だらだらクソデッキ vol.7 -ザ・ワールド-

伊藤 敦

伊藤 敦



 『運命再編』、来る。

 ありがとうウィザーズ。また金の鉱脈を我々に授けてくれて。

 そう、眼下には無限の可能性。コモンもアンコモンもレアも神話レアも全て手つかずの、真っ白な新雪のカーペットが広がっている。

 恐れることはない。環境を支配するほどの盤石なコンセプトも、最初は誰かの夢物語から始まったに違いないのだ。

 さあ、デッキを作ろう。たとえゴミの山を作ったとしても、その経験が何かの伏線となって、後々回収されるから問題はない。

 だから。

 今こそ、想像力を駆使するときだ。



1.妄想編

 クソデッキ、意外に難航。

 早速【運命再編のカードリスト】を眺めてはみたものの、何だか3マナ~4マナ圏のクリーチャーとかエンチャントがやたら多くて、わかりやすく「クソデッキに使ってください」みたいなカードがあまり見当たらないのだ。

 新エキスパンションに何を期待しているんだという話ではあるが、これでは商売あがったりである。

 だが。

 カードリストを3周くらいしたところで、「そのカード」の存在に気がついた。

 さすがはウィザーズ。私やTravis Wooみたいな頭のおかしいプレイヤーのために、ちゃんと用意してあったのだ。クソデッキの種を。

 唐突だが。

 『運命再編』で最もマナコストが重いカードが何か、ご存知だろうか?


精霊龍、ウギン


 そう、《精霊龍、ウギン》……ではない

 「そのカード」は8マナなど軽々と超えるマナコストを有しているのだ。

 栄えある『運命再編』入りのクソデッキ第1号のキーパーツに選ばれた「そのカード」。

 その名は。



時間への侵入




 《時間への侵入》


 そのマナコスト、実に11マナ

 そういえば奇しくも、あの傑作デッキ【バトルワーム】のキーパーツであった《世界棘のワーム》11マナだった。

 この符合。これは傑作の予感しかしない。


宝船の巡航時を越えた探索



 しかも各環境で猛威を振るった《宝船の巡航》《時を越えた探索》に引き続いての青い「探査」スペルが、強力でないはずがない。

 問題は「どう使うか」、だ。

 そう、「《時間への侵入》を使う」と決まったならば、次に「どう使うか」を考える必要がある。

 通常ならば、「追加ターンの使い道」を考えるのかもしれない。

 しかし私は《時間への侵入》というカードを見つけた瞬間に、いや正確にはこのカードのマナコストを見た瞬間から、「これしかない」と確信していた。

 《時間への侵入》を最もうまく使いこなす相方。それは……







啓示の解読



 《啓示の解読》


 そう、掟破りの11枚ドローである。

 《時を越えた探索》とのシナジーでスタンダードの青黒コントロールにも1枚程度採用されていることがあるこのカードだが、《時間への侵入》という最強の相棒を手に入れた今、時代が到来したといっても過言ではないだろう。

 そのグルーヴ感たるや、《スフィンクスの啓示》も裸足で逃げ出すほどだ。

 しかも11枚も引けば必然的に4~5枚はディスカードになるところ、墓地のカードを《時間への侵入》が「探査」で再利用するというシナジー(?)もある。

 まさしく新時代の「啓示」と言っていい、《啓示の解読》《時間への侵入》とのうまくいけば合わせ技。

 あとは溢れんばかりの手札で対戦相手を軽く捻り潰してやればいい。

 さて、11枚引いて気持ち良くなるというゴミみたいに雑なコンセプトは決まった。

 ならばもうデッキを作るだけだ。



2.爆誕編

 クソデッキ、順当に爆誕。


1. そもそも《啓示の解読》を撃つために6マナをひねり出す必要があること

2. 《時間への侵入》ターンを得ることによるアドバンテージをより強固にする必要があること


 これらの条件から、この最強コンボを搭載できるアーキタイプは限られていた。

 そのアーキタイプとは。

 

「ザ・ワールド」

4 《森》
3 《島》
1 《平地》
2 《溢れかえる岸辺》
2 《吹きさらしの荒野》
2 《進化する未開地》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
4 《神秘の神殿》

-土地(22)-

1 《ダクラの神秘家》
4 《森の女人像》
2 《旅するサテュロス》
2 《キオーラの追随者》

-クリーチャー(9)-
4 《カル・シスマの風》
2 《拠点防衛》
1 《悪逆な富》
1 《再供給》
4 《啓示の解読》
1 《最悪の恐怖》
4 《時間への侵入》
4 《クルフィックスの指図》
1 《新緑の安息所》
3 《ケイラメトラの指図》
4 《荒ぶる波濤、キオーラ》

-呪文(29)-
4 《白鳥の歌》
4 《対立の終結》
3 《不動のアジャニ》
3 《太陽の勇者、エルズペス》
1 《平地》

-サイドボード(15)-
hareruya



クルフィックスの指図ケイラメトラの指図カル・シスマの風




 そう、ターボフォグである。


 《クルフィックスの指図》は現代の《吠えたける鉱山》であり、《時間への侵入》との相性は言うまでもない。

 さらに《探検》能力を持つ《荒ぶる波濤、キオーラ》がドローを兼ねつつマナブーストし、そして辿り着いた《啓示の解読》による大振りな11枚ドローの隙を、新時代の《濃霧》こと《カル・シスマの風》が優しくサポート。あとは雑に《時間への侵入》を連打して、《ケイラメトラの指図》からの《悪逆な富》でフィニッシュ。

 まさしく完璧だ。


 だがこれだけなら普通のデッキで、わざわざ紹介するまでもない。

 そう、このデッキには「とある物語」との強烈な符合があったのだ。

 例えば《時間への侵入》について思いを巡らせてみて欲しい。「追加ターンを得る」とはどういうことなのか?

