行弘賢と学ぶドラフトセオリー vol.5 ~2パック目から色を寄せるべし~

行弘 賢

行弘 賢



 皆さん新年明けましておめでとうございます!どうぞ今年もよろしくドラフトします。

 【グランプリ静岡2015】本戦に参加された皆さんは結果の方はいかがでしたか?
 僕は3敗とまぁまぁの結果でしたが、満足はいってません。
 もっともーっと勝てるように研鑽を積んで、優勝するまでは満足できません。

 そんな負けず嫌いの僕が今回もドラフトのセオリーを解説していきますので、よろしかったら最後まで見ていってください。


 それでは、今回解説していくのは『色寄せ』についてです。







■ 1. 『色寄せ』とは?

 『色寄せ』とは、『ピックしたカードの色が特定の色に寄っていない状態(またはそれに近い状態)から、特定の色に寄せてピックすること』です。

 例えば、初手で《兜砕きのズルゴ》(赤白黒)をピックし、2手目で《アブザンの魔除け》、3手目で《射手の胸壁》、4手目で《戦名を望む者》と、方向性と色のどちらも定まらない感じのピックになってしまい、その後もズルズル緑、赤、白、黒のカードをピックし続け、結局1パック目が終わった段階ではデッキを作るのも難しい感じになってしまった……としましょう。





 このような状態を『ピックしたカードの色が特定の色に寄っていない状態(またはそれに近い状態)』と呼びます。

 とはいえ、このような状態に陥ってしまうのはよくあることです。何故なら、カードの評価が高い順にピックしていれば色が定まらないのは当然だからです。

 むしろそこから色をまとめていくのが僕が推奨するいわゆる『受けドラフト』なので、1パック目のこの状態は嬉しいものではありませんが、そこまで悲観するものでもありません。

 この状態になるまでの過程で大事なのは、『しっかりと強いカードを取ったかどうか』ということです。初手付近の色に引きずられて弱いカードを取ってしまった上でこの状態にならないようにしましょう。

 さて、いつまでも色を決めずにピックするわけにはいけません。

 では、この状態から脱出するためにはどうすればよいのでしょうか?

 それには『2パック目から特定の色に寄せる』ことが脱出の鍵となってきます。





■ 2. 2パック目から色を寄せるべし

 2パック目には色を寄せるチャンスがたくさんあります。



◎ 色を寄せるチャンスその1: 2パック目初手のレア


 例えば現状数枚ピックしてる色と被っているレアを引いた場合、そのままそれを指針としてピックすることでピックするカードの色が特定の色に寄っていない状態を抜け出し、しっかりと特定の色をピックし出すことが可能です。


アブザンの隆盛軍族の解体者


 先ほどの例の続きで言えば、2パック目の初手で《アブザンの隆盛》《軍族の解体者》なんかを引けばそのままアブザン(緑白黒)やマルドゥ(赤白黒)にスライドしやすくなる、ということです。やはり強いカードであればその色と心中する価値があります。



◎ 色を寄せるチャンスその2: 下家のやっていない色をやる


 先ほどの例では1パック目終了時点で青以外の4色を触っている状態ですが、この状態で《血の暴君、シディシ》(青緑黒)が流れてきたとします。

血の暴君、シディシ


 現状のピックだとあまり使えそうにありませんが、緑のカードは1パック目で数枚確保できています。こういう状態の場合は、そのまま下家の言うことを聞いて《血の暴君、シディシ》をピックするのも一つの手です。

 何故なら、2パック目に下家から流れてくるカードは『ある程度色の方針が固まった状態』から流れてくるカードなので、そこから強いカードが流れてきた場合は大抵『その色は空いている』ことになるからです。

 そのまま《血の暴君、シディシ》をとりあえず取り、その後スゥルタイ(青緑黒)の流れがよければそのままスゥルタイへ移行、そうでなければ別の空いている色へ移行と、下の意見を尊重するのも『色を寄せる』のに使えます。



◎ 色を寄せるチャンスその3: 1パック目を思い返す


 1パック目終了時の現状、あまり形にならない状態になってしまいましたが、こういうときこそ冷静になって、『ここまで何が流れてきていたか?』を思い返しましょう。

 例に挙げたドラフトでは赤緑白黒でピックこそしましたが、青緑黒の強いマルチカラーのカードである《グドゥルの嫌悪者》を2枚流してしまっていました。しかもこれらは5手目、6手目とそこそこ遅い順目で流れてきました。


