ラヴニカ・トーク ~プロプレイヤーが新カードを語る~

happymtg編集チーム

■ はじめに

● 座談会パネリスト紹介
――:「ラヴニカへの回帰」発売ということで今回、「CARDSHOP晴れる屋」所属のプロプレイヤーの皆さんに、座談会形式で新カードを語り合ってもらいます。話題になっているカードは強いのか弱いのか。また、構築戦の新環境で有力なデッキについてもお話しできればと思います。

齋藤友晴

名前:齋藤友晴

主な実績:プレイヤー・オブ・ザ・イヤー2007、プロツアー・チャールストン06優勝をはじめとしてプロツアーTOP8を5回、グランプリ優勝を4回含むTOP8入賞は10回以上。世界的トッププレイヤー。CARDSHOP晴れる屋店主。

好きなギルド:全ての色とかギルドとかを平等に愛せたほうが真の最強プレイヤーになりやすいというスタンス……は別として、単純な好みは「アゾリウス」。青+白は色彩の組み合わせが好きだし、ストーリーはほとんど分からないけど正義的、主人公的ギルドなイメージ。




高橋優太

名前:高橋優太

主な実績:プロツアー・サンディエゴ07準優勝、グランプリ神戸08、静岡08と国内グランプリ2連覇。プレイヤーとしてだけでなく、日本語公式サイトやhappymtg.comでの執筆活動も行っている。

好きなギルド:「ディミーア」。《サイカトグ》《神秘の指導》《苦花》《ヴェンディリオン三人衆》《謎めいた命令》
今まで使ってきたデッキはほとんど青黒。手札破壊、打ち消し、バウンスがあれば、対処できないカードなんてない!




角岡利幸

名前:角岡利幸

主な実績:プロツアー・名古屋準優勝、グランプリ・横浜12ベスト4等、近年のトーナメントシーンで活躍を始めた若手のホープ。若手と言われつつも、自身に満ち溢れるドヤ顔には定評がある。

好きなギルド:「イゼット」。青赤のコントロールやコンボデッキが好きだから。







● 新スタンダードの大本命「ゾンビ」デッキを考える
――:カードを語る上で、まず新スタンダード環境の基準になるデッキを決めてしまいたいと思います。やはり、イニストラードブロックのカード中心で、ローテーション落ちの被害が少ない「ゾンビ」デッキが本命でしょうか。

高橋:はい。デッキのカラーリングは「黒赤」「黒緑」「黒赤緑」などが考えられるけど2色で良いと思う。3色にすると入れたいカードがあふれてしまって勿体ないし、《血の墓所》《草むした墓》とギルドランドでライフを支払うことが多いと「ゾンビ」デッキ同系で不利になる。

角岡:そうっすね。《ロッテスのトロール》《ゲラルフの伝書使》《怨恨》付ける動きが気持ち悪く強いんで「黒緑」を推したいっす。

――:「黒緑ゾンビ」デッキですとクリーチャーはすんなり決まりそうですが、除去などのスペルはどうですか? 新カードの《突然の衰微》が使えますが。

角岡:除去は、新環境でよく見そうな《荘厳な大天使》《ウルフィーの銀心》を破壊できる《究極の価格》が良いっすね。あとは1マナという軽さを重視して《悲劇的な過ち》

高橋:(書きかけのデッキリストを見ながら)《怨恨》は4枚では?

齋藤:いや、このデッキだと緑マナが少なくて緑緑が出ないと思うよ。1、2、3ターン目にクリーチャーを出して4ターン目にババッと《怨恨》2枚付けたりできないから、3積みで良いよ。(完成したデッキリストを見ながら)サンプルデッキらしい綺麗なリストだけど、これでもボーっと殴ってるだけで相手を倒せそうだね(笑)

