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こんにちは、井川です。
Magic Onlineで開催されたプロツアー『イニストラードを覆う影』地域予選に出場しましたので、今回はデッキの選択理由と、微調整した部分について書きたいと思います。
■デッキの選択理由
今回のプロツアー『イニストラードを覆う影』地域予選で使ったのは「赤緑エルドラージランプ」。
その一番の選択理由は《集合した中隊》《反射魔道士》をめぐる戦いをしたくなかった=軸の違う戦い方をするデッキを使いたかったからです。
プロツアーから帰国してからアブザンアグロ、バントカンパニー、ジェスカイドラゴン、ダークジェスカイ、マルドゥグリーンに4色ラリーと様々なデッキをプレイしましたが、どのデッキもイマイチ。どうにも勝率が安定しないし手応えもよくありません。
その理由を考えてみると、ゲームの勝因の多くが
であり、敗因もまたこれの裏返しというもの。
《反射魔道士》《集合した中隊》を使う側でも使われる側でも、所詮これらをめぐる戦いでしかないなという印象で、どうにも差がつく気がしませんでした。
そこで、これらを克服するためには、「自分が《集合した中隊》を使わないこと」、そして何より「《反射魔道士》をプレイされても辛くないこと」がポイントだと考え直したところ、行き着いたのが《反射魔道士》が辛くないデッキ=同じ土俵で戦わない、別軸のデッキ。
リーグで5-0していたこの赤緑エルドラージランプでした。
8 《森》 2 《山》 2 《燃えがらの林間地》 4 《樹木茂る山麓》 1 《吹きさらしの荒野》 4 《ウギンの聖域》 4 《見捨てられた神々の神殿》 -土地(25)- 4 《エルフの幻想家》 4 《爪鳴らしの神秘家》 3 《世界を壊すもの》 2 《龍王アタルカ》 2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 -クリーチャー(15)- |
4 《ニッサの巡礼》 4 《爆発的植生》 4 《ニッサの誓い》 4 《面晶体の記録庫》 2 《炎呼び、チャンドラ》 2 《精霊龍、ウギン》 -呪文(20)- |
4 《ジャディの横枝》 3 《焙り焼き》 3 《垂直落下》 2 《塵への崩壊》 1 《破滅の伝導者》 1 《大いなる歪み、コジレック》 1 《精霊龍、ウギン》 -サイドボード(15)- |
従来の緑単エルドラージランプに比べて優れているなと思ったのは主に以下の2点です。
◎マナクリーチャーが少ない
これまでのランプにはマナクリーチャーが8-9枚程度入っていましたが、このデッキは最低限の枚数に抑えられています。
基本的に2ターン目以外は出すターンがないため一度《反射魔道士》をされてしまうと手札に溜まってしまい、その分のターン&手札の無駄が敗北につながることが多かったのです。(「変異」でプレイできる《爪鳴らしの神秘家》は別です)
その部分のスロットにドロー兼チャンプブロック要員の《エルフの幻想家》を充てることにより《反射魔道士》に強くなっているところに好感が持てました。ランプデッキ特有のマナフラッド率の高さ(土地だけじゃなくマナクリーチャーも無駄牌なので)を緩和できるのも、この変更の魅力です。
◎盤面に触るカードが多い
いわゆるランプデッキは序盤の2-4ターンをマナブーストに費やす=無防備で過ごすことが多いため、「いかに押されている盤面を巻き返すか」というのが至上命題になります。
その点、このデッキは赤が入っているおかげで《龍王アタルカ》《炎呼び、チャンドラ》という超強力なスイーパーを用意できており、従来の緑単が《精霊龍、ウギン》頼りだったのに比べると遥かに防御力が上がっています。
特に《炎呼び、チャンドラ》は「6マナ」の「全体除去」という点がランプにとっては非常に重要です。ランプ最速パターンの「2→4→7」ムーブができないときに《世界を壊すもの》よりも早いターンに盤面に干渉でき、かつ《集合した中隊》で戦場に出されたクリーチャーも一掃することができるので、4色ラリーやバントカンパニーといったデッキに対する相性が飛躍的によくなっています。
また、サイドの《焙り焼き》でアブザンアグロ最速パターンの「3ターン目《先頭に立つもの、アナフェンザ》」やラリー最速パターンの「3ターン目《ナントゥーコの鞘虫》」に対抗できるのもGoodです。
こう考え、実際にプレイしてみたところ、手応えや良し!
