僕たちは帰ってきた…。あの懐かしい街に…。
僕らは長い間色々な次元を彷徨った。
それは時空が歪んだ世界だったり、あらゆる種族が蔓延る世界。あらゆる断片が一つになりゆく物語は実に良かった。
宝探しに没頭する群衆を多く見かけた世界もあった。そこではスパゲッティーモンスターも見たっけ。
そうそう、激しい戦争を目の当たりにした事もあった。あの時はファイレクシア軍が勝ったんだったか?
デュエルマスターズによく似た次元にも足を踏み入れたっけな。
とにかく僕らは長い間彷徨った。あらゆる次元を…。
そのときの思い出はここでは語りきれないものだし、僕が語った所でどうなるものでもない。
そして、帰ってきた。長い次元の旅を経て…。
『ラヴニカ』へ。
という訳で皆さんこんにちは! お久しぶりです。もうじき『ラヴニカへの回帰』発売ですが、皆さんいかがお過ごしですか?
僕はというと勿論発売まで待ちきれずにこんな厨二チックな冒頭文も考えちゃう程『ラヴニカ』へのワクテカが止まりません。というのも、こんなに「帰ってきた」とかいっておきながらも僕がMTGを始めたのは『時のらせん』から。『ラヴニカ』の世界に接触するのは今回が初めてなんですね。
とまぁ僕の『ラヴニカ』への期待をここに書いていたら全然本題が進まないので、恒例のスタンダードメタゲームチェックからやっていきましょう。
今後のメタゲーム予想
現在のメタゲームは、「青白Delver」、「赤緑t白出産の殻」、「黒t赤or青ゾンビ(出産の殻入り含む)」、「緑単感染」が頭ひとつ抜けている状態です。その他には「青白奇跡コントロール」、「赤緑ケッシグ」、「リアニメイト」etc…なんかも存在しますが、実質、現環境では最初の4つのアーキタイプが完全に上位を独占していますね。
しかし、『ミラディンの傷跡』ブロック、『基本セット2012』が落ちた後、これらのアーキタイプは果たしてどのように変貌するでしょうか? 各アーキタイプ別に解析していきたいと思います。
・ブロックローテーション後の各アーキタイプ一覧
「青白Delver」
デッキのキーパーツである《思案》が落ち、更に優秀なテンポカードである《蒸気の絡みつき》も失ってしまう。更にはカウンター呪文も《マナ漏出》が無くなり、代わりが《本質の散乱》か《中略》か、といった具合で現状のアーキタイプを維持するのはほぼ不可能だと思われます。
しかし、《幻影の像》や《ファイレクシアの変形者》が落ちるので、相対的に《聖トラフトの霊》の強さが上がっているので、青白のビートダウンというアーキタイプは今後も継続すると思われます。
「赤緑t白出産の殻」
キーパーツである《出産の殻》が落ちてしまうので、このままのアーキタイプは継続不可能です。しかし、新たに《大軍のワーム》というフィニッシャーが加入したので、緑白t赤のマナランプのようなアーキタイプとして見かけるようになるかもしれませんね。
「黒t赤or青ゾンビ」
キーパーツはほとんど落ちず、デッキパワーも現状とさほど変わらないと思われます。《迫撃鞘》や《煙霧吐き》、《ファイレクシアの変形者》といった、かゆい所に手の届くような細かいシナジーのあるカードが落ちてしまうので、その部分をいかに補うかが課題ですね。
緑を足して《ロッテスのトロール》や、《突然の衰微》などを入れた爆発力のある「黒t赤緑ゾンビ」は環境初期に多く見かけるようになるでしょう。
「緑単感染」
さようなら「感染」クリーチャー。
「青白奇跡コントロール」
《漸増爆弾》が落ちたら本気出す、《天使への願い》的な意味で。と期待していたアーキタイプですが、《拘留の宝球》というトークンにも強い万能除去が出てしまった上に、《思案》も失い、いかんせん《天使への願い》には過度の期待は持てない感じですね。
しかし、青白には《至高の評決》や《スフィンクスの啓示》といったパワーカードが加わるので、今後「青白t?」コントロールのようなアーキタイプはメタゲームの中心になる可能性が高いと思います。
