ある程度次元渡りに慣れたプレインズウォーカーならば移動は造作もないのでしょう。サルカンはそんなジャンドで、ドラゴンとともに生きるというその夢を叶えられながらも、やがてそれは彼の理想とは異なる様相を呈していくことになります。
 アラーラにおけるサルカンの物語は、多くのキャラクターとの出会いとともに繰り広げられます。



■ クレシュ、ラッカ・マー

血編み髪のクレシュラッカ・マー



 理想のドラゴンを探し求める中で、サルカンは《血編み髪のクレシュ》率いる猟団に加わってドラゴンとの戦いに向かいます。《ラッカ・マー》はジャンドで最も熟達したエレメンタル使いであり、各断片で暗躍するボーラスの工作員の一人です。彼女の手引きによって、サルカンはボーラスと対面しました。


■ カーサス、アジャニ

ジャンドの暴君、カーサス復讐のアジャニ



 アラーラの物語にてサルカンが最初に接触したプレインズウォーカーがアジャニです。兄を殺された衝撃でプレインズウォーカーとして覚醒したアジャニは、故郷ナヤからすぐ隣のジャンドへと飛びました。そこで《ジャンドの暴君、カーサス》に襲われそうになっていた所をサルカンに助けられます。
 ジャンドに存在しない猫人、またその戸惑う様子からサルカンはすぐにアジャニがプレインズウォーカーであり、それも覚醒したばかりだと察しました。


 その男はアジャニが這い上がるのを助けた。「俺はサルカン・ヴォル」 彼の発音は奇妙で、不明瞭でくぐもっていた。アジャニが聞いたことのあるどんな人間の喋りにも似ていなかった。
「アジャニ……黄金のたてがみのアジャニ」
「ずいぶん遠くまでやって来たようだな、黄金のたてがみのアジャニ」
「ここは……どこだ?」
「この世界はジャンド」 サルカンは言った。「獰猛で原始的な地だ。俺の家だ、今のところな。もし好むなら、お前の家にもなる」
「俺の家じゃない」 アジャニが言った。「俺はクァーサル谷から来た、それは――」 アジャニは言葉を切り、辺りを見た。だが、どちらの方角を見れば良いかわからなかった。
「この次元ではない」 サルカンが彼の言葉を締めた。「知らないのだろう?」 そして尋ねた。アジャニはこの男の表情が読めなかった。得意げな笑み。彼は楽しんでいるのだろうか、それとも欺いているのだろうか?
「お前がいるのはナヤではない。全く違う世界へと旅をしてきたということだ、プレインズウォーカー」

(小説『Alara Unbroken』より)


 この場面のサルカン、なんだか嬉しそうなんですよ。野生的で荒々しい外見に反してなかなか世話焼きです。「同色・友好色のキャラは仲良し」とは過去何度か書きましたが、アラーラでのサルカンとアジャニは「赤緑」と「赤白」。なるほど相性は良いのかもね。
 アジャニの身の上話を聞いたサルカンは、ジャンドの荒々しい噴火口を前に、その怒りを解き放てと言います。


「お前自身の本能を信じることだ。絶望と自信喪失という檻からお前の獰猛を解き放つことだ。お前という獣のままであることだ」
「ただ、お前の求めるものを追い、捕まえろ。行く道を塞ぐ何かがあったとしても、どうにかして手に入れろ。邪魔するものは壊し、押しのけ、飛び越えて行け」

(共に小説『Alara Unbroken』より)


 そしてサルカンはドラゴンの翼を生やし、アジャニの前から飛び去りました。アジャニはサルカンの教えを受けて噴火口へと飛び込み、ナヤの赤マナに触れて復讐心を燃え上がらせ、《復讐のアジャニ》となってナヤへと戻っていきました。
 これも過去数度書いてきましたが、プレインズウォーカーの運命の多くは、覚醒して最初に飛んだ先の次元に左右されます。ナヤからすぐ隣のジャンドへ飛び、さらに先輩プレインズウォーカーに出会えて多くのことを教えてもらえたアジャニは実に幸運だったと言えるでしょう。ある意味恩人のサルカン。二人が今後また物語で関わることはあるのでしょうか?



