齋藤友晴のプロツアー『戦乱のゼンディカー』レポート

齋藤 友晴


「捌くの大変だからマジレスすると」とかは置いといて……


今、BFZのカードで1000枚買うなら……



……圧倒的にこれ!




マラキールの解放者、ドラーナ




《マラキールの解放者、ドラーナ》!!


ダブルシンボルで使いにくいといえばたしかに若干そうですが、あくまで単色カードだし、環境の軸レベルの活躍を見せている《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》とほぼ同じ前提。

そしてギデオンはトータル4マナに対し、ドラーナはたった3マナでゲームの勝利に直結してしまいます!

明らかに値段に対して強すぎるカードなのは間違いなく、正直みんなもっとカードのテキスト読んで欲しい!なんて思ったり(笑)


って言っても、今回のプロツアーで使った相棒なので、すこぶるひいき目が入ってるかもしれません♪


まずは今回僕が使った新作かつガチ《マラキールの解放者、ドラーナ》入りスタンダードデッキができるまでをお話ししたいと思います。


リー・シー・ティエン/Lee Shi Tian
※画像は【Team MTG Mint Card】より引用させていただきました。


今回のスタンダードの調整は前回同様、「MTG MINT CARD」のリー・シー・ティエン/Lee Shi Tian(香港)率いるアジア勢と一緒でした。

【GPマディソン】終了後の月曜日、高速バスでプロツアー開催地のミルウォーキーに移動。
郊外にあるベッドルーム5つもある豪邸を12人で借り切り、本気の調整合宿がスタート☆










テーブルと椅子を家中からリビングにかき集めてきて調整開始!

スケジュールとしては、


●月曜日
夕方~就寝: プレイテストや休憩など自由に。夜に到着組もいました。


●火曜日
朝~午後: みんな揃ってのディスカッションで制定した今回のTier1メタデッキ4つのみとスパーリング。
(白緑大変異、ジェスカイブラック、アブザンアグロ、アタルカレッド)

夕方~: これまたディスカッションして、6人リーグ2つの12デッキ内にTier1デッキ以外に入れるべきTier2デッキ、新しいデッキを決定してからテスト。
深夜: Tier1デッキ相手メインで更に自由にテスト。

●水曜日
終日: このリーグ戦を更に2セットと合間のプレイテスト。

●木曜日
~夕方:それぞれデッキを仮決めし、デッキごとにグループを分けて苦手な相手や試し足りない部分を重点的にテスト。


そして夕方から会場へ行き受付。


トモハルの動きとしては、全体の仕切り、成績まとめ、スーパーの食材買い出しや料理、デリバリー注文などは率先して他の人がやってくれたので、チームのために最強のデッキをつくるべく約16時間×3日間ひたすら、デッキ構築とプレイテストをやりまくり。

それぞれが何をするのがチームに一番貢献できるかを考えて動いてくれていてすごくやりやすかったです。


で、【直前で権利を取った前回のプロツアー】とは違い、今回は用意周到にスタンダードで使う可能性があるカードをほとんど持参していたのもあり、かなりはかどりました。

(当然、持ってくの重かったけどw)


稲妻の狂戦士風番いのロック


まず、予め日本から持って行ったデッキの中で可能性があると感じていたのは、前回のプロツアーで使ったような「飛行祭り赤単」と、新マナベースを活用した「上陸アブザンアグロ」。

前者は《搭載歩行機械》環境で「《稲妻の狂戦士》弱すぎるんじゃー!」と、アタルカレッドのがパワフルにつきほとんど回さず断念、後者は通常のアブザンアグロより不安定につき、【GPマディソン】の合間に回した程度で断念。

《獣呼びの学者》《風番いのロック》4枚については強かったけれど、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》×《風番いのロック》やるならべつにこのデッキじゃなくても良いし、環境の本命ムーブを調整するのは他の人の役割でもあったし、上回るものがなさそうだと分かってからで良いと考え一旦パス。

メタデッキ中心にいろいろ軽く触ってこの環境で思ったこと。


搭載歩行機械


どのデッキも《搭載歩行機械》使いすぎだし実際強すぎ(笑)


なので最初にやりたい、強いと思った方向性は、追放除去のつるべ打ち☆


絹包み停滞の罠隔離の場


《絹包み》《停滞の罠》《隔離の場》と連打していくと、環境の定番カードである《搭載歩行機械》に強いばかりか、生贄にするエンチャントを選ばせてくれる《ドロモカの命令》にも強い☆

最初に《搭載歩行機械》を消していれば、それを生贄にしても0/0で戻ってくるだけなので被害なし&他のも守れる♪


《精霊龍、ウギン》は厳しいけど珍しいから気にしないとして、こんな方向性で白系コントロール組むならどういうテーマが良いかな??

