By Atsushi Ito
スタンダード4回戦目。混合フォーマットが特徴の『The Last Sun2014』では、ここを乗り切れば昨年とは異なりモダン4回戦に突入する。
ここでは3-0同士の対決から、グランプリ横浜12でのトップ8経験がある宮本と、プロツアーフィラデルフィア11トップ4の中島との対決をお送りしよう。ともにモダンのプレミアイベントでの入賞経験があることから、ここを4-0できればトップ8への期待値がぐんと高まる。是が非でも勝ちたいところ。
特に宮本は去年残り2ラウンドのところで8勝4敗からフィーチャーで負けてトップ8の目を逃した経験もあり、今年こそはという思いも強いだろう。
そんな宮本のデッキは独自に1か月以上の調整を重ねた赤白ミッドレンジ。もともとは第2回BMOで渡辺 雄也がリストを非公開としたジェスカイトークンを目コピして調整していたが、タップインの多さや勝ちへの手順の煩雑さから青を減らして調整していたところ、先日の晴れる屋でのPPTQで同型のデッキが準優勝したこともあり、参考にすると同時に自身のデッキ選択に弾みがついたという。
対し、中島は長らく愛用だったグルールミッドレンジをついに捨て、覚前 輝也・玉田 遼一ら西の強豪が使用して立て続けに好成績を残しているアブザンアグロを使用している。
中島 「さすがに強いカードは使わなきゃダメだなと思って。《包囲サイ》、強いっすね」
我が道を行く宮本と、《包囲サイ》の軍門に下った中島。はたして勝つのはどちらか。
Game 1
先手の宮本がマリガンした挙句、《山》《戦場の鍛冶場》《戦場の鍛冶場》で土地が詰まってしまう。この隙に中島のファーストアクション、《先頭に立つもの、アナフェンザ》が重い一撃を宮本に与える。
それでも《ラクシャーサの死与え》には《稲妻の一撃》を当て、ようやく引き込んだ4マナで《かき立てる炎》を《先頭に立つもの、アナフェンザ》に放つが、中島は落ち着いて2枚目の《先頭に立つもの、アナフェンザ》を展開、そしてこれも《払拭の光》されると、続けて3枚目の《先頭に立つもの、アナフェンザ》!
赤いデッキでこの4/4連打はいかにも厳しい。どうにか虎の子の《岩への繋ぎ止め》で捌ききるが、手札を消耗したところで今度は《真面目な訪問者、ソリン》が立ちはだかる。
これを返しの《嵐の息吹のドラゴン》で落とした宮本だったが、すぐさま2枚目の《真面目な訪問者、ソリン》が降臨。プラス能力で忠誠値を一撃で落とされない「5」とした上で、3/2となった飛行トークンが中島のライフ水準を保ちつつ宮本のライフを削りにいく。
対し宮本も《道の探求者》を追加し、中島がエンド前に《アブザンの魔除け》をドローで撃ったところでトークンを《稲妻の一撃》で除去して一息つこうとするのだが。
中島の《アブザンの魔除け》は、最高の回答をもたらした。
すなわち《包囲サイ》からの《英雄の破滅》!
宮本も2体目の《嵐の息吹のドラゴン》をプレイ、《真面目な訪問者、ソリン》を落として食い下がるが、返しで《包囲サイ》がアタックすると、《道の探求者》がチャンプブロックした上で宮本の残りライフは4。序盤の《先頭に立つもの、アナフェンザ》連打が効いている。さらに戦闘後にダメ押しの《包囲サイ》2体目でライフが1になり、4/5トランプル2体に対して《嵐の息吹のドラゴン》1体のみという状況。
絶望的な状況での宮本のドロー……
宮本 「あっ、残った」
3体目の《嵐の息吹のドラゴン》!
中島 主税 |
中島 「あっ」
宮本 「えっ」
返しで3体目の《包囲サイ》が出てきてゲームセット。
宮本 0-1 中島
Game 2
中島、後手ながら《荒野の後継者》からタップインを処理しつつ《オレスコスの王、ブリマーズ》を《異端の輝き》する最高の立ち上がり。
だが《紅蓮の達人チャンドラ》がプレイされると、このプレインズウォーカーの処理に難儀することになってしまう。
中島のデッキのガンは《嵐の息吹のドラゴン》。プロテクション(白)を持つこの赤い悪魔のために、《英雄の破滅》は出来るだけ手元に抱えておきたい。すなわちこの《紅蓮の達人チャンドラ》は戦闘で落としたいのだが、はたしてそれがかなうかどうか……
それでも中島は《包囲サイ》を展開し、《荒野の後継者》の「獰猛」付きアタックで地道に忠誠値を減らしにいく決断をする。
しかしそれは宮本の思うツボだった。《岩への繋ぎ止め》でサイを動物園に閉じ込めると、《荒野の後継者》も《稲妻の一撃》で処理。さらに中島に《羊毛鬣のライオン》《荒野の後継者》と追加されたところで、《紅蓮の達人チャンドラ》の「0」能力で《稲妻の一撃》をめくって《羊毛鬣のライオン》を処理と、中島の想像を超えた除去の量でクロックを片っ端から捌いていく。
さらに《荒野の後継者》のアタックで忠誠値を「1」とされた返しで再び「0」能力で《嵐の息吹のドラゴン》という「大当たり」を引き当てると、これは中島が予定調和で《英雄の破滅》するものの、手札を減らしていない宮本にとっては痛くもかゆくもない。
そして続くターンに満を持して宮本の手札から《嵐の息吹のドラゴン》が降臨すると、もはや中島の手札にこれを落とす手段は残っていないのだった。
宮本 1-1 中島
Game 3
中島がマリガンながらも《荒野の後継者》《ラクシャーサの死与え》と展開するが、《稲妻の一撃》の連打で捌かれる。それでもめけずに《ラクシャーサの死与え》を送り出すのだが、よく見ると土地が2枚で詰まっている。
対し、この隙にとばかりに2ゲーム目で大活躍した《紅蓮の達人チャンドラ》を送り出す宮本だが、中島が3枚目の土地となる《砂草原の城塞》を引き当てたところで起動した0能力は、《ラクシャーサの死与え》再生マナの残っているところに《かき立てる炎》と、若干「はずれ」気味。仕方なく《払拭の光》で《ラクシャーサの死与え》を処理するが、その隙に今度こそ《英雄の破滅》でプレインズウォーカーを除去されてしまう。
それでも宮本は《静翼のグリフ》を呼び出し、2点ずつだが中島のライフを蝕み始める。
宮本 寛弥 |
一方、ようやく土地を引き始めた中島は《先頭に立つもの、アナフェンザ》でダメージレースを逆転しようと目論むが、《嵐の息吹のドラゴン》が強烈な一撃を与えてくる。仕方なく《英雄の破滅》するが、《静翼のグリフ》が残り少ないライフにプレッシャーをかける。
中島も《先頭に立つもの、アナフェンザ》《羊毛鬣のライオン》と展開してはいるのだが、ことごとく《異端の輝き》で処理されてしまう。
そして、やはりと言うべきか。
宮本が引き込んだ「天敵」……2枚目の《嵐の息吹のドラゴン》が、中島の逆転の芽を綺麗に刈り取ったのだった。
宮本 2-1 中島