皆さんこんにちは!
4月に開催されるGP京都に向けて、日本各地ではGPTを含めたレガシーの大会が行われているようです。
さて、今回の記事では、SCG Premier IQ Houston、BMO Vol.3、SCG Premier IQ Los Angelesの結果を見ていきたいと思います。
SCG Premier IQ Houston
~《食物連鎖》を使ったレアなコンボデッキが優勝~
2015年2月14日
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1位 Food Chain Combo/食物連鎖
2位 Miracles/白青奇跡
3位 Miracles/白青奇跡
4位 ANT/むかつきストーム
5位 UG Post/12ポスト
6位 Death and Taxes/白ウィニー
7位 Death and Taxes/白ウィニー
8位 Jeskai Delver/パトリオット
SCGO Indianapolisの結果と大きく異なりコンボやテンポが少なく、コントロールデッキのMiraclesやアグロコントロールのDeath and Taxesといった最近あまり上位では見かけなくなっていたデッキの活躍が見られます。優勝はなんと《食物連鎖》を使ったコンボデッキ。
SCG Premier IQ Houston デッキ解説
「Food Chain Combo」「Miracles」
1 《森》 1 《島》 1 《沼》 3 《Tropical Island》 3 《Underground Sea》 1 《Bayou》 4 《新緑の地下墓地》 4 《霧深い雨林》 2 《汚染された三角州》 -土地(20)- 4 《死儀礼のシャーマン》 1 《極楽鳥》 4 《悪意の大梟》 2 《起源のハイドラ》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 4 《霧虚ろのグリフィン》 1 《潮吹きの暴君》 -クリーチャー(18)- |
4 《渦まく知識》 3 《運命の操作》 3 《突然の衰微》 1 《ディミーアの魔除け》 4 《Force of Will》 1 《誤った指図》 2 《時を越えた探索》 4 《食物連鎖》 -呪文(22)- |
3 《強迫》 2 《見栄え損ない》 2 《ゴルガリの魔除け》 2 《墓掘りの檻》 2 《大祖始の遺産》 2 《梅澤の十手》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 1 《突然の衰微》 -サイドボード(15)- |
レガシーでも珍しい《食物連鎖》を使ったローグコンボデッキ。《霧虚ろのグリフィン》をサーチする《運命の操作》の他にも 「探査」スペルの《時を越えた探索》が加わり、墓地に落ちた《霧虚ろのグリフィン》を「探査」することで再びキャストすることが可能になります。
フィニッシャーには《起源のハイドラ》が採用されており、《食物連鎖》+《運命の操作》のコンボから無限マナを得ることでデッキ内の望むパーマネントをカウンターされることなく場に出すことが可能です。除去耐性や回避能力はないものの、《起源のハイドラ》自体もフィニッシャーになります。
5 《島》 2 《平地》 1 《山》 3 《Tundra》 1 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 2 《乾燥台地》 1 《秘教の門》 -土地(23)- -クリーチャー(0)- |
4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 2 《呪文貫き》 2 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 1 《議会の採決》 4 《Force of Will》 4 《終末》 3 《時を越えた探索》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(37)- |
3 《赤霊破》 2 《封じ込める僧侶》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《摩耗+損耗》 1 《平和の番人》 1 《嵐の神、ケラノス》 1 《狼狽の嵐》 1 《至高の評決》 1 《安らかなる眠り》 1 《血染めの月》 -サイドボード(15)- |
4 《島》 2 《平地》 3 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 2 《乾燥台地》 -土地(21)- 3 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー(3)- |
4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 2 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 1 《議会の採決》 4 《Force of Will》 4 《終末》 1 《時を越えた探索》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(36)- |
2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《封じ込める僧侶》 2 《狼狽の嵐》 2 《赤霊破》 1 《紅蓮破》 1 《青霊破》 1 《解呪》 1 《天使への願い》 1 《至高の評決》 1 《大祖始の遺産》 1 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
アメリカではしばらくぶりに上位入賞を果たしたMiracles。
同じアーキタイプでも構成は異なり、Shane Remeltのリストは《時を越えた探索》と土地を多めに積み、よりヘビーコントロール寄りの構成です。
対照的にAndrew Sullanoのリストは土地が少なめで《瞬唱の魔道士》と《思案》など軽いキャントリップスペルが多めとなっており、GP New JerseyでPhilipp Schoneggerが使用していたデッキと似た構成でした。
《突然の衰微》の数も増加傾向にあるため、禁止改定後の環境では思ったほどの結果は出せなかったMiraclesですが、最近コンスタントに入賞を続けているElvesや、《突然の衰微》が採用されたSultai以外のDelver系に有利なデッキで、環境が固まってくればコントロールデッキにとっても勝ちやすくなってきます。
BMO Vol.3 トップ8 ~Elves強し~
2015年2月14日
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1位 Elves/エルフ
2位 UR Delver/青赤デルバー
3位 Grixis Delver/秘密を掘り下げる者
4位 Miracles/白青奇跡
5位 Grixis Delver/秘密を掘り下げる者
6位 4C Control/多色ビートダウン
7位 Merfolk/マーフォーク
