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こんにちは。らっしゅです。
いきなり不思議なタイトルに戸惑った方もいらっしゃるとは思いますが、この記事は、「スタンダード環境の変容」を天気模様に見立てて、天気予報ならぬ「週末のデッキ予報」をする、というものです。
今週末はどんなデッキやカードが注目なの?
先週との違いは一体どこ?
こんな疑問に答えていきます。小難しい企画でもないので、あとは読んでもらったほうが早いかもしれません。
それでは、週末を迎えるちょっと前に、デッキ予報でもいかがでしょうか?
■ 先週末の記録的な《反射魔道士》の豪雨
先週末は世界各地で「プロツアー『イニストラードを覆う影』」のRPTQが開催され、多くのスタンダードの猛者たちが自慢のデッキを披露しました。すべての結果に目を通したわけではないのですが、いくつかを見て印象的だったことは、《反射魔道士》の使用率の高さでした。
この「4色《先祖の結集》」「バントカンパニー」のエースとして知られる超《大クラゲ》は、『ゲートウォッチの誓い』きっての強力なカードとして活躍しています。その活躍ぶりはRPTQでも見られ、東京で開催されたRPTQではトップ8のうち6名が4枚採用するほどの大奮闘でした。
攻めて良し、守って良し。《反射魔道士》の強さは、その万能性にあります。たった3マナでどんなクリーチャーでも追い返し、2/3という地味に大きなサイズで戦闘にもしっかりと絡んでくる存在感も持ち合わせているのです。
さながら【半年前の《搭載歩行機械》】のように、《反射魔道士》も「使ったもの勝ち」なカードになりつつあります。事実、先週末は世界各地が《反射魔道士》に塗れていたのです。果たして今週も《反射魔道士》が制するのか。これこそが今週のテーマとなるでしょう。
■ 《反射魔道士》を無効化せよ!
ただの3マナ2/3だと侮る人はもういないとは思いますが、《反射魔道士》が支配する環境を打破するには、《反射魔道士》を可能な限り「ただの3マナ2/3」に近づける構築が目指されます。
そんな構築手法をいくつか紹介しましょう。
1. クリーチャーが少ないデッキ
戻すべきクリーチャーが戦場にいなければ《反射魔道士》は額面通りの3マナ2/3です。そんな状況を意図的に作るには、そもそもクリーチャーが少ないデッキを使うことが単純な方法になります。
8 《森》 2 《山》 1 《荒地》 2 《燃えがらの林間地》 4 《樹木茂る山麓》 4 《ウギンの聖域》 4 《見捨てられた神々の神殿》 -土地(25)- 4 《爪鳴らしの神秘家》 2 《面晶体の這行器》 4 《世界を壊すもの》 2 《龍王アタルカ》 2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 -クリーチャー(14)- |
4 《ニッサの巡礼》 4 《爆発的植生》 4 《ニッサの誓い》 4 《面晶体の記録庫》 2 《炎呼び、チャンドラ》 3 《精霊龍、ウギン》 -呪文(21)- |
4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 4 《コジレックの帰還》 2 《焙り焼き》 1 《破滅の伝導者》 -サイドボード(15)- |
たとえば「緑赤エルドラージ」は、クリーチャーが少ないデッキの筆頭です。《世界を壊すもの》や《精霊龍、ウギン》といった大雑把なカードで戦うため、低マナ域のパワースケールで戦う「《集合した中隊》系」へのアンチデッキとして注目を集めています。
《難題の予見者》は、《反射魔道士》関連のカード選択とは無縁ですが、同型やコントロールなどが増えるほどにメインボードへの昇格を検討しても良いカードです。《反射魔道士》を意識したデッキが増えるであろう今週から来週以降に活躍が期待されます。
3 《沼》 2 《島》 2 《山》 2 《燻る湿地》 2 《窪み渓谷》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《汚染された三角州》 2 《樹木茂る山麓》 1 《溢れかえる岸辺》 4 《さまよう噴気孔》 -土地(26)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 3 《ゲトの裏切り者、カリタス》 -クリーチャー(7)- |
