Caw-Blade対青黒パーミッション。
アメリカ選手権の決勝戦で行われた対決が、今、この会場で行われようとしている。いや、この会場に限らず、日本中の、世界中の、そしてオンライン上の各所で行われている対決だろう。
アメリカ選手権では、青黒パーミッションが勝ったこの対戦。このマッチアップの相性は実際の所どうなのだろうか?
正直なところ、それは、レシピ次第、そして、プレイヤーの腕次第、としか言いようがない。非常に逃げの評価だが、Caw-Bladeのレシピの広さ、青黒パーミッションのレシピの広さ、そして、どちらもプレイヤーの熟練度に強く依存するアーキタイプである事を考えると、包括的な答えはそれ以外に無いのではないだろうか。
しかし、今、この目の前に行われているマッチアップ単体だけでの評価は簡単だ。レシピは固定で、プレイヤーも固定なのだから、先ほどのような逃げの意見をいうまでもない。
だが、まぁ、実際に対戦をしてくれるのだから、その対戦を見るのが一番早いだろう。勝負は、レシピとプレイング技術だけでつくとは限らないのだから。
Game 1
互いに《地盤の際》を置いているのだが、平松は《天界の列柱》《地盤の際》《氷河の城砦》(タップイン)という順番で土地を置いているため、どうも、手札の土地の内容が不自由であるように感じられる。
そこで田島は《真面目な身代わり》をプレイし、様子をうかがう。この《真面目な身代わり》は《マナ漏出》でカウンターされてしまい、タップアウトの状態のまま、ターンを返す事に。
そして、平松は《平地》をセットし、《戦隊の鷹》をプレイ。山札から残りの《戦隊の鷹》を探し出してくると、さらに《地盤の際》で田島の《地盤の際》を割り、自身の色マナが締め付けられないように動く。
田島は《ジェイス・ベレレン》をプレイ。<-1>能力でドローすると、《水没した地下墓地》をセットしてターンを返す。平松は《地盤の際》をセットすると、すぐさまこの《水没した地下墓地》を破壊し、田島が十分なマナを確保できない状況を作り出しつつ、2体目の《戦隊の鷹》をプレイし、《ジェイス・ベレレン》へとアタック。
《ジェイス・ベレレン》を守るために<+2>能力で忠誠カウンターを確保した田島はマナを残してターンを終える。一方の平松も、2体の《戦隊の鷹》で《ジェイス・ベレレン》にアタックして忠誠カウンターを一つまで減らしつつ、3体目の鷹を追加する。
さらに追加した《呪文滑り》は《マナ漏出》した田島。自身のターンを迎えると、《コジレックの審問》をプレイ。平松が渋々と公開した手札は、《饗宴と飢餓の剣》《四肢切断》《忘却の輪》《戦隊の鷹》《呪文滑り》《氷河の城砦》。ここから《饗宴と飢餓の剣》が抜かれ、田島は<+2>能力を使用してターンを終える。
平松は自分のターンに、3体の《戦隊の鷹》で《ジェイス・ベレレン》へとアタック。
これで、目の上のたんこぶだった《ジェイス・ベレレン》がついに破壊される、はずだったのだが、キッカー付きの《乱動への突入》がこの計画を大きく乱す。一瞬戸惑ったあと、平松は《戦隊の鷹》を手札に戻し、再召喚する。
こうして守りきった《ジェイス・ベレレン》の忠誠カウンターを使い切り、ドローをすすめると、2枚目の《コジレックの審問》をプレイし、追加されたカードが土地のみで安全である事を確認し、フルタップで《リリアナ・ヴェス》をプレイし、平松にディスカードさせる。
しかし、田島は《天界の列柱》以外の土地を全て寝かせてクリーチャー化すると、《戦隊の鷹》2体と共に《リリアナ・ヴェス》へとアタックし、この《リリアナ・ヴェス》を撃退したあとに、警戒でアンタップ状態だった《天界の列柱》からマナを産みだし、《定業》をプレイする。
