こんにちは!
昨日、禁止改定後初となるモダン大型イベント、プロツアー『運命再編』が終了しました。
今週末には「第3期モダン神挑戦者決定戦」も控えていますし、新環境のモダン環境を先導するデッキをしっかりとチェックしておきましょう!
長年環境を牽引していた「出産の殻」デッキが環境から姿を消し、新たなるスタートを切ったモダン環境。そんな新環境のトップ8デッキは、このようになりました。
■ プロツアー『運命再編』トップ8デッキ
優勝・「青赤《欠片の双子》コンボ」
準優勝・「アミュレット・ブルーム」
3位・「青赤《欠片の双子》コンボ」
4位・「アブザン・ジャンク」
5位・「アブザン・ジャンク」
6位・「バーン」
7位・「アブザン・ジャンク」
8位・「バーン」
事前の予想で最多を占めると目された「アブザン・ジャンク」は、見事にトップ8に3名を送り込み、前評判に違わぬ力強さを見せつけました。全体では、およそ30%に近い115名がこのアーキタイプを使用しており、このアーキタイプがいかに堅実な選択であったか伺えます。何を隠そう僕も「アブザン・ジャンク」を使った1人であり、このデッキの安定感は非常に魅力的に映りました。
そんな「アブザン・ジャンク」の大海原で優勝の座を争ったのは、「青赤<欠片の双子>コンボ」デッキと「アミュレット・ブルーム」デッキのふたつでした。どちらも新環境におけるコンボデッキの代表格であり、その実力は前環境の結果からも折り紙付きと評して差支えないでしょう。ただし、これらのデッキが活躍した要因のひとつとして、「アブザン・ジャンク」を取り巻く環境の変化がそれを後押ししたのではないかと考えられます。
今回の「神」直前特集では、そんな「アブザン・ジャンク」を取り巻く環境を中心にお届けしたいと思います。それでは、まずはその「アブザン・ジャンク」からご覧ください。
■ 「アブザン・ジャンク」
2 《沼》 1 《森》 1 《平地》 4 《新緑の地下墓地》 4 《吹きさらしの荒野》 2 《湿地の干潟》 2 《草むした墓》 1 《寺院の庭》 1 《神無き祭殿》 2 《樹上の村》 2 《活発な野生林》 1 《黄昏のぬかるみ》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 1 《大天使の霊堂》 -土地(25)- 4 《タルモゴイフ》 2 《漁る軟泥》 4 《包囲サイ》 2 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(12)- |
4 《思考囲い》 3 《コジレックの審問》 2 《流刑への道》 4 《突然の衰微》 4 《未練ある魂》 1 《四肢切断》 1 《大渦の脈動》 4 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(23)- |
3 《石のような静寂》 3 《エイヴンの思考検閲者》 2 《大爆発の魔道士》 2 《滅び》 1 《漁る軟泥》 1 《流刑への道》 1 《部族養い》 1 《真面目な訪問者、ソリン》 1 《殴打頭蓋》 -サイドボード(15)- |
115名ものプレイヤーが使用した「アブザン・ジャンク」の中でトップに立ったのは、比較的オーソドックスなこのリストでした。《出産の殻》、《宝船の巡航》、《時を越えた探索》が禁止カードに指定されるやいなや、新環境の大本命として注目を浴びていましたが、さらに『運命再編』から《黄金牙、タシグル》を手に入れました。
《黄金牙、タシグル》のみならず、『タルキール覇王譚』で《包囲サイ》が加わったことで、デッキパワーが大きく底上げされたこのアーキタイプ。近代のカードパワーはまったくもって恐ろしいですね。
僕のブログでも少し触れたように、《包囲サイ》、《黄金牙、タシグル》、そして《タルモゴイフ》といった面々は、《稲妻》をものともしない高スペック軍団です。これまではモダンを象徴するカードとして幅を利かせていた《稲妻》ですが、このデッキが象徴するように、高タフネスクリーチャーの隆盛ゆえに、以前ほど信頼できる除去カードではなくなってしまいました。