2 《意思の激突》 2 《焦熱の衝動》 1 《払拭》 3 《闇の掌握》 2 《精神背信》 1 《軽蔑的な一撃》 2 《苦い真理》 2 《破滅の道》 2 《虚空の粉砕》 1 《コラガンの命令》 1 《衰滅》 1 《残忍な切断》 3 《炎呼び、チャンドラ》 4 《時を越えた探索》 -呪文(27)- |
3 《光輝の炎》 2 《強迫》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 2 《自傷疵》 2 《無限の抹消》 1 《払拭》 1 《衰滅》 -サイドボード(15)- |
これもまた一つのクリーチャーが少ないデッキです。MOCSの過酷な10回戦を10-0の無敗で駆け抜けた最強候補筆頭として注目を浴びています。
チャームポイントは6マナの超新星こと《炎呼び、チャンドラ》。強烈なボードコントロール力に素早いエンディングと、フィニッシャーに必要な要素をすべて備えたプレインズウォーカーです。《反射魔道士》が強い環境ということは、クリーチャーデッキが跋扈しているということ。それらを一掃できる《炎呼び、チャンドラ》は最高の選択肢の一つです。
ここで紹介したリストは、MOCSで10-0した本人のコピーなのですが、見ての通りカード選択がとっ散らかっています。デッキコンセプトが最上級なことは証明されたので、これからはディテールを調整していく段階に差し掛かるでしょう。使用される方は、このリストよりもカードをきれいに揃えることへと気を配ると良さそうです。
2. 戻されても構わないと開き直ったデッキ
《反射魔道士》がクリーチャーを戻すことは誰しもが知っていますが、戻すことそのものが強いわけではないことは意外と忘れられています。手札に戻している間に「何かができる」から強いのです。
その何かとは、攻撃によるダメージであったり、ライフを守ることによって得た数枚のドローかもしれません。その一時的な差を利用して生まれた優位こそが《反射魔道士》の強さなのです。
つまり、《反射魔道士》で戻されたとしても、その間に大した優位が生まれなければ実質的に《反射魔道士》をただの2/3に無効化した、あるいは攻略したことになります。
1 《森》 1 《平地》 1 《山》 1 《沼》 2 《燃えがらの林間地》 2 《燻る湿地》 1 《梢の眺望》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《樹木茂る山麓》 4 《乱脈な気孔》 1 《遊牧民の前哨地》 -土地(26)- 4 《森の代言者》 4 《包囲サイ》 1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 4 《ゴブリンの闇住まい》 -クリーチャー(13)- |
4 《焦熱の衝動》 2 《強迫》 2 《焙り焼き》 4 《はじける破滅》 2 《アブザンの魔除け》 2 《コラガンの命令》 1 《苦い真理》 1 《骨読み》 2 《残忍な切断》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -呪文(21)- |
3 《神聖なる月光》 3 《精神背信》 3 《光輝の炎》 2 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《強迫》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
「マルドゥグリーン」は、《反射魔道士》で戻されても問題のないクリーチャー陣と豊富な除去で、《反射魔道士》を乗り越えようとしています。《包囲サイ》《ゴブリンの闇住まい》は手札に返されて生じる遅延をETB能力で取り返すことができるのです。
こうして書くと「マルドゥグリーン」こそが王道かつ強いって感じもするのですが、実際はかなりマナベースが不安定なため、自分が唱えたいターンにその呪文を唱えられずに敗北することがしばしばあります。色事故というやつですね。
現状の贅沢な構成も魅力的ですが、もう少し色に偏りをつけるなどして事故を減らす工夫が必要かもしれません。【Kyle BoggmesがRPTQで使ったもの】は、《焦熱の衝動》による赤マナの負担を減らして、タップイン土地の色と噛み合わせがいい白除去を増やしています。デッキは重くなりますが、求めていた安定性はいくらか手に入るでしょう。
3. 飛行戦略を主軸にしたデッキ
現環境で《反射魔道士》を使っているデッキの多くは、《集合した中隊》と組み合わせたものです。そして、それらには「飛行に弱い」という共通した弱点があります。