返しで、《墓所のタイタン》をプレイし、盤面の均衡を保とうとする田島なのだが、平松も《刃砦の英雄》《呪文滑り》と盤面に追加していく。これには田島の小さく「困っちゃったねぇ……」と漏らす。
手札が土地ばかりの田島は、長考の末に《ジェイス・ベレレン》をプレイし、<-1>能力を使用。それによって、《真面目な身代わり》を手に入れ、《墓所のタイタン》1体でのアタックの後に、《真面目な身代わり》をプレイし、2/2ゾンビ4体と《真面目な身代わり》という地上戦線への防護壁は確保した。
これでは、《刃砦の英雄》でアタックしにくい盤面になってしまっている上に、うっかりブロッカーを確保できない状況になってしまったら、先にライフが無くなってしまうのは平松の方だ。今度は、平松が長考をする。
結局、《天界の列柱》をクリーチャー化し、《天界の列柱》と《戦隊の鷹》3体、《刃砦の英雄》と、《呪文滑り》だけ残してフルアタックし、残りライフ16点の田島に合計18点のアタックをする平松。
対して、田島は、地上クリーチャーはブロックで捌いたものの、飛行クリーチャーに対処しきる事ができず、11点のダメージをくらった、残りライフが5になってしまう。
ここで田島は、《墓所のタイタン》とゾンビトークン1体、さらに《真面目な身代わり》とこちらもほぼフルアタックを決める。平松は《真面目な身代わり》を《呪文滑り》でブロックし、《戦隊の鷹》で《墓所のタイタン》をブロックして残りライフは2。
削りきったかと思われたが……田島が7枚の土地をタップして呼び出してきたのは《解放された者、カーン》。この《解放された者、カーン》が<-3>能力によって《天界の列柱》を追放し、田島に1ターンをもたらす。
平松は《戦隊の鷹》3体でアタックし、ブロッカーにもなる《呪文滑り》の2枚目をプレイすると、ターンを終了。田島は《コジレックの審問》をプレイすると、平松は《マナ漏出》をプレイ。ここで十分に土地はあるものの3マナを使用してしまうと土地でアタックするプランが崩れてしまう田島はおとなしくカウンターされると、《墓所のタイタン》と《真面目な身代わり》、《忍び寄るタール坑》にトークン2体でアタックし、7点のダメージが通る。
ここで田島が《解放された者、カーン》の能力を使って《戦隊の鷹》の1体を破壊し、《喉首狙い》でさらなる《戦隊の鷹》を破壊。《喉首狙い》のテキストでは《呪文滑り》へと滑らせられないと言うところで、平松は投了した。
そして、一言。
平松 「しまった、ミスった………《解放された者、カーン》滑らせられるじゃん……」
田島 1-0 平松
Game 2
後手の田島が1ターン目・2ターン目と《定業》を連続で撃っている隙に、先手の平松は2ターン目に《呪文滑り》、3ターン目に《饗宴と飢餓の剣》と展開する。
田島は慌てず《コジレックの審問》で《四肢切断》《殴打頭蓋》しか呪文がない平松の手札から《四肢切断》を捨てさせると、《饗宴と飢餓の剣》を《呪文滑り》に持たせたところで《破滅の刃》が打ち込む。
だが、その後、平松は《地盤の際》で田島の土地を破壊しつつ、自分はマナを伸ばし、3マナ残して《戦隊の鷹》をプレイする。これを《マナ漏出》でカウンターできなかった田島は一気に劣勢に追い込まれてしまう。
平松は2体目の《戦隊の鷹》をさらに追加、一方の田島は《ジェイス・ベレレン》をプレイして、<+2>能力を使用する。
平松の《饗宴と飢餓の剣》のダメージが通り始めてしまう。そして、《ジェイス・ベレレン》のためにタップアウトしていた田島に、《戦隊の鷹》の3体目と《殴打頭蓋》が提示される。
返しのターン。田島は《島》を立てている平松相手に、《呪文貫き》覚悟のフルタップで《リリアナ・ヴェス》をプレイ。これが通ってしまい、田島は<-3>能力で《弱者の消耗》を積み込む。