8位 Death and Taxes/白ウィニー
SCGのメタと大きく異なり、ANTなどのコンボが不在で、Grixis Delverなどアメリカではあまり見られないタイプのデッキが結果を残しています。
優勝を収めたのは第1回BMOでも優勝していたElvesで、このアーキタイプの安定度の高さがうかがえます。
BMO Vol.3デッキ解説
「UR Delver」「Grixis Delver」「4C Control」
2 《島》 1 《山》 4 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 4 《汚染された三角州》 2 《溢れかえる岸辺》 -土地(17)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《僧院の速槍》 4 《若き紅蓮術士》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(13)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 2 《二股の稲妻》 1 《Chain Lightning》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 3 《時を越えた探索》 -呪文(30)- |
3 《紅蓮破》 3 《発展の代価》 2 《渋面の溶岩使い》 2 《硫黄の渦》 1 《外科的摘出》 1 《粉々》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《無のロッド》 -サイドボード(15)- |
青赤の2色のDelverはアメリカでは《宝船の巡航》の退場と同時に使われなくなり絶滅状態ですが、今大会準優勝という好成績を残したSanoさんは《時を越えた探索》で代用しています。
代用といっても《宝船の巡航》とはまったく別のカードで、「探査」込みでも青青とギリギリまで土地を切り詰めたこのデッキでは決して軽いとはいえないコストなため、さすがに4枚は無理があると判断されたのか3枚の採用となっています。
《若き紅蓮術士》は単体除去が中心のSultai系のデッキに強く、サイドの《発展の代価》も特殊地形に依存したSultaiなど3色デッキに刺さります。
1 《島》 4 《Volcanic Island》 2 《Underground Sea》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《汚染された三角州》 2 《血染めのぬかるみ》 2 《沸騰する小湖》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《僧院の速槍》 2 《若き紅蓮術士》 2 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(12)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 3 《二股の稲妻》 2 《定業》 3 《目くらまし》 1 《発展の代価》 3 《Force of Will》 2 《時を越えた探索》 -呪文(30)- |
4 《思考囲い》 2 《外科的摘出》 1 《墓掘りの檻》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《コジレックの審問》 1 《強迫》 1 《Force of Will》 1 《硫黄の渦》 1 《虚無の呪文爆弾》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
UR Delverにハンデスと新カードの《黄金牙、タシグル》のために黒を足した型のようです。
「探査」クリーチャーの《黄金牙、タシグル》は軽いスペルを多用するDelver系のデッキでは難なく1マナ4/5としてキャストすることが可能で、中盤以降はカードアドバンテージを稼ぐことも可能にするなど《宝船の巡航》を失ったDelver系のデッキの新戦力として活躍が期待できそうです。
環境が変わったことでUR Delverが衰退し、それに有利だったコンボが減ったことでフェアなデッキが増加傾向にあるため、ハンデスも《若き紅蓮術士》とのシナジーがある《陰謀団式療法》より相手の脅威を確実に落とせる《思考囲い》と《コジレックの審問》が優先されているようです。
1 《島》 3 《Volcanic Island》 3 《Underground Sea》 2 《Tropical Island》 1 《Badlands》 4 《汚染された三角州》 4 《沸騰する小湖》 2 《血染めのぬかるみ》 -土地(20)- 4 《瞬唱の魔道士》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 2 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(10)- |
4 《渦まく知識》 4 《定業》 4 《稲妻》 4 《コジレックの審問》 2 《思考囲い》 2 《呪文嵌め》 3 《対抗呪文》 2 《突然の衰微》 1 《イゼットの魔除け》 1 《毒の濁流》 1 《ダク・フェイデン》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(30)- |
2 《思考囲い》 2 《青霊破》 2 《赤霊破》 2 《仕組まれた爆薬》 1 《外科的摘出》 1 《紅蓮破》 1 《突然の衰微》 1 《毒の濁流》 1 《神々の憤怒》 1 《殺戮遊戯》 1 《ダク・フェイデン》 -サイドボード(15)- |
今回の入賞デッキのなかでも特に印象に残ったデッキでした。
青赤黒緑の4色のグッドスタッフといったところで、このデッキにも《黄金牙、タシグル》が採用されています。
基本地形はわずか《島》1枚で、《死儀礼のシャーマン》を採用していないためマナ基盤に若干の不安が残りそうですが、デッキ内の脅威のマナカーブが高めなので《相殺》が効きにくく、《不毛の大地》を使用しないMiraclesなどに対しては有利です。
また、ハンデスとカウンターに加え、Delver系よりは遅いですが優秀なクロックが揃っているのでコンボとも戦えそうです。
SCG Premier IQ Los Angeles トップ8 ~優勝はBantカラーの Stoneblade~
2015年2月22日
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1位 Bant Stoneblade/バント
2位 Sultai Delver/青黒緑アグロ
3位 Infect/感染アグロ
4位 ANT/むかつきストーム
5位 Grixis Delver/青黒赤ジャンク
6位 MUD/茶単
7位 Sultai Delver/青黒緑アグロ
8位 Jeskai Stoneblade/白青石鍛冶
黒を足したDelver系がANTなどのコンボに混ざって多く勝ち残るなか、Bant Stonebladeが優勝を収めました。
