スタンダード環境が変わったので、改めて。これからは俺がスタンダード。

行弘 賢


 皆さんお久しぶりです!このたび晴れて連載を持たせていただく事になりました!これもたくさんの人が僕の記事を読んでくれたおかげです。本当にありがとうございます!

 そういえば最近めっきり暑くなりましたね。暑いといえば今まさにスタンダードが暑い!いや、熱い!あっつーい!

 もうすでに皆さんもご存じとは思いますが、《精神を刻む者、ジェイス》《石鍛冶の神秘家》が禁止になった事でスタンダードのメタが大きく動く事になりました。それにより、最近ではあまり目立たなくなっていたヴァラクートや純正《欠片の双子》デッキ、赤単、青黒等が一躍トップメタへと踊り出る事が予想されます。
 さて、それではヴァラクートがトップメタで勝ち続けるかと言われれば、僕はそうは思いません。ヴァラクートが一強だった頃に比べると今はハンデスが豊富な青黒コンやそもそも苦手な欠片の双子デッキが環境に存在するからです。

 つまり群雄割拠、様々なデッキにチャンスがある環境だと言えます。こういった環境では割と何でもありなので、僕的にはあっつーい!環境な訳です。


純鋼の聖騎士


 さて、前置きが長くなりましたが、今回紹介するデッキは《純鋼の聖騎士》をフューチャーしたデッキです。コンセプトとしては《戦隊の鷹》《饗宴と飢餓の剣》はやはり未だ強いのではないか?《石鍛冶の神秘家》の代わりが務まるカードは無いのか?といった疑問から生まれたデッキです。YMG総帥のRob Doughertyも、プロツアー名古屋で使っていましたね。

 それでは早速デッキリストの方を紹介しましょう。


Ken Yukuhiro/「MonoWhite-Puresteel」

4《地盤の際》
4《墨蛾の生息地》
17《平地》

-土地-

2《呪詛の寄生虫》
4《純鋼の聖騎士》
4《戦隊の鷹》
4《呪文滑り》
3《ミラディンの十字軍》
3《ファイレクシアの変形者》

-クリーチャー-
2《バジリスクの首輪》
3《迫撃鞘》
2《饗宴と飢餓の剣》
2《戦争と平和の剣》
1《骨溜め》
1《殴打頭蓋》
4《四肢切断》

-呪文-

-サイドボード()-
hareruya



 このリストでマジック・オンラインで数回プレイしてみた所、様々な弱点が分かりました。
 いくら単色でも無色ランド8枚は事故の要因になる。赤単に対するゲームプランが無い。ヴァラクートに対してもゲームプランが難しい。キープ基準になるカードが少ない。

 等々、たくさんの弱点が出てきました。じゃぁこのデッキは駄目なのか?いや、そうじゃありません。僕はこのデッキを回してみて《純鋼の聖騎士》の強さに驚きました。限定構築でも活躍したこのカードがそもそも弱い訳が無いのですが、かなりのポテンシャルを秘めていると感じたのです。

 僕はとりあえずこのデッキに色を足してみることにしました。白単色では選択できる戦術に限界があり、やれる事も単調になってしまいます。デッキのカードパワーが低いと感じた時は色を足すというデッキ構築が僕は好きなのです。しかし、《純鋼の聖騎士》は白2つのダブルシンボルです。現在の環境にあるマナ基盤から考えると対抗色は厳しそう…じゃぁやっぱり友好色。でも緑のカードで入れたいカードも特に無いしなぁ。そしたら青…。そう、王者のカラー青白があるじゃないですか!



Ken Yukuhiro/「セシル」

4《金属海の沿岸》
2《天界の列柱》
4《氷河の城砦》
4《墨蛾の生息地》
11《平地》

-土地-

2《呪詛の寄生虫》
4《純鋼の聖騎士》
4《戦隊の鷹》
4《呪文滑り》
4《粗石の魔道士》
2《ファイレクシアの変形者》

-クリーチャー-
1《バジリスクの首輪》
1《不死の霊薬》
1《シルヴォクの生命杖》
3《迫撃鞘》
2《饗宴と飢餓の剣》
2《戦争と平和の剣》
1《骨溜め》
1《殴打頭蓋》
4《四肢切断》

-呪文-
4《倦怠の宝珠》
3《刃砦の英雄》
1《呪詛の寄生虫》
4《コーの火歩き》
1《迫撃鞘》
2《失脚》

-サイドボード-
hareruya



 とりあえずランドバランスを改善しました。色を足すに当たって思い切って《地盤の際》を全て抜いて色マナを増やしているので、白マナが事故りにくくなり、マナトラブルに陥る可能性は随分減りました。

《粗石の魔道士》を足すメリットはかなり大きくて、余分な1マナのカードを減らす事ができ、なおかつ1マナのカードのバリエーションを増やす事ができます。

 赤単に対してもアドバンテージが取りづらいこのデッキでは、除去されて殴られるだけで厳しかったのですが、《粗石の魔道士》のおかげで《シルヴォクの生命杖》《バジリスクの首輪》《不死の霊薬》を持ってくることができるので、大分耐性がつきました。