《稲妻》と同じく、《突然の衰微》も肩身の狭くなったカードであり、それゆえにこの度のプロツアーでは、《流刑への道》を優先して《突然の衰微》を減らしたリストも数多く見受けられました。ただし、《突然の衰微》を減らしてしまうと、「青赤《欠片の双子》コンボ」への耐性が落ちてしまうというジレンマがあるため、この辺りのカード選択は非常に困難です。これは禁止改定後1回目の大型イベントならではの悩みと言えるでしょう。
このデッキの使用者であるJesseさんは、《突然の衰微》、《ヴェールのリリアナ》といったカードを4枚フル投入し、「青赤《欠片の双子》コンボ」を含む、コンボデッキに強い形で見事にトップ4入賞を成し遂げています。肝心のミラーマッチ対策は、サイドボードに《漁る軟泥》、《滅び》、《真面目な訪問者、ソリン》、《殴打頭蓋》と、必要最低限の枚数かつその他のマッチでも効果的なカードで戦う構成に仕上がっています。ただし、ミラーマッチでゲームの勝敗に直結する《未練ある魂》はメインからしっかりと4枚採用されていますし、ミラーマッチは枚数を多く割けば勝てるようなマッチアップでもないので、この構築は理にかなっていると思います。
総括すると、このリストはミラーマッチにこそ有利が付かないものの、その他のマッチアップで最も期待ができるリストだと思います。続いては「Channelfireball」のリストをご覧いただきましょう。
2 《沼》 1 《森》 1 《平地》 4 《新緑の地下墓地》 4 《湿地の干潟》 1 《吹きさらしの荒野》 2 《草むした墓》 1 《神無き祭殿》 1 《寺院の庭》 2 《樹上の村》 2 《黄昏のぬかるみ》 2 《ガヴォニーの居住区》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(24)- 3 《貴族の教主》 4 《タルモゴイフ》 2 《漁る軟泥》 4 《包囲サイ》 2 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(15)- |
3 《コジレックの審問》 3 《思考囲い》 3 《流刑への道》 3 《突然の衰微》 4 《未練ある魂》 1 《四肢切断》 1 《殴打頭蓋》 3 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(21)- |
4 《大爆発の魔道士》 2 《盲信的迫害》 2 《石のような静寂》 2 《神聖の力線》 1 《機を見た援軍》 1 《窒息》 1 《ヴェールのリリアナ》 1 《忍び寄る腐食》 1 《殴打頭蓋》 -サイドボード(15)- |
「Channelfireball」勢が持ち込んだデッキは、《貴族の教主》と《ガヴォニーの居住区》が目を引く新進気鋭の「アブザン・ジャンク」でした。
《貴族の教主》はこの手のデッキが抱えるもっさり感を解消してくれる1枚で、単純な手数の増加はもちろんこと、2ターン目に《ヴェールのリリアナ》という脅威的な動きも可能にしてくれます。余談ですが、「黒緑ジャンク」マスターとして知られる井川さんが考案したのも《貴族の教主》入りの「アブザン・ジャンク」であり、もしかすると《貴族の教主》は今後一般的なカードとして浸透していくかもしれません。
もう一方の《ガヴォニーの居住区》は、ミラーマッチで劇的に作用するカードです。ミラーマッチでは《タルモゴイフ》、《包囲サイ》、《黄金牙、タシグル》といったカードのにらみ合いに加え、《未練ある魂》を巡る攻防を制する鍵が必要となります。
《ガヴォニーの居住区》は呪文の枠を削ることなく、その重要な役割を担ってくれる優れもの。マナベースにこそ負担がかかりますが、そこは前述の《貴族の教主》の採用で補っています。サイドボードには《盲信的迫害》までもが採用されていますし、《未練ある魂》を巡る攻防がいかに重要かが垣間見れる構築になっていますね。