■ ニコル・ボーラス

 アラーラの断片の時点では姿を見せていなかったニコル・ボーラス。プレインズウォーカーとして物語のメインストリームに登場し始めたのは時のらせんブロックからです。「大修復」からのプレインズウォーカーの灯の変質による弱体化と老いを受け、かつての力を取り戻そうと望むボーラスは、五つの断片に分かれたアラーラ世界に目をつけました。


そのドラゴンはサルカンへと目を向けた。サルカンは胸に二本の剣が押し当てられたように、その視線の重みを感じた。ドラゴンの種の頂点捕食者、彼はそう実感した。彼はドラゴンに満ちる世界ジャンドへとやって来た、世界の向こうから、ただ理想のドラゴンに出会うためだけに。彼はジャンドへとやって来た、最も価値あるその種を追い求めて。そしてそれを、死の化身の内に見つけたのだった。
(略)
「おぬしの匂いはジャンドと合っておらぬ。それに、おぬしの灯は……よくわかる」 その意見は単純なものだったが、サルカンはその印象を、ボーラスは自分の魂を「快い」と呼んだ、そう受け取った。
「俺は忠誠に値するドラゴンを追い求めてきました。信じます、今、見つけたと」
「宜しい。それでは、おぬしに役目を与えよう。プレインズウォーカーよ」 ボーラスは言った。



プレインズウォーカー、ニコル・ボーラス



 サルカンとアジャニのやり取りでもそうでしたが、「プレインズウォーカー」と相手に呼びかけることが、何か一つの起点になる感じですね。相手を自分と同じ存在、プレインズウォーカーとして認識する。この瞬間にはいつもドラマがあります。エルズペスとアジャニしかり、ジェイスとラルしかり。


 ボーラスは一本の鉤爪で、もう片方の掌を細く切り裂いた。彼はサルカンへと、血の流れるその手を差し出した。
その動作はサルカンを動かした。彼はベルトから曲刀を引き抜き、自身の掌を切りつけた。
互いの傷が触れた。サルカンの手はドラゴンの巨大な鉤爪に対し、遥かに小さかった。サルカンの人間の心臓は素早く高鳴っていた、そしてドラゴンのそれはずっと緩やかだった。だが、彼らの生は深紅の流れに混じり合った。

(共に小説『Alara Unbroken』より)


 このように、ボーラスと血の誓いを交わしたサルカン。ですが主に幻滅し始めるまでそう長くはかかりませんでした。
ある時、ボーラスは褒美としてサルカンへと五体のドラゴンを与えるのですが、彼らはボーラスによって洗脳され、従順な人形と成り果てていました。しかも、そのうちの一体はカーサスでした。サルカンもよく知る、「ジャンドの暴君」と言われた強大なドラゴンが。


 彼らは乾いた洞窟に入った。その内にはドラゴンが五体立っていた。彼らは皆奇妙に顔を上げ、まるで何か品評の判定を待っているかのようだった。彼らはジャンドのドラゴンであり、その鱗はドラゴン同士の戦いによって傷つき焼け焦げ、すり切れていた。だが、何かが間違っていた。彼らの目は虚ろで何の反応もなかった。息をし、じっと動かなかった。それだけだった。
彼らは見事な存在だったが、サルカンはそれに反して胃が固く締まるのを感じた。
「彼らに……何を?」
「美しいであろう? 我はこの者らを用意し、おぬしのために磨き上げた。サルカン、今やおぬしのものだ。今日、おぬしはドラゴンを支配し、召喚する術を学ぶのだ」 ボーラスは牙を舐めた。「奇妙であろう? セラが信奉者に天使を捕える方法を教えるようなものではないか」
(略)
 サルカンは拳を握りしめた。指の関節が音を立てた。感動したのか、むかついたのか、彼自身にすら判別できなかった――畏敬を呼び起こすドラゴンの種が、その精神をボーラスの魔術に束縛されて自分の前にいる。ドラゴン達が自分の言いなりになる、その考えに彼は笑いたくなった。大声を上げて、残忍に、太陽に顔を向けて――だが彼らの燃え立つ魂が、ボーラスの狡知によって空虚にさせられた。そのことは率直に、惨めだと思わせられた。

