清純な俺が新たなるスタンダード

行弘 賢


 皆さんお久しぶりやね!

 無事に第二回目の記事を書かせていただくことになりました。前回、皆さんがたくさん記事を見ていただいたおかげです。ありがとう!
 さて、新たなるファイレクシアが発売したけど、世間はやれCaw-Bladeが依然として最強だの、《欠片の双子》デッキが強いだの、発売前から騒がれていたデッキの話しで持ち切りだね。でも、皆さんが待ち焦がれていたのは、そんなわかり切ったデッキじゃないはず。これからは俺のデッキがスタンダード!って事で、新スタンダードのスタンダードたるデッキを早速紹介するよ。



1.見所のあるカード達。

今回新たなるファイレクシアで僕が目を付けてるカードがいくつかある。


清純のタリスマン


1.《清純のタリスマン》
マナブーストしながら、ライフゲイン。大澤さんの記事で書いてあったけど、書かれている事は凄く地味。でも、長期戦を見据えるデッキならライフゲインは馬鹿に出来ないアドバンテージをもたらしてくれる。



ファイレクシアの変形者


2.《ファイレクシアの変形者》
プロモーションカードでも配られたみたいだけど、このカードは《クローン》《彫り込み鋼》のハイブリッドだから、ただ強いだろう。というだけではなく、現在のメタに合っている可能性が高いカードだと思う。自分のプレイした強力なカードのコピーにしたり、相手の強力なカードをコピーして、場をイーブンにしたり。ユーティリティに富んだいいカードだと思う。



殴打頭蓋


3.《殴打頭蓋》
《石鍛冶の神秘家》の相棒として使われているのはよく見るけど、単体で十分に力を発揮してくれる、とんでもないカードだと思う。除去耐性アリ。絆魂と警戒を持っている事で、場へのインパクト大。happymtgでも、公式サイトでも絶賛されていたけど、その通りな最強カードだと思う。



四肢切断


4.《四肢切断》
-5/-5は大体のクリーチャーが死ぬ。タイタンシリーズが死なないなんて野暮な事は言わないでくれ。マジックにおいて、選択肢が多いスペルは強いという不文律がある。色々なデッキに詰まれているのを見かけるけど、環境次第では化ける要素があるカードだと思う。いや、もう化けているのかもしれない。



蔑み


5.《蔑み》
環境が欲しがっていた手札破壊呪文を絵にかいたようなカードだね。僕がそう思っているんだから、皆も思ってるはずだ。そうだ、そういうことなんだよ。さぁ、今晩はカレーを食べよう。
まぁ、《石鍛冶の神秘家》《戦隊の鷹》《原始のタイタン》も、《精神を刻む者、ジェイス》《ギデオン・ジュラ》も。捨てさせたいカードはいくらでもあるよね。



解放された者、カーン


6.《解放された者、カーン》
僕はカードパワー厨なんだ。ただそれだけで惹かれていると言っても過言ではない。無色というのも凄く良い。どんなデッキにでも入る可能性があるプレインズウォーカーというのは、それだけですさまじいのに、書いてある事もやたらと強い。流石にオバケ。いや、モノノケって言った方がいいのかもしれない。

 ということで、僕が惹かれたカード達と、その理由を列挙してみた。この中でも特に《清純のタリスマン》に、僕は強く惹かれている。もう気付いたかな?
 あぁ、そうさ。隠しても仕方無い。 これは恋なんだ。
 その他のカードは《清純のタリスマン》と相性の良さそうな物を選んでいるだけと言っても過言ではない。《清純のタリスマン》があればいい。
 使いたいカードは決まった。《清純のタリスマン》を上手く活用出来るデッキを作ればいい。後は、出そろったカードを料理をするだけだ!



2.青黒ビッグマナ


行弘 賢「青黒ビッグマナ」

4《忍び寄るタール坑》
4《闇滑りの岸》
3《水没した地下墓地》
4《島》
3《沼》
1《沸騰する小湖》
1《新緑の地下墓地》
4《地盤の際》

-土地-

2《ファイレクシアの変形者》

-クリーチャー-
2《転倒の磁石》
4《清純のタリスマン》
3《永遠溢れの杯》
1《殴打頭蓋》
1《青の太陽の頂点》
4《マナ漏出》
3《四肢切断》
2《コジレックの審問》
4《黒の太陽の頂点》
4《定業》
3《精神を刻む者、ジェイス》
3《解放された者、カーン》

-呪文-
3《蔑み》
2《記憶殺し》
2《強迫》
2《殴打頭蓋》
2《見栄え損ない》
2《漸増爆弾》
2《呪詛の寄生虫》

-サイドボード-
hareruya


 先ずこのデッキは長期戦を見据えた、ビッグマナのようなデッキだという事を念頭に置いて貰いたい。既存の青黒コントロール的なデッキの派生型だとは思わないでほしい。勿論、前回紹介したゲススノウとも違う。《清純のタリスマン》《永遠溢れの杯》がふんだんに搭載されている所を見ても分かるように、普通の青黒コントロールとは違うんだ。マナを増やして、強いカードをプレイする。至ってシンプルなデッキだ。何故《太陽の宝球》じゃなく《清純のタリスマン》なの?という疑問を持つ人もいるかもしれない。凄く簡単な話しで、このデッキのゴールが7マナの《解放された者、カーン》だからだ。そこまで耐えるには、ファイレクシアマナを使うカードを採用している関係もあって、《清純のタリスマン》はデッキにマッチしてると言えるだろう。
 《蔑み》には、サイドボードに居場所を見つけてもらった。メインボードはカウンターを抜きたい構成なので審問のほうが良いと思ったからだ。ただ、サイドボード用のカードとしては、意図も明確だし凄く効果的なカードだと思う。メタゲーム次第ではメイン採用もあり得るかもしれないね。