サイドボードに関しては、《機を見た援軍》や《神聖の力線》と、このデッキが苦手とする「バーン」デッキ対策が多めに取られています。対策カードをエンチャントに固めてしまうと《破壊的な享楽》の餌食になってしまいますし、《機を見た軍族朋》ならば「Zoo」デッキ対策にもなるので、カードを散らすのは様々な面で効果的です。「バーン」デッキ対策としては、先ほどのJesseさんが使用していた《部族養い》や、《ファイレクシアの非生》もお勧めです。
ここまでご覧いただいたふたつの「アブザン・ジャンク」は、細部こそ異なれど「アブザン・ジャンク」の王道をいく構成でしたが、「Channelfireball」が生み出したもうひとつのバージョンは、在りし日の「《出産の殻》」デッキを彷彿とさせる意欲作でした。
3 《森》 1 《平地》 1 《沼》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《新緑の地下墓地》 1 《湿地の干潟》 1 《寺院の庭》 1 《草むした墓》 1 《神無き祭殿》 3 《剃刀境の茂み》 3 《ガヴォニーの居住区》 -土地(23)- 4 《極楽鳥》 4 《貴族の教主》 4 《復活の声》 2 《クァーサルの群れ魔道士》 3 《台所の嫌がらせ屋》 3 《ロクソドンの強打者》 4 《包囲サイ》 3 《萎れ葉のしもべ》 -クリーチャー(27)- |
4 《流刑への道》 2 《思考囲い》 4 《未練ある魂》 -呪文(10)- |
2 《虚空の杯》 2 《思考囲い》 2 《戦争と平和の剣》 2 《引き裂く突風》 1 《殺戮の契約》 1 《大祖始の遺産》 1 《盲信的迫害》 1 《石のような静寂》 1 《法の定め》 1 《神聖の力線》 1 《英雄の導師、アジャニ》 -サイドボード(15)- |
「アブザン・ジャンク」に強い「アブザン」。このデッキを一言で表すならば、それが最適ではないかと思います。メインから手札破壊を狙い撃ちにする《ロクソドンの強打者》、《萎れ葉のしもべ》が大量投入されており、さらには《復活の声》と《台所の嫌がらせ屋》が盤面を固めます。
これらのカードが象徴するように、このリストはデッキ全体として《ヴェールのリリアナ》に非常に強い構成になっています。僕も実際に「アブザン・ジャンク」でこのデッキと対峙しましたが、《ヴェールのリリアナ》はサイドアウト候補筆頭でした。
8枚ものマナクリーチャーから高速展開される優秀なクリーチャー陣、そしてそれをバックアップする《ガヴォニーの居住区》は、「アブザン・ジャンク」にとって悪夢そのもの。《未練ある魂》も当然のごとく4枚採用されているので、《ガヴォニーの居住区》との組み合わせで簡単に勝ててしまうゲームも多々あったことでしょう。
この構築の欠点は、手札破壊や除去呪文をほとんど採用していないため、コンボデッキに弱くなってしまったことです。従来の「アブザン・ジャンク」であれば、比較的相性の良かった「青赤《欠片の双子》コンボ」とのマッチアップを見れば一目瞭然ですが、このデッキは「アブザン・ジャンク」に強くするためにコンボデッキ耐性が著しく低下しています。
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そのため、サイドボードにはコンボデッキ対策を中心に構築されていますが、個人的にはここまで思い切った構築を仕上げてきたことに感銘を受けました。なぜならば、本戦に「アブザン・ジャンク」がどれくらい存在するかは、実際に蓋を開けてみないとわからないからです。そんな中でこのようなリストを仕上げ、結果を残したJacob Wilsonは、さすがと言うしかありません。
もちろん、このデッキが「アブザン・ジャンク」以外のデッキにも勝てないなんてことはありませんし、「親和」や「バーン」デッキにはサイドボード後まで含めると有利と言えるでしょうが、それを考慮しても、禁止改定直後の大会で、これほどまでにミラーマッチに特化したデッキでプロツアーに参加することは、非常に勇気のいる決断だと思います。残念ながら優勝とはいきませんでしたが、プロツアー『運命再編』で最も印象に残ったデッキでした。
