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こんにちは。らっしゅです。
【先週末の予報】は「《反射魔道士》に注意!」でしたが、いかがだったでしょうか? はびこる《集合した中隊》系を倒す飛行クリーチャーたちの活躍が目覚ましかったですね。
それでは今週もスタンダードの天気模様を見てみましょう。
■ 【天気模様】未だ「4色《先祖の結集》」の優位揺るがず
先週末の【グランプリ・ヒューストン2016】は、しっかりと対抗策を練っていた参加者たちを嘲笑うかのように、本命筆頭の「4色《先祖の結集》」を選んだOwen Turtenwaldが優勝をさらいました。
「緑白《硬化した鱗》」や「4色カンパニー」など目新しいデッキテクもお披露目されましたが、依然として「4色《先祖の結集》」が王座を譲りません。『ゲートウォッチの誓い』以後はもちろんのこと、かれこれ前環境(~『戦乱のゼンディカー』)の終盤も含めると
これまでの数週間に引き続き、今週もより一層の「4色《先祖の結集》」対策は欠かせないでしょう。先週は「バントカンパニー」や「白系ミッドレンジ」も含めて《反射魔道士》警報を鳴らしましたが、今週は「4色《先祖の結集》」に焦点を絞ってもいいかもしれません。
■ 【デッキ警報】「4色《先祖の結集》」
対策するには敵を知るべし。
まずは「4色《先祖の結集》」の”強み”と”弱み”を見ていきましょう。
1 《森》 1 《島》 1 《平地》 1 《沼》 2 《梢の眺望》 2 《窪み渓谷》 1 《大草原の川》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《汚染された三角州》 3 《進化する未開地》 -土地(24)- 2 《シディシの信者》 4 《エルフの幻想家》 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《ズーラポートの殺し屋》 1 《永代巡礼者、アイリ》 4 《地下墓地の選別者》 4 《ナントゥーコの鞘虫》 4 《反射魔道士》 1 《不気味な腸卜師》 -クリーチャー(28)- |
4 《先祖の結集》 4 《集合した中隊》 -呪文(8)- |
4 《払拭》 3 《アラシンの僧侶》 3 《残忍な切断》 2 《蔑み》 2 《強迫》 1 《苦痛の公使》 -サイドボード(15)- |
☆ “強み”:堅実な勝利手段、高い安定性
《集合した中隊》からの強襲。《ヴリンの神童、ジェイス》と《反射魔道士》のボードコントロール。《先祖の結集》からの一撃必殺。
このように「4色《先祖の結集》」は様々な角度の攻撃を持ち合わせているデッキです。なかでも強力なのは、中盤から終盤にかけての《先祖の結集》による瞬殺。いくつかの条件はありますが、並大抵のデッキでは適当に展開を遅らされているうちにウッカリ決まってしまいます。この環境随一の決定打は、このデッキならではの持ち味です。
また、安定性の高さも見逃せません。
「4色のデッキなのに安定性が高い?」と疑問符が浮かぶ方もいらっしゃるとは思いますが、中盤から終盤に強さのピークを据えるデッキとしてはトップレベルの安定性を誇ります。これは《ヴリンの神童、ジェイス》《エルフの幻想家》《地下墓地の選別者》といった軽いアクセスカードが多いため、得意とする中盤戦以降に向けてしっかりとした地盤作りができるからです。
似た時間帯を得意とする、他のミッドレンジやコントロールの一般的な構成では、1マナから6マナに渡る幅広いマナ域のカードたちが満遍なく採用されているというもの。《アブザンの魔除け》や《苦い真理》など数少ないドロー補助で補強はされていますが、必要な土地の枚数や引くべき呪文のコストバランスなど、不安定な要素を挙げるとキリがありません。
それらと比較すると、コンボコントロールだからこそという側面もありますが、軽いアクセスカードの多い「4色《先祖の結集》」は中盤まで安定して行動し、ゲームの展開に沿って柔軟にこちらの勝ち筋まで繋ぐことができるのです。
Owenのリストは《永代巡礼者、アイリ》と《不気味な腸卜師》が少ない構成になっています。それぞれ2枚になったりと様々なリストがあるものの、これらの優先度は、理想とするゲームプランにおいては、デッキ内の他のカードと比較して低いのです。Owenはそれらの枚数を最低限に抑えることで、”強み”である安定性を重視した素晴らしいリストに仕上げています。
