青白黒の3色こと「エスパー」系のデッキと聞いて、思い浮かべるのは何だろうか?
鮮烈な登場を果たした「エスパートークン」?
それとも強力なドラゴンシナジーをもつ「エスパードラゴン」?
いやいや、古典的な「エスパーコントロール」も捨てがたい。
このように様々な「エスパー」のデッキたちが活躍しているスタンダード環境だが、今週末に開催されたBIG MAGIC Invitational Qualifierに期待の新人が登場した。
◆ エスパーメンター
2 《平地》 2 《沼》 1 《島》 1 《大草原の川》 1 《窪み渓谷》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 1 《血染めのぬかるみ》 1 《吹きさらしの荒野》 4 《乱脈な気孔》 3 《コイロスの洞窟》 -土地(24)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 3 《道の探求者》 4 《僧院の導師》 2 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(13)- |
4 《強迫》 2 《勇敢な姿勢》 2 《苦い真理》 2 《破滅の道》 2 《完全なる終わり》 2 《残忍な切断》 4 《絹包み》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -呪文(27)- | 4 《正義のうねり》 3 《軽蔑的な一撃》 2 《無限の抹消》 1 《払拭》 1 《否認》 1 《自傷疵》 1 《精神背信》 1 《究極の価格》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード(15)- |
ぱっと目に留まるのは、この2枚だろうか。
果敢というキーワードをともにもった2枚は、一癖あるものの強力なカードだ、と評価されている。ここで気になる一癖とは、果敢を好きなタイミングで複数回誘発させるデッキ構造でないと活躍できない、ということだ。そのため、火力呪文やトークン呪文など攻撃的な呪文が多い「ジェスカイ」や「マルドゥ」で見かけることが多かった。
しかし、ここで守備的な呪文を揃えた「エスパー」でも姿を見せたのは、マナベースや除去の性能といった理由は数あれど、その中でも大きな理由は《強迫》というマスターピースを見つけたからだろう。
これまで『果敢』を使った青いデッキは、『ジェスカイ』が多かった。
赤を象徴する軽量火力呪文が果敢とも《ヴリンの神童、ジェイス》とも最高の噛み合わせを見せていたからだ。例えば《焦熱の衝動》や《乱撃斬》などは、対戦相手の脅威を退けながら、こちらのシナジーを強化してくれる。
しかし、現在の環境では「アブザンアグロ」が流行し、サイズの大きなクリーチャーを苦手とする赤い除去への信頼性は下がっている。
そこで見つかったのが《強迫》なのだろう。
《強迫》は、まさしく果敢が求めている自発的な呪文であり、《ヴリンの神童、ジェイス》のフラッシュバック効果とも相性がいい軽い呪文だ。火力呪文と比較すると直接ライフには干渉しないものの、《ヴリンの神童、ジェイス》や《僧院の導師》を脅かす除去呪文を叩き落とし、後手番だと対処が困難な《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》などの脅威にも対応できる柔軟性を持ち合わせている。
そして《強迫》と除去で出足を挫かれた対戦相手を襲うのが《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》だ。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》自身が呪文なので果敢と相性が良く、《僧院の導師》から生まれるトークンたちを強化する奥義もいい働きをする。
現在のスタンダード環境で頻発する《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の鏡打ちも、《強迫》の助けさえあればこちらだけ《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の恩恵をあずかることもできてしまう。
また、採用されている除去にも注目したい。
2ターン目から終盤まで優秀な《絹包み》が4枚のほかは、それぞれ枚数が散らされている。これは果敢のために複数回行動を意識して、色マナ拘束、マナコストなどに難のあるカードは強力ながらも敢えて枚数を抑えているのだ。
余すことなくマナを使い切りたい。対戦相手よりも手数は多く。様々な状況に対応できる器用さがほしい。
そんな欲張りなプレイヤーたちの無茶な要求にも応えてくれるような丁寧な構成に仕上がっている。
これからの活躍に期待したいデッキだ。