山本賢太郎の世界選手権2015レポート

山本 賢太郎


こんにちは!

【マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2015】に参加してきました。



※画像は【Facebook Magic: The Gathering】より引用させていただきました。




■ 初日:『モダンマスターズ2015』ドラフト/モダン



●モダンマスターズドラフト


1つ目のフォーマットは『モダンマスターズ2015』ドラフト。この環境の特徴は、いかにアーキタイプに沿ったデッキをドラフトできるかです。

個人的にこれが最も顕著だった例は、《熟考漂い》《蝋鬣の獏》の2択でした。


熟考漂い蝋鬣の獏


カードパワーは高いがアーキタイプのキーカードにならない《熟考漂い》よりも、「白黒スピリット」でキーカードになる《蝋鬣の獏》の方が優先度が高い。

初めに聞いた時は耳を疑いましたが、環境理解が進むにつれ、この言葉は正しいと確信するようになりました。

感覚としてはリミテッドというよりは「準構築」に近いですね、極めて完成度の高いデッキはスタンダードのデッキと対戦しても、いい勝負ができちゃいます。

練習段階では「白黒スピリット」、「青白金属術」、「緑白トークン」の勝率が良かったので、この3つの中から流れの良いアーキタイプをやる方針です。


初手は弱めのパックから「青白金属術」で輝く《急送》を、2手目には《頭蓋囲い》をピックでき、このまま「青白金属術」に一直線!……できたら良かったんですが、3手目で悩ましい2択をむかえます。


太陽の槍のシカール粘体投げの小蛙

《太陽の槍のシカール》or《粘体投げの小蛙》


このまま「青白金属術」を目指すなら《太陽の槍のシカール》ですが、3手目で取るカードとしては少し力不足です。

一方の《粘体投げの小蛙》は「青緑増殖」のキーカード。
このカードが3手目に流れてきたということは、上方面で「青緑増殖」をピックしているプレイヤーがいないサインとも取れます。

悩みに悩んでピックしたカードは、《太陽の槍のシカール》

「青緑増殖」をドラフトした経験がないのでピック基準が分からない、1・2手目のピックを無駄にしたくない、という理由からでしたが、これが大失敗。

この後は、流れの良い「青緑増殖」のカードを横目に、細々とした青白のカードをピックし続け、できたデッキがこちら。




「青白金属術」の成れの果てというべき、無残な代物が出来上がってしまい、おもわずTwitterでつぶやいてしまいました。





ラウンド 対戦プレイヤー 勝敗
Round 1Sam Black 〇××
Round 2Owen Turtenwald ××
Round 3Alexander Hayne ×〇×


結果も当然の0-3

ターニングポイントは、やはり3手目の《粘体投げの小蛙》


粘体投げの小蛙


もっと練習段階から色々なアーキタイプに触って、引出しを広げておくべきでした。



●モダン


しかし0-3しても落ち込んではいられません。これは世界選手権。1勝すればプロポイント1点が入るボーナスステージなのです。



※画像は【Facebook Magic: The Gathering】より引用させていただきました。


2つ目のフォーマットはモダン。
デッキは以前から使い慣れていた「タルモツイン」を使用しました。



山本 賢太郎「タルモツイン」
世界選手権2015・モダン

3 《島》
1 《山》
1 《森》
2 《蒸気孔》
1 《繁殖池》
1 《踏み鳴らされる地》
4 《沸騰する小湖》
4 《霧深い雨林》
1 《樹木茂る山麓》
4 《硫黄の滝》
1 《僻地の灯台》

-土地(23)-

4 《瞬唱の魔道士》
4 《タルモゴイフ》
4 《詐欺師の総督》
1 《ヴェンディリオン三人衆》

-クリーチャー(13)-
4 《稲妻》
4 《血清の幻視》
3 《呪文嵌め》
1 《ギタクシア派の調査》
3 《差し戻し》
2 《焙り焼き》
1 《マナ漏出》
1 《電解》
1 《謎めいた命令》
3 《欠片の双子》
1 《思考を築く者、ジェイス》

-呪文(24)-
4 《溶鉄の雨》
2 《紅蓮地獄》
2 《古えの遺恨》
1 《エレンドラ谷の大魔導師》
1 《高原の狩りの達人》
1 《スラーグ牙》
1 《嵐の神、ケラノス》
1 《払拭》
1 《剥奪》
1 《否認》

-サイドボード(15)-
hareruya



この世界選手権では新マリガンルールが採用されていて、その恩恵が受けやすく、ハマったときに大勝できる「アミュレットブルーム」や「トロン」などの「土地コンボ」が多い読みで、サイドに《溶鉄の雨》4枚を搭載したリストです。


溶鉄の雨


このカードは「土地コンボ」の他にも、「グリクシスコントロール」・「青白コントロール」・「死せる生」などにもサイドインできる、意外と用途の広いカードで、2ターン目《タルモゴイフ》→3ターン目《溶鉄の雨》は勝ちパターンの1つですね。

しかし、蓋を開けてみれば、最大勢力は「親和」の6人、次に「死せる生コンボ」の4人、「土地コンボ」は0人という、「24人しか参加者がいないのに調整チームが複数存在する」世界選手権ならではの偏ったフィールドでした。


ラウンド 対戦プレイヤー 勝敗
Round 4Paul Rietzl (親和) 〇×〇
Round 5Brad Nelson (ジャンド) ××
Round 6Antonio Del Moral Leon (青赤双子) ×〇〇
Round 7Magnus Lantto (死せる生) ××


