こんにちは。大澤です。
まずは前回いただいたコメントの回答をさせていただきます。
>ルーターがどの青系アーキタイプでも触れられていませんが、
ビートダウンというアーキタイプで突き詰めていくと実はあまり必要ないカードなのでしょうか?
ズバリ答えてしまいますと必要ないと思っています。
しかしそれはあくまで突き詰めていった上での理想であって、実際は基本セットのようなカードパワーの低い環境ではマナフラッド、マナスクリューが致命的な敗因になることや、数少ないカードパワーの高いカード1枚がゲームを決めることも少なくなく、そんな問題を全て解決してくれる素晴らしいクリーチャーです。
前回の記事を見ていただいてもわかる通り、コモンでは《霊気の達人》の次に優先してピックします。
ただ現状の世間の評価では《マーフォークの物あさり》がとても高く評価されているため、ピックできる機会が少ないので《マーフォークの物あさり》無しのサンプルデッキを用意させていただきました。
>今回も良記事ですね。
>記事とあんまり関係ないですけど、書き方の参考にされてるようなよいリミテッドの記事(時代問わず)があったらご紹介下さい。
お褒めの言葉ありがとうございます。
参考にしている記事とのことですが、残念ながらあまりないですね。
「こんな記事が見たい!」「こんな企画お願いします!」等のご要望があれば遠慮せずにどんどんコメント欄に書いてみてください。
参考にさせていただきます。
ついにMOにM12が導入されたということで、グランプリやプロツアーに向けて日々研究が進んでることと思います。
今回は筆者のピック譜をご紹介&解説させていただこうと思います。
Case1《白・飛行ビート》
今回の記事から、raredraftというツールを使ってピック譜を保存することにしました。このツールは、Googleのアカウントを持っていると無料で利用が出来るツールなのですが、自分の全てのピック候補とピックしたカードを保存、共有、閲覧することが出来るツールです。
記事内では、要点部分のみ、画像を表示して、それ以外はこちらからご覧頂ければと思います。
全てのピック譜はこちらから
Pack1-Pick1は文句なく《セラの天使》をピック。
《護衛の誓約》が一周してきそうなのが嬉しいですね。
ポイント①【Pack1-Pick2】《突撃するグリフィン》
候補《ソリンの渇き》、《突撃するグリフィン》、《空回りのドレイク》、《ゴブリンの投火師》
正直どれも強さ的には大差がありません。
初手で《セラの天使》を取り、《護衛の誓約》が返ってくると予想しているこの状況で、初手と違う色カードを取り、使えなかった時のリスクを負うほどのカードがないので《突撃するグリフィン》を取ります。
Pack1-Pick3,4もほとんど同様の理由で白いクリーチャーをピック。
ポイント②【Pack1-Pick5】《天界の粛清》
候補《夜の子》《エイヴンの瞬翼》《護衛の誓約》《ラノワールのエルフ》《天界の粛清》
今回は単純に比べると白よりも点数の高いカードがあります。
しかしここまで4枚白いカードをピックしてきて白をやるのはほぼ確定。
そうなると違う色のカードを取って、その色が使えなかったリスクと他より多少劣るがほぼ使うことができる白いカードを取る、という選択になります。例え使えた時のメリットが白のカードより大きくても、そのメリットは使えなかった時のリスクに見合っているのか。
今回の選択を簡単に数値で表すと
《夜の子》
使えた時のメリット…+3
使えないリスク…-3
《天界の粛清》
使えた時のメリット…+1
使えないリスク…±0
という感じになります。
ここまで4手連続で白いクリーチャーを取っているので《護衛の誓約》でも良いいんじゃないの?と思うかもしれませんが、Pack1-Pick1で《護衛の誓約》が返ってくると予想しているのでここは基本セットドラフトにおいてとても重要なサイドカードを押さえておきます。
Pack1-Pick5-7と白いクリーチャーが順調に取れ、白は良い位置な模様。
と思っていたのも束の間。
一周してきたパックから《護衛の誓約》が消えています。
《護衛の誓約》というカードの強さ的にそこまで早く取られるカードではないので、上かその上辺りが取ってそうな嫌な予感。
取り合えず本来消えてなければならない《トロール皮》をピック。と思ったらPack1,Pick10-12と白いクリーチャーが。
よっぽど白がだだ流れなのか、《護衛の誓約》はカットだったのか。
ポイント③【Pack2-Pick1】《破滅の刃》
候補《霊気の達人》《ショック》《破滅の刃》《マーフォークの物あさり》
今回は白いカードが特にないのであまり迷わずに一番強いカードを。
Pack1で下に黒いカード流したから黒は避けたほうが?なんて意見の人もいると思います。
そもそも筆者の場合、下の色をあまり気にしない(信用しない)というのもありますが、今回の場合は白がかなり固めて取れているので白単タッチXになる可能性が高いです。
なので2色目のカードの枚数自体はあまり必要ではないので色が被っていてもそんなに気にならないでしょう。
逆に枚数があまり入らないため今回のような場合《霊気の達人》みたいなダブルコストのカードは使えないリスクが大きいため優先度は下がります。
Pack2-Pick2-10まで連続して白いカードをピック。
Pack2-Pick8で必須パーツの《護衛の誓約》が取れて一安心。
ポイント④【Pack3-Pick1】《業火のタイタン》
候補《嵐前線のペガサス》《業火のタイタン》
きました!問答無用の爆弾級神話レア!
