皆さんアヴァってますか!?
もちろん『アヴァシンの帰還』入りのデッキで遊んでますか!?
ということなのですが、分かりにくかったですかね?
新エキスパンションである「アヴァシンの帰還」が発売されて、もうすぐ2ヶ月です。果たしてスタンダードの環境は、『闇の隆盛』からどのように変化したのか。《修復の天使》入り「青白Delver」が流行するきっかけになった大会、「StarCityGames.com スタンダードオープン・ナッシュビル」のTOP8デッキを見て、環境のおさらいをしましょう!
環境のおさらい
「StarCityGames.com スタンダードオープン・ナッシュビル」 2012年5月27日
1位 「青白Delver」
2位 「青白Delver」
3位 「青白Delver」
4位 「青白Delver」
5位 「青白Delver」
6位 「青白Delver」
7位 「黒青ゾンビ」
8位 「黒赤ゾンビ」
9 《島》 2 《平地》 4 《氷河の城砦》 4 《金属海の沿岸》 3 《ムーアランドの憑依地》 -土地(22)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《瞬唱の魔道士》 3 《修復の天使》 4 《聖トラフトの霊》 -クリーチャー(15)- |
3 《ギタクシア派の調査》 4 《思案》 2 《思考掃き》 4 《蒸気の絡みつき》 4 《マナ漏出》 1 《神への捧げ物》 1 《はらわた撃ち》 2 《四肢切断》 2 《饗宴と飢餓の剣》 -呪文(23)- |
2 《幽霊街》 3 《幻影の像》 1 《ファイレクシアの変形者》 2 《聖別されたスフィンクス》 1 《神への捧げ物》 3 《機を見た援軍》 1 《材料集め》 2 《漸増爆弾》 -サイドボード(15)- |
これが「スタンダードオープン・ナッシュビル」を優勝した「青白Delver」です。ご存じ《秘密を掘り下げる者》から始まる軽量クリーチャーのビートダウンを《マナ漏出》や《蒸気の絡みつき》などのスペルでバックアップし、相手のライフを削りきるデッキですね。
『アヴァシンの帰還』が発売され、《修復の天使》という非常に頼もしい相方を手にしてしまったことで、以前よりも手が付けられない存在になっています。それまでは、線の細さにより、一度押し込まれてしまうと《蒸気の絡みつき》を用いたダメージレースでしか勝利を目指せないデッキでした。しかし《修復の天使》により、3/4瞬速飛行というサイズがインスタントで出現するため、アタックしてきた相手のクリーチャーを捌きつつダメージレースをひっくり返せるようになっています。
上記のレシピでは採用されていませんが、《修復の天使》と相性が良く、ビートダウンに耐性のある《刃の接合者》を採用しているバージョンも最近よく見かけます。
こうして死角が少なくなった「青白Delver」は、現スタンダードの横綱デッキとして猛威を振るっています。ですが、何も弱点がないわけではありません。それに対抗するためのデッキが、7位、8位と入賞している「ゾンビ」デッキです。
10 《沼》 2 《山》 4 《竜髑髏の山頂》 4 《黒割れの崖》 3 《魂の洞窟》 1 《ステンシアの血の間》 -土地(24)- 4 《戦墓のグール》 4 《墓所這い》 2 《名門のグール》 4 《ゲラルフの伝書使》 3 《ファイレクシアの変形者》 4 《ファルケンラスの貴種》 -クリーチャー(21)- |
4 《悲劇的な過ち》 2 《ゲスの評決》 1 《電弧の痕跡》 1 《火葬》 4 《硫黄の流弾》 2 《迫撃鞘》 1 《戦争と平和の剣》 -呪文(15)- |