結果は2-2とぱっとしません。

Brad Nelsonとの「ジャンド」戦では相性通りの敗戦でしたが、Magnus Lanttとの「死せる生」戦では1本目《欠片の双子》が3枚の弊害でなかなかコンボが決まらずに、相手に先にコンボを決められて負け。


死せる生


2本目は2ターン目《タルモゴイフ》→3ターン目《溶鉄の雨》の好スタートでしたが、そこから土地を多めに引いてしまい、結局相手のコンボが決まり負けと、相性が良い対戦だっただけに痛い敗戦となってしまいました。


初日結果 2-5



■ 2日目:『マジック・オリジン』ドラフト/スタンダード



●オリジンドラフト


3つ目のフォーマットは『マジック・オリジン』ドラフト。1番自信のあるフォーマットなので、ここで勝ち星を稼ぎたいところです。

今回は以下の戦略でドラフトに臨みました。


1.「高名」生物の存在する赤・白・緑のどれかをメインカラーに据える。青と黒は補色でしか触らない。
2.「高名」生物への肉の壁として2マナ以下の生物は最低6枚以上
3.マナフラッドした時の救済システムがなく、負けに直結するために土地は必ず16枚で組む。マナスクリューの危険性は新マリガンルールである程度緩和されている。


初手は《トーパの自由刃》からスタートし、2手目に《抑制する縛め》を、3手目に《城塞の主》が流れきたので、白緑を意識してピックします。


トーパの自由刃抑制する縛め城塞の主


2パック目の初手では《キテオンの不正規軍》を引ける幸運がありつつ、できたデッキは3-0も狙える完成度です。







ラウンド 対戦プレイヤー 勝敗
Round 8Shahar Shenhar 〇×〇
Round 9Brad Nelson 〇〇
Round 10Ondrej Strasky ××


結果は2-1

チェコの若手Ondrej Strasky君の「緑黒」デッキに複数の《絡み爪のイトグモ》で場を固められ、《ゼンディカーの乱動》が延々とトークンを生み出し、そのアドバンテージ差で負けてしまいました。



期待の若手、Ondrej Strasky

※画像は【MAGIC: THE GATHERING】より引用させていただきました。


Ondrej Strasky君は若干18歳なのですが、終始落ち着いたプレイングで、付け入る隙がありませんでした。ゲームが長かったせいもあるのですが、途中から感心することしきりでした。




これから先、プロツアーでどんどん活躍していく逸材だと思うので、動画などで彼のプレイをみる機会があったら、ぜひチェックしてみてください!



●スタンダード


4つ目のフォーマットはスタンダード。環境の様々なデッキを試し、1番感触が良かったのが、この「赤緑ドラゴン」



山本 賢太郎「赤緑ドラゴン」
世界選手権2015・スタンダード

7 《森》
6 《山》
4 《樹木茂る山麓》
4 《奔放の神殿》
1 《マナの合流点》
2 《精霊龍の安息地》

-土地(24)-

4 《エルフの神秘家》
4 《爪鳴らしの神秘家》
3 《棲み家の防御者》
4 《ゴブリンの熟練扇動者》
3 《死霧の猛禽》
4 《雷破の執政》
4 《嵐の息吹のドラゴン》

-クリーチャー(26)-
2 《マグマのしぶき》
4 《龍詞の咆哮》
2 《焙り焼き》
2 《火口の爪》

-呪文(10)-
3 《前哨地の包囲》
3 《歓楽者ゼナゴス》
2 《マグマのしぶき》
2 《焙り焼き》
2 《破壊的な享楽》
1 《引き裂く流弾》
1 《垂直落下》
1 《部族養い》

-サイドボード(15)-
hareruya



棲み家の防御者死霧の猛禽雷破の執政嵐の息吹のドラゴン


《雷破の執政》《嵐の息吹のドラゴン》の強力な飛行戦略に加え、環境を代表するコンビネーション《死霧の猛禽》《棲み家の防御者》パッケージもあり地上も粘り強く戦えます。

デッキ選択自体に後悔はないのですが、唯一の不満点は《ゴブリンの熟練扇動者》


ゴブリンの熟練扇動者


1ターン目《エルフの神秘家》→2ターン目の《ゴブリンの熟練扇動者》という環境最速の動きこそありますが、《搭載歩行機械》が蔓延するスタンダード環境で3ターン目の《ゴブリンの熟練扇動者》では遅く、除去も最低限しか入ってないこのデッキでは不必要なパーツでした。

《ゴブリンの熟練扇動者》が4枚目の《死霧の猛禽》《棲み家の防御者》、2枚の《前哨地の包囲》だったら、デッキの強さは1ランク上だったと思います。


ラウンド 対戦プレイヤー 勝敗
Round 11Lee Shi Tian (ハンガーバックアブザン) ××
Round 12Alexander Hayne (ジェスカイ) ×〇〇
Round 13Eric Froehlich (ジェスカイ) ×〇×
Round 14Ari Lax (アブザンコントロール) ×〇〇


スタンダードラウンドは2-2で、最終結果は6勝8敗の17位



プロポイント6点と2000ドル獲得になりました。





調整では友人達にデッキを教えてもらい、Web上では様々な人達に声援をもらいました。
みなさんの応援がとても力になりました。



※画像は【Facebook Magic: The Gathering】より引用させていただきました。


この場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。
来年の世界選手権も参加できるように今シーズンも頑張っていきます。

ではまた!


やまけん


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