神インタビュー: 川北 史朗 ~レガシーで差をつけるために~

晴れる屋

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By Atsushi Ito


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 川北 史朗(東京)。

 第1期、【レガシー神決定戦】より「神」の座を維持する、最古にして最強の神だ。




 しかし、最古なだけあって既にこれまで【第1期】【第3期】【第4期】と3度のインタビューを掲載しているわけだが、川北というプレイヤーの底はまだまだ知れない。おそらく川北自身もこの「神決定戦」を通じて今もなお成長しているのだろう。

 だから、きっとまだ問わねばならないのだ。

 はたして川北の考える、レガシーで上達するために必要なこととは何なのか。

 そして【前回】川北をあわやというところまで追い詰めた斉藤 伸夫の親友にして斉藤と同じかそれ以上の実力者でもある【第5期レガシー神挑戦者】土屋 洋紀を相手に、どのような戦略をもって臨むつもりなのか。

 強者の強者たる所以を知るべく、4か月ぶりに川北にインタビューさせてもらった。



レガシーは練習とプレイングが最も重要なフォーマット



--「お久しぶりです。【第4期神決定戦】以来となりますが、あれから川北さんのレガシー生活はどういった感じだったのでしょうか」

川北「実はあれ以降忙しくてマジックにあまり触れられてなくて……この間【エターナルフェスティバル2015】に出場したんですが、ブランクのツケがたたってプレイングミスを連発し、Byeはあったものの実質0-3という有様でした。ですがそれで逆にモチベーションが上がりましたね。というのもトップ8のプレイヤーがみんなレガシーをちゃんと練習してきた人たちだったので、レガシーというのは実力が出やすい、練習ゲーな環境だなと改めて実感したんです」




--「練習すれば誰でも勝てる可能性があるというのは良い環境ですね」

川北「ただ一人回しだけではダメで、ちゃんとプレイヤーと戦って意見を交換して、相手の意見を吸収できないとダメですね。そのためにも【以前から言っている】ように、良い友人や良いプレイヤーと練習して、練習相手に言われたことは脊髄で反論せずに素直に聞いてきちんと咀嚼することが重要です」



きちんと意味を持ってサイドインアウトをできているかどうかが分かれ目



--「いわゆる『強豪』と呼ばれるような強いプレイヤーとそうでないプレイヤーとの間では、具体的な技術という点で見るとどこが違うのでしょうか?」

川北「最近はきちんと意味を持ってサイドインアウトをできているかどうかが分かれ目かなと思いますね。他の人のサイドインアウトを見ていると、入れるカードも抜くカードも、『理屈に合わないことをしているな』と思うことがよくあるんですよ。たとえば自分が『奇跡』を使っていて相手がジャンドやBUG系のデッキの場合、基本的には《相殺》は4枚全部サイドアウトした方が良くて、なぜかというとそうすれば相手の《突然の衰微》が腐りやすくなるわけです。でも何となく1~2枚残したりする人もいるんですよね。そういう人はサイドインアウトの1枚1枚について、『なぜ入れるのか?』『なぜ抜くのか?』という理由づけがきちんとできていないのではないかと思います」


相殺突然の衰微


--「なるほど、サイドインアウトの理由づけですか。確かにレガシーはプレイングの精度に気をとられがちですが、《渦まく知識》《思案》などカードを探すためのカードが多いので、入れたカードや抜いたカードがゲームに影響する確率は他のフォーマットより高そうですね」

川北「ですね。まさしくレガシーはサイドボード1枚差しの有無がすごく重要な環境なので、一つ上のランクを目指したいなら、自分のデッキについて実はプレイングの精度を高めるよりもメタ上のデッキに対してサイドのインアウトを正確にこなせるようになることの方がダイレクトに結果に響いてくると思います。まあこのあたりは自分も『奇跡』デッキのサイドインアウトについてしか自信はなくて、他のデッキのサイドインアウトについてはまだまだな部分があるので、あまり偉そうなことは言えないのですが……」