ってのと……

これまた最初に思った、飛行で殴ったら《搭載歩行機械》あんまり関係ないよね!

ってのが合わさりつつ……

《カマキリの乗り手》にめっぽう強い《オジュタイの語り部》を再発見したことで、ナヤドラゴンコントロールを作成。


オジュタイの語り部龍王アタルカ雷破の執政


環境のトップクリーチャー勢の一角《龍王アタルカ》や、《雷破の執政》も使えるし♪


メタデッキと一通りスパーリングしてそれなりに手応えがあったので最初のリーグ戦に放り込むことにした。

ちなみに参考までにナヤドラゴンのリストはこんな感じ♪


齋藤 友晴「ナヤドラゴンコントロール」

2 《平地》
1 《森》
1 《山》
2 《梢の眺望》
1 《燃えがらの林間地》
4 《樹木茂る山麓》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《精霊龍の安息地》
4 《風に削られた岩山》
2 《戦場の鍛冶場》
2 《神秘の僧院》

-土地(27)-

4 《搭載歩行機械》
4 《オジュタイの語り部》
4 《雷破の執政》
4 《龍王アタルカ》
3 《龍王ドロモカ》

-クリーチャー(19)-
2 《龍詞の咆哮》
4 《絹包み》
4 《停滞の罠》
4 《面晶体の記録庫》

-呪文(14)-
4 《光輝の炎》
3 《隔離の場》
2 《焦熱の衝動》
2 《神聖なる月光》
2 《見えざるものの熟達》
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-サイドボード(15)-
hareruya



リーグに出る際は欲張って《龍王オジュタイ》まで入れて試したらさすがに重いし事故りやすい上に、定番除去《はじける破滅》に痛い目にあわされて大間違いの1-4・・・。


とんだハンデ要素(笑)


ただそれを除いても、マナ加速が《面晶体の記録庫》のみの“なんちゃって”マナランプにしたってマナランプデッキ特有の不安定さがあったし、プロツアーに出るのを決めるほどのデッキパワーがあるようには到底思えなかった。

《調和》的なカードが環境に存在すればまた変わっただろう。


ケルビン・チュウ/Kelvin Chew
※画像は【MAGIC: THE GATHERING 英語公式ウェブサイト】より引用させていただきました。


そんな時、前週の【GPシドニー】でトップ8に入った直後アメリカまで飛び、合流してきたデッキビルダーのケルビン・チュウ/Kelvin Chew(シンガポール)が赤黒ドラゴンコントロールを使い、別リーグで5-0全勝していたのでリストを広げてみんなで話した。

可能性は大きく感じたものの、まだ荒削りなリストに見えたので僕も赤黒を調整して2面で試すことに。

そしたら結果として色とドラゴン2種入りってとこだけ同じの全然別のデッキに(笑)

コントロール→ミッドレンジ→重めのビートダウンってな感じ。

Tier1デッキたくさん含めた水曜日のリーグ戦2戦で7-3とそれなりのスコアだったものの、それ以外の時間も含めトータルでまるっと2日ほどどんどんカードが入れ替わり、最終的に正しいプレイをした時の実際のメイン・サイドのゲーム勝率&論理値マッチ勝率が……


仮想敵 勝率
ジェスカイブラック60~70%
アブザンアグロ60~70%
アタルカレッド60~70%
白緑大変異50~60%


このくらい戦えると思えるデッキとなり、それ以外のデッキ相手にも特に苦手なマッチアップが思いつかなかった&これ以上のデッキも選択肢になかったことからこのデッキを選択。

もちろん、それに加えて分からん殺し効果もあると思った。



齋藤 友晴「赤黒ドラゴンアグロ」
プロツアー『戦乱のゼンディカー』

4 《山》
4 《沼》
4 《燻る湿地》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《汚染された三角州》
4 《樹木茂る山麓》

-土地(24)-

4 《血に染まりし勇者》
3 《鐘突きのズルゴ》
3 《マラキールの解放者、ドラーナ》
4 《炎跡のフェニックス》
4 《雷破の執政》
2 《嵐の憤怒、コラガン》

-クリーチャー(20)-
4 《強迫》
4 《焦熱の衝動》
2 《龍詞の咆哮》
2 《焙り焼き》
4 《残忍な切断》

-呪文(16)-
4 《搭載歩行機械》
4 《自傷疵》
3 《前哨地の包囲》
3 《光輝の炎》
1 《コラガンの命令》

-サイドボード(15)-
hareruya






自分で言うのもなんだけど、一旦過程を忘れて結果としてできたリストだけ見ると凄く斬新なデッキリストだと思う(笑)

でも、かなり調整しただけあってこれを使って良かったし、もう一度同じプロツアーに出るとしても使いたいと思える完成度でした♪


I love this deck!!


