窮地に立っているからこそ俺がスタンダード

行弘 賢

行弘 賢


 皆さんお久しぶりです!闇の隆盛してますか!?

 僕は闇の隆盛後面白いデッキが出来たので、今回はそのデッキを紹介させていただきます。と、その前に一応環境のおさらいをしましょう。



・環境のおさらい

 闇の隆盛発売後に行われたプロツアーで優勝したデッキは『赤緑ケッシグ』でした。闇の隆盛発売前から注目されていた《高原の狩りの達人》は明らかなパワーカードで、その恩恵を受けた赤緑ケッシグはデッキパワーがかなり底上げされ、人気のアーキタイプとなります。しかし、闇の隆盛から加入したカードは《高原の狩りの達人》だけではありません。闇の隆盛のカードはプロツアー後も研究が進み、様々なデッキに影響を与え、新たなアーキタイプすら作り出していきます。

 ついこの間開催されたGPボルチモアでは『赤緑ケッシグ』は一人もTOP8に残りませんでした。その代わりTOP8にはなんと4人も『青黒コントロール』が残っています。これは、赤緑ケッシグが強烈にメタられた結果、《マナ漏出》《雲散霧消》といったカウンターが、マナブーストした後にプレイされる4マナ以降のカードに非常に効果的で、《死の支配の呪い》がコントロールの癌である《墨蛾の生息地》をシャットダウンできるので、ケッシグに相性の良い青黒コントロールが結果を残したと言って良いと思います。《秘密を掘り下げる者》に対応できる1マナの除去である《悲劇的な過ち》が闇の隆盛から加入したおかげで若干ながらも『青白delver』に耐性がついたのも大きな点だと思います。


不可視の忍び寄り聖トラフトの霊


 かといって、GPボルチモアで優勝したのは青黒コントロールではありません。優勝したのは闇の隆盛後のカードが《思考掃き》2枚しか採用されていない『青白delver』でした。構成が最近流行のいわゆる『フィンケル型』の《ドラグスコルの隊長》《未練ある魂》を採用しているタイプではなく、軽く除去耐性のある《不可視の忍び寄り》《聖トラフトの霊》を採用してます。更にカウンターは《マナ漏出》に加えて《雲散霧消》まで採用しており、『出して』、『消して』、『殴る』を地で行く構成になっています。
 そのため、《ドラグスコルの隊長》等が入ったスピリット型に比べ隙が少なく、クロックパーミッション色が強い構成になっています。この構成は、青黒コントロールに非常に相性が良く、結果として青黒コントロールの海を泳ぎ切って優勝しています。


墓所這いゲラルフの伝書使


 さて、続きましてGPリールでは『青黒ゾンビ』が優勝しています。これは、墓地から何度でも戻ってくる《墓所這い》や、除去をしても強くなって戻ってくる《ゲラルフの伝書使》が、その除去耐性から青黒コントロールに対して非常に頼もしかったからだと言えるとでしょう。青白delverに対しても1マナ域でパワー2がある《戦墓のグール》《墓所這い》のおかげで早い段階でクロックを刻むことができ、多めに入っている軽い除去で《秘密を掘り下げる者》を除去する事ができるため相性が良いです。増加傾向にあった両方のデッキに対して相性が良さそうな黒系のゾンビデッキは、今後も要注目なアーキタイプですね。


地獄乗り


 今回GPリールで大活躍したのは青黒ゾンビだけではありません。《地獄乗り》入りの赤緑ステロイドも素晴らしい成績をおさめています。元々カードパワーが高く非常にポテンシャルが高く期待されていた《地獄乗り》ですが、遂に頭角を現わしてきましたね。GPリールのTOP8に3人も入賞していますが、レシピ事体はまばらなので、今後レシピが固まって来たらいきなりトップメタに躍り出る事もありそうです。除去耐性がある上に不死付きクリーチャーである《絡み根の霊》や速攻持ちで打点の高い《地獄乗り》が青黒コントロールに相性が良かったのもTOP8に3人も残った要因だと思います。

 これらいくつかのプレミアイベントで好成績だったデッキを見ると、『青黒コントロール』、『青白delver』、『赤緑系』、『青黒ゾンビ』の4つのアーキタイプが現環境で勝っているデッキと言っていいでしょう。
 4つものアーキタイプがメタ上に存在しているという事は、それぞれのデッキパワーが均衡しているという事であり、跳びぬけて強いデッキが無いという状況なので、逆にメタ上に無い様々なデッキが活躍できる可能性がある非常に良い環境だと思います。