(小説『Alara Unbroken』より)


ボーラスの奴隷


《ボーラスの奴隷》フレイバーテキスト
ニコル・ボーラスは手下と犠牲者を区別しない。


 《ボーラスの奴隷》のアートで支配されているのはドラゴンではなく天使ですが、まさにこのフレイバーテキストの通りです。ドラゴンとは力強く誇り高い存在と考えるサルカンにとって、ボーラスのこの行動はドラゴンという種への侮辱だったのでしょう。この時から主の思惑と自身の理想とのすれ違いを感じ始めながらも、彼はボーラスの命令によってジャンドとナヤの戦争へと赴きます。

 その後ボーラスはアラーラ世界が一つになる際に発生した嵐「大渦」でマナを食らうも、「アジャニが呼び出した映し身に倒されるのですが、サルカンもまたナヤにて《アニマのメイエル》の軍勢に敗れ、ジャンドへと引き返していました。任務に失敗し、忠誠心が揺らぐ中、自分の上にボーラスの影が落とされるのを感じながら。

 用心すべきは自分自身の精神。そう思い始めたサルカンの心は既に、不安定になり始めていたのかもしれません。



3. ゼンディカーのサルカン

 それから時は少し流れてゼンディカーブロック。「エルドラージ」の不気味な気配が漂う中、サルカンが再登場しました。彼はボーラスの命令によって、ゼンディカー世界のアクーム大陸奥地にある謎の洞窟「ウギンの目」を守っていました。ですがその姿は、かつての彼とはある意味大きく変わってしまっていました。


狂乱のサルカン


 「狂乱」。赤く光る眼。黒マナ。
 マジックの物語では時折キャラクターが「悪堕ち」します。大抵の場合は色が真黒くなるか、コストに黒マナが加わります。このサルカン以前では《熟達の戦士ジェスカ》《触れられざる者フェイジ》、時代を遡って《熟達の魔術師アーテイ》《堕落した者アーテイ》といった例がありました(ローウィン・シャドウムーアでの変化はちょっと性質が違うので除くとしましょう)。サルカンも「悪堕ち」してしまったの? 彼の場合、ちょっと違います。黒マナはボーラス(メインカラーは黒です)の下僕となったことから。そして長い間をウギンの目の中で孤独に過ごした結果、現れては消えるゼンディカーの過去の幻影や、精神に響く狂気の囁きに彼は心を苛まれてしまったのでした。ウェブコミック「Journey to the Eye, Part 2」では、幻覚を見ては支離滅裂な独り言を口ずさむ「割とヤバい」サルカンの様子がわかります。やがて彼は、聞こえる声を「ウギンの囁き」だと信じるようになりました。





 ドラゴンの下僕として、その力を振るうというのであればまだ良かったのかもしれません。ですがサルカンに与えられた任務は、滅多に訪れる者もいない謎の場所を守ることでした。一体何を守るのか、それすらも知らされないままに。ボーラスが自分をここに送り込んだのは何のために? 疑問の中、ウギンの目を訪れる者達がありました。「ウギンの目」を宝物か何かと考えるチャンドラと、彼女を追うジェイス。