3 《躁の蛮人》 3 《士気溢れる徴集兵》 2 《血統の切断》 2 《魔力のとげ》 3 《虚無の呪文爆弾》 2 《饗宴と飢餓の剣》 -サイドボード(15)- |
「ゾンビ」は一見、『アヴァシンの帰還』で何も得るものがないように見えますが、そうではありません。《魂の洞窟》という頼もしい援軍を手にしています。《ゲラルフの伝書使》や《ファルケンラスの貴種》などの若干モッサリした部分を《マナ漏出》でさばかれるというのが、これまで「ゾンビ」を使っていて一番寒い展開でした。が、そのパターンがなくなったことで、これまで以上に息切れしなくなっています。
《ゲラルフの伝書使》が(黒)(黒)(黒)という大変厳しいマナコストを持っているせいで赤マナの枚数が限られていた、というのもこのデッキの弱点だったのですが、手札に《ゲラルフの伝書使》があるときは「ゾンビ」、《ファルケンラスの貴種》がある場合は「吸血鬼」と、《魂の洞窟》から臨機応変に色マナを供給できるため、デッキの安定度も上がっています。
さばくのが難しい《墓所這い》と《戦墓のグール》という2トップを序盤から展開し、《ゲラルフの伝書使》で止めを刺すという動きは、「青白Delver」に対して非常に効果的なので、今後もよく見かけるアーキタイプになると思います。
このほかに現スタンダードでよく見かけるデッキは、「赤緑ビートダウン」、「赤緑ケッシグ」、「エスパーコントロール」、「出産の殻(赤緑白、赤緑白タッチ青)」などです。これらのデッキは「青白Delver」ほどではないですが、ある程度の数が環境にいると予想されますので、対策はしっかりしておきたいですね。
デッキ紹介
この環境のあらゆるデッキを見渡してみて、ある共通点に気が付きました。
それは、「クリーチャーデッキ」が多い、ということです。
スペルでさばいてフィニッシャーで制圧する、という類のデッキは「赤緑ケッシグ」、「エスパーコントロール」のふたつのアーキタイプだけです。しかし、これらのアーキタイプはフィニッシャーに頼った構成のため、《マナ漏出》を採用している「青白Delver」に対して、どこまでいっても相性は悪くなってしまいます。
更に言えば、《絡み根の霊》や《ゲラルフの伝書使》といった「不死」持ちクリーチャーが非常に厄介なため、コントロールは現環境でかなり苦戦するアーキタイプになります。
そういった事情もあって、現在はコントロールではなく、クリーチャー主体のデッキの勝負になることが多いです。今現在のメタゲームはクリーチャーを主体に回っている! ということで、早速クリーチャーをメタったデッキを作ってみました!
2 《島》 2 《沼》 2 《山》 4 《水没した地下墓地》 3 《硫黄の滝》 4 《闇滑りの岸》 4 《黒割れの崖》 -土地(21)- 4 《幻影の像》 4 《ファイレクシアの変形者》 3 《スカースダグの高僧》 4 《奈落に住まう騙し屋》 4 《苛立たしい小悪魔》 -クリーチャー(19)- |
4 《思案》 4 《蒸気の絡みつき》 4 《マナ漏出》 4 《火柱》 4 《倦怠の宝珠》 -呪文(20)- |
3 《困窮》 3 《四肢切断》 2 《ヴェールのリリアナ》 3 《電弧の痕跡》 2 《魔力のとげ》 2 《虚無の呪文爆弾》 -サイドボード(15)- |
現在スタンダードでは、青系のデッキならば《瞬唱の魔道士》、白系のデッキならば《刃の接合者》、《修復の天使》、緑系のデッキならば《原始のタイタン》、《高原の狩りの達人》と、とにかく場に出たときに仕事をするクリーチャーが活躍しています。
ということは、メインボードから《倦怠の宝珠》を張れたら強くない? というところから始まったのがこのデッキです。
・《倦怠の宝珠》TUEEEEE!
