みなさんこんにちは! 蒸し暑い季節になってきましたね!
暑いといえば、先月の上旬のバルセロナも非常に暑かったです。
え? 「バルセロナまで何しにいったか?」ですか?
そう、「プロツアー:アヴァシンの帰還・バルセロナ」に参加してきました!
その結果、なんと4位という好成績を残すことができました。なので今回は急遽、番外編ということで、いつものスタンダードの記事とは違う『プロツアー:アヴァシンの帰還・バルセロナの感想戦』をお届けしたいと思います。
スタンダードの記事を楽しみにしてくれていたみなさんには大変申し訳ないのですが、限定構築で強かったデッキは次期スタンダードにも必ずといって良いほど台頭してきますので、何かしら参考になる部分もあるかと思います。さて、早速感想戦を……と、その前にまずは実際に僕が使用したデッキリストと、対戦相手のデッキリストをご覧ください。
3 《森》 2 《山》 4 《平地》 1 《沼》 4 《断崖の避難所》 4 《森林の墓地》 1 《魂の洞窟》 4 《進化する未開地》 -土地- 4 《大聖堂の聖別者》 4 《国境地帯のレインジャー》 4 《悪鬼の狩人》 3 《高原の狩りの達人》 3 《ファルケンラスの貴種》 3 《栄光の目覚めの天使》 3 《修復の天使》【in】 1 《ファルケンラスの貴種》【in】 3 《霊誉の僧兵》【in】 -クリーチャー- |
4 《信仰無き物あさり》 2 《根囲い》 3 《冒涜の行動》【in】 -呪文- |
3 《墓場の浄化》 2 《魔女封じの宝珠》 4 《堀葬の儀式》【out】 4 《グリセルブランド》【out】 2 《根囲い》【out】 -サイドボード(15)- |
僕が使用したのは、《グリセルブランド》や《栄光の目覚めの天使》を《信仰無き物あさり》や《根囲い》で墓地に落とし、《堀葬の儀式》で釣り上げる「リアニメイト」デッキなのですが、今回お届けする感想戦はサイドボード後の5ゲーム目の試合となります。そのため《堀葬の儀式》と《グリセルブランド》は《墓場の浄化》などの墓地対策にひっかかるために全抜き、更に《根囲い》も2枚抜いて、代わりに《修復の天使》3、《ファルケンラスの貴種》1、《霊誉の僧兵》3、《冒涜の行動》3がサイドインされた状態になります。
11 《平地》 7 《森》 4 《魂の洞窟》 3 《ガヴォニーの居住区》 -土地- 4 《教区の勇者》 3 《アヴァシンの巡礼者》 3 《アヴァブルックの町長》 3 《スレイベンの守護者、サリア》 4 《銀刃の聖騎士》 3 《悪鬼の狩人》 2 《ドルイドの使い魔》 2 《修復の天使》 1 《スレイベンの守護者、サリア》【in】 1 《ガヴォニーの騎手》【in】 -クリーチャー- |
1 《信仰の盾》 4 《町民の結集》 1 《墓場の浄化》【in】 1 《墓掘りの檻》【in】 1 《押し潰す蔦》【in】 1 《情け知らずのガラク》【in】 -呪文- |
1 《解放の樹》 1 《暁の熾天使》 2 《ウルフィーの銀心》 1 《信仰の盾》 2 《天啓の光》 1 《押し潰す蔦》 1 《魔女封じの宝珠》 3 《神聖なる反撃》【out】 3 《鷺群れのシガルダ》【out】 -サイドボード(15)- |
対戦相手は純粋な「緑白ビートダウン」です。サイド後ですので、墓地対策である《墓場の浄化》や《墓掘りの檻》、更にこちらの序盤の《信仰無き物あさり》や《根囲い》に対してテンポを大幅に取れる《スレイベンの守護者、サリア》の追加などが予想されます。
普段は、その場でしか感想戦というものをやったことがありません。しかし今回は試合自体が映像として残っています。日が経ったあとでも感想戦ができるということで、せっかくなのでいつもはできない感想戦をやっていきたいと思います。
Denniz Rachid「WG Human」との5ゲーム目の感想戦
僕は前のゲームに勝利していましたので、後手番からスタートです。
初手は、
1 《平地》
1 《断崖の避難所》
1 《悪鬼の狩人》
1 《国境地帯のレインジャー》
1 《修復の天使》
1 《信仰無き物あさり》
1 《冒涜の行動》
という内容の手札を後手でキープしました。
緑マナこそ不足しているものの、《信仰無き物あさり》で緑マナを補充できる可能性も高い上に、緑マナを引けなくても《悪鬼の狩人》で粘って《冒涜の行動》に繋げられる可能性が高い、という判断でのキープでした。