燃え立つチャンドラ精神を刻む者、ジェイス



 当初サルカンはボーラスの命令通りにチャンドラを追い返そうとするのですが、彼女の炎に「技術はないがドラゴンの力を持つ」と感銘を受け、「目」の奥深くへと案内します。そして彼女を「目」の、頭の中に響く声への生贄とすべくドラゴンに変身しました。そこへ現れたのが、チャンドラを追いかけてきたジェイス。二人は共にサルカンと戦おうとするのですが、炎や氷といった「色のある」魔法は面晶体に吸収されて届きません。ジェイスは、彼らをここまで導いた古の神秘的な巻物の記述をヒントに、「透明な炎」を放てとチャンドラに言います。彼女は見事にそれを放ち、サルカンを打ち倒して気絶させました。
 サルカンが再び目を覚ました時、二人の姿はもうありませんでした。そして、洞窟の雰囲気が劇的に変化していることに気付いたのです。天井にびっしりと並んだ面晶体はカタカタと震え、まるでその下のサルカンを噛み砕こうとしているかのようでした。


ウギンの目


 ウギンの目を見張るという任務に失敗した。罰を恐れながらもボーラスの下へと向かったサルカンでしたが、その失敗すらも「エルドラージへの鍵を開ける」というボーラスの計画の一部だったことを知らされます。サルカンは知るよしもなかったのですが、エルドラージを封印したウギンの目の「鍵」。それはプレインズウォーカーの灯が三つと、ウギンの透明な炎「幽霊火」が揃うことで開く仕組みでした。
 またこの時サルカンは、「ウギンが自分に語りかけている」と主張しました。それはありえない、そう遠くない昔、ウギンは自分が倒したとボーラスは答えます。更に、詳しい報告を受けたボーラスがサルカンへとかけた言葉はこうでした。

「THANK YOU VOL. YOU MAY LEAVE.」

 「良くやった、ヴォル。下がってよいぞ」とでも訳しましょうか。自分はただの駒だった。失敗することが前提だった。能力を買われて任務を与えられたのではなかった。幻滅と失意とともに、彼はボーラスのもとを離れました。



4. サルカンとドラゴン

 サルカンといえばドラゴン。彼がどんな精神でドラゴンを崇めているのかというのは、サルカンを理解する上で重要な事項です。

サルカン・ヴォル狂乱のサルカン



《サルカン・ヴォル》
プレインズウォーカー ― サルカン

+1:あなたがコントロールするクリーチャーはターン終了時まで+1/+1の修整を受けるとともに速攻を得る。
-2:クリーチャー1体を対象とし、ターン終了時までそれのコントロールを得る。 そのクリーチャーをアンタップする。 それはターン終了時まで速攻を得る。
-6:飛行を持つ赤の4/4のドラゴン・クリーチャー・トークンを5体場に出す。

初期忠誠度:4


 ドラゴンというよりはむしろ「赤緑」の能力という印象を感じさせる初代サルカン。初の赤緑プレインズウォーカーだったのですからそれもそうですね。そういえば二色プレインズウォーカーでも赤緑だけサルカン・ドムリ・ゼナゴスと妙に人数多いですよね(2015年1月現在)。一人しかいない色の組み合わせも多いのにナンデ?


《狂乱のサルカン》
プレインズウォーカー ― サルカン

0:あなたのライブラリーの一番上のカードを公開し、それをあなたの手札に加える。 狂乱のサルカンは自身に、そのカードの点数で見たマナ・コストに等しい点数のダメージを与える。
-2:クリーチャー1体を対象とする。それのコントローラーはそれを生け贄に捧げ、その後そのプレイヤーは飛行を持つ赤の5/5のドラゴン・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
-4:プレイヤー1人を対象とする。あなたがコントロールする各ドラゴン・クリーチャーは、それぞれそのプレイヤーに自身のパワーに等しい点数のダメージを与える。

初期忠誠度:7


 狂乱のサルカンが他のプレインズウォーカーと最も異なるのは「+能力を持たない」ことでしょう。彼自身だけで忠誠度を回復する術はありません。主(ここでは自分を呼び出したプレインズウォーカー=プレイヤー)に献身的であるものの、その力は自暴自棄で、狂気のままに破滅へと向かう。そんなイメージでしょうか。それでもなお彼はドラゴンを信奉し、ドラゴンの力を貸してくれます。非常に強いという前評判通り、こちらのサルカンはトーナメントシーンでも主にジャンドに居場所を見つけていました。



