どこの世界にもTPOというものはあります。好きに書いてもいいよと言われたので、好きに書いては見たものの、やはりある程度の制限があるようです。ちょっと残念と思わないでもありませんが、まぁそんなもんですよねと思ったり。という訳で、好きなように書いているように見えて、実は案外そんな事もないよという話終わり。
今回のお題として提示されたのは「プロツアー名古屋あるし、SOM限定構築で使われそうで、なおかつ新スタンダードでも使われそうなカードで宜しく!」というもの。ということで、今回のテーマカードは「《聖別されたスフィンクス》」
現在のスタンダード環境でもたまに見かけるカードではありますが、6月に開催されるプロツアー名古屋では間違いなく圧倒的なパフォーマンスを発揮するであろうこの一枚。デッキの存在意義になれるレベルのカードです。
プロツアーホノルルの《血編み髪のエルフ》然り、プロツアーサンファンで使われた《精神を刻む者、ジェイス》や《ギデオン・ジュラ》、《前兆の壁》然り。限定構築で活躍したカードは、新ブロック発売によるローテーション後にメインストリームに躍り出る可能性が高いカードが多いのです。
しかも《聖別されたスフィンクス》は神話レア。青田買いするには丁度いいカードかもしれません。
1. カードを引くのは偉い事
何故強いのか。
《聖別されたスフィンクス》は戦場に存在するだけで自動的にアドバンテージを、しかも相手より確実に上のものを半永久的に与え続けてくれるのです。場に出た後、対処できるカードが対戦相手の手元に無ければその時点でだいたいゲームが終わりです。ターンが経過するだけで、ハンドの枚数が1枚:3枚で差がつき続ける。単純な効率なら、あの青い悪魔こと、《精神を刻む者、ジェイス》ともタメをはれる性能です。
除去は無いけどドロー呪文があるから除去カードを探す?どうぞどうぞ。こちらは2倍引きますので好きにドローしちゃって下さい。
《精神を刻む者、ジェイス》?ブレインストームすると6枚も引けてしまいますけど、良いんですか?バウンスして頂いても構いませんが、出し直すだけなので確実に2枚づつハンドに差がつきますよ?
リミテッド戦だと出されるともう絶望、出すと喜びしかありません。生き残れば勝ちの典型例です。
マジックというゲームの本質が、1枚1枚のアドバンテージをどうにかこうにか差を付ける事で、必死になって勝利を目指すゲームなのに、何をやっても生きててさえいれば、勝手にドローが付いてくるわけですから弱い理由なんてありません。次のターンに除去が飛んできたとしても、相当量のアドバンテージが発生してしまうという理不尽極まりない存在です。
しかも本体が4/6飛行。純粋にフィニッシャーとしてだけ見れば、少し物足りなさがあるかもしれませんが、もたらされるアドバンテージをバックボーンに戦うのであれば、対戦相手を死に至らしめるちょっと面倒なお仕事も、順調にこなせるサイズと言っていいでしょう。
余談ですが、この前のグランプリでようやく使う機会にめぐり合う事が出来たのですが、途中で手札と戦場が強くなりすぎて、追加ドローをするよりはライブラリーアウトの心配をしたほうが良いなと、引くのを止めてしまったくらいの強烈なカード。実は、ドローを止め過ぎて、引いた方がよい状況になっても、2度ほど引き忘れてしまいましたが、それでもその上から勝ってしまう。本当にそんな事態を容易に発生させるカードなのです。
時と場所と場合を選ばない理不尽さを持っているこのカード。カードプールが一番狭い、即ち一番弱いであろうブロック構築では当然のことながら、さらに輝きを増します。TPOなど知った事かと、凄まじい勢いで引き続ける姿はもはや新世界の神。ただし禁止にならなかった旧世界の神というか、青い悪魔と違って、伝説のカードではありません。勢い余ってお互いが出し合っている構図なんかは、もはや別のゲーム状態。お互い好きなだけ引き合うとか、何のゲームをしているのか見ている方は勿論、やっている本人すらよく解りません。そんなお茶目な一面も見せつつ、《聖別されたスフィンクス》にはもう一つ環境がその強さを後押ししてくれている部分があります。というのも有効といえる除去カードが環境にほとんどないのです。
6という異常にがっちりしたタフネスのおかげで赤の《感電破》、《赤の太陽の頂点》をものともせず、黒のマイナス修正系除去も右に同じく、有効に対処できるカードを探そうにも精々《決断の手綱》と《堕落した良心》くらいしかない。除去カードでそのまま《聖別されたスフィンクス》を葬れるのは《喉首狙い》と《急送》だけ。
しかし、《喉首狙い》はアーティファクトビートダウンが蔓延する環境でメインには入れづらいカードな上に、《急送》は金属術が必須。これまた使えるデッキが限られているのを考えると事実上野放し状態。青ならばとりあえずいれておけという状態になっているのが現在の限定構築環境なのです。
2. スタンダードでの可能性
散々述べて来たように、出てきた時の絶望感と出した時の幸福感は、尋常ではありません。但し、現在のスタンダードで《聖別されたスフィンクス》を出してドヤ顔するには、1つ大きな障害があります。それは、6マナというマナ域にライバルがひしめいているという事。特に、《原始のタイタン》、《業火のタイタン》、《墓所のタイタン》と比べると、パワーが4と攻撃力に劣る分、スタンダードでは”出したら勝ち”とは言いづらい部分があります。相手のドローに誘発して2枚引いて喜んでいたら、《原始のタイタン》で《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》で憤死。では笑い話にもなりません。
敗色濃厚の盤面を単体でひっくり返す力を持つタイタンと比較して、「出して、引いて、そのカードで対処する。」というアクションが必要な以上、きっちりと盤面を作った上でプレイできるような、しっかりとしたコントロールデッキに入るのが望ましいのかもしれませんね。
晴れる屋で行われたブロック構築のトーナメントでも、典型的な青白コントロールに投入されているレシピが全勝していました。新たなるファイレクシアが投入された直後なので、どんどんレシピは変わっていくでしょうが、ブロック構築では勿論、その後のスタンダードを考えると、こういったヘビーコントロールが多く見受けられる事でしょう。
4 《金属海の沿岸》 10 《島》 10 《平地》 -土地(24)- 4 《刃の接合者》 2 《聖別されたスフィンクス》 2 《太陽破の天使》 -クリーチャー(8)- |
4 《冷静な反論》 3 《神への捧げ物》 2 《転倒の磁石》 2 《四肢切断》 1 《決断の手綱》 3 《エルズペス・ティレル》 2 《解放された者、カーン》 1 《滞留者ヴェンセール》 1 《青の太陽の頂点》 1 《白の太陽の頂点》 4 《清純のタリスマン》 4 《太陽の宝球》 -呪文(28)- |
4《刃砦の英雄》 4《ミラディンの十字軍》 3《存在の破棄》 1《決断の手綱》 1《白の太陽の頂点》 1《神への捧げ物》 1《ファイレクシアの再誕》 -サイドボード(15)- |