挑戦者インタビュー: 佐藤 啓輔 ~新潟の生み出した《聖トラフトの霊》マスター~

晴れる屋

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By Hiroshi Okubo


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 佐藤 啓輔(東京)。

 土日には都内で開催されるGPTやPWCに精力的に参加している姿が見られる佐藤は、【GP静岡2014】でもトップ8に残った経験もある強豪プレイヤーだ。

 【第4期モダン神挑戦者決定戦】ではトップ4に残るも挑戦者の座には一歩及ばなかった佐藤だったが、相棒たる『トリコトラフト』の腕に磨きをかけて今回はしっかりと市川 ユウキへの挑戦権を掴み取っている。

 その実力に疑いの余地がないことは明らかだが、これまでにあまりメディアに露出したことのない佐藤のキャラクターは未だ謎に包まれている。

 はたして佐藤 啓輔とは何者なのか? 今回のインタビューでは、その人物像に迫った。






新潟は強豪の産地?

--「佐藤さんは【GP静岡2014】でもトップ8に残られていますよね。やはり、メインでプレイしているのはスタンダードなのでしょうか?」

佐藤「特にそういうわけではないですよ。モダンやレガシーもプレイしていますね。最近はMOでリミテッドも練習中です」

--「かなりのマジック好きですね。ご出身が新潟ということで、木原 惇希さんや宮島 淳一さん(※1)といった強豪プレイヤーの方とも親交がおありだとか」

佐藤「そうですね。木原くんや宮島さんとはちょうど僕が競技マジックを意識するようになった【GP北九州2013】の前後で知り合って、よく一緒にマジックをプレイしています。あとは【The Last Sun 2015】でトップ8に進出した増門くんともよく一緒に調整したりしますね」

--「ちなみに【GP静岡2014】でトップ8に入賞されたことで【プロツアー『ニクスへの旅』】の参加権利を獲得されていますが、こちらにはご参加されましたか?」

佐藤「実は、あのときちょうどプロツアーと就職の時期が被ってしまっていて参加できなかったんですよ……なので、今はプロツアー参加が最大の目標ですね」

--「ということはPPTQを回っている感じでしょうか?」

佐藤「そうですね。去年は仕事の都合でなかなかマジックのプレイ頻度も下がってしまっていましたが、今年はがんばってプロツアーの参加権利を獲得したいです」




※1:木原 惇希と宮島 淳一
両者とも新潟出身のプレイヤーで、木原は【初代スタンダード神】、宮島は【GP横浜2012】優勝者。新潟のマジック・コミュニティは大きく分けて「新潟勢」と「長岡勢」の2つが存在するそうだが、コミュニティ同士の交流も盛んなため知り合いが多いらしい。




《聖トラフトの霊》と出会うまで

--「マジックを始められたのはいつ頃ですか?」

佐藤「中学生の頃ですね。当時は『ファイアーズ』(※2)のような赤緑のデッキを愛用していました」


ヤヴィマヤの火ブラストダームはじける子嚢


※2:ファイアーズ
MMQ~INV期のスタンダード環境を代表する赤緑ステロイドデッキ。「消散」を持ったマナレシオの優れる大型クリーチャーたちに《ヤヴィマヤの火》で速攻を付与することでデメリットを軽減しているのが特徴。



--「【GP静岡2014】のトップ8プロフィールでも仰っていましたね」

佐藤「それから6、7年ほどマジックをしていない時期がありましたが、大学生の友だちがたまたまレガシープレイヤーだったので、家にあったカードを引っ張り出して復帰しました」

--「それは長いブランクでしたね。その時期にはダメージスタックやマナバーンの廃止などいろいろなことがあったと思いますが、復帰して一番驚いたことはなんですか?」

佐藤「一番はもう、やっぱりプレインズウォーカーですよ。特に《精神を刻む者、ジェイス》は強すぎて目玉が飛び出しました(笑) あとは月並みですが、《タルモゴイフ》とか《闇の腹心》とか全体的にクリーチャーが強くなってて……逆に打ち消しが弱くなっていたので青はパッとしない印象を受けましたね」


精神を刻む者、ジェイスタルモゴイフ闇の腹心


--「たしかに、かなり変化がありましたよね。それからしばらくはレガシーをプレイしていたんですか?」

佐藤「ええ、幸いにもオンスロートのフェッチランドは持っていたので、デュアルランドをギルドランドなどで代用しつつ、『ジャンド』を組んでいました」

--「相変わらず青いカードは使っていらっしゃらなかったんですね(笑) 一体どこで《聖トラフトの霊》と出会ったのでしょうか?」

佐藤『パトリオット』(※3)を組んでいる友人がいて、《聖トラフトの霊》にボコボコにされたことがありまして。今はこんな強いカードがあるんだなぁと思って、モダンを本格的にプレイし始めるときに『トリコトラフト』を組んでみたんですよ」


聖トラフトの霊稲妻剣を鍬に


※3:パトリオット
レガシー環境で活躍する青白赤のクロックパーミッション。《もみ消し》《不毛の大地》といったマナ否定戦略に加えて、多くの場合《聖トラフトの霊》をバックアップする《稲妻》《剣を鍬に》合わせて8枚の単体除去が入っている。



--「なるほど。モダンでは『トリコトラフト』一筋ですか?」

佐藤「いえ、モダンを始めたばかりの頃はやっぱり赤緑……というか『Zoo』や『ジャンド』も使っていたのですが、次第に『トリコトラフト』一本になっていきました。【第5期モダン神挑戦者決定戦】の決勝戦のようなシーソーゲームで勝てると手ごたえを感じますね」

--「ズバリ、『トリコトラフト』の最大の魅力はなんでしょうか?」

佐藤「うーん、そうですね……バランスのいいデッキなので絶対的に勝てない相手がほとんどいないことと、何よりやっぱり《聖トラフトの霊》のカードパワーですかね。自分が言うのもなんですけど、対戦相手に使われたくないカードの一つですよ(笑)」



故郷に錦を飾りたい

--「ここまで佐藤さんの経歴などを語っていただきましたが、【第5期モダン神挑戦者決定戦】を勝ち抜いて、現モダン神・市川 ユウキさんに挑戦するにあたって、どのような心境でしょうか?」

佐藤「正直【第5期モダン神挑戦者決定戦】でも自分が勝てたってことにあまりピンときていないんですよね……未だに自分が挑戦者である実感が湧かないくらいです」

--「秘策などはおありですか?」

佐藤「市川さんはどんなデッキでも使ってきそうなイメージがあるので、デッキ選択が本当に難しいです。決定戦は3本先取の5回戦なので、サイドボードも含めてしっかりと練り込んでいきたいですね」

--「最後に、神決定戦への意気込みをお聞かせください」

佐藤「市川さんは僕とは比べ物にならないくらい実績も経験も上の方だとは存じ上げておりますが、僕も同郷で神になった木原くんや高橋さんに続いて、故郷に錦を飾るつもりで『神』の座を狙いたいですね」

--「当日のご活躍をお祈りしております。本日はありがとうございました!」








 ほぼ初対面の筆者にも、気さくにインタビューに応じてくれた佐藤。物腰柔らかく、謙虚なその人柄に好感を抱かない者はいないだろう。だが一方で、その目にはしっかりと“追う者”の闘志が宿っていたように思える。

 当日は現モダン神・市川 ユウキを相手に、どのような試合を見せてくれるのだろうか? 括目して見届けたい。