皆さんこんにちは!
先週末はBIG MAGIC OPEN(BMO), SCGO(StarCityGames.com Open), GPの他にもGame Dayなどスタンダードプレイヤーにとっては非常に充実した週末でしたね。
さて、今回の記事ではBMO Vol.3、SCGO Houston、GP Sevilleの結果を見ていきたいと思います。
BMO Vol.3 トップ8
~第3回目のBMOを制したのはトップメタの一角であるAbzan Aggro~
2015年2月14日
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1位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
2位 UB Control/青黒コントロール
3位 RW Aggro/赤白ビートダウン
4位 Mono Green Devotion/緑信心
5位 Mono Red/赤単
6位 RG Aggro/赤緑ビートダウン
7位 Mardu Midrange/白黒赤ビートダウン
8位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
参加者340名と大盛況で幕を閉じたBMO Vol.3。近年のスタンダードらしくトップ8はトップメタのAbzanやRW Aggroの他にもMono Red AggroやUB Control、緑信心など多様性に満ちていました。
BMO Vol.3 デッキ解説
「Abzan Aggro」「RG Aggro」
2 《森》 2 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 3 《疾病の神殿》 3 《静寂の神殿》 3 《ラノワールの荒原》 3 《コイロスの洞窟》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(25)- 1 《始まりの木の管理人》 4 《ラクシャーサの死与え》 4 《羊毛鬣のライオン》 4 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 2 《クルフィックスの狩猟者》 4 《包囲サイ》 3 《風番いのロック》 -クリーチャー(22)- |
3 《胆汁病》 4 《英雄の破滅》 3 《アブザンの魔除け》 1 《残忍な切断》 2 《真面目な訪問者、ソリン》 -呪文(13)- |
3 《思考囲い》 3 《悲哀まみれ》 2 《消去》 2 《異端の輝き》 2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 1 《残忍な切断》 -サイドボード(15)- |
今大会見事に優勝を収めたAbe Yusukeさんのリストは《思考囲い》がメインでは不採用で、その分追加の除去や《真面目な訪問者、ソリン》、《クルフィックスの狩猟者》がメインから取られています。《思考囲い》はAbzan Aggro同系やRW Aggroが人気の現在ではサイドアウト率が高く、ミッドレンジとのマッチアップでもトップデッキしてあまり嬉しいカードではありません。このようにUB ControlやUW Heroic以外のマッチアップではあまり強くないのでこの変更には納得です。
前環境の時点で完成されていたのかメインに1枚だけ『運命再編』からの新カード《始まりの木の管理人》が採用されていること以外は構成に大きな変化はなく、今後も安定した活躍が予想されます。
8 《森》 6 《山》 4 《樹木茂る山麓》 4 《奔放の神殿》 2 《マナの合流点》 -土地(24)- 4 《エルフの神秘家》 4 《森の女人像》 1 《爪鳴らしの神秘家》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 4 《クルフィックスの狩猟者》 4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 4 《嵐の息吹のドラゴン》 -クリーチャー(25)- |
4 《稲妻の一撃》 3 《火口の爪》 2 《紅蓮の達人チャンドラ》 2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 -呪文(11)- |
4 《灰雲のフェニックス》 3 《マグマのしぶき》 3 《破壊的な享楽》 3 《宿命的火災》 2 《弧状の稲妻》 -サイドボード(15)- |
『運命再編』から加入した数種類のカードによって強化されたデッキの一つとされているRG Aggroですが、「スタンダードの貴族」と呼ばれているAizawa Keijiさんのリストは《炎跡のフェニックス》や《大いなる狩りの巫師》など『運命再編』からのカードは一切不採用となっています。