アタルカレッドにこそ相性が悪いですが、トップメタの4色ラリーに有利、バントカンパニーにも少し有利、アブザンアグロとも五分以上と、かなりメタゲーム上の立ち位置はよさそうな感じ。
「《反射魔道士》をプレイされても辛くないデッキはこれだ!」と確信して、このデッキをプロツアー『イニストラードを覆う影』地域予選で使うことを決めました。
ギリギリまでデッキ選択に悩んでいたので、この赤緑ランプに決めたのは前日のことです。
■微調整した部分
そこから半日ほどかけて調整&僕が寝ている間もナベ(渡辺 雄也)が調整してくれて(ありがとう!)、最終的に使用したデッキリストは以下。
8 《森》 2 《山》 2 《燃えがらの林間地》 4 《樹木茂る山麓》 2 《吹きさらしの荒野》 4 《見捨てられた神々の神殿》 3 《ウギンの聖域》 -土地(25)- 4 《爪鳴らしの神秘家》 3 《エルフの幻想家》 1 《荒野の囁く者》 3 《世界を壊すもの》 2 《龍王アタルカ》 2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 -クリーチャー(15)- |
4 《ニッサの巡礼》 4 《爆発的植生》 4 《ニッサの誓い》 4 《面晶体の記録庫》 2 《炎呼び、チャンドラ》 2 《精霊龍、ウギン》 -呪文(20)- |
4 《ジャディの横枝》 3 《焙り焼き》 3 《垂直落下》 2 《破滅の伝導者》 1 《巨森の予見者、ニッサ》 1 《炎呼び、チャンドラ》 1 《精霊龍、ウギン》 -サイドボード(15)- |
コピー元のリストの完成度が高かったので大きくは変更していませんが、少しだけ調整を加えました。
◎メイン
・《エルフの幻想家》4→《エルフの幻想家》3、《荒野の囁く者》1
前述したとおりこのデッキの《エルフの幻想家》はドローを進めライフを守る潤滑油として活躍してくれますが、どこまでいっても潤滑油。これ自体を複数枚引いても嬉しくはないので枚数を減らすことに。
代わりに採用したのは5枚目のマナクリーチャー。前項の「マナクリーチャーが少ない点が良い」とは少しずれてしまいますが、1枚だけの採用ならば《反射魔道士》で複数枚が腐って負けることもなく、かつ初手に欲しい3マナ以下のマナブーストが9枚になるので初手のキープ率も良くなりました。
・《ウギンの聖域》4→《ウギンの聖域》3、《吹きさらしの荒野》1
このデッキの魅力である対応力。それには赤マナが必須なのですが……少ない!
特にサイド後の《焙り焼き》が遅れるのはできれば避けたいので、赤マナをサーチできるフェッチランドを増やすことにしました。
《ウギンの聖域》を減らすと《世界を壊すもの》連打パターンは減りますが、それよりも安定して赤い除去をプレイできることを優先した形です。
◎サイド
・《大いなる歪み、コジレック》1→《炎呼び、チャンドラ》1
ほぼマルドゥグリーン(=《無限の抹消》)専用のサイドボードだったのでこの枠は追加の《炎呼び、チャンドラ》に譲ることに。
こちらなら対《無限の抹消》デッキだけでなく、《集合した中隊》、赤黒ドラゴンやアタルカレッドなどにもサイドインすることができます。
・《塵への崩壊》2、《破滅の伝導者》1→《破滅の伝導者》2
主にミラーマッチ(とマルドゥグリーン)用だと思われる《塵への崩壊》でしたが、ミラーマッチであまりにも弱いので解雇。より劇的で勝利貢献度の高い《破滅の伝導者》の枚数を増やすことにしました。
ミラーマッチ最強ムーブの「2→4→7=《世界を壊すもの》」に後手で対抗できる数少ないカードです。
《包囲サイ》よりサイズが大きい&相手の手札破壊(主に《精神背信》&それを再利用する《ゴブリンの闇住まい》)に耐性を付けることができるので、マルドゥグリーンにもサイドインします。
・《巨森の予見者、ニッサ》1の追加
1枚空いたスロットは最後まで悩みましたが、赤黒ドラゴンやダークジェスカイ、マルドゥグリーンのような除去の多い相手にマナクリーチャーを全部サイドアウトしたかったので、その代わりにサイドインしてしっかりマナを伸ばせるカードとして選びました。消耗戦の後トップデッキしても嬉しいですし、カードが強い。
ちなみにこの枠の第二候補は真剣に《予見者のランタン》でした。神話レアとコモン、悩んだら高いカードを使います!(笑)
■結果
面子が濃くて厳しそう&4人抜けだった【プロツアー『イニストラードを覆う影』地域予選 in 東京】を避け、8人抜け&人数が少なそうなMagic Onlineの地域予選に出場。
結果は
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | アブザン・アグロ | 〇〇 |
Round 2 | 青黒ハスク | 〇×〇 |
Round 3 | バント・カンパニー | 〇〇 |
Round 4 | アタルカ・レッド | 〇×〇 |
Round 5 | 青単エルドラージ | ×〇× |
Round 6 | 4色ラリー | 〇〇 |
Round 7 | アブザン・アグロ | ×× |
最終戦で敗れてしまいお祈りモードでしたが……
なんとか8位で滑り込み!!!
プロツアー『イニストラードを覆う影』の権利を獲得できました!
R1G2で相手の《始まりの木の管理人》&《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》をトップデッキした《龍王アタルカ》で薙ぎ払って勝ったとき。
R3G1でバントカンパニーの先手『《森の代言者》→こちらの《爪鳴らしの神秘家》を《反射魔道士》→《集合した中隊》から《死霧の猛禽》×2→《風番いのロック》「強襲」』という超ブン回りを後手5ターン目の《精霊龍、ウギン》で吹き飛ばして大逆転勝利したとき。
どちらも「ランプという選択をしてよかった」と実感しました。
普通のクリーチャーデッキを使っていたら絶対に勝てないゲームを逆転できる、それもこういった派手なデッキの魅力ですね。
これでプロポイントも14→17までは確定。さらにあと1点追加すればその次のプロツアー『異界月』も今期のシルバーレベルの権利で出場可能になりました。
ただ、今年の目標であるゴールドレベル(33点)を考えると、まだまだスタートラインに立った段階。
ここからどれだけプロポイントを積み上げれるかが勝負なので、プロツアーの権利が取れたからといって油断せず、3月のグランプリ連戦に向けてしっかりと準備したいと思います。
井川
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