使えないリスクよりも圧倒的に使えた時のメリットが大きいため喜んでピックします。
修行僧のようにひたすら白いカードを取り続けた甲斐あってここから赤に参入してもデッキの枚数が足らないことはないですね。
ポイント⑤【Pack3-Pick4】
普段赤をやってる時に単純に比べたら《ゴブリンの付け火屋》>《ゴブリンのトンネル掘り》なんですが、この時点でデッキに入る赤いカードの枚数的に1ターン目に《ゴブリンの付け火屋》を出せるほどの《山》をデッキに入れることはなさそうなので多少出すのが遅れても仕事してくれそうな《ゴブリンのトンネル掘り》をピックします。
ポイント⑥【Pack3-Pick9】
ここでも普段の選択なら《ベナリアの古参兵》>《護衛の誓約》なんですが、今回のようなほぼ白単に近い形での《護衛の誓約》は「あなたのコントロールするクリーチャーはターン終了時まで+2+2の修正を受ける」と書いてあると同義なので2枚目でも優先的にピックします。
このように自分のピックしてるカードの状況で評価が上がるカード、下がるカードが出てきますので、常に自分のピックしたカードを把握し、デッキの完成形を想像できるように心掛けましょう。
10《平地》 6《山》 -土地(16)- 3《ギデオンの法の番人》 3《嵐前線のペガサス》 1《グリフィンの乗り手》 1《雪花石の魔道士》 2《鎧の軍馬》 1《ゴブリンのトンネル掘り》 1《グリフィンの歩哨》 1《ベナリアの古参兵》 1《躁の蛮人》 1《突撃するグリフィン》 1《石角の高官》 1《流浪のグリフィン》 1《セラの天使》 1《業火のタイタン》 -クリーチャー(19)- |
2《歯止め》 1《機を見た援軍》 2《護衛の誓約》 -呪文(5)- |
2《天界の粛清》 1《霊魂のマントル》 1《啓蒙》 1《躁の蛮人》 1《殺戮の叫び》 1《反逆の行動》 -サイドボード(15)- |
このデッキの動きは単純明快。
低マナ域のクリーチャーを並べて《護衛の誓約》でフィニッシュ!
3枚の《ギデオンの法の番人》で相手のクリーチャーもシャットアウト。
あと個人的に満足してるのはサイドボードの充実ですね。
実際にキラーカードの《墓への呼び声》や《炬火のチャンドラ》を《天界の粛清》で対処できて勝ったりしました!
