プロツアー『運命再編』直前!新モダン環境の観戦ガイド

高橋 純也



 先週末にタルキール覇王譚ブロックの第2エキスパンション『運命再編』が発売された。《精霊龍、ウギン》《魂火の大導師》など強力なカードが満載の『運命再編』は、すでに多くのプレイヤーからの注目を集めているが、この最新セットの真価が問われるのはおそらく今週末だろう。

 それもそのはず。

 今週末の2月6日~8日にはアメリカ合衆国のワシントンD.C.で【プロツアー『運命再編』】が開催されるのだ。


※プロツアーとは?

 プロツアー(PT)とは、1年に4回、新エキスパンションが発売されてまもなくに行われる完全招待制のイベント。世界中の強豪が一堂に集い、総額約2500万円にものぼる賞金と世界最強という名誉をかけて、技術と知識の粋を尽くして3日間にわたり競うトーナメントである。


 以下のリンクは、公式ページによるプロツアー『運命再編』の紹介と、ニコニコ生放送で行われるライブ・ビデオカバレージの予定表だ。アメリカ東海岸で行われるため14時間ほどの時差がある日本からのライブ視聴は大変かもしれないが、是非ともプロプレイヤーたちの熱戦を見届けてほしい。







日程 時間帯  フォーマット 放送ページ
2/7 ()金曜夜23時~1stドラフト3回戦放送ページ
2/7 () 休憩 (※)
2/7 ()休憩終了~11時モダン5回戦放送ページ
2/8 ()土曜夜23時~2ndドラフト3回戦放送ページ
2/8 () 休憩 (※)
2/8 ()休憩終了~11時モダン5回戦放送ページ
2/9 (月)日曜夜23時~9時トップ8(モダン)放送ページ

※ドラフトラウンド終了後に1時間ほどの休憩時間があります。



 2015年初のプロツアーとなる今回は、『タルキール覇王譚』ブロックのドラフトモダンの2種目で競われる。

 『タルキール覇王譚』ブロックドラフトとモダン。リミテッドと構築。まるで正反対な2つの種目で戦いが繰り広げられる今大会の見どころは、なんといってもモダンだろう。

 なぜなら今回のモダン環境は、【1月19日に更新された禁止制限カードリスト】後に開催される初めての大型トーナメントとなるからだ。

 『運命再編』のカードがふんだんに登場するリミテッドも見逃せないが、それ以上に、僕は新天地とも言うべきモダンにどのようなデッキが登場するのかが気になって仕方ない。

 そこで、リミテッドファンの皆さんには申し訳ないのだが、当記事では【プロツアー『運命再編』】の観戦ガイドをモダンについてのみ紹介するつもりだ。

 いくつかのトピックが思い当たるが、まずは事の発端、禁止制限の影響から辿っていこう。



■ 禁止制限リストの更新の影響とは?

 先ほど軽く触れた話題ではあるが、【2015年1月19日にDCI禁止制限カードリストが更新】された。そこに記されていたのは以下のカードだ。




 2枚の強力な「探査」呪文と1枚のキーカードが禁止され、かつての墓地利用デッキのキーカードが禁止解除された、という内容だ。この発表はモダンのメタゲームに激震を与えた。

 津村 健志の【コガモダン vol.8 ~禁止改定を受けて~】を見ていただけるとより詳しい内容を知れるが、ここでも簡単におさらいしよう。

 まず、『タルキール覇王譚』以降のモダン環境を支配していたのは、『タルキール覇王譚』で強力な武器を手に入れた2つのデッキだった。それは、《宝船の巡航》を見つけた「青赤デルバー」と、《包囲サイ》を搭載した「出産の殻」である。



「青赤デルバー」

4 《島》
1 《山》
3 《蒸気孔》
4 《沸騰する小湖》
4 《溢れかえる岸辺》
1 《樹木茂る山麓》
1 《硫黄孔》

-土地(18)-

4 《秘密を掘り下げる者》
4 《僧院の速槍》
4 《若き紅蓮術士》
2 《瞬唱の魔道士》

-クリーチャー(14)-
4 《ギタクシア派の調査》
4 《血清の幻視》
4 《思考掃き》
4 《稲妻》
2 《二股の稲妻》
2 《蒸気の絡みつき》
2 《呪文貫き》
1 《呪文嵌め》
1 《剥奪》
4 《宝船の巡航》