マナ加速から2ターン目の《ゴブリンの熟練扇動者》、3ターン目の《世界を喰らう者、ポルクラノス》といった脅威やPWを展開していく動きはシンプルですが強力です。
サイドの《宿命的火災》は《包囲サイ》など高タフネスのクリーチャーや《太陽の勇者、エルズペス》や《真面目な訪問者、ソリン》など現環境に存在する多くのPWもこれ1枚で除去することが可能で、このデッキにとっては《英雄の破滅》のようなカードです。
SCGO Houston トップ8
~緑信心の隆盛~
2015年2月15日
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1位 GR Devotion/緑信心
2位 Jeskai Tokens/ジェスカイの隆盛トークン
3位 RG Aggro/赤緑ビートダウン
4位 Jeskai Tokens/ジェスカイの隆盛トークン
5位 RW Aggro/赤白ビートダウン
6位 Abzan Midrange/白黒緑ビートダウン
7位 UW Control/白青コントロール
8位 GR Devotion/緑信心
環境のトップメタのAbzan AggroとRW Aggroが高い2日目進出率を出すものの、プレイオフまで勝ち残ることができたのはわずか1名でした。
一方で緑信心に赤を足したデッキの活躍が目立ち、去年のスタンダードのGP Phoenixを制した強豪プレイヤーのRobert Berniはその緑信心タッチ赤で見事に優勝を収めました。
SCGO Houston デッキ解説
「GR Devotion」「RW Aggro」
10 《森》 1 《山》 4 《樹木茂る山麓》 4 《奔放の神殿》 4 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(23)- 4 《エルフの神秘家》 4 《旅するサテュロス》 4 《森の女人像》 2 《起源のハイドラ》 4 《クルフィックスの狩猟者》 1 《加護のサテュロス》 4 《開花の幻霊》 4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 4 《囁きの森の精霊》 -クリーチャー(31)- |
4 《火口の爪》 2 《精霊龍、ウギン》 -呪文(6)- |
3 《ナイレアの信奉者》 3 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 2 《再利用の賢者》 2 《起源のハイドラ》 2 《高木の巨人》 2 《セテッサ式戦術》 1 《歓楽の神、ゼナゴス》 -サイドボード(15)- |
緑信心に 《火口の爪》とサイドの《歓楽の神、ゼナゴス》のために赤を足したデッキ。今大会で最も注目されたデッキの一つで優勝デッキも含めてトップ8にも2人送り込む活躍を見せました。
このデッキの使用者のRobert Berniは初日も8-1という好成績で勝ち進んでおり、今大会において緑信心がベストな選択だったことが伺えます。
《囁きの森の精霊》は緑信心デッキにフィットしている強力なクリーチャーで、除去されずにターンエンドできれば誘発型能力によって2/2を戦場に加えるので、カードアドバンテージを獲得しつつ戦力を拡大することが可能です。さらに、このクリーチャーの起動型能力はこのデッキに壊滅的な被害を与える全体除去対策になります。
重いマナコストと強力な能力を持つ《精霊龍、ウギン》もマナが大量に出せるこのデッキでは4-5ターン以内にキャストでき、この段階で場に出すことができればほぼ勝ちです。
カバレージを見ていて思ったことは、ほぼ緑単のこのデッキはデッキパワーの高さは現環境でも頭一つ抜けていますが、妨害要素が薄く同系戦は運の要素が強いため、先に展開できる先手が圧倒的な有利になるようだということです。今後このデッキが流行るようなら、爆発力は抑えられますが、同系対策に色を足すことも必要になってくるかもしれません。
10 《山》 4 《平地》 4 《戦場の鍛冶場》 4 《凱旋の神殿》 1 《風に削られた岩山》 1 《進化する未開地》 -土地(24)- 4 《道の探求者》 1 《魂火の大導師》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 2 《オレスコスの王、ブリマーズ》 4 《嵐の息吹のドラゴン》 -クリーチャー(15)- |
2 《乱撃斬》 3 《稲妻の一撃》 4 《軍族童の突発》 4 《かき立てる炎》 4 《岩への繋ぎ止め》 2 《前哨地の包囲》 2 《紅蓮の達人チャンドラ》 -呪文(21)- |