高橋:これを見てると《終末》が使いたくなるな。



「黒緑ゾンビ」

10 《沼》
4 《草むした墓》
4 《森林の墓地》
4 《魂の洞窟》
1 《ゴルガリのギルド門》

-土地(23)-


4 《戦墓のグール》
4 《墓所這い》
2 《血の芸術家》
4 《ゲラルフの伝書使》
4 《ロッテスのトロール》
4 《屑肉の刻み獣》

-クリーチャー(22)-
3 《悲劇的な過ち》
3 《究極の価格》
3 《血の署名》
3 《ヴェールのリリアナ》
3 《怨恨》

-呪文(15)-



-サイドボード(0)-
hareruya


ロッテスのトロール屑肉の刻み獣究極の価格



■ 思考を築く者、ジェイス/Jace, Architect of Thought


思考を築く者、ジェイス


● スタンダード「青系コントロール」デッキに4積み
――:では個別にカードを見ていきましょう。まずは新セットの目玉と言える《思考を築く者、ジェイス》です。スタンダードで《思考を築く者、ジェイス》を使うとしたらやっぱりコントロールデッキですか?

齋藤::強いのこれ?

高橋:《思考を築く者、ジェイス》は強い!僕は化けると思う。プレインズウォーカーの強い条件って自分を守れることだから(「+1」能力)。あと、「-2」能力が2ドローってことを忘れがち。使い捨てで2回2ドローして4ドローでも充分。《思考を築く者、ジェイス》を守るデッキは普通に「青白コントロール」デッキだと思う。《中略》《終末》《天使への願い》……

角岡:序盤をしのぐカードがあまりないっすね。

高橋:《アゾリウスの魔除け》がある。《糾弾》《破門》に似ていて、ライブラリートップに戻す擬似除去モードが「ゾンビ」に強い。

齋藤:《思考を築く者、ジェイス》はデッキに入るのかな?

高橋:え、デッキに入らないレベルの強さ?

齋藤:いや、そこまでは思わないけど、次の小型セットとか出たら入らなくなるレベルの強さでしかないんじゃない。

高橋:《ニッサ・レヴェイン》的な立ち位置?

齋藤:多分そう、『消え行く者、ジェイス』みたいな。カード屋としては活路を見出したいから、もっとポジティブな発言したいけどあまり思い付かないな。

角岡:スタンダード環境の最初は多分「ゾンビ」が流行するじゃないっすか。で、《怨恨》も使ってくるから……

齋藤:まぁ、ボロクソにやられるよね。1回引いて、《墓所這い》のアタックを1回軽減できるだけだよ。

角岡:最悪でも4マナで2ドロー+2ライフゲイン。ただ出ただけで1対2交換してるから弱くはないっす。

高橋:イニストラードブロック限定構築で《未練ある魂》が禁止だったから、本当に「トークン」デッキが強かったか分からないけど、《未練ある魂》は新環境で使われるカードで、それに対して《思考を築く者、ジェイス》はだいぶ強い。

齋藤:「+1」能力でしのげるけどさ、「-2」能力でドロー使ったところでやられちゃうんじゃないの。だいたいの場合において1回か2回引くだけのカードだよ。

角岡:難しいっすね。コントロールデッキ同系なら《記憶の熟達者、ジェイス》のほうが強いし。

――:市場の評価はうなぎ登りですけど。

高橋:ジェイス人気ってのはありえる。今までのジェイスがすべて強かったから、今度のジェイスも期待されている。

齋藤:絵も良いからね。凄く良いよ。

高橋:いや、ちゃんと実力もある。1枚目を出してドロー、次のターンもドローして使い捨てて2枚目を出すという動きが強いから、スタンダードなら4積みされる。例えば、次のスタンダード環境を占う意味で重要と言われたイニストラードブロック限定構築の「プロツアー・アヴァシンの帰還」を優勝した「白青奇跡コントロール」デッキ。これは《思考を築く者、ジェイス》を使うデッキとして新スタンダードでも有力。(と言ってデッキリストを書き始める)

角岡:(書きかけのデッキリストを見ながら)2体タップ(《戦慄の感覚》)入るんすか?