グドゥルの嫌悪者


 こういうときは大抵下家にその色をやられていることが多いですが、意外にそうではないこともあります。そういうときには1パック目の流れからして3パック目にある程度スゥルタイのカードが流れてくることが保証された状態であるため、下家からのスゥルタイの流れがあったときにはスゥルタイに寄せることで、3パック目の流れを掴める状態にしておくのも一つの手です。


 このように、2パック目には色を寄せるチャンスが複数転がっています。このチャンスさえ掴むことができたなら、1パック目の数枚のディスアドバンテージなんか簡単に覆せる強いデッキを作ることも可能なんです。


 ではピック譜を見ながら、どういったピックをすれば色を寄せられるか実際に見ていきましょう。





■ 3. 実践編 ~2パック目からの色寄せ~

 1パック目は初手《先頭に立つもの、アナフェンザ》からアブザン(緑白黒)路線で一直線にドラフトします。

 しかしながら、3手目の《死滅都市の悪鬼》以外は特に明確にアブザンをやらせてもらえていると自覚できるようなカードは流れてこず、更に9手目に《グドゥルの嫌悪者》が流れてきてこれをしぶしぶピックするという、一直線でピックしたにしては渋い展開となってしまいます。





 この時点では白黒ベースにしたいピックをしているのに、あまり白黒の良いカードがとれておらず、更に言えば攻めたいのか守りたいのかいまいち良く分からない感じの、色も戦略も方針が決まっていない2パック目以降の巻き返しが必要な状態になってしまっています。

 ただしここで冷静に思い返すと、1-3で《死滅都市の悪鬼》を取ったところで《スゥルタイの占い屋》、1-5で《氷羽のエイヴン》と青緑黒のシグナル自体は流れてきています。

 これを上手く掴むことができれば良かったのですが、今回は掴めなかったものはどうしようもないのでそれはそれとして、「3パック目はスゥルタイは空いてそう」という情報を整理して、2パック目へと移行します。


◎ 2-1




血の暴君、シディシ

行弘のピック: 《血の暴君、シディシ》


 2パック目は初手《血の暴君、シディシ》です。これは3パック目の流れも加味するとベストなピックになりうるので、とりあえず取ることにします。他の候補に《マルドゥの軍族長》をピックしてアブザン路線を突き進むこともできますが、今回は3パック目でのスゥルタイの爆発に期待して《血の暴君、シディシ》を取ります。

 その後も「下家からの返しは良くないとしてもスゥルタイをピックしていこう」と考え、スゥルタイのカードを取っていきますが、何故か2パック目の時点でスゥルタイが大フィーバー。ひたすらスゥルタイのカードをかき集めていきます。3パック目にある程度の流れが保証されている状態での返しの良い流れ、強いデッキになりそうな予感がします。

 そして3パックめは3-2《スゥルタイの占い屋》、3-5《死の投下》、3-9《スゥルタイの魔除け》と予想通りスゥルタイの流れが良く……というかほぼ卓一ぐらいの勢いでスゥルタイのカードが集まって、鬼強いスゥルタイのデッキができあがりました(【全ピック譜を見る(raredraft)】)。


 今回のピック譜は割りと出来過ぎな感はありますが、2パック目以降の色寄せに困ってしまった挙句にそのまま混乱して弱いデッキを作ってしまう人は良く見かけます。

 そうならないためにも、今自分の置かれている状態をしっかりと確認し、『何をピックすれば良いデッキになるか?』を思考し続けるようにしましょう。





■ 4. 今回のまとめ

 「1パック目で色が寄らなかったときは、流したカードを思い返して3パック目の流れを読もう!」


 「2パック目で強いレアや指針になるカードを引いたらそれを指標にしてピックしよう!」


 「色が寄らなくてどうしたらいいか分からなくなったときこそ、冷静になってしっかり色を寄せる意識を持とう!」



 これからは是非、これらを意識してドラフトしてみてください。今までと違ったドラフトになると思います。

 今回の記事はここまでです。次回もまた僕の「ドラフトセオリー」を余すことなく伝えようと思います。それでは、また来月もドラフトの記事でお会いしましょう!