☆ “弱み”:干渉手段の乏しさ、キーカードへの依存
安定していて決定力もある。そんな強力な「4色《先祖の結集》」にも弱点はあります。なかでも根本的な弱点といえるのは、干渉手段が乏しいことです。
干渉手段とは、除去やカウンターやハンデスなど対戦相手の行動を阻害するためのカードです。強いていうならば《反射魔道士》と《シディシの信者》がありますが、どちらも一時的な対処となるバウンスなので、劣勢では文字通り時間稼ぎにしかなりません。
そのため、地上戦はなんとかクリーチャーを総動員して強引に止めるものの、ブロックすらできない飛行クリーチャーにはゲーム終了時まで苦しめられることになります。
最近これらの飛行クリーチャーが人気を集めるのも、そもそもカード同士を交換することができない「4色《先祖の結集》」の弱点を突いたテクニックなのです。
そして、これも構造的な弱点の1つですが、《集合した中隊》は当然ながら、デッキ内に代替効果を持つカードが少ないため、特定のキーカードへの依存が激しいことで知られています。《ナントゥーコの鞘虫》の生け贄効果、《ズーラポートの殺し屋》のドレイン効果などが代表的です。
それを探すために《ヴリンの神童、ジェイス》《エルフの幻想家》《地下墓地の選別者》《集合した中隊》など豊富なアクセスカードが用意されていますが、早すぎるゲーム展開、カウンター呪文や除外系呪文などの妨害が加わると必要なカードにアクセスできずに敗北することも珍しくありません。
「4色《先祖の結集》」は安定してカードを消費し、安定して多くのカードにアクセスすることはできるものの、それは何も最速かつ妨害を乗り越えても達成できるわけではないのです。
また、軽いカードばかりで構成された「4色《先祖の結集》」は、《精霊龍、ウギン》を筆頭とした『重くて強いカード』には滅法弱かったりします。細かなアドバンテージを繋いでコンボまで耐えるデッキなので、大雑把な戦略や効果にはまるで対抗できないのです。
■ 【今週のオススメ】「緑赤エルドラージ」
それでは、「4色《先祖の結集》」の弱点を突いたオススメのデッキを紹介します。今週末のお供にどうぞ。
8 《森》 2 《山》 1 《燃えがらの林間地》 4 《樹木茂る山麓》 4 《ウギンの聖域》 4 《見捨てられた神々の神殿》 1 《荒廃した森林》 -土地(24)- 4 《爪鳴らしの神秘家》 4 《面晶体の這行器》 4 《世界を壊すもの》 2 《龍王アタルカ》 2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 -クリーチャー(16)- |
4 《ニッサの巡礼》 4 《爆発的植生》 4 《ニッサの誓い》 4 《面晶体の記録庫》 4 《精霊龍、ウギン》 -呪文(20)- |
4 《難題の予見者》 4 《焙り焼き》 2 《破滅の伝導者》 2 《龍王アタルカ》 1 《虚空の選別者》 1 《頭蓋書庫》 1 《精霊龍の安息地》 -サイドボード(15)- |
先週も《反射魔道士》に強いデッキということで紹介した「緑赤エルドラージ」です。しばらくは《炎呼び、チャンドラ》を使ったバージョンを試していたりもしたのですが、結局のところそれを廃し、環境に存在する多くのデッキに対して最速でマナ加速する戦略を取るべきだという結論にいたりました。
「4色《先祖の結集》」に対しては、最速の《世界を壊すもの》《精霊龍、ウギン》が非常に強力です。《炎呼び、チャンドラ》や《コジレックの帰還》による細かなリセットは相手の展開に依存することもあり、いまいち何に強くなっているのかが曖昧なカード選択に思えたのです。
幸いなことに現環境にマナクリーチャーを一気に処理できるカードの採用率は低いので、8枚のマナクリーチャーの懸念点は、マナだらけになってしまうくらいです。【グランプリ・ヒューストン2016】でもほぼ同じ構成でTop32に入賞している方がいたので、これが「緑赤エルドラージ」の目指すべき正しい道なのかもしれません。