反省点としては《機を見た援軍》は普通の相手だとこのデッキよりクリーチャーの展開が劣ることはほぼ無かったのでサイドで良かったかもしれません。
Case2《赤・狂喜ビート》
全てのピック譜はこちらから
Pack1-Pick1《炎破のドラゴン》Pack1-Pick2《血まみれ角のミノタウルス》とロケットスタート。
Pack1-Pick2-4と白いカードを取り、赤白路線。
ポイント①【Pack1-Pick5】《天界の粛清》
驚かれた方もいるかもしれませんが《天界の粛清》を始め、《死の印》《焼却》《垂直落下》の評価はすごく高いです。
後半はあまり強くないパックが続き、その中でも比較的カードが流れてきていた青をピックし始めます。
Pack1,Pick6で《鐘塔のスフィンクス》を取れなかったのはセンス無かったですね(笑)
ポイント②【Pack1-Pick9】《空回りのドレイク》
《戦嵐のうねり》は緑と組み合わせると本体も狙えてかなり強力ですが、ここでは堅実にビート戦略には欠かせない《空回りのドレイク》をピックします。
ポイント③【Pack2-Pick1】《幻影の熊》
候補《幻影の熊》《ベナリアの古参兵》
低カロリーなパックからPack1後半の流れを見て、Pack3に期待して青へ。
Pack2-Pick2-4ではPack1の取れてるカードを考え、白と赤の選択で赤を選択。赤青路線へ。
後半は何も取れないパックもありつつ、Pack2,Pick7で《マーフォークの物あさり》が取れたりと波乱万丈(笑)
しかしちょっと揺れた関係でカードの枚数に一抹の不安が。Pack3の青の流れに期待。
Pack3では回ってくるカードの質はあまり良くなかったものの、青の流れは悪くなく、枚数は確保できました。
ただデッキ全体的にスペルやサイドカードが少なく不安が残る構成になってしまいました。
《霜のブレス》が2枚くらい取れていたら最高でしたね。
7《島》 8《山》 -土地(15)- 2《幻影の熊》 3《ゴブリンの投火師》 2《珊瑚マーフォーク》 1《魅惑するセイレーン》 1《マーフォークの物あさり》 1《蒼穹の魔道士》 1《ゴブリンのトンネル掘り》 3《空回りのドレイク》 1《エイヴンの瞬翼》 2《血まみれ角のミノタウルス》 1《稲妻の精霊》 1《鐘塔のスフィンクス》 1《炎破のドラゴン》 -クリーチャー(20)- |
1《送還》 1《移し変え》 1《取り消し》 1《ショック》 1《速足のブーツ》 -呪文(5)- |
1《松明の壁》 -サイドボード(15)- |
スペルに不安が残るものの、低マナ域のクリーチャーの展開力と数少ないスペルを上手く駆使して勝利。
《送還》や《移し変え》で一回テンポをずらせれば1ターンに入るダメージはなかなかです。
1マナクリーチャー5枚は伊達じゃないですね。
反省点としては、今回のドラフトでは目の前を通ることはなかったのでしょうがなかったんですが、やはりこの手のデッキには《霜のブレス》が必須だと再確認できたので今までよりも優先してピックしようと思いました。
総括
白単タッチ赤のほうはなかなかお目にかかれないくらい出来すぎでしたね(笑)
一つの色をある程度重点的に取っておけば、周りがその色から引いてくれたり、いつ強力なカードが流れてきても対応できるという良い例をお見せできたと思います。
赤青のほうはスペルが取れなくて苦労しましたが、筆者が最重要だと思っている「1-2マナのクリーチャー」がしっかり取れたので勝てたんだと思います。
今回は比較的成功ドラフトをご紹介しました。色の主張と上家がやっている色の予測もうまく言っていたと思いますが、それ以上に流れが良かったという側面は少なからずありますね。ですが、低マナ域のクリーチャー、サポートスペル、サイドボードの優先度を、かなり意識的にあげていると言う事をご理解いただけましたでしょうか?
要所要所で、カードパワーの単純比較をしただけでは矛盾が発生するようなピックをしている所があると思います。
これは、狂喜クリーチャーによって、ビートダウンよりの、非常に早い環境が形成されている為、カードパワー至上主義的なドラフトをしてしまうと、高マナ域がだぶついてしまったり、スペル過多になってしまって、対戦相手の低マナ域からの攻勢に対処出来ない事も多々ある為なのです。
”低マナ域のクリーチャー”を展開し、序盤に獲得した盤面のアドバンテージを”守る/もうひと押しするための、少量のサポートスペル”を使いゲームに勝つ。そして、キラーカードの対処や、色別のサイドカードで、サイドボード後の相性を改善する。という、コンセプトを強く意識したピックが大事なのです。
次回は筆者が未だ未知の領域である黒系のデッキをご紹介させていただきます。