 さて、ここまでが環境のおさらいです。
 それでは次は新デッキの紹介に移りたいと思います。

 今回紹介させて頂くデッキは『窮地』をテーマにしたデッキになります。



burn one’s boats/ Ken Yukuhiro
4 《墨蛾の生息地》
4 《金属海の沿岸》
15 《平地》

-土地-
4 《呪詛の寄生虫》
4 《呪文滑り》
4 《純鋼の聖騎士》
1 《ファイレクシアの変形者》
4 《スレイベンの破滅預言者》
-クリーチャー-
4 《皮剥ぎの鞘》
4 《戦争と平和の剣》
4 《町民の結集》
4 《迫撃鞘》
4 《信仰の盾》

-呪文-

2 《饗宴と飢餓の剣》
3 《機を見た援軍》
2 《墓掘りの檻》
1 《ファイレクシアの変形者》
2 《腐食の突風》
2 《存在の破棄》
3 《天界の粛清》

-サイドボード(15)-
hareruya



このデッキのやりたい事はただ一つ、『窮地』状態でゲームに勝つ事。

《呪詛の寄生虫》《呪文滑り》は通常の使い方とは別に、『ライフを好きなだけ減らせる』という使い方ができます。《呪詛の寄生虫》はカウンターが乗っていないパーマネントにも好きなだけ2点払って0個カウンターを取り除けますし、《呪文滑り》は窮地の呪文スタックで好きなだけ起動できます。《呪文滑り》は別に対象に取る呪文ではなく、クリーチャー呪文や《墨蛾の生息地》の起動型なんかに対しても起動できるので割と好きなタイミングで窮地できます。


呪詛の寄生虫呪文滑り



町民の結集スレイベンの破滅預言者


 そういう訳で、序盤にペイライフしまくり、ライフを5以下にする事で序盤から《町民の結集》《スレイベンの破滅預言者》なんかを大暴れさせる、というのがこのデッキのコンセプトとなります。



・ぶんまわりケース1『窮地の場合』

 1ターン目《呪詛の寄生虫》→2ターン目《町民の結集》の結集でトークン5体→3ターン目《スレイベンの破滅預言者》でフルパンチ18点!という動きがこのデッキの最強のぶんまわりです。

 それ以外にも2ターン目《呪文滑り》から、3ターン目《スレイベンの破滅預言者》で、安全に《スレイベンの破滅預言者》を運用しつつ、《墨蛾の生息地》起動にスタックで《呪文滑り》の起動型能力で、ライフを4以下にしてからの窮地パンチで、いきなり毒3個!とかもかなり強い動きになります。地上は《町民の結集》の人間トークンなりでガン止まりしやすいので、地上戦をしかけてくるデッキには、《墨蛾の生息地》で勝つ事が多いです。



・ぶんまわりケース2 『聖騎士の場合』

 窮地のカードだけではスロットを埋めるのが難しかったので、アーティファクトがたくさん入るという点を活かすべく、《純鋼の聖騎士》+装備品システムとのハイブリッドになっています。《戦争と平和の剣》はスピリットトークンや人間のような『白』の生き物が多い現環境では最強の装備品であり、コントロールに対しても対処されなければかなりの打点が期待できます。


純鋼の聖騎士戦争と平和の剣


 この2枚の採用によって、2ターン目《純鋼の聖騎士》、3ターン目《戦争と平和の剣》と展開出来れば、次ターンからの《純鋼の聖騎士》によるドロー+金属術と、《戦争と平和の剣》を携えたアタックという両面からのプレッシャーは、対処出来なければ即勝ちに繋がる程のインパクトがあります。
 
 窮地ぶんまわり、《純鋼の聖騎士》ぶんまわり、《戦争と平和の剣》ぶんまわりと、ぶんまわりのパターンが多く、毎回序盤からプレッシャーをかけやすくなっています。1マナ域のアーティファクトも《皮剥ぎの鞘》《呪詛の寄生虫》と金属術を達成しやすい構成になっており、ほとんどの場合で《墨蛾の生息地》を起動したターンは金属術の達成が可能な場になります。