-呪文(28)-
2 《払拭》
2 《粉々》
2 《冬眠》
2 《血染めの月》
1 《イゼットの静電術師》
1 《電謀》
1 《火柱》
1 《瞬間凍結》
1 《収穫の火》
1 《否認》
1 《倦怠の宝珠》

-サイドボード(15)-
hareruya



 かつての「青赤デルバー」は、軽くて小回りの利くカードを連打することで、自分の手が尽きるまでゲームの主導権を握り続けるかつかつのテンポデッキだった。

 ところが、《宝船の巡航》のおかげでカードが尽きることはなくなり、一度優位を掴んだら相手が倒れるまで殴り続けるという強力極まりないデッキへと変貌したのだ。一躍メタゲームの中心へと躍り出て、小回りが利かないデッキの多くを退場へと追い込んでいった。




「出産の殻」

2 《森》
1 《平地》
1 《沼》
2 《草むした墓》
1 《神無き祭殿》
1 《寺院の庭》
4 《新緑の地下墓地》
4 《吹きさらしの荒野》
3 《剃刀境の茂み》
1 《森林の墓地》
3 《ガヴォニーの居住区》

-土地(23)-

4 《極楽鳥》
3 《貴族の教主》
3 《復活の声》
1 《根の壁》
1 《呪文滑り》
1 《漁る軟泥》
3 《台所の嫌がらせ屋》
1 《スパイクの飼育係》
1 《エイヴンの思考検閲者》
1 《永遠の証人》
1 《オルゾフの司教》
1 《再利用の賢者》
3 《包囲サイ》
1 《残忍なレッドキャップ》
1 《修復の天使》
1 《叫び大口》
1 《テューンの大天使》
1 《幽霊議員オブゼダート》
1 《太陽のタイタン》

-クリーチャー(30)-
2 《突然の衰微》
1 《化膿》
4 《出産の殻》

-呪文(7)-
4 《思考囲い》
2 《コーの火歩き》
2 《召喚の調べ》
1 《罪の収集者》
1 《台所の嫌がらせ屋》
1 《大爆発の魔道士》
1 《静寂の守り手、リンヴァーラ》
1 《大修道士、エリシュ・ノーン》
1 《流刑への道》
1 《忍び寄る腐食》

-サイドボード(15)-
hareruya



 「出産の殻」は、モダンで長らく活躍し続ける「安全なデッキ」だったが、《包囲サイ》の登場によってその認識は一変した。

 かつては耐久力のあるクリーチャーとわずかな妨害を駆使しつつゆったりとコンボやビートダウンで勝つ、という器用貧乏な印象が強いデッキだったのだが、《包囲サイ》によって攻撃力と耐久力のどちらも手にした「出産の殻」は、殴ってよし守ってよし妨害してよしの「器用富豪」ともいうべき存在に成長を遂げたのだ。

 この変化にともなって「青くない+クリーチャー主体+妨害」の要素を含んだすべてのデッキが「出産の殻」の下位互換ともいうべき立場に立たされてしまった。


宝船の巡航時を越えた探索出産の殻


 どちらも傑出して強力なデッキだったが、禁止されたカードを見るに《出産の殻》はともかく、《宝船の巡航》《時を越えた探索》については「探査付きドロー」というカードタイプ自体が強力過ぎたということだろう。

 ドローなどカードを増やす効果に「探査」がついてしまえば、墓地をコストにテンポを生み出すのではなく、墓地を直接カードへと変換できると言っても過言ではなかった。そして変換したカードがすぐに墓地を肥やすのだ。

 こうして「青赤デルバー」にとどまらず、「双子の欠片」や「風景の変容」、「バーン」などで愛用された「探査付きドロー」の2枚は、台風のように去っていった。



■ 新環境のメタゲームの起点は「緑黒系ジャンク」?