《反射魔道士》は、普通のデッキ相手にはバウンス能力を使用した後にも2/3として防御を務めますが、飛行を主軸にしたデッキに対しては「ちょっと重いバウンス」としてしか機能しません。
それでもなお、強力なのは間違いありませんが、回避能力持ちを主戦略に組み込むことで、「手札に戻して防御にも参加する」という八面六臂の活躍は制限できるのです。
5 《島》 1 《沼》 1 《燻る湿地》 1 《窪み渓谷》 4 《汚染された三角州》 4 《廃集落》 4 《シヴの浅瀬》 3 《ヤヴィマヤの沿岸》 3 《領事の鋳造所》 -土地(26)- 4 《静寂を担うもの》 4 《次元潜入者》 4 《空中生成エルドラージ》 4 《不快な集合体》 4 《難題の予見者》 3 《つむじ風のならず者》 3 《現実を砕くもの》 -クリーチャー(26)- |
4 《頑固な否認》 4 《幽霊火の刃》 -呪文(8)- |
4 《作り変えるもの》 4 《軽蔑的な一撃》 4 《次元の歪曲》 3 《精霊龍の墓》 -サイドボード(15)- |
2マナの飛行持ちエルドラージに《幽霊火の刃》を持たせてひたすら攻撃するデッキです。環境的に《頑固な否認》が無駄にならず、自然と4枚積めることが強みかもしれません。
ただ、構造的には《反射魔道士》系に強くても、先手後手差をひっくり返す力は《反射魔道士》をもつ方が優れているため、頻繁に有利なゲームを取りこぼしてしまいます。防御的な行動が不得手なこともあって、先手後手の差が勝敗に直結することが現状の課題です。
上のリストでは《不快な集合体》を採用していますが、白で《反射魔道士》や《変位エルドラージ》を加えた形もいい感触でした。まだ世に出て間もないデッキなので、これからの成長に期待したいデッキの1つです。
3 《平地》 3 《沼》 1 《島》 3 《大草原の川》 2 《窪み渓谷》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 2 《血染めのぬかるみ》 4 《乱脈な気孔》 -土地(26)- 4 《搭載歩行機械》 2 《永代巡礼者、アイリ》 4 《空中生成エルドラージ》 4 《反射魔道士》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 4 《風番いのロック》 -クリーチャー(20)- |
4 《闇の掌握》 1 《苦い真理》 4 《残忍な切断》 2 《絹包み》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(14)- |
2 《払拭》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《精神背信》 2 《絹包み》 2 《鞭打つ触手》 2 《破滅の道》 1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《無情な処罰》 1 《時を越えた探索》 -サイドボード(15)- |
最後に紹介するのは《風番いのロック》を4枚採用した「エスパーミッドレンジ」。《搭載歩行機械》など時代に逆行するカードは採用されているものの、《空中生成エルドラージ》《反射魔道士》《風番いのロック》の完璧なトリオが最高なデッキです。
こちらの《反射魔道士》は戻した後に相手の戦線を止めますが、相手の《反射魔道士》はこちらの攻勢には全く影響しません。このちょっとした半歩差のすれ違いがやがて大きな差へと膨らみ、勝負を決する一打につながります。
そして、とにかく強力なのは《風番いのロック》です。【Adam KoskaのRPTQレポート】でも似たコンセプトのデッキが紹介されていましたが、そのデッキも《風番いのロック》が素晴らしいという一点だけで構築されていました。
■ 《反射魔道士》 vs アンチ《反射魔道士》
今週末はおそらくこの構図で進行するでしょう。「4色《先祖の結集》」や「バントカンパニー」という《反射魔道士》代表に、これまでに紹介してきたようなアンチ《反射魔道士》が立ち向かうというものです。
もしあなたのデッキが《反射魔道士》に困っているなら、これまでに紹介した工夫をちょっと加えてみるといいかもしれません。今の環境では《反射魔道士》は使わないと損!と言えるくらい強力なカードです。そのため、もし使わないのならば、それ相応の対策を施しておいたほうがいいでしょう。
今週の天気は、晴れときどき《反射魔道士》。
《反射魔道士》対策はお忘れなく!
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