3 《異端の輝き》 2 《静翼のグリフ》 2 《勇敢な姿勢》 2 《弧状の稲妻》 2 《龍語りのサルカン》 1 《消去》 1 《アブザンの優位》 1 《洗い流す砂》 1 《炎の円》 -サイドボード(15)- |
先々週にアメリカの各エリアで開催されたSCG Regionals Winter 2015でも多くの入賞者を出し今大会でも高い二日目進出率を出したRW Aggro。
Jason Blackmorのリストは定番だと思われていた《僧院の導師》は不採用で、代わりに《オレスコスの王、ブリマーズ》が取られています。Jeskai Tokensなどと比べるとドロースペルがない分《僧院の導師》の能力を活かすことが難しい、という点が不採用の理由だと思われます。
《前哨地の包囲》は「カン」の能力が《紅蓮の達人チャンドラ》の「+0」能力と同様なため、最近は《英雄の破滅》で落ちない《紅蓮の達人チャンドラ》として採用されていましたが、Jasonは両方採用しています。これにより中盤以降も息切れがしにくくなっています。
GP Seville トップ8
~ここでも緑信心が活躍。決勝戦は奇しくもGP Denverと同様のアーキタイプの組み合わせ~
2015年2月15日
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1位 UB Control/青黒コントロール
2位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
3位 GR Devotion/緑信心
4位 Abzan Midrange/白黒緑ビートダウン
5位 Sultai Reanimator/シディシウィップ
6位 UW Heroic/白青ヒロイック
7位 Jeskai Tempo/白青赤ビートダウン
8位 Mono Green Devotion/緑信心
BMO Vol.3やSCGO Houstonでも入賞者を出した緑信心はここでも2名の入賞者を出すという強さを見せました。SCGO Houstonと同様に高い2日目入賞率を誇ったRW Aggroはトップ8には1人も残らず、2番目に高い進出率を出したAbzan Aggroは優勝まで一歩届かなかったものの準優勝と安定した成績を残していました。
優勝は前環境終盤に開催されたGP Denverでも優勝を収めたUB Controlでした。
GP Seville デッキ解説
「UB Control」「Jeskai Tempo」「Sultai Reanimator」
5 《島》 5 《沼》 4 《汚染された三角州》 1 《溢れかえる岸辺》 1 《血染めのぬかるみ》 4 《欺瞞の神殿》 4 《陰鬱な僻地》 3 《光輝の泉》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(28)- 1 《真珠湖の古きもの》 -クリーチャー(1)- |
4 《胆汁病》 4 《軽蔑的な一撃》 4 《解消》 4 《英雄の破滅》 1 《信者の沈黙》 3 《ジェイスの創意》 2 《命運の核心》 4 《時を越えた探索》 1 《危険な櫃》 2 《悪夢の織り手、アショク》 2 《精霊龍、ウギン》 -呪文(31)- |
4 《思考囲い》 3 《悲哀まみれ》 2 《黄金牙、タシグル》 2 《否認》 1 《悪夢の織り手、アショク》 1 《危険な櫃》 1 《命運の核心》 1 《残忍な切断》 -サイドボード(15)- |
コントロールにとってはスイーパーにもフィニッシャーにもなる《精霊龍、ウギン》は、黒い《対立の終結》として念願だった全体除去スペルの《命運の核心》と共にUB Controlというデッキを強化した張本人です。
《囁きの森の精霊》を使う緑信心が人気の現在の環境では、パーマネントを追放する《精霊龍、ウギン》と《危険な櫃》を搭載したこのデッキはよい立ち位置にあると言えます。
2 《島》 2 《平地》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《神秘の僧院》 4 《凱旋の神殿》 2 《天啓の神殿》 4 《シヴの浅瀬》 2 《戦場の鍛冶場》 -土地(24)- 4 《道の探求者》 1 《魂火の大導師》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 4 《カマキリの乗り手》 3 《嵐の息吹のドラゴン》 -クリーチャー(16)- |
3 《乱撃斬》 4 《稲妻の一撃》 3 《勇敢な姿勢》 1 《アブザンの優位》 4 《かき立てる炎》 3 《宝船の巡航》 1 《時を越えた探索》 1 《前哨地の包囲》 -呪文(20)- |
3 《軽蔑的な一撃》 3 《神々の憤怒》 2 《オレスコスの王、ブリマーズ》 2 《否認》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 1 《勇敢な姿勢》 1 《異端の輝き》 1 《前哨地の包囲》 -サイドボード(15)- |