今後も「アブザン・ジャンク」が同様の勢力を維持するようであれば、最も注目のアプローチと言えるでしょう。
■ 「青赤<欠片の双子>コンボ」
5 《島》 1 《山》 4 《沸騰する小湖》 4 《霧深い雨林》 3 《蒸気孔》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《硫黄の滝》 1 《地盤の際》 1 《僻地の灯台》 -土地(24)- 3 《瞬唱の魔道士》 4 《詐欺師の総督》 2 《やっかい児》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(11)- |
4 《血清の幻視》 4 《稲妻》 2 《呪文嵌め》 1 《のぞき見》 1 《払拭》 1 《炎の斬りつけ》 4 《差し戻し》 2 《電解》 2 《謎めいた命令》 4 《欠片の双子》 -呪文(25)- |
2 《呪文滑り》 2 《嵐の神、ケラノス》 2 《血染めの月》 1 《炎の斬りつけ》 1 《払拭》 1 《否認》 1 《紅蓮地獄》 1 《古えの遺恨》 1 《不忠の糸》 1 《神々の憤怒》 1 《粉砕の嵐》 1 《思考を築く者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
「アブザン・ジャンク」の大海原を見事に駆け抜けた「青赤《欠片の双子》コンボ」デッキ。純粋なデッキパワーはもちろんのことながら、ここまでお伝えしてきたように、「アブザン・ジャンク」デッキの《突然の衰微》の減量もこのデッキにとって追い風になったことでしょう。
そうはいっても、「アブザン・ジャンク」に対してはメインボードは不利だと思われますが、その分サイドボードに《呪文滑り》、《嵐の神、ケラノス》、《血染めの月》、《不忠の糸》と多めに対策カードを用意してあります。
「青赤《欠片の双子》コンボ」デッキの長所は、なんと言っても他のコンボデッキに強いことです。コンボ構成要素も2枚と少ないですし、カウンター呪文を構えながらエンド前に動き始めることができる点は、他のコンボデッキにない大きな魅力です。後述の「アミュレット・ブルーム」を始め、自身がコンボデッキを使う際に最も対峙したくないデッキこそが「青赤《欠片の双子》コンボ」デッキであり、コンボデッキ界の王者と呼べる存在ですね。
これほどまでに「アブザン・ジャンク」が多い中で結果を残したことには驚きましたが、それは逆説的にこのデッキの地力が優れているということでしょう。それを証明するかのごとく、「青赤《欠片の双子》コンボ」デッキは、トップ8にもう1名を輩出しています。
10 《島》 1 《山》 4 《沸騰する小湖》 2 《霧深い雨林》 2 《溢れかえる岸辺》 3 《蒸気孔》 1 《繁殖池》 -土地(23)- 4 《瞬唱の魔道士》 4 《詐欺師の総督》 2 《やっかい児》 -クリーチャー(10)- |
4 《血清の幻視》 4 《稲妻》 2 《手練》 2 《呪文嵌め》 3 《差し戻し》 2 《マナ漏出》 1 《電解》 3 《謎めいた命令》 2 《血染めの月》 4 《欠片の双子》 -呪文(27)- |
3 《古えの遺恨》 2 《払拭》 2 《神々の憤怒》 2 《殴打頭蓋》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《自然の要求》 1 《血染めの月》 1 《ヴィダルケンの枷》 -サイドボード(15)- |
殿堂顕彰者であるJelgerが仕込んだスパイスは、メインボードの《血染めの月》でした。もとより自身の被る被害がほとんどないデッキではありますが、Jelgerは《島》を10枚とたっぷり採用することで、快適な《血染めの月》ライフを送れるように気配りしています。
そのマナベースは「Blue Moon」を彷彿とさせるもので、《血染めの月》の強力さを改めて世に知らしめるリストに仕上がっています。日本勢では、チーム「豚小屋」の瀧村さんが《血染めの月》をメインから4枚採用する画期的な構築で7勝3敗を記録しており、そういった結果からも《血染めの月》戦略の正当性が伺えます。