八十岡 翔太「ジャンド」
日本選手権2010(トップ8)

4 《森》
3 《沼》
3 《山》
4 《新緑の地下墓地》
4 《野蛮な地》
4 《怒り狂う山峡》
3 《竜髑髏の山頂》
2 《溶岩爪の辺境》

-土地(27)-

4 《朽ちゆくヒル》
4 《芽吹くトリナクス》
4 《血編み髪のエルフ》
2 《包囲攻撃の司令官》
1 《若き群れのドラゴン》

-クリーチャー(15)-
4 《稲妻》
3 《終止》
4 《荒廃稲妻》
3 《大渦の脈動》
3 《瀝青破》
1 《狂乱のサルカン》

-呪文(18)-
4 《ゴブリンの廃墟飛ばし》
4 《強迫》
3 《破滅の刃》
2 《真髄の針》
2 《野生語りのガラク》

-サイドボード(15)-
hareruya




 うーん、やはりデッキリストが入るときちんとマジックの記事って感じがしますね!
 また、本人以外のカードでもサルカンはドラゴンの力を振るい、ドラゴンについて論じています。From the Vault:Dragons《ドラゴン変化》はサルカンです。





《苦悩火》フレイバーテキスト
サルカン・ヴォルにとっては、ドラゴンは生命の野蛮な輝きの純然たる発現だ。

《ドラゴンの爪》フレイバーテキスト
「決して消えぬ火というものがあるのなら、それは間違いなくドラゴンの口の中にあるのだろうな。」
――サルカン・ヴォル



 マジックには様々なドラゴンが存在します。単色も多色も、友好色も対抗色も、弧も楔も。そんな中でもサルカンが求める「理想のドラゴン」とは。幾つかの記事にその手がかりがあります。


《サルカン・ヴォル》のプレビュー記事「Alara, a World Broken」より:

 空に満ちるドラゴン、その炎に焼き尽くされる大地。彼は多くのドラゴンに出会った。だがその中でも、彼が願った精神を持つものはいなかった。挑戦し、殺した。彼はジャンドに二年程滞在し、今もその獰猛な献身を捧げるにふさわしい個体を探し求めている。


アラーラの断片プレインズウォーカー紹介ページより:

 衝動、憤怒、制圧……これらは全ての生命を動かす原動力だ ― 少なくとも、プレインズウォーカーのサルカン・ヴォルにとっては。生命の獰猛さの究極の象徴としてドラゴンを信仰するサルカンは、彼のプレインズウォーカーとしての力を使って多元宇宙のドラゴンを追い求めている。最近になって、彼はドラゴンが支配する世界、ジャンドを発見した。そこでなら、彼は最強の捕食者を見つけることができるだろうと信じているのだ。


タルキール覇王譚の前日談とも言える公式記事「サルカンの狂気」より:

 いかに強くとも、ジャンドの空の暴君どもはただの獣だった。俺の忠節を受け取るに値する者はいなかった。そして俺は疑問に思い始めた。あらゆる世界に、俺が捜し求める龍は存在しうるのだろうか、生きているのだろうかと。俺を導き、教え、俺の潜在能力を引き出すことのできる龍は。


同じ記事から、サルカンがプレインズウォーカーとして覚醒した瞬間の描写:

 俺の両手が炎に燃え上がった。俺の魂から、純粋な炎が存在を成して空へと弾けた。ドラゴンは戦場へと駆け、その通り道の全てを焼いた。肉は音を立て、骨は割れた。助かったものはいなかった。馬も、乗り手も、ナーガも。怒りと暴力の具現が俺の中に生まれた。俺は燃え立つ我が子を歓迎した。そして俺は吼えた!
 俺は龍火の中を落ち、その破壊の栄光に酔いしれた。終わりの無い純粋な喜びの瞬間、俺の周囲で世界が燃え立った。何という情熱! 俺は今まで、これほどに生きていると実感したことはなかった。