 しかも青を足す利点は《粗石の魔道士》が使えるだけではありません。《呪文滑り》の起動型能力や《ファイレクシアの変形者》のマナも普通に支払えるようになり、《四肢切断》を4枚とっているせいでライフロスしすぎて負けた!という展開を防ぐ役割も担っています。
 
 ビートにはライフゲイン関連のカードを。コントロールには《呪詛の寄生虫》をと、初手に来て嬉しいカードなので初手のキープ率も上がりました。

 さて、リストも確定した所でこのデッキのおおまかな動きを説明したいと思います。

 基本的にはクリーチャーを出して装備して殴るだけなのですが、様々なギミックがあります。それを可能にしているのが《迫撃鞘》です。《迫撃鞘》《バジリスクの首輪》を付けて飛ばすと接死ビームを飛ばす事ができるので、ほとんどのクリーチャーを倒す事ができ、地味に1点の回復もできます。《シルヴォクの生命杖》を付けて生贄に捧げても3点ゲインができておいしいですね。《迫撃鞘》の玉が無くなったら《戦隊の鷹》《墨蛾の生息地》を飛ばして次々に相手のクリーチャーを薙ぎ払いましょう。え?そんなマナいくらあっても足りないって?

 そこで《純鋼の聖騎士》が光る訳です。このカードの装備品が場に出た時に1ドローできるという能力も強力ですが、やはり一番強いのは『金属術が達成されている状態ならば好きなだけ装備品を付ける事ができる』能力でしょう。この能力により前半から後半までどのタイミングで出してもかなり仕事をするクリーチャーとしてデッキを支えます。いきなり2マナで装備品がたくさん付くと相手の計算を大きく狂わせる事ができるのは間違いないでしょう。《粗石の魔道士》を加えた事で上記のコンボも達成しやすくなっており、このデッキの《粗石の魔道士》《石鍛冶の神秘家》のようなユーティリティークリーチャーであると言えますね。《戦隊の鷹》《不死の霊薬》のシナジーもなかなかにあっつーい!


呪文滑り


 このデッキを地味に支えているのは《呪文滑り》の存在です。どうしても装備品を付けて殴るという行動には除去をされて大きなテンポロスをするというリスクが付きまとってしまうのですが、除去の的を予め出しておく事でそのリスクを大きく軽減する事ができます。《純鋼の聖騎士》は生き残ったら概ね勝つカードなので《純鋼の聖騎士》に対する除去をかわす意味あいも大きいですね。《欠片の双子》デッキに対しても嫌なカードですし、《ボーラスの工作員、テゼレット》に対しても強い、環境的にマッチしてるカードだと思います。

 さて、メタゲームに話を移します。このデッキはここまでして結局ヴァラクートにはやはりマッチ相性は悪いと言えます。それは中速ビートという枠組みでゲームをしてる以上は仕方ない事です。しかし、僕はそれでも良いと思っています。恐らくですが、caw-blade程には数がいないと予想されるので、ヴァラクートが苦手でもそれでデッキが駄目って訳じゃないですからね。練習段階では苦手は苦手ですが、普通に勝つ事もあったので、完全に駄目って訳でもなさそうですしね。

 全てのデッキに勝つという事はcaw-bladeほどのポテンシャルがあるデッキをもってしても難しい話です。ですので、ヴァラクートにもし勝てなくても他のデッキに勝つ事ができたら良いのです。《欠片の双子》デッキには《呪文滑り》《四肢切断》が強いですし、サイドボード後には《倦怠の宝珠》も入ります。青黒コントロールには《戦隊の鷹》+装備品が凄く強力ですし、テゼレット型ならば《呪文滑り》も厳しくなってきます。赤単には《粗石の魔道士》からの装備品サーチや《槌のコス》に対する《呪詛の寄生虫》も強力です。

 最後に実際にこのセシルでマジックオンラインのデイリーイベントに出た結果を載せたいと思います。

1回戦目:×× ヴァラクート
2回戦目:×○○青黒テゼレット
3回戦目:○×○赤単      
4回戦目:×○○ヴァラクート  

 初戦で負けてどうなるかと思いましたが、3-1できました!

 苦手なヴァラクートですが、《刃砦の英雄》が噛み合って勝ったり、《呪詛の寄生虫》《カルニの心臓の探検》のカウンターを吸って相手を事故らせたりと何気に活躍しました。テゼレットにはやはり《呪文滑り》《呪詛の寄生虫》が強く、赤単には《粗石の魔道士》からの動きが思った通りに活躍してくれました。

  様々な動きで相手の選択肢を減らしてゆき、最後には自分が有利な場で勝つ。それが中速ビートの面白いところであり、僕がMTGにおいて一番好きなアーキタイプです。基本的に相手とゲームするデッキですので対戦もそれなりに長くできて面白いのも良いですね。日本選手権予選や日本選手権本戦に向けてスタンダード熱があっつーい!方は是非一度試してみてはいかがでしょうか?使ってみての感想等ありましたら良かったらコメントしていただきますと嬉しいです。

それでは皆さんまた次回のあっつーい記事で!