《ジェイス・ベレレン》《リリアナ・ヴェス》双方とも忠誠度カウンターは3であり、なおかつこのターンに田島のライフを削りきれない平松は、《天界の列柱》をクリーチャー化し、警戒2体はプレインズウォーカーにアタック。《饗宴と飢餓の剣》を持ったものを含めて《戦隊の鷹》3体が田島自身へとアタックしていく。
さきほど《リリアナ・ヴェス》で積み込んでおいた《消耗の蒸気》を引いた田島は、平松のアタックに合わせてこれをプレイ。もちろん、平松は、大技を警戒して《天界の列柱》はクリーチャー化していなかったので、マナは十分に残っている。
そして、そのマナでキャストされた《太陽のタイタン》が、《地盤の際》を使い回しはじめると、田島は最終戦に勝負を持ち越す。
田島 1-1 平松
ここで平松が、残り時間を確認する。
準々決勝でもあったが、シングルエリミでは、引き分けを作れないため、時間切れからの延長ターン後、ゲーム数が同じならば、ライフの多い方がマッチに勝利、もしも、ライフが同じならば、ライフが移動した瞬間に勝者が決定するサドンにデスなゲームになる。
そして、残り時間は、5分。
先手の田島が《コジレックの審問》をプレイし、《戦隊の鷹》が2枚に《定業》、そして土地という手札から《戦隊の鷹》を捨てさせる。
そして、続く平松のドロー後に……
田島 「ペイ2ライフ!」
と、《外科的摘出》をファイレクシアマナでプレイ。平松の山札に入っている鷹を全て抜いてしまう。
残り時間がすでに5分を切っているため、あまり長くゲームをしていると、最終的にはライフ差で決着が付く事になってしまう。
平松は、何枚も《定業》をプレイする。一方の田島は《ジェイス・ベレレン》をプレイして<-1>能力で手札を充実させつつ、平松の《饗宴と飢餓の剣》は《呪文貫き》ではじく。
そして、ここで試合終了のベルがなり、延長5ターンに入る。
追加1ターン目。田島は《聖別されたスフィンクス》をプレイし、ターンを終える。
追加2ターン目。平松は《ギデオン・ジュラ》を呼び出し、<+2>能力を使用する。
追加3ターン目。小考の末に、田島がつぶやく。
田島 「うわ、それで負けちゃうんですか、オレ……」
そう、《ギデオン・ジュラ》に対処する方法を持たない田島。このまま、あと2回の《聖別されたスフィンクス》のアタックを《ギデオン・ジュラ》へのアタックを強制されてしまったら、《外科的摘出》のファイレクシアマナで支払ったライフの分、ライフ差で敗北してしまうのだ。
とはいえ、なにも対応策が無い田島は《聖別されたスフィンクス》でアタックすると、《墓所のタイタン》をプレイして、ターンを返す。
追加4ターン目。平松は、しずかに《ギデオン・ジュラ》の<+2>能力を使うと、《呪文滑り》の2枚目をプレイしてターンを返す。あとは、《ギデオン・ジュラ》が対処されない事を祈って。
追加5ターン目。
田島は、《ジェイス・ベレレン》をプレイし、<+2>能力を使用して互いにドロー。平松がドローしているので、《聖別されたスフィンクス》の能力とあわせて3枚のカードをドローするが、そこには《ギデオン・ジュラ》への対抗策は無い。
続いて《定業》。山札の上2枚を占術で下に送り込むと、カードをドローする。そして、一言、宣言する。
田島 「攻撃宣言入ります」
田島 1-2 平松
平松 「あの《解放された者、カーン》の時には、冷静な判断ができてなかったですね……」
田島もライフ差に突入するタイミングを把握しきれず、《忍び寄るタール坑》で殴れるときに殴れなかったりしていたので、判断力という意味では、互いにミスはあっただろう。
普段、どれだけ練習をしていても、実際の対戦で全て発揮するのはまた別の才能であるし、集中力にも限界がある。それらの全てがあわさって、対戦の結果が出されるから、やはり、デュエルを見る事は面白いのだと思う。