ビートダウン対決でも俺がスタンダード

行弘 賢


1.グランプリ広島前の俺のスタンダード

 皆さんこんにちは!グランプリ広島に参加された方々はお疲れ様です!

 グランプリ広島の結果はいかがでしたか?結構勝てた!って方もいるでしょうし、負けたー!って方もいると思います。僕は圧倒的なほどに後者でした。3BYE明けに負け、更に次も負け。そこから2連勝したものの、力及ばず負けで初日落ち、通称しょにポン☆しました。

 結果こそ非常に残念な結果に終わりましたが、今回は僕がグランプリ広島に臨むに当たってどのようにデッキを調整していったかという過程を皆さんに紹介していきたいと思います。結果にはつながらなかったものの、どのように考えてデッキを調整したか、そして広島後にどのように考えたかをみてもらうのもたまにはよいと思います。

 事前に僕が予測したグランプリ広島のメタゲームは、ケッシグ系のデッキがトップメタで、次点に白緑ビートダウン太陽拳といったものでした。これは直前のグランプリ・プリスベンの結果を受けて素直に上位に多かったデッキが今回も多いだろうという予想です。

 なので、グランプリ広島に参加するに当たって、まずは、とりあえずケッシグに勝てるデッキを作る所からスタートしようと思い、デッキ構築を始めました。



2.デッキの調整過程

 最初に緑白と出会ったのは友人がグランプリ・プリスベンで勝っていた緑白トークンを作って回していたのを見た時です。これは面白そうだし、強そうだなと思いました。



【緑白トークン:原型】

4 《剃刀境の茂み》
4 《陽花弁の木立ち》
4 《ガヴォニーの居住区》
4 《森》
8 《平地》

-土地-
4 《刃の接合者》
2 《刃砦の英雄》
-クリーチャー-
4 《深夜の出没》
3 《機を見た援軍》
4 《清浄の名誉》
4 《無形の美徳》
3 《忘却の輪》
2 《迫撃鞘》
3 《情け知らずのガラク》
3 《エルズペス・ティレル》
4 《忠実な軍勢の祭殿》

-呪文-
サイドボードなし

-サイドボード-
hareruya



忠実な軍勢の祭殿機を見た援軍


 トークンは非常にパワフルなデッキで、青黒には《忠実な軍勢の祭殿》《深夜の出没》が強く、赤単には《機を見た援軍》が強かったので、デッキパワーが高そうに感じました。

 しかし、肝心なケッシグに対しては厳しいデッキでした。低マナ域が不足しているため序盤戦で押し切ることができず、こちらが得意とするマナ域に達した時には、ほぼ毎度のように相手の《原始のタイタン》が着地してしまい、こちらが押し切る体勢を作る前に負けてしまうパターンが多々あったのです。


刃砦の英雄


 また、相手がマナクリーチャーを展開することができず6ターン目という遅いターンに《原始のタイタン》を召喚するような展開の時も、《金屑の嵐》によって盤面を捌かれ時間を稼がれてしまい、結局押し切れる体勢を作れないのも非常に厳しかったです。結局、勝てたゲームのほとんどは《刃砦の英雄》が活躍するという展開ばかりだったのです。

 これでは広島で勝ち上がっていくことは難しいだろうと考え、相手の《原始のタイタン》が着地する前に押し切れる体勢を作れる構成にしなければならないと考えました。相手のマナクリーチャーを捌きれるようにするのはあまり現実的ではないと思えたので、こちらもマナクリーチャーを投入し、得意なマナ域を相手より早いものにして勝負することにしました。



【緑白トークン:マナクリーチャー型】

4 《剃刀境の茂み》
4 《陽花弁の木立ち》
4 《ガヴォニーの居住区》
7 《森》
5 《平地》

-土地-
4 《アヴァシンの巡礼者》
4 《極楽鳥》
3 《ヴィリジアンの密使》
4 《刃の接合者》
3 《刃砦の英雄》
2 《霊誉の僧兵》
-クリーチャー-
4 《深夜の出没》
3 《忘却の輪》
2 《迫撃鞘》
3 《情け知らずのガラク》
2 《エルズペス・ティレル》
2 《踏み荒らし》