ってことで折角なので簡単にデッキ紹介!



■ このデッキのここがスゴイ!

・メインに4枚搭載された《強迫》
《強迫》は環境そのもので強いカードな上、こちらの除去《残忍な切断》《焦熱の衝動》と噛み合う。敵の除去を抜いて《マラキールの解放者、ドラーナ》や他飛行クリーチャーを降臨させる単純な戦略もかなり強い。

最初は手なりでサイドボードだったけど強すぎてメインに格上がった。一見スペルが少ないような相手にも《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を捨てさせることで前述の環境本命ムーブ、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》×《風番いのロック》にも介入することができる。

攻めっ気の強いデッキなので、長引いてトップデッキして「はいゴミです」ってパターンも比較的少ない。


・環境のベスト万能除去である《残忍な切断》の存在
このデッキは《残忍な切断》を一番うまく使えるデッキだと断言できる。フェッチランド12枚、1マナカード多数。2ターン目から使えることも珍しくなく、アタルカレッド相手にはこれを持っているとき黒1マナを立て続ければ即死コンボの脅威はバイバイ。


強迫残忍な切断


・相手の動きに対応するクロックパーミッション
一見するとアグロだし分かりやすくアグロって書いてるけど、実はこのデッキは除去でカウンターするクロックパーミッション。

何言ってるか分からないかもしれないけれど、使ってみれば分かる。相手のターンに除去を打つことも多いので《僧院の速槍》は噛み合わない。


《マラキールの解放者、ドラーナ》の強さ
《マラキールの解放者、ドラーナ》はクリーチャーをそんなに入れなくてもただただ強く、速攻クリーチャーとの相性が良い。

全体強化能力が1回解決するまで《アブザンの魔除け》で除去されないのも良い。


・安定したマナベース
2色デッキだけど、実はマナベースが赤×20、黒×20も入っている。4枚入っている『戦乱のゼンディカー』の《燻る湿地》は引くとタップインになりやすくデメリットもあるものの、《炎跡のフェニックス》《マラキールの解放者、ドラーナ》の色事故が増えるよりはだいぶプラス。基本的には3枚目に置く土地。


・アグレッシブサイドボード戦略
アタルカレッド限定でサイドボード後にコントロールデッキに変身可能。アタッカーズ11枚をフルチェンジして相手のやりたいことを徹底的に潰すことに専念。


マラキールの解放者、ドラーナ炎跡のフェニックス燻る湿地




■ このデッキのここがアカン!

・キープorマリガンの判断
マリガンが難しい。特に先手でクリーチャーが1枚もない手札はまずい。前述の通り、このデッキはクロックパーミッション。

ただし後手の場合は1対1で潰していくことがアドバンテージかつ、序盤にクロックを引いて展開できる可能性も上がるので、土地と呪文のバランスが良い手札なら相手と内容次第でキープしても良い。


・逆転するのが難しい。
上記とも繋がる話だけれど、メイン戦は大体相手のデッキのほうがカードアドバンテージを取れるので、クリーチャーで全くダメージを与えれてない状態からの逆転は厳しい。このあたりもクロックパーミッションらしい。

サイド後に爆アドの《前哨地の包囲》を入れられる相手はまた別。


・プレイングが難しい
ソリッドなデッキにつき、プレイングも割と難しい。特に意識したいのは《風番いのロック》を「強襲」で出されないように強く意識することと、出てしまいそうなときはその前後のターンどちらに《雷破の執政》を出すプランが良いか考えること。4/4を攻めに使うか守りに使うか。


前哨地の包囲雷破の執政



ってことで、ちょっと難しいけどオススメのデッキなんで興味ある人は是非【晴れる屋でドラーナ買って】試してみて下さい♪


それではここからは実戦のレポート!

事前にかなりの手応えを感じたスタンダードは……


ラウンド 対戦デッキ 先手・後手 勝敗
Round 4赤黒ドラゴン
タッチアナフェンザサイ(!)
 ××
Round 5アタルカレッド ×○○
Round 6アブザンアグロ ×○○
Round 7アブザンコントロール ○○
Round 8アタルカレッド ○×○
Round 12ナヤドラゴン(!) ○×○
Round 13エスパードラゴン ×○○
Round 14白緑大変異 ××
Round 15アブザンアグロ ×○○
Round 16アブザンアグロタッチ青 ×○×


で、7-3でした!