・メタゲーム総括
まとめますと、次の環境の初期は「黒t?ゾンビ」、「青白ビートダウン」、「青白t?コントロール」、「緑白t?マナランプ」なんかが多いのではないか、というのが今回の僕が予想するメタゲームです。
特に「黒t?ゾンビ」は前回の環境から失うものも少ないので、頭ひとつ抜けているイメージがありますね。
新デッキは常に僕らの頭の中から
公式サイトのカードギャラリーから次々と新しいカードが発表されていく中、《世紀の実験》に心奪われた僕は、早くフルスポイラー出てデッキ作りたい! と思っていたのですが、いざフルスポイラーが出てみるとどうやら現状のカードプールでは《世紀の実験》デッキは組めなさそう…。絶望した! 『ラヴニカへの回帰』に絶望した! とか言ってても始まらず、しょうがないから他に面白そうなカード無いかと探していた所、《鐘楽のスフィンクス》というカードを見つけてしまいました。
土地以外の同じカードを2枚捨てると4枚引く、という能力は使い方次第ではかなりのポテンシャルを秘めていそうだし、6マナ5/6飛行と優れたマナレシオを持つそのスペックは、次世代の《聖別されたスフィンクス》や! という事で《鐘楽のスフィンクス》でデッキを組む事にしました。
《鐘楽のスフィンクス》と相性の良いカードを探していると、《ヴェール生まれのグール》という非常に噛み合ったカードが見つかったので、更にそれとも噛み合うように《ジャラドの命令》を入れてサーチできるようにしました。加えて、《鐘楽のスフィンクス》が出るまでにそれを有効活用できるように《信仰無き物あさり》や《ロッテスのトロール》を入れよう…。といった感じでトントン拍子に出来たデッキがこちら。
2 《島》 2 《沼》 1 《山》 1 《森》 4 《血の墓所》 1 《蒸気孔》 4 《草むした墓》 1 《硫黄の滝》 3 《森林の墓地》 4 《進化する未開地》 -土地(23)- 4 《瞬唱の魔道士》 1 《鐘楽のスフィンクス》 4 《ヴェール生まれのグール》 1 《スラーグ牙》 4 《ロッテスのトロール》 -クリーチャー(14)- |
4 《火柱》 3 《信仰無き物あさり》 4 《遥か見》 3 《戦慄掘り》 1 《イゼットの魔除け》 2 《突然の衰微》 4 《ジャラドの命令》 2 《見えざる者、ヴラスカ》 -呪文(23)- |
3 《否認》 3 《ヴェールのリリアナ》 2 《血統の切断》 1 《戦慄掘り》 2 《殺戮遊戯》 2 《ゴルガリの魔除け》 1 《突然の衰微》 1 《見えざる者、ヴラスカ》 -サイドボード(15)- |
・How to ヴェール生まれのグール
当初は《鐘楽のスフィンクス》から生まれた発想でしたが、実際にこのデッキを使ってみて、《ヴェール生まれのグール》こそがこのデッキのキーカードだと分かりました。《沼》を設置すると墓地から手札に戻ってくるだけの4/1のバニラ。しかもブロックできないオマケつきなので、リミテッドですらあまり見かけないカードだとは思いますが、このデッキではとんでもない爆発力を見せます。
《ロッテスのトロール》はシナジーなど無くても単体で非常に強力なカードですが、《ヴェール生まれのグール》と噛み合うと、《沼》の数だけ+1/+1カウンターを増やす事ができるようになります。複数枚《ヴェール生まれのグール》があるならば、すぐに手の付けられないサイズになってしまうでしょう。再生とトランプルと非常に噛み合った能力を持っているので、信頼のおけるクロックとして機能します。
《信仰無き物あさり》、《イゼットの魔除け》は普通に使用した時は手札が減り、アドバンテージを失ってしまうものですが、《ヴェール生まれのグール》を捨てて回収するシナジーにより、むしろアドバンテージを得る事が可能になっています。《ジャラドの命令》も《ヴェール生まれのグール》を墓地に埋める事で、最大限の効果が発揮されます。