しかし《倦怠の宝珠》をメインから入れるだけではデッキとは言えませんよね? 《倦怠の宝珠》の「戦場に出るクリーチャーは能力を誘発させない」という効果を逆にうまく活かせないか、という点で注目したのが《苛立たしい小悪魔》と《奈落に住まう騙し屋》です。
この両者はリスクを背負って戦場に現れます。
《苛立たしい小悪魔》は戦場に出た時点で4点払われるとそのまま墓地に落ちてしまいます。「赤単」のような、大量の火力でライフを押し込むデッキで採用している場合はほぼデメリットにならないのですが、今回のデッキの場合はただのデメリットになることが多いです。
《奈落に住まう騙し屋》は墓地に落ちると、5/4というとんでもないサイズのクリーチャーを対戦相手に献上してしまいます。そのため、場に出すのが怖い盤面も多々存在します。
しかしこの両者、悪いことだけではありません。単純にクリーチャーとしての質を考えてみると、《苛立たしい小悪魔》は1マナ4/3と非常に優秀なマナレシオを誇りますし、《奈落に住まう騙し屋》にいたっては4/3「不死」と、《ゲラルフの伝書使》も真っ青な性能です。
この両者を最大限に活かすのが、《倦怠の宝珠》です。
《苛立たしい小悪魔》は場に出たときに能力を誘発しなくなるので、ただの1マナ4/3として場に出ます。《奈落に住まう騙し屋》は「不死」で、自分のコントロール下に5/4として戻ってきます。
・《幻影の像》&《ファイレクシアの変形者》
これらのクリーチャーは、現クリーチャー環境ではときに除去として働きます。「青白Delver」にほぼ4枚積まれている《聖トラフトの霊》を除去できるからです。更に《絡み根の霊》をコピーして序盤を凌ぐこともできます。もし《倦怠の宝珠》を引けなかったときは、対戦相手の《刃の接合者》なんかをコピーしても良いですね。
これらのクリーチャーは「不死」で戻ってきたときに戦場の一番強いクリーチャーをコピーできるので、「不死」と非常に相性が良いです。なので、自分の《奈落に住まう騙し屋》をコピーするのが基本的な運用方法になります。《倦怠の宝珠》がなくとも、墓地から戻ったときに《奈落に住まう騙し屋》にならなければ相手にコントロールは移らないので安心してください。
・《倦怠の宝珠》を引かなかったとき
《倦怠の宝珠》を引かなかったときは、《奈落に住まう騙し屋》を素で出して殴っていくことになると思います。そうなると対戦相手も《奈落に住まう騙し屋》を積極的に倒しに来ます。そうなった場合、《蒸気の絡みつき》を上手く使うようにしましょう。このバウンスはアドバンテージを基本的に失わないので、かなり強い使い方になります。
例としては、
《修復の天使》と《奈落に住まう騙し屋》が相討ちになった→
《奈落に住まう騙し屋》が裏切って相手の場に→
《蒸気の絡みつき》で《奈落に住まう騙し屋》は返して下さいね。あっ、あと1点ルーズも!
といった感じで運用するようにしましょう。
「青白Delver」は《奈落に住まう騙し屋》を除去する手段が乏しいので、ある程度安心して出せると思います。もし除去されても上記のように対処する手段もありますので、「青白Delver」に対して《奈落に住まう騙し屋》は効果的に働きます。
・除去について~メイン《火柱》 サイド《四肢切断》~
メインの除去が《火柱》の理由は《絡み根の霊》にあります。《絡み根の霊》が場にいると、軽くてサイズの大きなクリーチャーで殴りきる、というこちらのコンセプトの達成が難しくなってきます。そういった理由で、簡単に押し込めるように除去は《火柱》を採用しています。
相手の《刃砦の英雄》は《倦怠の宝珠》をすり抜けつつこちらに壊滅的ダメージを与えてきます。それだけはマジ勘弁、ということでサイドには《四肢切断》を多めにとっています。《四肢切断》は現在大流行中の《修復の天使》にも対処できるため、重宝する除去になります。
という訳で、今回紹介させていただいたのは《倦怠の宝珠》デッキでした!
《刃の接合者》や《高原の狩りの達人》、《瞬唱の魔道士》なんかに悩まされている皆さん、まとめて対処可能な《倦怠の宝珠》はいかがでしょうか?
それでは、また来月のスタンダードの記事でお会いしましょう!