-呪文-
サイドボードなし

-サイドボード-
hareruya



アヴァシンの巡礼者極楽鳥


 一回この型にしてみたら、何でいままでマナクリーチャーが入っていなかったんだろう?と不思議に思ったくらいマナクリーチャーからのぶんまわりが強いデッキとなりました。問題のケッシグ相手もマナクリーチャーから《刃砦の英雄》を高速召喚することで、相手の《原始のタイタン》が着地する前に押し切る体勢を作る事が可能になり、ある程度普通に戦えるようになりました。

 相変わらず《金屑の嵐》は普通に効く構成なので、そこまで圧倒的に相性差が覆った訳ではありませんでしたが、トークン型よりマナクリーチャー型の方がデッキパワーが高いように感じたので、こちらを選択する事に決めました。ここから更に煮詰めるために、自分の中のメタゲームを参考にし、カードを取捨選択していきます。

 《ヴィリジアンの密使》ケッシグにはほとんど役に立たず、同型でもいまいちなカードでした。強いマッチアップである青黒が減少傾向にあったのでアウトする事に。

 《刃の接合者》は、マナクリーチャーから出したとしても《刃砦の英雄》のように押し切れる体勢を作れるわけではなく、ケッシグデッキ相手の追加クロックとしても《深夜の出没》とマナ域が被る上に、《金屑の嵐》にも弱いと弱点を補完できない要素しか見当たらないカードなので微妙でした。

 どうせ《深夜の出没》とマナ域が被っているのならば、相手が《原始のタイタン》を着地させる前に勝てる体勢を作る、というコンセプトを考えるとここで欲しいのは1枚でゲームを決定づけるカードです。少しでも早く対戦相手を打ちのめす手段が無いと、すぐに6マナ域に到達されて何かしらのフィニッシャーに繋げられ、まくられてしまう事態を防ぎたいわけです。


刃の接合者ミラディンの十字軍


 そこで《刃の接合者》の代わりに《ミラディンの十字軍》を追加することにしました。赤緑タイプのケッシグならば《金屑の嵐》で捌けるのですが、緑単タイプだとプロテクションもあいまって捌く事が非常に難しくなります。


情け知らずのガラク


 ケッシグに対してはどちらが早く《情け知らずのガラク》をプレイできるかも重要な要素になってきます。お互いマナクリーチャーが入っているために、<0>能力でダメージを与えて対処しつつガラクと名が付くプレインズウォーカーが残るという動きはどちらがやられてもかなり厳しくなってきます。なのでここも4枚にする事にしました。

 ガラクと同じ理由になりますが、《迫撃鞘》はマナクリーチャー戦を制する事ができるので、1枚枚数を追加する事に。2マナ域がポッカリ空いていたのが少し気になったというのもあります。

 まぁあえて言う必要もないのですが、何故か《刃砦の英雄》が3枚しか入っていなかったので勿論4枚にすることに。


饗宴と飢餓の剣


 打点が高いクリーチャーで殴るというコンセプトはここまで来て明確になったのですが、やはり横にクリーチャーを並べてしまうと全体除去に脆い構成になってしまいます。なので、横に並べるのではなく、対戦相手が対処しにくいカードをプレイしていくという要素を重要視し、《饗宴と飢餓の剣》を3枚追加する事に。剣さえ出てしまえば《極楽鳥》だって《アヴァシンの巡礼者》だってフィニッシャークラスの性能を持ちますからね。《ガヴォニーの居住区》の後押しがあるので《饗宴と飢餓の剣》の土地が起きる能力も有効活用できます。


 そしてこれが実際にグランプリ広島に臨んだ最終形のデッキリストです。



【緑白トークン:最終形】

4 《剃刀境の茂み》
4 《陽花弁の木立ち》
4 《ガヴォニーの居住区》
8 《森》
5 《平地》

-土地-
4 《アヴァシンの巡礼者》
4 《極楽鳥》
4 《ミラディンの十字軍》
4 《刃砦の英雄》
-クリーチャー-
4 《深夜の出没》
3 《忘却の輪》
3 《迫撃鞘》
4 《情け知らずのガラク》
2 《エルズペス・ティレル》
3 《饗宴と飢餓の剣》