高橋:《終末》まで生き延びるのが大事だから。《怨恨》付けてくる「ゾンビ」デッキに強い。



「白青奇跡コントロール」

7 《平地》
8 《島》
4 《神聖なる泉》
4 《氷河の城砦》
3 《進化する未開地》

-土地(26)-




-クリーチャー(0)-
3 《戦慄の感覚》
4 《終末》
3 《天使への願い》
3 《熟慮》
4 《中略》
4 《アゾリウスの魔除け》
2 《拘留の宝球》
3 《至高の評決》
4 《思考を築く者、ジェイス》
2 《月の賢者タミヨウ》
2 《アゾリウスの魔鍵》

-呪文(34)-



-サイドボード(0)-
hareruya




至高の評決拘留の宝球思考を築く者、ジェイス



■ 静穏の天使/Angel of Serenity


静穏の天使


● レガシー「超起源」デッキの新レギュラー
――:次のカードは《静穏の天使》、齋藤さんお勧めのカードです。

齋藤:マニアックなデッキの話なんですけど、レガシーの「《超起源》」デッキの新レギュラーですね。クリーチャー以外で3枚壊せる《テラストドン》と、クリーチャー3枚追放できる《静穏の天使》でより盤石になりそう!

超起源テラストドン


高橋:「超起源」デッキのような相手もクリーチャーを出してくる特殊なデッキでは使うけど、「リアニメイト」デッキとかだともっと良い釣り対象の《グリセルブランド》がいる。

齋藤:まあ、そのポジションだと《グリセルブランド》には勝てないね。相手が悪すぎる(笑)
「超起源」デッキでも実は、《絶望の天使》のほうが《全知》とか《騙し討ち》対策として優れているんで受けが広いというのはあるけど、メインには《静穏の天使》3~4枚入ると思うよ。2体の《天使》の比較で言うと、《静穏の天使》のほうが色拘束が薄くて素出ししやすいメリットもあるしね。


グリセルブランド絶望の天使



● スタンダード「白系コントロール」デッキの新フィニッシャー
齋藤:スタンダードでも《大軍のワーム》が流行すれば、1マナ上の7マナ域でそれに超強いから使われるかもね。

角岡:新スタンダードだと《セレズニアの魔除け》ってかなり使われるカードだと思うけど、《静穏の天使》のパワーが5あることで、それで除去されちゃうのが微妙っす。

高橋:《悪鬼の狩人》など、この手のカードは除去されたとき追放していたカードが戦場に戻っていたけど、《静穏の天使》なら手札に戻る。

齋藤:そうそう。除去耐性はないんだけど、やられても追放したカードをバウンスするのは強いと思うんだよね。相手はキャストし直して1ターン遅れるわけだし。《静穏の天使》は出たときに仕事するし、守りに強いから偉いと思うよ。

――:前の環境の「太陽拳」「エスパーコントロール」デッキなどで、除去兼フィニッシャーとして《大修道士、エリシュ・ノーン》が採用されていましたが、同じような立ち位置でしょうか?

齋藤:そう。コントロールデッキで普通にマナ出して使うぶんにはチャンスあるよ。「リアニメイト」デッキで無理やり釣ってくるよりは、素出しのほうが良さそうだね。

角岡:ほかにも、「緑白」とか「バント」とかマナ加速のある中速デッキでフィニッシャーとして1枚入れたいっす。

高橋:確かに、フィニッシャー不在の時期なので候補ではある。《太陽のタイタン》シリーズも《ワームとぐろエンジン》も全部落ちてしまったから。《静穏の天使》《大修道士、エリシュ・ノーン》くらいの制圧力はある。

角岡:何か簡単に無限コンボができれば良いけど、追放したカードはハンドに戻るからあまりなさそうっすね。

齋藤:《全知》貼るしかないんじゃない。複数の《静穏の天使》をループさせて、隣に《群れの癒し手》置いて無限ライフとか。まあスタンダードじゃ厳しいかな。

――:悠長ですけど、天使Aが墓地にあって、天使Bを出して墓地の天使Aを追放すると、天使Bが除去られても天使Aが手札に戻ってきますね。そして天使Aを出して墓地の天使Bを追放すると……

齋藤:2枚あると、除去られても何度でも出せる無限フィニッシャーじゃん。スタンダードで2枚以上入れるメリットが出てきたね。《グレイブディガー》状態だ。その《グレイブディガー》2体が回ってれば、同時に相手のクリーチャーも2体追放し続けるってことでしょ。かなり強くない?