運は普通かやや下振れぐらいでまあこんなもんかって感じな気がしましたが、これだけならドラフト5-1でトップ8も見える結果。

頑張ってしっかり練習して良かったです☆


さて、ドラフトの方はというと……






1-5でしたーーーーーーーーーー!!!!!


こんなの初めて><

しかも【前週のGPで6-0】かましてるのに(笑)



齋藤 友晴「白青」
プロツアー『戦乱のゼンディカー』 1stドラフト

9 《島》
9 《平地》

-土地(18)-

2 《岩屋の衛生兵》
1 《フェリダーの仔》
1 《コーの懲罰者》
1 《影の滑空者》
2 《グリフィンの急使》
1 《雲マンタ》
2 《幽霊の歩哨》
2 《コジレックの媒介者》
1 《タジームの守護者》
1 《回生の天使》
1 《フェリダーの君主》

-クリーチャー(15)-
2 《掴み掛かる水流》
1 《オンドゥの蜂起》
1 《乱動の噴出》
3 《巻き締め付け》

-呪文(7)-
hareruya







第1ドラフトは白青で0-3の絶望スタート。


まあ2-1ぐらいはするかなっていうそれなりに良いと思えるデッキでしたが、



1戦目はダブマリ&事故で負け!まあ重いししゃあない!

2戦目は赤緑上陸相手にあと殴って勝ちの流れから突然の《竜使いののけ者》降臨でドラゴンわっさー出て負け(笑)

3戦目はなぜか0-2してきたパーフェクト白黒同盟者に圧敗。今も昔も変わらず白青ってカラーリングだとシステムクリーチャーきつい!2連システム負け(笑)


反省点としては、1枚組み間違えてたこと。とにかくすぐには押せないデッキなので、《掴み掛かる水流》の2枚目よりも3マナカウンターのほうが良かった。




齋藤 友晴「緑赤上陸タッチ青」
プロツアー『戦乱のゼンディカー』 2ndドラフト

7 《森》
5 《山》
2 《島》
2 《肥沃な茂み》
1 《そびえる尖頂》

-土地(17)-

1 《果てしなきもの》
5 《噛み付きナーリッド》
2 《マキンディの滑り駆け》
1 《生命湧きのドルイド》
1 《下生えの勇者》
1 《空中生成エルドラージ》
2 《大カマキリ》
1 《エムラクールの名残》
1 《髑髏砕きの補充兵》
1 《コジレックの媒介者》
1 《領地のベイロス》
1 《軍団を破壊するもの》

-クリーチャー(18)-
1 《成長のうねり》
1 《森の占術》
1 《異常な攻撃性》
1 《粗暴な排除》
1 《大自然の注入》

-呪文(5)-
hareruya






第2ドラフトは緑赤上陸タッチ青で1-2

まあこのデッキならそんなもんでしょう。4-4でギリギリ2日目進出からの7人卓に慣れてない上に、今までで一番青が回ってこない流れ。

これ上2人と下がみんな青あんじゃねえか!?ってぐらいの流れでした。


「青が強すぎるので、青だけは何がなんでもやる」「青絡みは全てマスターして、他1色で良いポジションを取る」的な戦略だったので、逆に青が入っていない色のドラフトの熟練度は低く、なかなか青も切れず赤を始めるのが遅れたせいでこんな中途半端なデッキ。


空中生成エルドラージ掴み掛かる水流水底の潜入者


他の卓でも青人気すぎは話題になっていて、グランプリとプロツアー、発売1週後と2週後のメタゲームの違いを考えるとともに、色の強弱が極端な環境こそ色々やれるようにしておかないとなと心に刻みました。

実際、【GPマディソン】の後は全くリミテッドをやってなかったので、スタンダードのデッキがギリギリだったにせよ、どこかで1回だけでも練習する時間を作れなかったかと今になって思います。

何事も0か1かじゃだいぶ違いますからね。



ってことで総合結果は8-8で賞金無し、プロポイントは参加の3点のみ!

今回から7敗でも1点加点に変わってたので残念。過程としても反省点があったし、9-7か8-8かの差は大抵の場合自分次第で埋めれる範囲内です。

スタンダードが準備も結果も良かっただけに悔しさもありましたが、ハッピー!!って気持ちのほうが正直多かった。




プロツアーでなかなか勝てなくて……

勝ちたいって思う。

頑張ろうって思う。

毎日が輝く!!



もっと時間作ろうとか、もっと環境良くしようとか、もっと工夫しようとか。


やることは絶えません^^


ひとまず今週末は健志&優太との、初めてだけど勝てそうなチームでチームリミテの【GP北京】を頑張ってきます☆





トモハル



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