7thドラフト、八十岡翔太のピックを追う!

晴れる屋

By Atsushi Ito

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 6回のドラフトを終えて11勝7敗。

 デッキビルダーとして名を馳せるが、トッププロはリミテッドもまた強くなければ生き残れないという事実を示すかのように、国内最高峰レベルのドラフト環境であるこの「晴れるーむ合宿」で様々な創造性に富んだピックを見せつつも、きちんと安定して勝ち越しているこの男。


 八十岡 翔太。





 ここでは『ゲートウォッチの誓い』ドラフト環境のセオリーを学ぶべく、7thドラフトでの彼のピックを追ってみようと思う。



■ 1パック目: ゲートウォッチの誓い

※()内は他の候補


1-1 《忘却の一撃》 (《鑽火の輝き》《目潰しドローン》)
1-2 《ゴブリンの自在駆け》 (《忍び寄りドローン》《殺戮ドローン》《コーの空登り》)
1-3 《アクームの炎探し》 (《執拗な狩人》《現実の流出》《ジュワー島の報復者》《目潰しドローン》)
1-4 《末裔招き》
1-5 《未知の岸》 (《鑽火の輝き》《落とし子縛りの魔道士》《虚空を継ぐもの》)
1-6 《溶滓のへリオン》 (《水脈の乱動》)
1-7 《異常な忍耐》 (《マキンディの飛空士》)
1-8 《ゴブリンの自在駆け》 (《精神溶かし》)
1-9 《模範提示》 (《タジュールの道守》)
1-10 《戮力協心》
1-11 《吸血鬼の特使》
1-12 《促進》
1-13~14 略


忘却の一撃ゴブリンの自在駆けアクームの炎探し


 ターニングポイントは2手目と3手目だろう。初手の《忘却の一撃》から《殺戮ドローン》を取るかと思われたが、カードパワーと色の強さから《ゴブリンの自在駆け》を押さえた八十岡は3手目で長考する。

 選択肢は《アクームの炎探し》《執拗な狩人》。赤黒や赤白路線を選択肢に残すか、赤緑になったときのデッキパワーを最大化するか。悩ましい2択だったが、ここでは受けの広い前者を選択する。

 その結果4手目では《末裔招き》1択のパックを迎えて裏目を引いたかのように見えたが、1パック目が終わってみると1色目の赤を軸に《忘却の一撃》の黒と《末裔招き》の緑とで2色目の二択をかけたバランスの取れた状態となっており、むしろ強カラーリングである赤黒へ渡る余地が残せている点で3手目は的確なピックだったと評価できる。この点はさすが八十岡といったところだろう。



■ 2パック目: ゲートウォッチの誓い

※()内は他の候補


2-1 《ザダの猛士》 (《静寂を担うもの》《マラキールの占い師》)
2-2 《コジレックの大口》 (《林鹿騎兵隊》)
2-3 《コジレックの叫び手》
2-4 《コジレックの叫び手》
2-5 《ザダの猛士》
2-6 《抵抗者の居住地》
2-7 《骨の鋸》 (《無謀な奇襲隊》)
2-8 《焼尽の光》 (《歪める嘆き》)
2-9 《マラキールの占い師》
2-10 《荒地》
2-11 《凶暴な力》
2-12 《攻性エルドラージ》
2-13~14 略


ザダの猛士コジレックの叫び手マラキールの占い師


 2-1のピックが環境を象徴している。単純なカードパワーでは《静寂を担うもの》の方が上だが、無色マナを要求するためその後のピックを1~2手ほど拘束する可能性がある点と、《ザダの猛士》のシステムクリーチャーとしての評価の高さ、そしてさらに2~3手ほど後まで2色目をなおも保留できるというボーナスから、妥当なピックと言えるだろう。

 しかしその後は下家の高橋が2パック目から赤に参入したことで、1パック目の赤絞りが実を結ばない結果となった。

 結局2-3~2-4の選択肢のない《コジレックの叫び手》のところで赤黒路線を確定させた八十岡は、2-9で《マラキールの占い師》が一周するという望外の贈り物を獲得して3パック目に臨む。



■ 3パック目: 戦乱のゼンディカー

※()内は他の候補


3-1 《虚空の接触》
3-2 《マキンディの滑り駆け》 (《ドラーナの使者》《空中生成エルドラージ》《カラストリアの癒し手》《棘撃ちドローン》)
3-3 《地割れの案内人》
3-4 《命知らずの群勢》
3-5 《棘撃ちドローン》
3-6 《多勢》
3-7 《髑髏砕きの補充兵》
3-8 《カラストリアの癒し手》
3-9 《ゴブリンの戦化粧》
3-10 《ドラーナの使者》
3-11~14 略


抵抗者の居住地未知の岸ドラーナの使者


 爆弾カードこそ引けなかったものの、3パック目もほぼ赤単気味にピックしてマナカーブを埋めるクリーチャーを確保。さらに卓内の全員がピックできなかった《ドラーナの使者》を一周させた上で確保できたのは、《未知の岸》《抵抗者の居住地》を1-5、2-5でそれぞれ拾っておいたおかげだろう。

 3パック目で色の合わない強力なカードが流れてくることに対して受けを作るためにも、暇な手番でこれら2枚の土地を確保することについては、意識しておくとよさそうだ。



八十岡 翔太「赤黒」
7thドラフト

8 《山》
6 《沼》
1 《砂岩の橋》
1 《未知の岸》
1 《抵抗者の居住地》

-土地(17)-

2 《ザダの猛士》
1 《マキンディの滑り駆け》
1 《命知らずの群勢》
2 《コジレックの叫び手》
1 《棘撃ちドローン》
1 《アクームの炎探し》
1 《ドラーナの使者》
2 《ゴブリンの自在駆け》
1 《地割れの案内人》
1 《コジレックの大口》
1 《マラキールの占い師》
1 《髑髏砕きの補充兵》
1 《溶滓のへリオン》

-クリーチャー(16)-
1 《多勢》
1 《異常な忍耐》
1 《促進》
1 《凶暴な力》
1 《虚空の接触》
1 《忘却の一撃》
1 《骨の鋸》

-呪文(7)-
hareruya



 レアこそ入っていないものの、「怒濤」のテンポで短期戦を見据え、同盟者シナジーで長期戦をカバーしたかなり完成度の高い赤黒アグロとなった。

 『戦乱のゼンディカー』環境と比較すると、『ゲートウォッチの誓い』環境はかなり最近の典型的なリミテッド環境に近く、かなりのテンポ環境という印象である。

 八十岡のピックを見る限り、展開差で負けないためにも2マナ域のクリーチャーを4枚程度確保することは、この環境において重要なテーマと言えそうだ。