このデッキの持ち味は『「バントカンパニー」や「4色《先祖の結集》」への対抗策』にこそある、と決めてかかった構築なので、苦手な「赤黒ドラゴン」や「グリクシスドラゴン」には手も足も出ません。もし参加する大会に苦手なデッキタイプが多いならば、サイドボードには数枚の《ヴァラクートの涙》を採用してもいいかもしれません。それでも厳しくはありますが、《嵐の憤怒、コラガン》を叩き落とせるだけでもいくらかは改善されるはずです。
【もっと「緑赤エルドラージ」を探す】
■ 【今週のオタメシ】「青赤エルドラージ」
今週見つけたちょっとオタメシしたい話題のデッキを紹介するコーナーです。メタゲームや流行には興味がないけどスタンダードは好きってあなたにおすすめです。
4 《山》 1 《島》 4 《シヴの浅瀬》 4 《さまよう噴気孔》 3 《急流の崖》 4 《領事の鋳造所》 4 《精霊龍の墓》 2 《繁殖苗床》 -土地(26)- 4 《搭載歩行機械》 4 《面晶体の這行器》 4 《空中生成エルドラージ》 4 《不快な集合体》 1 《作り変えるもの》 4 《難題の予見者》 3 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》 4 《希望を溺れさせるもの》 -クリーチャー(28)- |
4 《焙り焼き》 2 《精霊龍、ウギン》 -呪文(6)- |
4 《払拭》 4 《軽蔑的な一撃》 3 《作り変えるもの》 2 《沸き立つ大地》 2 《ヴァラクートの涙》 -サイドボード(15)- |
みんな大好きSeth Manfieldの【最新記事】で紹介されたChris Fennellとの合作です。既にいくつか元のリストからは変更を加えたのですが、このデッキタイプからはかなり斬新な手応えを感じました。
元記事内でも言及されていましたが、この「青赤エルドラージ」は《幽霊火の刃》と飛行クリーチャーで押し切る【攻撃的なエルドラージ】ではなく、終盤の消耗戦を制するデッキなのです。
鍵となるカードはこの3種類。攻防ともに優秀な《不快な集合体》は、序盤から終盤までデッキの核として活躍してくれます。《希望を溺れさせるもの》はモダン環境ほど圧倒的ではありませんが、《不快な集合体》とのシナジーにも期待できるフィニッシャーにふさわしいカードです。《精霊龍の墓》は珍しいカードかもしれませんが、このデッキが終盤戦まで戦うという根本的なコンセプトを支えている1枚です。
除去が乏しく、重いカードもそこそこあるこのデッキが終盤を戦うには、それまでに失ったライフを補わなければ攻勢に回れません。そこで《精霊龍の墓》はうってつけのカードなのです。ろくに除去も戦闘もせず「青赤エルドラージ」がやってきたことといえば、手札のクリーチャーをひたすら並べることだけです。普通ならば敗北一直線どころか、似たコンセプトでより強力なデッキがあるものですが、このデッキに限っては事情が変わります。
それまで愚直に並べていたクリーチャーたちのおかげで《精霊龍の墓》から多くのライフを得られるからです。このライフ獲得のおかげで不利なダメージレースも挑めますし、安全圏までライフを増やしつつ《精霊龍、ウギン》を待つことだってできるのです。
まだマナベースの問題から試作段階で詰まっているのですが、「青赤エルドラージ」に《変位エルドラージ》を加えた形も悪くなさそうです。中盤から終盤にかけての時間帯でより強くなりますし、《希望を溺れさせるもの》や《ピア・ナラーとキラン・ナラー》とのコンビネーションにはときめく何かがあります。他にもETB能力持ちをコピーできる《鏡の池》なども面白い選択です。
「エルドラージ」=マナ加速かアグロ。という二択の世界を壊して新境地を目指す新デッキ。今週末に使うデッキで悩んでる方はぜひお試しあれ。
【もっと「青赤エルドラージ」を探す】
■ 今週末は「4色《先祖の結集》」に注意!
もういつだって注意すべきデッキですが、Owenのリストが注目された今週末は特に注意すべきデッキになるでしょう。攻略のコツは、
これに伴い《軽蔑的な一撃》や《払拭》などのカウンターが流行しているため、特に《払拭》が刺さるデッキを使っている方は、サイドボード後には最新の注意を!
除去の選択に迷っている方には、《残忍な切断》と《絹包み》がおすすめです。どちらも柔軟性の高い除去ながら、先週末に好成績を残した「緑白《硬化した鱗》」にぐさりと刺さります。
それでは今週末の予報は以上です。良き週末を!
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