--「川北さんでもサイドインアウトをミスることがあるんですか?」

川北「全然あります。特に使い慣れていないデッキだとミスりやすいですね。たとえばこの間の【第4期レガシー神決定戦】でも、私がグリクシスデルバーで斉藤 (伸夫) さんがグリクシスコントロールで、私は《陰謀団式療法》をサイドインしなかったんですが、常にこちらがビートダウン側になるので、冷静に振り返ってみるとサイドインした方が良かったなと」

--「勝った試合でもミスを振り返るんですね」

川北「あの試合はデッキ選択の時点で結構勝っていたはずなんですよね。現にデッキだけ見れば【斉藤さんのデッキ】には《稲妻》が3枚しか入ってなくて、でもこちらはデルバー、で読み勝ちしてましたし。それでも実際は向こうのミスのおかげでトップデッキのチャンスが生まれてギリギリ勝ちという、実質負けに近い内容になってしまったので、『デッキ選択は有利だったのに、なぜあんなギリギリの勝負になったのか?』と考えた結果、サイドミスだな、という結論に至りました。それに『勝ったからいいじゃん』は理屈じゃないですよ。むしろ間違った成功体験として覚えてしまう可能性もありますし。勝敗とは別にミスはミスとして振り返る、それができないとたまたま1~2回勝つことはできても、ずっと勝ち続けることはできないと思います」

--「デッキ選択、プレイ、サイドインアウト……こうして改めて考えてみると、レガシーは極めようと思うといくらでも考える材料があって、本当に難しいですね」

川北「でもだからこそ面白いんですよね。『レガシーはメタがあまり動かないから飽きちゃって面白くない』みたいに言う人もいますが、『飽きるほど上手いの?』って思います。私だってまだまだ極めるところまでは行ってませんし、レガシーはやりがいがあって本当に最高の環境ですよ」



神決定戦ではプレイングよりもデッキ選択が重要になります



--「今回の神決定戦では斉藤 (伸夫) さんの親友である土屋 洋紀さんが挑戦者となりましたが、土屋さんというプレイヤーの印象はどうでしょうか?」

川北「昔からAMC (Ancient Memory Convention) などでよく当たっていましたが、結構負けているので正直対戦相手としては斉藤 (伸夫) さん並にイヤです(笑) プレイヤーとしては、彼は《秘密を掘り下げる者》をよく使っているんですが、デルバー使いなのに妙に受け身というか、後手から攻めてくるイメージです。実は『奇跡』デッキとかが得意なタイプかもしれませんね。なのでつまるところオールラウンダーで、前回と同じくらい苦戦することが予想されます




--「そんな土屋さんに対して、川北さんはどのように勝ちにいくつもりなんでしょうか?」

川北デッキ選択とサイドボードの構築がマッチアップのキーになると思います。実は過去3回の神決定戦のデッキ選択には全てテーマがあったんですよ。【第2期】は『コントロールだけど《紅蓮破》が効かない』で白黒タッチ青コントロール、【第3期】は『コントロールだけど《窒息》が効かない』でBUGコントロール、【第4期】は『そもそもコントロールじゃない』でグリクシスデルバー、という感じです。このデッキ選択には自信があって、これまではうまく相手の読みを外したデッキを持ちこめているので、今回も私に対する先入観を逆手にとったデッキ選択で有利をとっていきたいなと思いますね。プレイングに関しては土屋さんの方が上手いと思いますが、神決定戦ではプレイングよりもデッキ選択が重要になります。だからこそ、私が勝ちますよ」

--「ありがとうございました」





 やはり、神。

 これまで3人の挑戦者を退けてきただけあって、この神決定戦の特殊なフォーマットにかなり自信があることが窺える。

 はたして今回川北はどのようなデッキを持ち込んでくるのか。練りに練られたデッキ選択にも注目だ。