-呪文-
2 《帰化》
1 《大修道士、エリシュ・ノーン》
3 《最後のトロール、スラーン》
3 《秋の帳》
2 《使徒の祝福》
2 《ギデオン・ジュラ》
1 《四肢切断》
1 《迫撃鞘》

-サイドボード-
hareruya


 負けたマッチは白青コントロール緑白トークン白青人間です。


秋の帳戦争と平和の剣


 敗因のひとつとして、サイドカードが練られておらず、弱いカードが多数入ってしまっていたことがあげられると思います。恐らく《秋の帳》《戦争と平和の剣》だと良かったと思います。《秋の帳》は通せば勝てるカードである《ミラディンの十字軍》《情け知らずのガラク》をバックアップしてくれる事に期待したのですが、そうやって相手の妨害を妨害するより、単純に常に相手を攻めたてる《戦争と平和の剣》の方が汎用性も高いためサイドインしやすかったと思います。《秋の帳》自体は良いカードなのですが、序盤戦が重要で相手にプレッシャーをかけ続けることが求められるこのデッキでは受け身なこのカードは汎用性がそこまで高くないので、弱いサイドカードになってしまいました。

 また、パーマネントを増やすカードを減らしてしまったので、いまいち《迫撃鞘》が強くありませんでした。デッキを調整する過程で気が付かないといけなかったミスですね。《饗宴と飢餓の剣》を採用した時点で構築に矛盾が生じている可能性に気が付くべきでした。



3.グランプリ広島の後このデッキを使うなら??




【緑白トークン:アップデート版】

4 《剃刀境の茂み》
4 《陽花弁の木立ち》
4 《ガヴォニーの居住区》
7 《森》
5 《平地》

-土地-
4 《アヴァシンの巡礼者》
4 《極楽鳥》
4 《ミラディンの十字軍》
4 《刃砦の英雄》
-クリーチャー-
4 《深夜の出没》
3 《忘却の輪》
1 《四肢切断》
2 《迫撃鞘》
4 《情け知らずのガラク》
3 《霊誉の僧兵》
3 《饗宴と飢餓の剣》

-呪文-
1 《忘却の輪》
1 《帰化》
1 《大修道士、エリシュ・ノーン》
3 《最後のトロール、スラーン》
3 《戦争と平和の剣》
2 《使徒の祝福》
2 《悪鬼の狩人》
2 《四肢切断》

-サイドボード-
hareruya


 僕が予想したメタゲームはある程度は当たっていたのですが、思った以上に白青人間が多かったですね。白青人間というアーキタイプがそこまで結果を出すというのは予想していなかっただけに驚きました。白緑ビートダウンもいるとは思っていましたが、こちらも予想以上に数が多かったです。

 今後増えるであろう同系と白青人間を意識して《エルズペス・ティレル》《霊誉の僧兵》を差し替えで良いと思います。対クリーチャー戦だけ考えるのならば《霊誉の僧兵》の方が強いカードです。

 さらに広島後の反省を活かしてサイドボードのカードパワーを底上げする事にしました。対処するのではなく、対処させるカードを増やす戦術を取る事により裏目を減らすようにしました。

 ここで言う裏目とはこちらが意図したスペルがプレイされなかった場合に手札にサイドインしたカードが腐ってしまうという現象の事です。特に《帰化》《秋の帳》のように受け身に使用するカードはそういった事態を招きがちです。その部分をもっと攻撃的で汎用性が高いカードに変える事により、初手のキープのしやすさの改善や、ハマりパターンを少なくするようにしました。《悪鬼の狩人》《戦争と平和の剣》はそういった理由もあり採用するべきだと思います。

 また《刃砦の英雄》が結局同系では最強の生き物なので、白系のビートダウンが流行りそうな今後の事を考えて対策となる《四肢切断》をメインとサイド両方で採用する事にしました。


 今回の記事はいつもと違った感じでお送りさせていただきましたが、いかがでしたか?次回はワールド明けになると思いますので、またよろしくお願いいたします。それではまた!