高橋:結構、現実的。

齋藤:《禁忌の錬金術》で1枚墓地に落としておいて、2枚目を出すみたいな。「白青系コントロール」デッキに3~4枚入るんじゃないかな。


■ 灰の盲信者/Ash Zealot


灰の盲信者


● スタンダードで「赤単」デッキを生み出す原動力になるか?
――:2マナ2/2先制速攻という、最近のクリーチャー強いな、と感じさせるスペックですが。

齋藤:使うデッキはメチャクチャ限られるけど、その限られたデッキではメチャクチャ強いんじゃないかな。ただ強いね。

――:スタンダード環境の最初に「赤単」「赤タッチ黒バーン」デッキとか行けますか?

高橋:イニストラードブロック限定構築で一番強かったのが赤だから、可能性はあると思う。

齋藤:スタンダードの「ゾンビ」デッキって、前の環境からそうだけど、守りに向いたカードが少ないから自分より速いデッキの押しに弱いよね。だから「赤単」系で《流城の貴族》《灰の盲信者》っていう動きが強いよ。1マナ2/2解鎖《ラクドスの哄笑者》もあるしね。


流城の貴族ラクドスの哄笑者灰の盲信者



角岡:《灰の盲信者》を使うために赤が濃いデッキにすると、環境的に強い除去の《火柱》が普通に打てて良いっすね。

高橋:これだけ多色地形が強いなら「赤単」のメリットそんなになくて、1色くらい足して「赤黒バーン」デッキとかになりそう。

――:「赤黒」なら《夜の衝突》《ファルケンラスの貴種》もありますね。

齋藤:《ラクドスの魔鍵》から《雷口のヘルカイト》使いたいね。時のらせんブロック~ローウィン・シャドウムーアブロックのときのスタンダードで、《復讐の亜神》入った「赤単」デッキあったよね。あんな感じで。

角岡:うーん、「赤黒」というカラーリングだと「黒赤ゾンビ」デッキと差別化するのが難しいっすね。「ゾンビ」デッキのほうが良いような……

齋藤:「赤緑」にして《灰の盲信者》《怨恨》付けると、先制攻撃あるから強いよね。「赤緑」なら《火打ち蹄の猪》も入って、2マナ域のクリーチャーが充実するから良い感じだよ。でも次の「ギルド門侵犯」でグルールのギルドランドが出るまでは土地が厳しいかな。

高橋:現状だと火力呪文も少ないし、《灰の盲信者》使った「赤単」系はちょっと難しい。イニストラードブロック限定構築の速攻デッキと言えばボロスカラーの「白赤人間」デッキだったので、やはり次の「ギルド門侵犯」で出るグルールやボロスのカードに期待しよう。


■ 死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman


死儀礼のシャーマン



● モダン、レガシーで通用するカードパワー
齋藤:レガシー界で話題になってるね。

高橋:レガシーの墓地対策にはもっと強い《漁る軟泥》がいるので、モダンのほうが使われそう。モダンでは、どのデッキもフェッチランドを多用するからマナクリーチャーとして安定して使えるし、後半は2点ライフゲインかルーズできるし。

角岡:モダンで《極楽鳥》の補助として「メリーラ出産の殻」デッキで使いたいっす。《タルモゴイフ》を小さくできる、「ストーム」の《炎の中の過去》を邪魔できるなど、ちょっとしたおまけが嬉しいっす。メインに入れるカードとして汎用性が高いっす。

齋藤:レガシーでも、《漁る軟泥》って2マナ+αの重いカードだし、《死儀礼のシャーマン》は1ターン目に出しておけるから、1マナ1/2のマナクリが強いデッキならチャンスあるんじゃない。「「マーベリック」白黒緑ジャンク」デッキとかに普通に入りそうだよ。マナクリとして出して、相手が「発掘」デッキ「リアニメイト」デッキだったらラッキー。まあ《貴族の教主》のほうが強いけどね。

〔l_ScavengingOoze〕〔l_NobleHierarch〕



齋藤:ちょうど良い強さの健全系モダン・レガシーカードだよね。メインに入りやすい墓地対策カードは、一部のデッキにとって凄くきついけどさ……あれ、これ緑で出したときは普通のマナクリのスペックだけど、黒で出したときを考えたら1/2で好きなマナ出るってやばくない?

