Round5上位卓。「これ追加ターンです」そう言ってダイスを取り出すプレイヤーがいた。
えっ、追加ターンってダイスで数えるものなの? あまり馴染みのないその言葉に、ついテーブルの傍に近寄る。
「アンタップ、アップキープに占術1、トップに置いて『奇跡』で《時間の熟達》を公開します。続けて追加のドローを3回……」
「《ジェイス・ベレレン》で『+2』能力を起動してターンを終了します。追加ターンを開始して、残り4ターン。アンタップ、アップキープ……」
そのゲームでついに彼の対戦相手にターンが戻ることはなかった……
古の【エターナル・ブルー】のようなそのデッキの動きに魅了された私は、さっそくその使用者、【第3期スタンダード神挑戦者決定戦】で準優勝という成績を収めた強豪・辰巳 晃司(東京)にさっそく話を聞いてみた。
--「このデッキを作成された経緯はどういったものなんでしょうか?」
辰巳 「実はオリジナルではなくて、【SCGなどでちらほら結果を残しているデッキ】なんですよ。もともとマジックは4版ごろからやっていて、こういうエターナル・ブルー系のデッキが好きだったので組んでみたんです」
--「4版!大先輩ですね……。このデッキの基本的な動きを教えてください」
辰巳 「《クルフィックスの指図》や《ジェイス・ベレレン》、《吠えたける鉱山》といったドロー加速を設置して、《時間のねじれ》系の呪文を唱えるだけです。“追加の1ターン”を“《探検》もどき”にしないためにもドローエンジンは重要ですね。あとは延々と追加ターンを得て、《ジェイス・ベレレン》の奥義やクリーチャー化した《海の神、タッサ》で攻撃してフィニッシュします」
--「なるほど。このデッキはどういったデッキに有利なんでしょうか?」
辰巳 「トロンなんかには《万の眠り》が刺さるので、ほぼメインでは負けませんね。日本ではトロンが人気ということもこのデッキを選んだ理由の一つです。《万の眠り》はビートダウンに対する延命としての使い道が主ですが、追加の《時間のねじれ》としても機能します。充分にマナが伸びた状況で、大量に『複製』して自分で元の呪文に《差し戻し》をプレイしたり……」
--「何でもアリですね……」
辰巳 「まぁ、分からん殺しですよね。《海の神、タッサ》を見て信心系かなと思い込んでくる相手もいますし、手札破壊をプレイした側が頭を抱えるなんてことも日常茶飯事です」
--「たしかに、何をしてくるのか分からないというのは強みになりそうですね。しかもサイドボードからは《研究室の偏執狂》なんかも入ると」
辰巳 「対戦相手はクリーチャー除去をサイドアウトしてくるので、案外《研究室の偏執狂》でコロッと勝てたりもしますね。基本的にソリティア系のデッキなので、自分との戦いみたいなところはありますよ。追加ターンが途切れたり、ドローエンジンが引けなかったり」
--「サイドボードの《神聖の力線》を見るに、バーン相手などは少しキツいマッチアップになるのでしょうか?」
辰巳 「そうですね。ただ、《神聖の力線》は初手にないと(白マナが出ないため)戦場に出せないので、他にもっと後引きでもバーンに効果のあるカードがあれば、それに差し替えたいんですけどね」
--「本日はありがとうございました。この後もがんばってください!」
21 《島》 1 《水辺の学舎、水面院》 1 《魂の洞窟》 1 《海の中心、御心》 -土地(24)- 1 《海の神、タッサ》 -クリーチャー(1)- |
4 《血清の幻視》 4 《万の眠り》 4 《差し戻し》 2 《時間の把握》 2 《謎めいた命令》 4 《時間のねじれ》 3 《永劫での歩み》 4 《時間の熟達》 4 《クルフィックスの指図》 1 《不死の霊薬》 1 《吠えたける鉱山》 2 《ジェイス・ベレレン》 -呪文(35)- |
4 《払拭》 4 《神聖の力線》 3 《呪文滑り》 3 《ハーキルの召還術》 1 《研究室の偏執狂》 -サイドボード(15)- |