ターニングポイント1:行弘の2ターン目
僕の2ターン目の行動は、対戦相手の《スレイベンの守護者、サリア》の返しでの2マナ使用の《信仰無き物あさり》です。
ここで手札に入れたのは《信仰無き物あさり》と《悪鬼の狩人》でした。後手1ターン目のドローが《国境地帯のレインジャー》、このターンは《高原の狩りの達人》をドローしていましたので、
2 《悪鬼の狩人》
2 《国境地帯のレインジャー》
1 《修復の天使》
1 《高原の狩りの達人》
1 《信仰無き物あさり》
1 《冒涜の行動》
という中から《信仰無き物あさり》での2枚ディスカードを選ばなければいけません。
この中でまずどのような局面でも使わなそうなカードがあります。それは《国境地帯のレインジャー》の2枚目です。3ターン目に緑マナを引くのであれば1枚目の《国境地帯のレインジャー》で4マナ目にアクセスでき、その後は手札にある《修復の天使》や《高原の狩りの達人》をプレイすることはあっても2枚目の《国境地帯のレインジャー》をプレイする可能性はかなり低いです。更に3ターン目に緑マナではなく、別の色のマナを引いてしまった場合は《悪鬼の狩人》をプレイし、4ターン目以降に緑マナを引いて来た場合は《高原の狩りの達人》をプレイするであろう盤面になっている可能性が高いので、最悪1枚も《国境地帯のレインジャー》をプレイしない可能性すらあります。そういった思考のもと、まず1枚目のリストラは《国境地帯のレインジャー》に決まりました。
さて、次のリストラ候補に目を向ける前に、まずは対戦相手の動きに注目してみましょう。対戦相手はぶんまわり重視のデッキにもかかわらず、1ターン目パスからの2ターン目の《スレイベンの守護者、サリア》が初動、という動きです。《スレイベンの守護者、サリア》自体は僕のデッキの序盤戦に強いので効果的なのは間違いないのですが、果たしてそれだけの手札を相手はキープするでしょうか……?
そういった疑問を浮かべることができたならば、《銀刃の聖騎士》などの強力な後続が控えたハンド、という読みに到達しているべきです。そうなれば次ターン《銀刃の聖騎士》が出てきた場合どうなるか。基本的には《悪鬼の狩人》を出して《銀刃の聖騎士》を除外しないと、そのまま序盤戦で押し切られる展開になる可能性が非常に高いです。そういう思考をすることができたならば、2枚目の《悪鬼の狩人》を捨てる、という発想には至らないと思うのですが、実際に僕が捨てたのは2枚目の《悪鬼の狩人》でした。
それでは《悪鬼の狩人》の代わりに何を捨てたら良かったのか?
この時点で緑マナに到達できていないので、ある程度土地が詰まる展開を予想しなければいけません。そうなった場合、《悪鬼の狩人》で時間を稼いで《冒涜の行動》で全部流す、というプランは非常に現実的です。とはいえ2枚目の《国境地帯のレインジャー》を捨てると緑マナを引いて来た場合の裏目が最悪ですのでそれはできない。《信仰無き物あさり》は3枚目の土地を引かなかった場合は次ターンプレイせざるを得ない。となると候補は《修復の天使》か《高原の狩りの達人》の2択になります。
《修復の天使》を手札に残した場合、緑マナを引かずとも4マナさえ揃えばプレイできる上、《悪鬼の狩人》ともシナジーを形成するので、ある程度応用が利きます。
《高原の狩りの達人》を残した場合、緑マナさえ引ければ《修復の天使》より盤面を制圧できる可能性が高い上に、《冒涜の行動》を撃つときのマナコスト軽減にも役立つ可能性が高いです。
という訳で、この2つはどちらを捨ててもある程度裏目が存在するのですが、一応緑マナを引かない場合の裏目が負けに直結する可能性を考慮して、《修復の天使》を手札に残して《高原の狩りの達人》を捨てる、というのがこのターンの理想の行動だったと思います。
ターニングポイント2:行弘の8ターン目
ここで緑マナもようやくアンタップ状態になり、無事、緑マナを含んだ4マナ目が供給されました。さて、対戦相手の場は《スレイベンの守護者、サリア》、《ドルイドの使い魔》、《アヴァシンの巡礼者》の3体で、《スレイベンの守護者、サリア》と《ドルイドの使い魔》が結魂している状態になります。
ここで僕が取れる行動は実質2択で、《高原の狩りの達人》をプレイするか、何も除外していない《悪鬼の狩人》を《修復の天使》で明滅して、《ドルイドの使い魔》を隠して《スレイベンの守護者、サリア》を《修復の天使》のブロックで倒しに行くかです。
