高橋優太の目指せ4色ラリーマスター ~その1~

高橋 優太


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これまでのあらすじ

【プロツアー『ゲートウォッチの誓い』で敗北】を喫してしまったタカハシ。

【RPTQ】 (プロツアー地域予選)、【グランプリ・パリ2016】に向けて、スタンダードに一点集中することを決意するのであった。



■ 1.《反射魔道士》を使うべし


ちょうどプロツアーの1週間後に【MOCS】 (Magic Online Championship Series) が開かれたので、上位のリストから有力なデッキと、それぞれに入っている新カードを比較してみる。




どのデッキも強化されているが、スタンダードに最も影響を与えたカードは《反射魔道士》だ。


反射魔道士


「4色ラリー」がこれまで苦しめられていた《先頭に立つもの、アナフェンザ》に対して、メインから対処できるというのは非常に大きい。


先頭に立つもの、アナフェンザ


「次のターンまでプレイできない」ことで実質除去として働き、《集合した中隊》から出たら一気に盤面が有利になり、ゲーム中に何枚引いても嬉しい。

そこで、《反射魔道士》を基準に各デッキを考えてみる。


・バントカンパニー:《反射魔道士》《集合した中隊》を使える。《棲み家の防御者》《死霧の猛禽》で粘り強い。

・4色ラリー:《反射魔道士》《集合した中隊》を使える。以前にも増してプレイ難易度の高いデッキになった。

・ダークジェスカイ:環境に2/3クリーチャーが増えて、《魂火の大導師》《コラガンの命令》が弱くなった。《ゲトの裏切り者、カリタス》は強力だが、マナベースへの負担が大きい。

・赤緑ランプ:《世界を壊すもの》《炎呼び、チャンドラ》で必殺技が増え、中速デッキに対しては無類の強さを誇る。しかしランプ系デッキの弱点として、マナフラッド・マナスクリューで負けやすい。

・アブザンアグロ:《反射魔道士》《集合した中隊》に対して解答を持たない。

・アタルカレッド:環境に2/3クリーチャーが増えて、1/1の群れでは突破できない。


ここで「バントカンパニー」か「4色ラリー」の二択になる。

2つともクリーチャーの性能は似通っているので、《反射魔道士》《集合した中隊》の応酬になるだろう。ただ《先祖の結集》という必殺技がある分「4色ラリー」側が有利に思えたので、「4色ラリー」の練習を始めることにした。


先祖の結集




■ 2.【RPTQ「マドリード」in東京】


2/21、RPTQに参加。デッキは【自分で調整した4色ラリー】



高橋 優太「4色ラリー」
RPTQ「マドリード」in東京

2 《沼》
1 《森》
1 《島》
1 《平地》
3 《窪み渓谷》
2 《梢の眺望》
1 《大草原の川》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》
3 《吹きさらしの荒野》
3 《進化する未開地》

-土地(25)-

2 《シディシの信者》
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
3 《ズーラポートの殺し屋》
3 《永代巡礼者、アイリ》
4 《反射魔道士》
4 《不気味な腸卜師》
3 《ナントゥーコの鞘虫》
2 《異端の癒し手、リリアナ》
1 《肉袋の匪賊》
1 《無慈悲な処刑人》

-クリーチャー(27)-
4 《先祖の結集》
4 《集合した中隊》

-呪文(8)-
3 《アラシンの僧侶》
3 《先頭に立つもの、アナフェンザ》
2 《払拭》
2 《強迫》
2 《残忍な切断》
2 《影響力の行使》
1 《無限の抹消》

-サイドボード(15)-
hareruya



一般的なリストと異なる点は以下。


・4色ゆえに色事故が起こりやすいため、なるべく緑マナを薄くして、序盤は<青><白><黒>のみで動くように変更。《エルフの幻想家》なしで序盤のドローが減っているので、土地自体を25枚に増量。

《先祖の結集》によるコンボ勝ちだけではなく、盤面を作って中速ビートダウンとして動けるように構成。

・コンボパーツだが、ゲーム中に1枚引けばよいカードは3枚に減量。 (《ズーラポートの殺し屋》《ナントゥーコの鞘虫》)


とんでもない!とんでもない!!


今思い返すと、信じられないほど弱いリストだ!