 装備品も《戦争と平和の剣》だけでは少し寂しいので《迫撃鞘》や前述した《皮剥ぎの鞘》も採用しています。これにより序盤から軽く展開できる上に、《純鋼の聖騎士》の金属術達成のモードから《墨蛾の生息地》にフル装備してのアタックにより速やかにゲームを終わらせる事ができます。装備品がたくさん採用されているのでゲームがぐだってしまっても装備品を付ける軽いクリーリャーや《墨蛾の生息地》が大量に投入されているので、ある程度ねばり強い攻めを続する事ができます。



・ぶんまわりの立役者『《信仰の盾》



信仰の盾


 このデッキで一番いぶし銀な活躍をするのが《信仰の盾》です。このカードは窮地ではない時は《戦争と平和の剣》《純鋼の聖騎士》を除去から守ってくれる上に、いざ窮地状態になってしまえば赤緑ケッシグの《金屑の嵐》ですら1マナで躱せますし、プレイヤーにもプロテクションが付くので、青黒コントロールの《死の支配の呪い/CurseofDeath’s Hold》すら対象不適正で無効化できます。もし《死の支配の呪い》を張られても大丈夫。プロテクションを付ける効果ですでに張られた呪いも剥がす事が出来ます。
 尚、《信仰の盾》は窮地状態でも一応対象を取りますので、立ち消えしないように除去られにくい土地や装備品に対してプレイするのが良いと思います。攻めている時には『殿堂白単』で大活躍した《精霊への挑戦》のような活躍も見せますし、守っている時はプレイヤーに付与するプロテクションの能力のおかげで選んだ色のクリーチャーからの戦闘ダメージをくらわないので、さながら凄く強い《濃霧》のような働きもしてくれます。攻めにも守りにも非常に貢献してくれるので、このカードをサイドアウトする事はほとんどありませんね。



・サイドボード

 サイドボードでは、勝ち組になりつつあるゾンビデッキを意識して《天界の粛清》を多めに取っています。《墓掘りの檻》は金属術達成の役目も果たすユーティリティサイドボードで、墓地利用するデッキに対しては何にでも入れやすいので、活躍する機会が多いですね。《腐食の突風》は青白delverに対して非常に効果的なのですが、最近は《ドラグスコルの隊長》が採用されていないタイプが勝っていますので、今後の動向次第では別のカードに刺し替わる可能性がありますね。《四肢切断》は窮地の都合上撃てないタイミングがあるのでサイドボードに採用するのが難しいのが若干悩ましい所です。なので、もしクリーチャー除去を採用したいと思うのなら《悪鬼の狩人》を採用するのが良いでしょう。



・背水の陣を敷けるのか?

 このデッキの理想の動きが『窮地状態でゲームを進めていく』である都合上、相性差を決定付けるのは窮地状態でゲームを進めさせて貰えるマッチアップかどうかによります。

 メタゲーム上にあるデッキの内、人間やゾンビ系のデッキ等の地上戦をするデッキに対しては《呪文滑り》《町民の結集》で地上を固めやすいので、非常に相性が良いです。逆に青白delverのような飛行クリーチャーが多いデッキに対しては、地上に壁役がどれだけいても飛行のクロックが止まらないため、窮地状態でゲームをするのが難しく、若干不利になります。赤緑ケッシグのような、基本的にはコントロールのような動きをするが、火力も多数入っているようなデッキは窮地のタイミングが難しく、相性は若干悪いと思います。コントロールに対しては《漸増爆弾》がどれだけ取られているかにもよるので、だいたい五分ぐらいだと思っていただいて良いと思います。

 なんにせよ相性云々を補う程に、ぶんまわりが爽快なデッキなので、序盤からマウントを取って対戦相手をフルボッコにしたい人なんかには非常にオススメです。その荒らし性能のおかげで相性差を覆して苦手なマッチアップを勝ってしまう事もザラです。ゲーム自体も回転率が高いので、MOの2人構築なんかにも向いているかもしれませんね。

 赤緑ケッシグ系や、重いカードで捲りにくるデッキに対して勝ちたいのならば青の要素を強くして、《マナ漏出》を取るだけで大分相性差が改善されると思いますので、環境に合わせて、スリリングな『窮地』ライフを過ごしてみてはいかかでしょうか?
 
 さて、今回は久々の記事でしたがいかがだったでしょうか?もし大会やMOなんかで『burn one’s boats 』使ってみたよ!という方いらっしゃいましたら感想等コメントしていただけましたら嬉しいです。

 それでは皆さん次回の記事でお会いしましょう!