 次に新環境のメタゲームへと視点を移すと、「青赤デルバー」と「出産の殻」に抑えこまれていたものが何かを知ることが手がかりとなるだろう。ただただ強いデッキだった「青赤デルバー」は漠然と遅いデッキを抑えこんでいたのだろうが、「出産の殻」が制限していたアイデアは明確だ。

 それは「緑黒系ジャンク」や「Zoo」などのクリーチャー主体+妨害要素をもったデッキである。これらは「出産の殻」との直接対決に弱く、他のデッキへの勝率もさほど目立たないため駆逐されていたが、「出産の殻」とのマッチアップがなくなったとなれば出番はきっと訪れる。

 特に「緑黒系ジャンク」《包囲サイ》を加えた「緑黒白」など、「出産の殻」よろしくの同系統に強い形が有望株に違いない。



「緑黒白ジャンク」

2 《沼》
1 《森》
1 《平地》
2 《草むした墓》
2 《神無き祭殿》
1 《寺院の庭》
4 《新緑の地下墓地》
3 《湿地の干潟》
1 《吹きさらしの荒野》
2 《黄昏のぬかるみ》
1 《森林の墓地》
1 《活発な野生林》
2 《樹上の村》
1 《地盤の際》

-土地(24)-

4 《タルモゴイフ》
3 《漁る軟泥》
4 《包囲サイ》
3 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー(14)-
4 《思考囲い》
4 《コジレックの審問》
2 《流刑への道》
4 《突然の衰微》
3 《未練ある魂》
1 《四肢切断》
1 《大渦の脈動》
3 《ヴェールのリリアナ》

-呪文(22)-
hareruya



 また、「緑黒系ジャンク」の復権が予想できるならば、それに強いデッキタイプも同時に立場を取り戻すだろう。たとえば「トロン」「風景の変容」、あるいは「親和」などだろうか。




「トロン」

1 《森》
4 《燃え柳の木立ち》
1 《ラノワールの荒原》
1 《幽霊街》
4 《ウルザの塔》
4 《ウルザの魔力炉》
4 《ウルザの鉱山》
1 《ウギンの目》

-土地(20)-

3 《ワームとぐろエンジン》
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》

-クリーチャー(4)-
4 《古きものの活性》
4 《森の占術》
4 《紅蓮地獄》
4 《彩色の宝球》
4 《彩色の星》
4 《探検の地図》
4 《大祖始の遺産》
4 《忘却石》
4 《解放された者、カーン》

-呪文(36)-
hareruya



 「トロン」はそもそも「出産の殻」への対策として登場した経歴を持っているが、「緑黒系ジャンク」などの速度に特化していないフェアなデッキ相手には滅法強いことで知られている。何といっても「緑黒系ジャンク」を筆頭とするフェアデッキの特徴は、土地を使ったコンボデッキに弱いことなのだ。




「風景の変容」

4 《島》
3 《森》
2 《山》
4 《蒸気孔》
4 《踏み鳴らされる地》
1 《繁殖池》
4 《霧深い雨林》
1 《溢れかえる果樹園》
2 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》

-土地(25)-

4 《桜族の長老》
2 《瞬唱の魔道士》

-クリーチャー(6)-
2 《稲妻》
2 《血清の幻視》
4 《深遠の覗き見》
4 《差し戻し》
3 《イゼットの魔除け》
1 《遥か見》
4 《明日への探索》
1 《木霊の手の内》
4 《謎めいた命令》
4 《風景の変容》

-呪文(29)-
hareruya



 「トロン」に比肩するように土地を使ったコンボとしてモダン環境において確固たる立ち位置を獲得しているのが「風景の変容」だ。

 《包囲サイ》というカードそのものの存在は「風景の変容」にとってはマイナスだが、それを使用する中速の妨害デッキには、そのマイナスを補ってしまうくらい相性が良い。ここで紹介したものは「青緑」だが、かつてスタンダードを賑わせた「緑赤ヴァラクート」のような「緑赤」の形も活躍するかもしれない。




「親和」

1 《島》
4 《ダークスティールの城塞》
4 《ちらつき蛾の生息地》
4 《墨蛾の生息地》
3 《空僻地》

-土地(16)-

4 《羽ばたき飛行機械》
3 《メムナイト》
4 《信号の邪魔者》
4 《大霊堂のスカージ》
4 《電結の荒廃者》
3 《鋼の監視者》
3 《刻まれた勇者》
2 《エーテリウムの達人》

-クリーチャー(27)-
3 《感電破》
2 《物読み》
4 《オパールのモックス》
4 《バネ葉の太鼓》
4 《頭蓋囲い》

-呪文(17)-
hareruya



 土地という干渉しにくいパーマネントを利用したコンボではなく、全うに正面から「緑黒系ジャンク」を脅かすのは古典的な「親和」だ。もはや「親和」能力を持ったカード自体が採用されていることは稀だが、かつてのスタンダード時代を彷彿とさせる速度は健在している。


 ここで更に「じゃあ親和に強いのは……」とついつい先を考えてしまいがちだが、メタゲームの前提ともいうべき起点となる「緑黒系ジャンク」から遠ざかることはないだろう。強力な「緑黒系ジャンク」と、その流行を予期した対策デッキ。基本的にはこの構図で今回のプロツアーは始まるだろう。



■ 墓地に秘められた可能性を探れ?