 僕の家に転がっていたデッキとまずは対戦させてみた。《エメリアの天使》入りのイカすCaw-Bladeと、中速ボロスが対戦相手だ。するとどうだろう、案外いけるじゃん!ってのが最初の感想だ。勝ったり負けたりといった感じだが、どちらも少しこちらが優勢といった印象だった。



3.デッキの基本的な動きと、可能性

 Caw-Bladeとのマッチでは、マナアーティファクトがマナ差を広げることで、《精神を刻む者、ジェイス》《解放された者、カーン》に繋がるのが強い。相手のカウンターが、基本的には《マナ漏出》《呪文貫き》なので、マナが増えると当然無効化出来る。そのまま押し切る事もあれば、1回《黒の太陽の頂点》で盤面をリセットできたら勝ち、といったゲームも多かった。逆に負けるパターンはリセットを引かずに盤面を押されたままこちらが繰り出すプレインズウォーカーを上手く運用できずにずるずる、といったケースが多かった。

 中速ボロスとのマッチでは、《清純のタリスマン》が予想通りいい働きをしてくれた。やはりこちらもプレインズウォーカー+《黒の太陽の頂点》の組み合わせが強く、《石鍛冶の神秘家》の返しで《清純のタリスマン》から《四肢切断》を3点のライフロスでプレイするという動きもかなり強かった。《石鍛冶の神秘家》関連で言えば、《ファイレクシアの変形者》《石鍛冶の神秘家》コピーからの、《殴打頭蓋》をサーチの動きも、それを想定して《殴打頭蓋》を入れたとはいえ実際にやってみると強い動きだった。更に言えば《殴打頭蓋》《ファイレクシアの変形者》でコピーした日にはライフで負ける事は無いだろう。ただ《エルズペス・ティレル》には困る事が多かった。というか出された時はだいたい負けた!《エルズペス・ティレル》に干渉出来るカードが《解放された者、カーン》しか無いんだから、当たり前かもしれない。この辺は少し考えた方がいいかもしれないところだね。


 ヴァラクートに関しては、テストプレイをしていないので適切なアドバイスができるとは言いづらいのだけど、サイド後のハンデス+カウンターという青黒本来の動きがヴァラクートには素直に強いので、《蔑み》が加入した事で、さらにその動きに磨きがかかった。マナ加速経由の、3ターン目《記憶殺し》も破壊力は抜群だし、《解放された者、カーン》はランド破壊もできるのでなかなか良い動きをしてくれるんじゃないかと思っている。忠誠値が大きいプレインズウォーカーにはヴァラクートは干渉しづらいからね。

 新環境で台頭しそうな《欠片の双子》+《詐欺師の総督》デッキにも《四肢切断》は良い除去になりそうなのもこのデッキには追い風かもしれない。というか《四肢切断》が強いだけなんだけどね。サイド後からのハンデス戦略も非常に良いと思ってる。勿論《記憶殺し》も有効だ。

 このデッキは環境が定まる前に作ったコントロールだ。当然だけど、デッキをより洗練させていく過程として、新しいカードの実力を窺う為にも、新たなるファイレクシアのカードを多めに採用したデッキを作ってみた、という事に過ぎない。なので、このレシピが完成形だ!なんて言い張る気もない。コントロールデッキなのだから、メタに合わせて細かくデッキは細かく変化して行くと思う。最強と言われて久しいCaw-Bladeだって、《ギデオン・ジュラ》が入ったり抜けたり、《太陽のタイタン》《ジェイス・ベレレン》を採用することによる同型対策など、同じリストで勝ち続けているわけじゃないよね。
このデッキを更なる上のステップに導く事ができるのは、このデッキに興味を持ってくれて、日々スタンダードをプレイしている、この記事を読んでくれた皆さんだ。パワーカードをプレイするのは気持ちがいいし、最強と言われているTier1デッキに立ち向かうのも結構楽しいものだから、興味を持ってくれたら、是非回してみて欲しい。

 今回は、《四肢切断》《蔑み》を使う関係上、青黒というカラーコンビネーションを採用した。でも、《解放された者、カーン》というカードは冒頭でも述べた事だけど、あらゆるデッキに採用されうるカードパワーがあるという感触を得た。それこそ既存のヴァラクートや青白、緑単エルドラージランプなんかにそのまま入っても、それ程の違和感は感じないだろう。もしかしたら緑絡みで《内にいる獣》を入れたビッグマナのようなデッキでも《解放された者、カーン》を上手く運用できるかもしれないね。近々開かれるプロツアー・名古屋でも《解放された者、カーン》は台風の目になるんじゃないかな。

 
僕たちは新たなるファイレクシアという新たな素材を手にした。それを活かすのも、腐らせるのもあなた次第。旧環境のデッキにしがみついていては勿体ない。新たなるカードを駆使して、スタンダードを存分に楽しもう!