 追加ターンの間、対戦相手はまるで時間が止まったかのようにこちらの動きをただ黙って見ていることしかできない。


 止まった時間……はっ、まさか「世界(ザ・ワールド)」!?

 














 ペスの奇妙な冒険 ~スターダストクルセイダース~



・ キオ・ブランドー



荒ぶる波濤、キオーラ


 通称KIO(キオ)。

 イラストもどことなくジョジョ立ちしている。

 KIO 「このジョースターの末裔が……『我が……止まった時の世界に……』入門してくるとは……!!」





・ ペス条 承ティ郎



太陽の勇者、エルズペス


 ニクスエジプトを目指して旅をしている。スタンド名はスタープラチナ。

 承ティ郎 「俺が時を止めた 9秒の時点でな」

 承ティ郎 「It is done.(やれやれだぜ)」






・ クルフィッ京院 典明ックス



彼方の神、クルフィックス


 どう見ても法皇の緑(ハイエロファントグリーン)

 ちなみに弱すぎてデッキには入っていない。





・ アジャニー



不動のアジャニ


 愚者(ザ・フール)。

 アジャニー 「やれやれ……猫好きの子供は見殺しには……できねーぜ!」










 大体そんな感じである(適当)



 3人くらい足りねーぞとかそもそも大半がサイドボードじゃねーかといったツッコミがあるかもしれないがまあそのへんは大目に見て欲しい。《ダクラの神秘家》とか占い師っぽいし大体アヴドゥルみたいなもんだろ(暴言)

 とにかくこの偉大なる物語との確かな符合を見出してしまったからには、「ザ・ワールド」で世界を支配するしかない!



3.実戦編

 クソデッキ、『運命再編』発売初日のFNMに出場する。


◆第1回戦 VS 赤緑ビートダウン

・1戦目 《クルフィックスの指図》《ケイラメトラの指図》を設置し、《拠点防衛》《カル・シスマの風》を連打してカードを引く。相手も《歓楽の神、ゼナゴス》《世界を溶かすもの、アタルカ》で24点という殺意溢れるデッキだったが、《濃霧》の前では全ての攻撃は意味を成さない。やがて《啓示の解読》から《時間への侵入》という黄金パターンから「ザ・ワールド」(=追加ターン祭りの意)に入り、X=60の《悪逆な富》が対戦相手のライブラリーを全て吹き飛ばした。

・2戦目 《啓示の解読》が引けず、《カル・シスマの風》で粘っていたが、ライフを3まで削られていたため、《嵐の息吹のドラゴン》の『怪物化』で突然死。

・3戦目 土地5《濃霧》×2とかいうゴミハンドをヌルキープしたら《エルフの神秘家》《加護のサテュロス》→X=4+「獰猛」の《火口の爪》という最速コースでこんがり。ていうかサイドボードが弱すぎて入れるカードなさすぎた。

〇××


◆第2回戦 VS 白黒赤コントロール

・1戦目 マルドゥとはいえコントロール型だったので、適当に《クルフィックスの指図》置いてから《時間への侵入》連打してX=45でフィニッシュ。

・2戦目 《軍族の解体者》からのビートプランでライフが怪しくなるが、トドメの《はじける破滅》《白鳥の歌》できて「ザ・ワールド」に入って勝ち。

〇〇


◆第3回戦 VS 青黒緑ビートダウン


・1戦目 相手が《クルフィックスの狩猟者》とか《血の暴君、シディシ》でアドバンテージとりながらゆっくり殴ってきたので、突如として《ケイラメトラの指図》置いてから《啓示の解読》で11ドローしだして相手の頭上に?マークが浮かんでいる間に「ザ・ワールド」に入ってX=54で勝ち。

・2戦目 3ターン目に《悪夢の織り手、アショク》出されて大体詰んでた。なんだこのサイドボード弱すぎるだろ。

・3戦目 《悪夢の織り手、アショク》《否認》《スゥルタイの魔除け》《再利用の賢者》きつすぎるでしょ!誰だよこのサイドボード組んだの!

〇××

結果:1-2。



4.後悔編

 クソデッキ、第三部完。

 メイン戦は全部勝てたからデッキのポテンシャルはそこそこあると思うけれど、《帰化》系スペル・手札破壊・カウンター・《悪夢の織り手、アショク》などサイド後の天敵が多いのに、それらに対して何もケアしてないサイドプラン(《荒ぶる波濤、キオーラ》奥義目指して頑張ろう的な)だったのでサイド後ぼこぼこでした。

 真面目に組んだらサイドの《白鳥の歌》以外のカードは全て不要だと思う。さよなら承ティ郎

 一人回しは割と楽しいデッキなので、皆さんも是非一度「ザ・ワールド」してみて欲しい。

 それではまた次回。

 良いクソデッキライフを!