The Pillars of the Earth

中村 修平

中村 修平


 こんにちは、中村修平です。さて第2回となるカード紹介ですが今回のお題となるのは《ミラディンの十字軍》。ここのところスタンダード、エクステンデット双方でよく見るカードですね。1白白のプロテクション黒、緑に2/2というサイズ。ここまでだけならば強いという印象は受けるものの平凡ともいえるカードに終わっていたでしょう。ですが十字軍がここまでに評価されるべきカードとなっているのはプロテクションの前に書かれているキーワード能力、二段攻撃の存在です。



1. .騎士の系譜

2~3マナの軽量ビートダウンクリーチャーにプロテクション付きというのは《白騎士》から続く白いクリーチャーのお約束的存在です。白騎士系のカードであれば《銀騎士》《白き盾の十字軍》《名誉の手》。またシャドー持ちの変種として《サルタリーの僧侶》《サルタリーの修道士》といったもの、更には青とのコラボレーションで《ヴィダルケンの異国者》や緑との《ヴァレロンの異国者》といったカード達もかつての構築環境で使われてきました。

《ミラディンの十字軍》の直系の先祖にあたるカードもあります。

《ヴェクの聖騎士》

サイズはそのまま、先制攻撃にプロテクション黒と赤というマジックの2大除去色へのアンチテーゼともいえるカードで《浄火の鎧》の装着先として、初出のエクソダスではトップレアの一角を占めたカードでした。

《ミラディンの十字軍》はそういう意味では《ヴェクの聖騎士》の純粋な直系子孫です。しかも二段攻撃は騎士系クリーチャーに共通した弱点、”基本スペックが2/2″という縛りを帳消しにして余りある3マナで4点ダメージという打点を誇り、クリーチャーのサイズインフレーションが著しい最近の環境でも使用に耐えうるデザインがされています。

更に二段攻撃という能力は、パワーを強化するカードとの相性が格段に良いのです。それこそご先祖様が”マローアーマー”で喝采を浴びたのに比べて段違いと言って良いほど以上のもの。例えば過去にも《十字軍》という類似カードがあった《清浄の名誉》、1枚ごとに+2点の修正が入ります。アラーラのキーワード能力である賛美、これもやはり1つの修正ごとに2点ずつですね。《精神を刻む者、ジェイス》の登場で少し影を潜めてしまっている物の、数あるプレインズウォーカーの中でも強力な部類に入る一枚の《遍歴の騎士、エルズペス》なら、一撃で10点クロックな上に飛行を与える事で回避能力を付与する事も出来るので、かなり相性が良いカードと言えると思います。昨日まで開催されていたグランプリ神戸でも、《ミラディンの十字軍》《白蘭の騎士》《運命の大立者》等の優良クリーチャーをそろえた伝統的ともいえる白単ウイニーが、初日全勝からのTOP8入りを決めています。



2. .騎士に金棒

もう1つ、十字軍を強化する手段として《ヴェクの聖騎士》が現役の頃には無かった呪文タイプがあります。装備品です。特に『装備しているクリーチャーがいずれかのプレイヤーに戦闘ダメージを与える度~』という誘発条件を持つ剣シリーズとの相性は完璧と言っても良いものです。単純に打点が上がるばかりではなく追加でトークンが2回生まれたり、《恐ろしき天啓》程度だったのが《精神腐敗》になるというのは対戦相手を絶望の淵に叩き落すのには充分すぎるというものでしょう。

既にスタンダードの一つ下のエクステンデットフォーマットでは、フェアリーという黒の除去と苦花トークンに頼ったデッキが常にTier1近辺にいる為、プロテクションも含めて明確な目的を持ったカードとして青白石鍛冶デッキや、先述した白ウイニーのエースアタッカーの位置を担っています。更に下のレガシーにまで行くと黒と緑の両方のプロテクションがチームアメリカの《タルモゴイフ》《墓忍び》という布陣に対応、《大祖始》をすり抜け、おまけに《火と氷の剣》でプロテクション黒緑青赤に8点+対象に2点×2と2枚ドロー。《梅澤の十手》に到っては何が出来るかを全て書こうとするとどれくらいの文字数になるかわからないという、凶悪装備コンビとの運用が可能です。全環境でお馴染みの《石鍛冶の神秘家》+装備品パッケージに《梅澤の十手》《火と氷の剣》のバリエーションを加え、《ミラディンの十字軍》との相性の良さを最大限に引き出しているデッキが晴れる屋のレガシートーナメントでも活躍しています。


Yuya Takeda / 「Savannahください 」
晴れる屋レガシー杯 / 優勝(4-0-1)

1《地平線の梢》
2《寺院の庭》
1《Savannah》
2《不毛の大地》
3《霧深い雨林》
3《乾燥台地》
1《活発な野生林》
4《平地》
4《森》

-土地(21)-

4《聖遺の騎士》
4《ルーンの母》
4《ミラディンの十字軍》
1《ガドック・ティーグ》
4《極楽鳥》
2《石鍛冶の神秘家》
4《戦隊の鷹》
2《クァーサルの群れ魔道士》

-クリーチャー(25)-
2《緑の太陽の頂点》
4《剣を鍬に》
2《森の知恵》
2《流刑への道》
1《火と氷の剣》
1《饗宴と飢餓の剣》
1《梅澤の十手》
1《遍歴の騎士、エルズペス》

-呪文(14)-
2《悟りの教示者》
1《クァーサルの群れ魔道士》
2《トーモッドの墓所》
1《ルーンの光輪》
1《崇拝》
2《真髄の針》
1《エーテル宣誓会の法学者》
1《梅澤の十手》
1《太陽と月の輪》
1《絶対の法》
1《忘却の輪》

-サイドボード(15)-
hareruya




流石にスタンダード環境で使える両剣とも十字軍が本来持っているプロテクションが被ってしまっていて、剣のプロテクションにそれほど追加ボーナスを感じないというのがありますが、そんな事は殴られている側から見れば本当に些細な問題です。しかも同じ大型エキパンションに収録されているというのは《ミラディンの十字軍》にとっては計り知れないメリットであり、これから先の少なくとも1年半はタッグを組んでスタンダード環境に影響を及ぼし続ける事になる筈です。



3.ご利用上の注意

一方で弱点もまた明確に存在します。赤という色自体に対してからっきしなのです。

2/2というサイズでは赤が誇る軽量火力呪文にことごとく打ち落とされるというリスクを抱え込んでいます。《稲妻》で打ち落とされるくらいならまだマシで《電弧の痕跡》《紅蓮地獄》《金屑の嵐》といったカードでついでに戦線崩壊まで起こしてしまった場合、再起不能ともいえるダメージを追う事になります。また、除去といえば赤と黒しかなかったご先祖様に比べてもう1色、白という色にも実戦クラスの単体除去が多数あるのが現代のマジックです。スタンダードならば《未達への旅》《糾弾》。エクステンデットなら《流刑への道》が十字軍を追放しようと手ぐすねを引いて待ち構えています。今でこそCaw-Bladeやフェアリーという倒すべき敵に注目が行き、十字軍はその影で気ままにトーナメントシーンを荒らしていますがやがてはそう言っていられなくなります。その時が来たらどのような味付けを加えて十字軍をサポートするのかが、これから《ミラディンの十字軍》を使う上での重要なテーマでしょうね。先程公開された”新たなるファイレクシア”に収録されている《戦争と平和の剣》《殴打頭蓋》《精神的つまづき》での除去弾きができたりと、新カードとの共演が今から楽しみなところです。

それではまた次回に。