 圧倒的な力、獰猛さ、導く知性、そして「炎」。小説『Alara Unbroken』でサルカンはしばしばドラゴンと炎とを繋げて述べています。サルカンにとって理想のドラゴンとは、その全てを兼ね備えた存在と言えるのではないでしょうか。

 一方、ボーラスはメインカラーが黒であるからか「炎の象徴」というイメージは然程なく、また獰猛さよりも狡猾さが前に出ている感はあります。《狂乱のサルカン》プレビュー記事でも、「that flameless tyrant who peers straight through his skull/頭蓋の中を見通してしまう、炎を吐かぬあの暴君」と言及されていました。その点でサルカンの「理想と違った」というのはあるかもしれません。一応、炎を全く吐かないわけではなくてたまに吐きますよ。


機知の終わり


ボーラスが描かれているカードは、わりと青と黒に集中しています。


 またサルカンはこう独白していました。


 ボーラスこそ、俺が求めていた存在だと考えた。古から生きる、強大で、かの種の中でも最高の存在。俺はそいつへと奉仕を申し出て、そいつは認めた。愚かにも、俺は好かれていると考えた。ただの駒だった。今や、俺は理解している。多元宇宙そのものと同じほどに広大で深い知性は、世界の全てを玩具として見ているのだと。
 俺は不要となって投げ捨てられた、ドラゴンの玩具だった。不名誉な骨を覆う思考のぼろ切れ。それが、俺の奉仕への報酬だった。

(公式記事「サルカンの狂気」より抜粋)





サルカン「またこれかよ!」



残酷な根本原理



 From the Vault:Twentyにて再録された《残酷な根本原理》。第27回で「このアートはやけに頻繁に使用されている」という話をしました。元はFtVのものでしたが、その後すぐ統率者2013に再録もされました。
アラーラの断片の「根本原理」シリーズには各断片のプレインズウォーカーが描かれています。






 朗々たる=エルズペス、輝く=テゼレット、暴力的な=サルカン、タイタンの=アジャニ。画像ですとどうしても小さいので、実物のカードで確認して頂けるとよくわかるかと思います。ですがグリクシス、《残酷な根本原理》のそれは「恐ろしいデーモンの上に影を落とす、謎めいたシルエット」に留まっています。





 この《残酷な根本原理》は、アラーラの断片時ではまだ姿を見せていないニコル・ボーラスを暗示するものでした。そして再録の際、めでたくボーラス様自身が根本原理アートに登場。ですが「クリーチャーを1体生け贄に捧げ、カードを3枚捨て、その後5点のライフを失」わせている対象が部下のサルカンとは。そりゃ離れていっちゃいますよ。

 とはいえ別の公式記事「プレインズウォーカー達の現状」によればボーラスは別にサルカンを捨てたわけではなく、まだ彼を下僕として評価しているようなんですよね。コミュニケーションエラー? 粉雪舞う多元宇宙はいつもすれ違い?


 さて。ウギンの目を見張るという任務に失敗した、そう考えたサルカンはボーラスへと報告に向かう際に「目」から面晶体の欠片を持ち帰りました。そして「ウギンの声に導かれている」と信じながら、故郷タルキール次元へと帰還します。面晶体の欠片は今、《龍語りのサルカン》が持つ杖に取り付けられています。





そしてこの面晶体の欠片こそが、彼を精霊龍ウギンへと導く鍵となるのです……
(続く)



※編注:記事内の画像は、以下のページより引用させて頂きました。
『The Eldrazi Arisen』
http://archive.wizards.com/Magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/feature/84
『プレインズウォーカー達の現状』
http://mtg-jp.com/reading/translated/0010782/
『サルカンの狂気』
http://mtg-jp.com/reading/translated/ur/0011153/