メインボードからの《血染めの月》は読みづらいため、1枚で勝てるマッチアップも多く、苦手な「アブザン・ジャンク」との相性の改善に役立ちます。仮に《突然の衰微》で対処されたとしても、このデッキにとって最悪のカードを使わせているので御の字と言えますしね。
今回のプロツアーで純正「青赤」2色の成功が目立った理由も、3色よりも《血染めの月》を活用しやすいからではないかと思います。
■ 「アミュレット・ブルーム」
1 《森》 4 《宝石鉱山》 1 《氷の橋、天戸》 1 《マナの合流点》 4 《シミックの成長室》 3 《グルールの芝地》 1 《セレズニアの聖域》 1 《ゴルガリの腐敗農場》 1 《ボロスの駐屯地》 3 《トレイリア西部》 2 《魂の洞窟》 1 《カルニの庭》 1 《処刑者の要塞》 1 《軍の要塞、サンホーム》 1 《光輝の泉》 1 《ヴェズーヴァ》 -土地(27)- 2 《迷える探求者、梓》 1 《猿人の指導霊》 4 《原始のタイタン》 -クリーチャー(7)- |
4 《召喚士の契約》 2 《否定の契約》 1 《殺戮の契約》 4 《血清の幻視》 4 《古きものの活性》 4 《花盛りの夏》 3 《集団意識》 4 《精力の護符》 -呪文(26)- |
3 《神聖の力線》 2 《スラーグ牙》 2 《炎渦竜巻》 1 《鷺群れのシガルダ》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《女王スズメバチ》 1 《白鳥の歌》 1 《自然の要求》 1 《原基の印章》 1 《紅蓮地獄》 1 《幽霊街》 -サイドボード(15)- |
ついにプロツアーでも結果を残した「アミュレット・ブルーム」。《精力の護符》、《花盛りの夏》、《シミックの成長室》の組み合わせで大量のマナを確保し、そこから《原始のタイタン》か《集団意識》に繋げて勝利するコンボデッキです。
このアーキタイプの使用者は8名と、全体の2%程度の割合に過ぎませんでしたが、驚くべきはその勝率です。なんと8名中5名が2日目に進出し、その5名全員が6勝4敗以上を記録しているのです。
そういったデータからも、このデッキが強力であることに疑いの余地はありませんし、今後激増する可能性が最も高いアーキタイプだと思います。
Cohenさんのリストで最大の特徴は、サイドボードのカード選択です。現環境の最大勢力である「アブザン・ジャンク」に対しては、手札破壊を封殺する《神聖の力線》を始め、《スラーグ牙》、《鷺群れのシガルダ》、《ワームとぐろエンジン》、《女王スズメバチ》とかなりの枚数を割いています。
その中でも《スラーグ牙》と《女王スズメバチ》が秀逸で、前者はゲーム中盤を支える最高の壁であり、このデッキにとって強いアクションがしづらいターンを埋める絶好の5マナ域。《タルモゴイフ》や《包囲サイ》と相打てるだけでなく、《ヴェールのリリアナ》にも耐性があるのがうれしいところ。
後者の《女王スズメバチ》は、スタンダードよろしく1枚でゲームを掌握できるだけの力があります。スタンダードでは《胆汁病》などでトークンをまとめて対処されたりもしますが、ことモダンにおいては《大渦の脈動》くらいしかトークンを効率良く捌く手段がありません。その《大渦の脈動》も1~2枚しか入っていないことがほとんどですし、《女王スズメバチ》の採用は、Cohenさんの躍進を大きく後押ししたのではないかと予想されます。
その代わりに、一般的に4枚採用されることの多い《原基の印章》が減量されており、これによりこのデッキの天敵である《血染めの月》耐性は落ちています。しかしながら、実際のメタゲームは「アブザン・ジャンク」が最多だったことを踏まえると、この変更は功を奏したようです。完全にメタゲームを読み切った上での栄光と言っていいでしょう。
ちなみにCohenさんは、アメリカの強豪であるSam Blackのルームメイトで、彼の記事にも度々登場しています。トップ8プロフィールで独創的な回答をしているCohenさんだけに、「アミュレット・ブルーム」だけでなく、彼の行末にも要注目です!