角岡:黒1マナのマナクリは今までいなかったんで評価したいっすね。

齋藤:レガシーの「青黒コントロール」「黒青白」デッキで《精神を刻む者、ジェイス》3ターン目に出せるよ。緑マナの起動型能力を使えなかったとしても凄く良いね。

高橋:後半はライフを削れることを考えると強い。ゲームの最初から最後まで強い。

齋藤:健全に強いのかな? 不健全なんじゃない? かなり強い!
10年前ならありえる話だと思うんだけど、カードショップが最初に200円で売ってたら、全買いされて「プチお金持ち」が何人かできちゃうレベルだよ。これはね「晴れる屋」1100円スタートもうなずけるカードだよ(笑)

高橋:強気に値付けしたけど予約販売ぶんは売り切れ。皆さんの期待がうかがえる。ま、問題はスタンダードで使わないこと。

● スタンダードでの可能性
高橋:スタンダードではフェッチランドが《進化する未開地》しかないから使いにくい。土地が墓地に落ちない。あ、黒緑で5枚見て墓地に落とすインスタントがあった、《忌まわしい回収》だ。マナクリーチャーが枯渇してる今のスタンダード環境なら使うかも。

齋藤:スタンダードで、たまにしかマナ出ないとしてもさ、インスタントかソーサリー追放して相手に2点入るんだよね。本体用《渋面の溶岩使い》みたいな役割で「赤黒バーン」デッキに入る可能性もあるんじゃない。

高橋:マナクリーチャーと《渋面の溶岩使い》を兼ねている。そう言うと凄いカードに見える。

――:《灰の盲信者》のところで話していた「赤黒バーン」デッキ行けますか?

齋藤:《死儀礼のシャーマン》《灰の盲信者》で脅威の《瞬唱の魔道士》対策力だね(笑)
この黒1マナの1/2で、追放して本体2点火力だけにスポットを当てるのも面白いかもしれないけど……まあ戦力不足だよね。現状で使うとしたら墓地対策のサイドボード要員かな。でも可能性は秘めてるよね、うまく使えれば黒のマナクリなんだからさ。


■ 見えざる者、ヴラスカ/Vraska the Unseen


見えざる者、ヴラスカ



● 5マナのプレインズウォーカーが使われる条件とは
高橋:「-3」能力はプレインズウォーカー同士の対決で絶対勝てる。

齋藤:《解放された者、カーン》だよね。最初に「-3」能力を使うと考えたら、忠誠値「2」になって結構割れやすいから、デッキに4枚入ってもおかしくないよ。

高橋:5マナのプレインズウォーカーって、過去の例を見ると、支配的クラスじゃないと使われない。戦場に出たら、次の次のターンくらいに凄い有利にならないと。《見えざる者、ヴラスカ》は、出て1回除去って終わる気がする。

齋藤:競ってるゲーム以上なら強いけど、メチャクチャ押されてるときにこれ出して「+1」能力しても、返しで本体を殴られるよね。こいつが《ギデオン・ジュラ》みたいな挑発能力まで持ってれば良かったのにな。

一同:強すぎ(笑)

高橋:スタンダード落ちしたが、《ギデオン・ジュラ》は不利な盤面でもまくれて、攻めるときも自分で殴れるのが強かった。だから5マナで唯一使われた。

角岡:新スタンダード環境の5マナプレインズウォーカーといえば、《月の賢者タミヨウ》はビートにもコントロールにも強くて、奥義も強いからこれから使いそうっすね。そしてプレインズウォーカーがたくさん使われる環境になったら《見えざる者、ヴラスカ》が強いっす……この「-7」能力の暗殺者トークンって、よっぽど余裕がないと出さないっすね(笑)

ギデオン・ジュラ月の賢者タミヨウ見えざる者、ヴラスカ



● スタンダード「黒緑+Xコントロール」デッキを作る
――:スタンダードで《見えざる者、ヴラスカ》を使うとしたらどういうデッキですか?

