122名ということで、日本ヴィンテージ史上最多の参加者となったヴィンテージ神決定戦。
その数字を支えているのは、ヴィンテージの大会に飢えていた多くの遠征勢の存在だろう。
愛知から来たという竹中もその1人だ。
そんな竹中のデッキはヴィンテージ版の《暗黒の深部》コンボ (参考:【トップ8デッキリスト】) という聞き慣れないアーキタイプである。
しかしこのデッキが「愛知では既に知れ渡っていて席に座った瞬間に顔メタされる」というのだから、【トップ8プロフィール】でヴィンテージの練習方法として挙げられていた「地方メタが大きいのでどの地方でどのデッキが多いかは掴んでおく」というのは、実際に意外と有効なのかもしれない。
その練習方法を挙げていたのが、竹中の対戦相手である森田。晴れる屋の平日ヴィンテージの常連で、デッキは「メンター (《僧院の導師》コントロール)」を使用している。
デッキの練り込み具合を見ても、ここまで勝ち上がってきただけあって両者ともかなりのヴィンテージ巧者であることは明らかだ。
はたしてヴィンテージをやり込んだ者同士の戦いとはどのようなものになるのか。
Game 1
スイスラウンド上位の森田がいきなり「ザ・ヴィンテージ」という動きを見せる。
すなわち、先手1ターン目にプレイ《Black Lotus》から《僧院の導師》。セット《Tundra》《Mox Pearl》でゴー!
後手の竹中も《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》《Mox Ruby》から《探検の地図》と悪くない動きではあるのだが、森田はさらに《渦まく知識》も持っており、1ターン目にしてモンク・トークンが2体並ぶという凶悪な動き。
しかもメインを迎えた森田は2マナを浮かせつつ《噴出》をプレイ、そこから《思案》《ヴリンの神童、ジェイス》と送り出すと、2度の「果敢」が誘発した3体アタックで2ターン目に早くも10点パンチ!
竹中もセット《暗黒の深部》から《吸血鬼の呪詛術士》を送り出し、後手2ターン目にはマリット・レイジ・トークンを生成できる構えを見せるのだが。
トークンを含めた5体アタックに対応してブロック前に飛行と「破壊不能」持ちの20/20トークンを生み出したところで森田の《撤廃》が突き刺さると、竹中に3ターン目が回ってくることはなかった。
森田 1-0 竹中
Game 2
今度は竹中がヴィンテージ版「《暗黒の深部》」の真骨頂を見せる。セット《演劇の舞台》《Mox Jet》《Mox Sapphire》で1ターン目はエンドし、森田が《島》でエンドした返しの先手2ターン目に《暗黒の深部》をセットして、マリット・レイジ・トークンを出せる状態でターンを返したのだ。
このままでは先手3ターン目に20点パンチを受けてしまう森田。「やれることをやるしかない」と言うやいなやエンド前に《Ancestral Recall》をプレイ。これには《精神的つまづき》が飛ぶが、とにもかくにも《Ancestral Recall》を通さないと話にならない森田は《Force of Will》まで切ってカードを引きにいく。
さらに後手2ターン目には《Volcanic Island》をセットすると、《Mox Jet》から《ダク・フェイデン》、「+2」能力でドロー。その上で《島》《Volcanic Island》を戻してピッチコストで《噴出》。
セットランド後、浮きマナなし。これがスタンダードやモダンならここでターンが終わるところなのだが、これはヴィンテージの対戦である。まだ、森田は逆転を諦めない。
《Mox Sapphire》から《定業》。「占術2」で見た中に、それはあった。
森田 侑 |
《剣を鍬に》!しかもきっちり《Mox Pearl》まで抱えていた森田、マリット・レイジ・トークンの急襲を間一髪で退けることに成功する。
こうなると獲得した20点のライフを頼みに竹中が二の矢を番えるのが早いか、森田の全力のビートダウンが早いかの勝負になりそうだ。
しかしお互い全力を出し尽くした後のマナソースのみの盤面のように見えて、実は決定的な差があった。森田が着地させていた《ダク・フェイデン》だ。
ドローを加速させた森田はあっという間に《僧院の導師》にたどり着き、すぐさまモンク・トークンを量産し始める。
一方今や40点のライフすらも頼りない竹中は、それでも《Helm of Obedience》で森田のデッキから《僧院の導師》を奪うことに成功し、さらに《呪文滑り》で防御を固める。
竹中 奨 |
だが、《ダク・フェイデン》で整理された森田の手札に解答がないはずもなかった。《呪文滑り》、そして奪われた《僧院の導師》と立て続けに《剣を鍬に》で処理し、「果敢」で重い一撃を与える。
それでも、さすがにここで一旦手札が尽きた森田。次なる一撃には時間がかかるか……と思いきや。
ヴィンテージの常識を変えた『マジック・オリジン』からの新戦力、《ヴリンの神童、ジェイス》が場に残っていた。そして墓地には、1ターン目に打っていた《Ancestral Recall》。
最高の時を堪能する森田。
ダメ押しに《Time Walk》までプレイすると、3ターン目の時点で40点もあったはずの竹中のライフは、一瞬で溶け去ってしまった。
森田 2-0 竹中