SCG Premier IQ Los Angeles デッキ解説
「Bant Stoneblade」「Sultai Delver」
1 《平地》 1 《島》 1 《森》 3 《Tropical Island》 2 《Tundra》 1 《Savannah》 1 《ドライアドの東屋》 4 《霧深い雨林》 4 《吹きさらしの荒野》 1 《Karakas》 3 《不毛の大地》 -土地(22)- 4 《貴族の教主》 4 《石鍛冶の神秘家》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《漁る軟泥》 3 《聖遺の騎士》 2 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(15)- |
4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 3 《緑の太陽の頂点》 1 《思案》 1 《呪文貫き》 3 《目くらまし》 3 《Force of Will》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(23)- |
2 《呪文貫き》 2 《大祖始の遺産》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《水流破》 1 《狼狽の嵐》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《クローサの掌握》 1 《Force of Will》 1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《火と氷の剣》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
久々に見かけるマナ加速から《精神を刻む者、ジェイス》などのパワーカードを展開するテンポ寄りのStoneblade。
《緑の太陽の頂点》は《聖遺の騎士》、《クァーサルの群れ魔道士》、《漁る軟泥》など緑のクリーチャーを状況に応じてサーチし、《ドライアドの東屋》もサーチしてこれるのでElvesのようにマナ加速としての使用も可能です。
青くない脅威を多数採用しているので青いフェアデッキでありながら《紅蓮破》に強いのも特徴的で、マナクリーチャーのおかげでDelver系のマナ否定戦略やソフトカウンターも効きにくいのが強みです。
しかし、メインのデッキ内の青いカードがやや少ないため《Force of Will》の代用コストを安定して支払うのに難がありそうです。
そのためコンボに対してはメインでは不利がつきそうですが、その分サイド後は追加のカウンターや 《ガドック・ティーグ》や《ヴェンディリオン三人衆》といった対コンボクリーチャーで対抗するようです。
3 《Underground Sea》 2 《Bayou》 1 《Tropical Island》 4 《汚染された三角州》 2 《霧深い雨林》 2 《新緑の地下墓地》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《タルモゴイフ》 2 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(14)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 2 《見栄え損ない》 1 《思考囲い》 1 《呪文貫き》 4 《目くらまし》 3 《Hymn to Tourach》 3 《突然の衰微》 4 《Force of Will》 2 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(28)- |
2 《方向転換》 2 《狼狽の嵐》 2 《ゴルガリの魔除け》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《墓掘りの檻》 1 《外科的摘出》 1 《思考囲い》 1 《突然の衰微》 1 《残忍な切断》 1 《虚無の呪文爆弾》 1 《真髄の針》 1 《無のロッド》 -サイドボード(15)- |
過去にフィニッシャーとして採用されていた《墓忍び》に代わって新カードの《黄金牙、タシグル》が採用されています。
積極的に墓地を肥やし「探査」をしやすくするために《Hymn to Tourach》や《思考囲い》、《ヴェールのリリアナ》が採用されているなど、SCGO Indianapolisを制したリストと異なり以前のSultaiのようにハンデス、打消し、土地破壊という妨害要素が揃った構成になっています。
サイドには「探査」除去スペルの《残忍な切断》が採られており、過去に採用されていた《殺し》と比べるとクリーチャーの色に関係なく除去が可能で、「探査」すればわずか1マナでプレイでき、ペイライフも不要など使いやすい除去スペルです。
《方向転換》はSCGO Indianapolisでも採用していたリストをいくつか見かけましたが、同系の 《Hymn to Tourach》や《突然の衰微》の対象を変更したり、カウンター合戦で追加のソフトカウンターとして活躍が期待でき、コストも軽いためサイドの追加の妨害スペルとして定着してきています。
総括
軽い強力なスペルが多く墓地を肥やしやすいレガシーでは、「探査」はより強力なメカニズムになり、黒を足したDelver系では『運命再編』の新しい「探査」クリーチャーでスタンダードとモダンでもお馴染みの《黄金牙、タシグル》が多く見られました。
《宝船の巡航》が禁止になり弱体化したUR Delverはアメリカでは見かけなくなりましたが、日本では《時を越えた探索》で代用し構成に微調整を加えたバージョンが結果を残しており、同デッキが未だ健在なことが証明されています。
また、Grixis Delverのような新たな型も見られ、黒(ハンデス)の強さが相対的に増したことで復権を果たしたSultaiと共に今後も上位でよく見かけることが予想されます。
禁止改定後はElvesやSultai Delver、Miraclesなど定番のデッキ以外にもSCG Premier IQ Houstonを制したFood Chain ComboやBMO Vol.3で入賞していた4C Controlのようなローグデッキなども見られるなどカードプールが広いレガシーらしくおもしろい環境となりました。
以上で今回の解説を終わります。
次回の記事ではSCG Baltimore Premier IQの入賞デッキをカバーしていく予定です。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーを!
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『StarCityGames.com』
http://www.starcitygames.com/index.php
『BIGWEB マジック:ザ・ギャザリング情報サイト』
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