高橋:5マナはやや重いので、緑系のマナブーストする中速デッキで使いたい。

齋藤:「黒緑白(ゴルガリ+セレズニア)」とか「ジャンドカラー(ゴルガリ+ラクドス)」のコントロールかな。土地が充実するから2ギルド使えるのはデカイね。

高橋:「ジャンド」デッキはイニストラードブロック限定構築で流行したから、新スタンダードでも有力。

齋藤:「ゾンビ」デッキ相手にどうするのかって感じだけど、《火柱》取れば良いよね。《ミジウムの迫撃砲》は強カードだし、《戦慄掘り》《突然の衰微》なんかもあって「ジャンド除去コントロール」デッキができそうだよ。

高橋:《ヴェールのリリアナ》《情け知らずのガラク》《見えざる者、ヴラスカ》とマナコスト順に出したら強そう。「プレインズウォーカーコントロール」デッキだ。

角岡:生物は「ゾンビ」デッキに強い《スラーグ牙》で良いんじゃないっすか。

――:《高原の狩りの達人》も入りますね。

角岡:「ゾンビ」デッキは、《遥か見》からの《高原の狩りの達人》結構きついっす。

齋藤:《見えざる者、ヴラスカ》のほかにフィニッシャーをどうするかだけど、《雷口のヘルカイト》がイチ押しだね。《未練ある魂》も怖くないよ。(書きかけのデッキリストを見ながら)これ、ただの強いデッキだね(笑)「ゾンビ」デッキにも強いし行けそうだよ!



「黒赤緑プレインズウォーカーコントロール」

1 《沼》
3 《山》
2 《森》
4 《血の墓所》
3 《草むした墓》
3 《竜髑髏の山頂》
4 《根縛りの岩山》
1 《森林の墓地》
2 《進化する未開地》
2 《ケッシグの狼の地》

-土地(25)-


4 《高原の狩りの達人》
4 《スラーグ牙》
2 《雷口のヘルカイト》

-クリーチャー(10)-
4 《火柱》
4 《ミジウムの迫撃砲》
2 《戦慄掘り》
4 《遥か見》
3 《ヴェールのリリアナ》
2 《情け知らずのガラク》
3 《見えざる者、ヴラスカ》
3 《ラクドスの魔鍵》

-呪文(25)-



-サイドボード(0)-
hareruya



ミジウムの迫撃砲戦慄掘り見えざる者、ヴラスカ



■ おわりに

――:スタンダードの環境初期だったらどんなデッキを使いたいですか?

齋藤:まだ分からないですね。カード並べて考えてみますよ。「ゾンビ」デッキは使ってみますね。「ジャンド」なり「黒緑白」なり「ラヴニカ・コントロール」みたいなデッキは使ってみたい! あと「白系ウィニー」デッキも良いんじゃないですかね。《栄光の騎士》入れたり《精鋭の審問官》入れたりすれば「ゾンビ」デッキに強い!

栄光の騎士精鋭の審問官



角岡:どうにかして《聖トラフトの霊》を使いたいっす。「トリコロールカラー」で《火柱》《聖トラフトの霊》を同居させた中速ビートみたいな。それに《雷口のヘルカイト》も強そうっす。

聖トラフトの霊雷口のヘルカイト



――:最後に何か言い残したことがあればどうぞ。

高橋:これだけ言いたいんだけど、モミール(Magic Onlineの独自フォーマット「モミール・ベーシック」のこと。詳しくはこちら)で《静穏の天使》が神! 今まで《空護りの掃討者》が最強だったけど、それを超える。あと《セレズニアの声、トロスターニ》は、モミールで出てくるクリーチャーが全部トークンだから、何でも居住できる。今回はモミール向けのクリーチャーがいっぱいいて楽しみ。

セレズニアの声、トロスターニ



齋藤:「ラヴニカへの回帰」は正統派の強いカードが多くて、デッキの作り甲斐がありますね。ここで話したカード以外にもデッキのキーになりそうなものがたくさんあるので超期待してますよ!

――:それでは、本日はありがとうございました。

一同:ありがとうございました!


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