■ 「バーン」
2 《山》 4 《乾燥台地》 4 《樹木茂る山麓》 4 《沸騰する小湖》 1 《血染めのぬかるみ》 3 《聖なる鋳造所》 1 《踏み鳴らされる地》 -土地(19)- 4 《僧院の速槍》 4 《ゴブリンの先達》 1 《渋面の溶岩使い》 4 《大歓楽の幻霊》 -クリーチャー(13)- |
4 《溶岩の撃ち込み》 4 《稲妻》 2 《欠片の飛来》 4 《頭蓋割り》 4 《焼尽の猛火》 4 《ボロスの魔除け》 2 《稲妻のらせん》 4 《裂け目の稲妻》 -呪文(28)- |
4 《破壊的な享楽》 3 《コーの火歩き》 3 《溶鉄の雨》 2 《流刑への道》 2 《跳ね返す掌》 1 《稲妻のらせん》 -サイドボード(15)- |
3 《山》 4 《樹木茂る山麓》 4 《沸騰する小湖》 4 《血染めのぬかるみ》 1 《乾燥台地》 3 《聖なる鋳造所》 1 《踏み鳴らされる地》 -土地(20)- 4 《僧院の速槍》 4 《ゴブリンの先達》 2 《渋面の溶岩使い》 4 《大歓楽の幻霊》 -クリーチャー(14)- |
4 《溶岩の撃ち込み》 4 《稲妻》 2 《欠片の飛来》 4 《ボロスの魔除け》 3 《焼尽の猛火》 3 《稲妻のらせん》 2 《頭蓋割り》 4 《裂け目の稲妻》 -呪文(26)- |
3 《コーの火歩き》 3 《粉々》 3 《破壊的な享楽》 3 《溶鉄の雨》 2 《頭蓋割り》 1 《焼尽の猛火》 -サイドボード(15)- |
《宝船の巡航》の禁止により、勢いを失ってしまったかに思われた「バーン」デッキですが、トップ8に2名を送り込む活躍を見せました。それもそのはず、昨年の「モダン神決定戦」優勝、「グランプリ神戸2014」優勝という結果が示すように、このデッキは《宝船の巡航》が入る前から一線級のデッキだったのです。
火力が詰め込まれたデッキですが、細部にはいくつかの相違が見受けられます。《稲妻のらせん》は、ミラーマッチでカード2枚分の役割を果たしてくれますし、その他のマッチアップでも、「バーン」デッキにとって貴重な1ターンを稼いでくれる優良カード。個人的には《頭蓋割り》も《焼尽の猛火》も4枚採用したいので、それらを削ってまで投入すべきかは判断が難しいところですが、いずれにせよ2~3枚は採用して損のないカードでしょう。
■ おわりに
本編は以上です。今回のトップ8の面子を見てみると、2年連続でトップ8進出のJacob Wilson、3年連続でトップ8進出のLee Shi Tianと、モダン環境の常勝軍団の活躍が印象的でした。勝つプレイヤーやデッキにはきちんとした理由がありますし、やっぱりモダンはやり込み環境だと再認識しつつ、筆を置きたいと思います。
さて、今週末は「第3期モダン神挑戦者決定戦」ですね!プロツアーの結果を受けて、どんなデッキが活躍するのか気になるところです。
「第2期モダン神」である砂田さんに挑むプレイヤーは一体誰になるのか!?「happymtg」ではもちろんカバレージをお届け予定ですので、そちらもお見逃しなく!
※編注:記事内の画像は、以下のページより引用させて頂きました。
『プロツアー「運命再編」 トップ8プレイヤープロフィール』
http://coverage.mtg-jp.com/ptfrf15/article/014384/