 今回の【禁止制限カードリストの発表】は、僕にはやや挑戦的な内容に見えた。もちろん《出産の殻》や「探査付きドロー」については妥当すぎる処置だ。

 《ゴルガリの墓トロール》の解禁。それこそが挑戦的だと思ったただひとつの理由だ。


ゴルガリの墓トロール


 歴史上のキーワード能力の中でも屈指のヤバさをもつのが「発掘」である。

 エクステンデッドの時代を振り返るまでもなく、「発掘」と名のつくデッキは例外なく活躍してきた。それでだろう。モダンというフォーマットが制定されたその瞬間から《ゴルガリの墓トロール》《戦慄の復活》は禁止カードリストに名を連ねていたのだ。

 しかし、制定されてからしばらくが経ち、今回の更新で《ゴルガリの墓トロール》は解禁された。これはおそらく「モダン環境では危険な『発掘デッキ』は生まれない」というメッセージなのだろうが、僕はどうしてもその言葉を信じることができない。

 それは決して確固たる根拠があるわけではないのだが、これまでに安全だと認定されて解禁されてきた《野生のナカティル》《苦花》とは話のレベルが違うと感じてしまうのだ。

 1マナとはいえ3/3には《稲妻》があるから。

 モダンは《苦花》が機能するほど遅くないから。

 この傾向をたどるならば、墓地を肥やしても大したことが起きないから、だろうか?



「発掘+ジェスカイの隆盛」

1 《繁殖池》
1 《神無き祭殿》
1 《踏み鳴らされる地》
1 《寺院の庭》
1 《湿った墓》
3 《霧深い雨林》
3 《新緑の地下墓地》
3 《吹きさらしの荒野》
4 《銅線の地溝》
2 《剃刀境の茂み》
1 《黒割れの崖》
1 《ガヴォニーの居住区》

-土地(22)-

4 《極楽鳥》
4 《貴族の教主》
3 《ゴルガリの墓トロール》
1 《ワームとぐろエンジン》
3 《大修道士、エリシュ・ノーン》
1 《怒れる腹音鳴らし》

-クリーチャー(16)-
4 《信仰無き物あさり》
4 《神々との融和》
3 《壌土からの生命》
4 《未練ある魂》
4 《堀葬の儀式》
4 《ジェスカイの隆盛》

-呪文(23)-
hareruya



《ジェスカイの隆盛》を使ってみては?




「発掘+復讐蔦」

1 《森》
1 《沼》
1 《血の墓所》
1 《繁殖池》
1 《草むした墓》
1 《蒸気孔》
1 《踏み鳴らされる地》
1 《湿った墓》
4 《霧深い雨林》
4 《新緑の地下墓地》
2 《沸騰する小湖》
1 《黒割れの崖》
1 《銅線の地溝》
1 《変わり谷》

-土地(21)-

4 《極楽鳥》
4 《墓所這い》
4 《面晶体のカニ》
4 《ロッテスのトロール》
4 《恐血鬼》
1 《ゴルガリの凶漢》
1 《殺人王、ティマレット》
1 《臭い草のインプ》
1 《スカーブの殲滅者》
4 《復讐蔦》
3 《ゴルガリの墓トロール》
3 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー(34)-
4 《信仰無き物あさり》
1 《壌土からの生命》

-呪文(5)-
hareruya



 古典的な《復讐蔦》による速攻はどうだろうか?