GP Manilaでもトップ8に入賞するなど最近好調のチェコの強豪プレイヤー・Martin Juzaは、今大会ではJeskaiを選択し勝ち残っています。Jeskaiというと最近は《ジェスカイの隆盛》を採用したJeskai Tokensがポピュラーですが、Juzaのリストは『タルキール覇王譚』解禁直後に見られた《カマキリの乗り手》入りのJeskaiとなっており、環境の変化に合わせた調整の跡が見られます。
《魂火の大導師》は中盤以降《かき立てる炎》などの火力スペルに「バイバック」を付与し、「絆魂」はダメージレースを有利にします。《宝船の巡航》や《時を越えた探索》は「探査」コストを支払えば比較的容易に「バイバック」を付与することが可能で、大きなアドバンテージが得られます。マナが伸びる中盤以降に活躍するカードであるため、1枚の採用のようです。
Jeskaiでは必ずと言ってよいほど見かける《ジェスカイの魔除け》は不採用で、その枠には《勇敢な姿勢》が取られています。火力呪文で除去するのが難しい高タフネスクリーチャーにも触れるようになり、コントロールに対しても自軍のクリーチャーを除去などから保護する用途の広いスペルとなっており、このデッキが最も欲しかった逸材です。既にRW Aggroなどで見かける《前哨地の包囲》も《紅蓮の達人チャンドラ》に代わってしっかり採用されています。
3 《森》 3 《沼》 1 《島》 2 《汚染された三角州》 1 《吹きさらしの荒野》 4 《華やかな宮殿》 2 《疾病の神殿》 1 《神秘の神殿》 4 《ラノワールの荒原》 2 《ヤヴィマヤの沿岸》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(24)- 4 《サテュロスの道探し》 3 《森の女人像》 4 《クルフィックスの狩猟者》 4 《血の暴君、シディシ》 2 《破滅喚起の巨人》 1 《奔流の精霊》 3 《黄金牙、タシグル》 3 《女王スズメバチ》 -クリーチャー(24)- |
2 《胆汁病》 3 《英雄の破滅》 4 《残忍な切断》 3 《エレボスの鞭》 -呪文(12)- |
3 《思考囲い》 3 《悪夢の織り手、アショク》 2 《再利用の賢者》 2 《胆汁病》 2 《悲哀まみれ》 2 《精神染み》 1 《奔流の精霊》 -サイドボード(15)- |
前環境でも世界選手権やSCG Player’s Championship 2014を制する強さを見せる《血の暴君、シディシ》を軸にしたSultaiカラーのミッドレンジで、Sidisi Whipとも呼ばれています。
《サテュロスの道探し》や《血の暴君、シディシ》で墓地を肥やし《エレボスの鞭》でアドバンテージを取っていく戦略でしたが、『運命再編』で新たに「探査」クリーチャーの《黄金牙、タシグル》を獲得しました。墓地を肥やしつつアドバンテージを得ることを可能にするこのカードは非常にデッキにフィットしています。
『運命再編』からの新カードでこのデッキにメイン、サイドに1枚ずつ採用されている《奔流の精霊》は攻撃時に相手のクリーチャーをフルタップするのでゲームを速やかに終わらせることが可能です。3/5飛行というサイズは《嵐の息吹のドラゴン》などこのデッキにとって厄介な飛行クリーチャーを受け止めるなど、防御面での活躍も期待できます。
総括
BMO、SCGO Houston、GP Sevilleの3つの大会すべてで緑信心デッキが上位入賞しており、SCGO Houstonでは優勝を収めるなど各地で驚異的なパフォーマンスを見せました。
現環境で人気のあるデッキの1つであるAbzan系を初めとする緑のミッドレンジに強く、デッキ内の脅威の枚数も多いため単体除去では間に合わず、今のところもっとも現実的な対策は《精霊龍、ウギン》や《危険な櫃》といった追放系のスイーパーくらいです。そしてGP Sevilleを制したのは、これらのスイーパーとカウンターを搭載したUB Controlでした。
さて、一気に3つの大会結果を見てきましたが現環境のスタンダードは今週末もSCGO Los AngelesやGP Menphis、そして、3月にはSCG主催のGP Miamiと続きます。
次回の記事ではSCGO Los AngelesとGP Menphisの結果を中心にカバーしていく予定です。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『BicMagic.net』
http://www.bigmagic.net/
『StarCityGames.com』
http://www.starcitygames.com/index.php