実際には《高原の狩りの達人》を僕はプレイしたのですが、これもミスの可能性が非常に高いです。何故ここで《高原の狩りの達人》をプレイしたかというと、手札の《冒涜の行動》で盤面を1回リセットしてしまいたかった、というのがあります。しかし、こちらの手札はかなり強く、対戦相手はマナフラッドしているのだからそもそもリセットする必要すらないのですが、このとき頭の中のゲームプランは、何故か《冒涜の行動》で盤面を1回リセットしてから捲る、という点に固執していました。
そういった理由もあり、《修復の天使》ではなく《高原の狩りの達人》をプレイしたのですが、素直に《修復の天使》で盤面を捌きつつ、次のターンにボードを落ち着けるために《高原の狩りの達人》をプレイ、更にそれでも厳しくなってしまったとき、ようやくリセットとして《冒涜の行動》をプレイすれば良かったと思います。こんな簡単なことも、あの場では気が付かなかった点を考えると、「勝てばプラチナレベル」というプレッシャーにかなり負けていたのだと思います。
ターニングポイント3:Denniz Rachidの10ターン目
さて、依然マナフラッドしている状態の対戦相手ですが、《ガヴォニーの居住区》があるおかげで、高い打点で攻め続けることができています。このターン、《ガヴォニーの居住区》のおかげで《アヴァシンの巡礼者》ですら殴れる場になっているため、対戦相手は躊躇なくフルアタックしてきます。
ここで僕は手札に《修復の天使》があるため、選択肢が多い中から正解を導かなければいけないことになります。
実際とったゲームプランは、《高原の狩りの達人》で《ドルイドの使い魔》をブロック、《悪鬼の狩人》で《アヴァシンの巡礼者》をブロック、その後相手が《ガヴォニーの居住区》を起動したところで《修復の天使》で《高原の狩りの達人》を明滅する。《悪鬼の狩人》は墓地に落ちて対戦相手には《銀刃の聖騎士》が戻ってきてしまうが、返しで《冒涜の行動》で場をリセット、というものでした。
リセットにこだわったゲームプランを続行した結果こういうプレイとなったのですが、そうするならなおさら、《ドルイドの使い魔》を《悪鬼の狩人》でブロック、《スレイベンの守護者、サリア》を《高原の狩りの達人》でブロックし、《修復の天使》で《悪鬼の狩人》を明滅し、自分の《高原の狩りの達人》を一時除外。その後《冒涜の行動》で場をリセットすると、一時除外されていた《高原の狩りの達人》が場に戻ってきて単純に得する、ということができたと思います。
このときの僕の手札には後続の《高原の狩りの達人》が控えていたので、このミスが大局に響くことはどちらにせよなかったと思うのですが、それでも最善の選択肢をあの局面でできなかったのは、凄く残念ですし、悔しいですね。
その後は動画の続きを見て頂いても分かりますように、依然対戦相手が何も引かないまま、こちらが《信仰無き物あさり》で《栄光の目覚めの天使》を引き込み、《栄光の目覚めの天使》で墓地の人間を全て戻しての勝利となりました。
感想戦をやってみての感想
このゲームは結果的に勝利することができましたが、それはあくまで結果的です。勝ったときは勝利の充実感で一杯で、プレイの内容なんてほとんど覚えていませんでしたが、こうして見返して自分の思考を整理することで様々な発見ができました。実戦では対戦相手の圧力や、ケアしなくても良いカードをケアしてしまうなど、客観的にゲームを見れない要素が追加されます。しかしこうやって感想戦をすることで、実戦でも常に自分を客観的に見られるような強い精神力を持ち、もしまたプロツアーTOP8のような大舞台に立つことができたならその成果を活かしたいと思います。
勝利したゲームですらこれだけのミスプレイが見え隠れします。ということは、負けているゲームはこれ以上にミスをしている可能性があります。「事故った!」というのは簡単ですが、事故に繋がった要因はなんだったのか振り返ってみるのも良いかもしれません。「普段は感想戦なんかやらないなー」という方は、是非これを機に、自分のプレイを見返してみてはいかがでしょうか? きっと新鮮な発見があるはずです。
今回は番外編ということで、プロツアーの感想戦をお送りさせていただきましたが、いかがだったでしょうか? 次回は新環境のスタンダードの記事となりますので、お楽しみに! それでは来月またお会いしましょう!