 このようなシンプルなアイデアだけでは危険なデッキにはなりえないのだろうが、「発掘」というメカニズムを危険視しているのは何も僕だけではないはずだ。

 きっと世界中には何千人も、プロツアーにも幾人もの未だ見ぬ最強の「発掘デッキ」への希望と恐怖を抱くプレイヤーはいるのだ。今週末のプロツアーでは彼らの夢と発想力が試されるだろう。うまく組み上げることさえできれば最強間違いなしのアイデアだけに、怖いもの見たさか、その活躍には期待がやまない。


 墓地が危険なリソースだと告げているのは「発掘」だけではない。今回禁止カードとなった《宝船の巡航》《時を越えた探索》のように「探査」も十二分に強力な能力だ。古くは《墓忍び》を搭載したチームアメリカなど、理不尽に軽減されるマナコストの恩恵を利用したデッキはこれまでに成果を残してきた。

 そして今回のプロツアー『運命再編』でも「探査」は大きな注目を浴びて開幕を迎える。

 それは《黄金牙、タシグル》がいるからだ。


黄金牙、タシグル


 額面上は6マナ4/5だが、わずか1マナでも運用できる可能性があるこのレジェンドは、モダンでこそ光り輝く。《思考囲い》などの手札破壊を経て、あるいは《思考掃き》で肥えた墓地を餌に登場する《黄金牙、タシグル》は、まるで《タルモゴイフ》だ。

 持ち味は《稲妻》に耐える上に《タルモゴイフ》と違って《突然の衰微》の圏外という、モダンならではの除去耐性である。しかも《タルモゴイフ》のように5/6を超えるサイズには成長しないものの、4マナが余った途端にアドバンテージ源となるおまけ能力付きだ。

 既に紹介したような「緑黒白ジャンク」や「緑黒ジャンク」、「黒緑《小悪疫》」などでは追加の《タルモゴイフ》のように採用できるだろう。

 また、より強力な《タルモゴイフ》として扱う使い方の一例として、「デルバー系」で採用するのも一つの手だ。



「青黒赤デルバー」

2 《島》
1 《山》
2 《蒸気孔》
1 《湿った墓》
4 《沸騰する小湖》
3 《汚染された三角州》
2 《血染めのぬかるみ》
3 《闇滑りの岸》

-土地(18)-

4 《秘密を掘り下げる者》
4 《僧院の速槍》
4 《若き紅蓮術士》
3 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー(15)-
4 《ギタクシア派の調査》
4 《血清の幻視》
4 《思考掃き》
4 《稲妻》
2 《蒸気の絡みつき》
2 《思考囲い》
2 《呪文嵌め》
2 《差し戻し》
1 《終止》
1 《マナ漏出》
1 《残忍な切断》

-呪文(27)-
hareruya



 もしかしたら《僧院の速槍》を抜いて「青黒+X」の形のほうがスマートかもしれないが、これまでの「青赤デルバー」に採用されていた《宝船の巡航》の枠を《黄金牙、タシグル》へとシフトしたような構成となっている。

 このようなタッチカラーのフィニッシャーとして《タルモゴイフ》よりも優れている点は黒という色にある。豊富な除去スペルや手札破壊などの恩恵を受けることができるのだ。対し、《タルモゴイフ》を運用する際のタッチ緑は、ただただ《タルモゴイフ》を使いたいがための緑であることが多く、色を増やしている割には十分なメリットを享受できていなかった。

 そのため、「タルモ双子」は《黄金牙、タシグル》へと乗り換えた「タシグル双子」に変わる可能性はあるだろう。黒を採用することで得た手札破壊は「双子コンボ」と相性がよく、「タルモ双子」のガンだった《突然の衰微》を避けられる点も含めて、活躍が期待できそうだ。

 『運命再編』のカードにはモダンでも活躍するポテンシャルを秘めたものがちらほらと散見されるが、その中でもとびきり見る機会が多そうなのが《黄金牙、タシグル》と言える。



■ さあ、本戦はどうなるかな?

 以上の3つがプロツアー『運命再編』のモダンラウンドの主な見どころだ。


 禁止カードによる環境の一新。

 「緑黒系ジャンク」をめぐるメタゲームの行方。

 墓地利用デッキと《黄金牙、タシグル》の活躍。


 ただ、この3つだけがトピックではない。当記事で紹介できなかった有力なデッキは数多くある上に、モダンは広いカードプールかつ変化の激しいフォーマットなので、デッキビルダーやデッキチューナーによる新しいアイデアやアレンジが結実することが多い。

 つまり、他のどのフォーマットよりも予想外や驚きと出会えるフォーマットなのだ。

 参加しているプレイヤーたちはもちろん、ビデオのライブカバレージを通じて彼らのゲームを観戦する僕達も大いに驚き楽しもう!

 そして願わくば応援する選手達が幸運に恵まれますように!


※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト』
http://mtg-jp.com/