そしてこのデッキの奥義とも言える《鐘楽のスフィンクス》と《ヴェール生まれのグール》のシナジーは圧巻です。《ヴェール生まれのグール》を2枚捨てて4枚ドロー。更にそこから《沼》を置いてグールを回収して更に4枚ドロー。更にそこから《遥か見》をプレイしてグールを回収して…と、ぷよぷよなら「ばよえ~ん!」と効果音が入っちゃうような連鎖が起きます。
多色なので色事故が起きやすいように思えますが、《信仰無き物あさり》や《遥か見》のおかげで色事故はそれほど起こりません。更にマナフラッドしても《ヴェール生まれのグール》さえ引いていれば上陸しながら《ロッテスのトロール》を大きくしたり、最後の手段として《ヴェール生まれのグール》を素出しする事もできます。
《鐘楽のスフィンクス》は非常に強力なカードですが、《ジャラドの命令》でサーチできる上に、最終的には《ロッテスのトロール》で殴りきる、というのがこのデッキの明確な勝ち筋になりますので、枚数が1枚になりました。
・打倒ゾンビ
このデッキを仮想敵である「ゾンビ」と数回テストプレイしてみた所、やはりというべきなんでしょうか、「ゾンビ」も相当なデッキパワーを持っている事が分かりました。なので、今回のデッキは多少なりとも「ゾンビ」を意識した構成にしています。実際に予想される「ゾンビ」のレシピはこのようなものになります。
3 《沼》 4 《血の墓所》 4 《草むした墓》 4 《竜髑髏の山頂》 4 《森林の墓地》 4 《魂の洞窟》 -土地(23)- 4 《戦墓のグール》 4 《墓所這い》 4 《血の芸術家》 4 《ゲラルフの伝書使》 4 《ファルケンラスの貴種》 4 《ロッテスのトロール》 3 《屑肉の刻み獣》 -クリーチャー(27)- |
3 《悲劇的な過ち》 3 《火柱》 2 《硫黄の流弾》 2 《突然の衰微》 -呪文(10)- |
-サイドボード(0)- |
対「ゾンビ」の今後の課題は、《ロッテスのトロール》、《ゲラルフの伝書使》、《ファルケンラスの貴種》をいかに捌くか、という点が大事になってくると思われます。
なので、この中でも一番捌くのが難しい《ゲラルフの伝書使》に対応するために、《火柱》は4枚積みました。《戦慄掘り》や《突然の衰微》は「ゾンビ」にそこまで効く訳では無いのですが、その他のデッキも考慮すると、汎用性の高いこの2種の除去を採用する事にしました。
これらの除去を《瞬唱の魔道士》で使い回す事でボードを制圧し、《ロッテスのトロール》で殴りきる、というのがこのデッキのシンプルなテーマでもあります。
・サイドボード後のテーマ
サイドボード後は、コントロールとして立ち回れるようにしました。《見えざる者、ヴラスカ》、《ヴェールのリリアナ》の2種のプレインズウォーカーを軸に、各種除去や《否認》でビートダウンにもコントロールにも対応できるようにしています。
除去の種類ですが、「ゾンビ」に強い《血統の切断》、新《忘却の輪》こと《拘留の宝球》と《ファルケンラスの貴種》どちらにも対応できる《ゴルガリの魔除け》、後は《大軍のワーム》用に《殺戮遊戯》、といった感じになります。
メインを尖らせているので、サイドボードは広く戦えるようにしています。主に《ジャラドの命令》や、各種除去、《信仰無き物あさり》等をサイドアウト候補にすると良いと思います。
ラヴニカへの回帰はすぐそこ!
という訳で『ラヴニカへの回帰』後のスタンダードの記事を書かせて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
今回紹介させて貰ったカード以外にも、期待が持てるカードはまだまだあります。今週末にプレリ、来週末には発売です。今のうちにスタンダードデッキの構想を練って、他の人と差をつけちゃいましょう!
最後まで読んで頂きありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう。それでは!