まず《永代巡礼者、アイリ》《不気味な腸卜師》を多く投入していることで、単体除去が多いデッキに対して弱い。


永代巡礼者、アイリ不気味な腸卜師


除去耐性がある《エルフの幻想家》《地下墓地の選別者》を抜いてしまったことで、デッキの序盤の動きが不安定になってしまっている。


エルフの幻想家地下墓地の選別者


対アブザンや同型用に《影響力の行使》をサイドに取ったが、そもそも重すぎて使えない。


影響力の行使


しかし基盤は「4色ラリー」なため、【5-2で11位】という結果。リストが悪くてもそこそこ勝ててしまい、デッキ性能の高さを改めて感じる。

プレイもデッキ構築も非常に難しいが、極めれば最強のデッキ。練習し甲斐があるというものだ。



■ 3. Owen Turtenwald優勝


RPTQの1週間後、【グランプリ・ヒューストン2016】で「4色ラリー」が優勝する。



Owen Turtenwald「4色ラリー」
グランプリ・ヒューストン2016(優勝)

1 《森》
1 《平地》
1 《島》
1 《沼》
2 《梢の眺望》
2 《窪み渓谷》
1 《大草原の川》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》
3 《進化する未開地》

-土地(24)-

2 《シディシの信者》
4 《エルフの幻想家》
4 《ズーラポートの殺し屋》
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
1 《永代巡礼者、アイリ》
4 《ナントゥーコの鞘虫》
4 《反射魔道士》
4 《地下墓地の選別者》
1 《不気味な腸卜師》

-クリーチャー(28)-
4 《先祖の結集》
4 《集合した中隊》

-呪文(8)-
4 《払拭》
3 《アラシンの僧侶》
3 《残忍な切断》
2 《強迫》
2 《蔑み》
1 《苦痛の公使》

-サイドボード(15)-
hareruya



【らっしゅの記事】にもあるように、4枚ずつのカードが多く、デッキの安定性を重視した美しいデッキリストだ。

早速75枚コピーして回す。そして自分のリストとの違いに驚愕する。

強い、強いよこのデッキ……何度も言うが《エルフの幻想家》《地下墓地の選別者》抜きの「4色ラリー」とは安定感が段違いだ。

Owenのプレイを参考にするため、【グランプリ・ヒューストンの動画】を全部チェックする。

驚くべきことに、これだけ複雑なデッキで全くミスをしない!そしてプレイが早い!



※画像は【MAGIC: THE GATHERING】より引用させていただきました。


どちらも彼の膨大な練習量を表すものだ。感嘆するとともに、やる気が湧き上がってくる。

今のスタンダードは非常に面白い。この環境の大きなイベントに参加したい。もっと「4色ラリー」で上達したい。そうして、グランプリ・パリ (スタンダード) への参加を決意するのであった。



■ 4. 土地基盤


「4色ラリー」は多色カードが数多く入っており、また<白><白>のダブルシンボルが必要なので、土地の置き方が難しいデッキだ。基本的な土地パターンは以下の三種。




理想的なパターンは【A】だ。


島沼梢の眺望


これなら《地下墓地の選別者》《反射魔道士》の両方をプレイすることができて、《不気味な腸卜師》《シディシの信者》というパターンも行いやすい。

【B】は【A】の次に良いが、《森》《平地》だと4ターン目以降に2回行動したい場合に不自由する。


森平地窪み渓谷


また《平地》が場にあると《進化する未開地》が白マナ換算できなくなってしまい、《先祖の結集》を撃ちたい場面で困ることがある。

【C】には、《反射魔道士》が出せない欠点がある。


森沼大草原の川


それぞれ最初にバトルランドを持ってくる選択肢もあるので、2ターン目《ヴリンの神童、ジェイス》《エルフの幻想家》どちらかに合わせて持ってくると良いだろう。


ヴリンの神童、ジェイスエルフの幻想家


また、なるべく避けたいパターンもある。


【D】《島》《森》→バトルランド各種


これだと3ターン目の時点では黒マナか白マナどちらかが出なくなってしまい、《窪み渓谷》を持って来るとその後の<白><白>に苦労する。


島森窪み渓谷


フェッチの優先度は《吹きさらしの荒野》が最初、次に《汚染された三角州》、最後に《溢れかえる岸辺》だ。


吹きさらしの荒野汚染された三角州溢れかえる岸辺


序盤に必要なマナは<青><白><緑>なので、なるべく最初に《吹きさらしの荒野》を使っていく。《溢れかえる岸辺》《梢の眺望》《窪み渓谷》両方にアクセスできるため、なるべく最後まで取っておこう。


梢の眺望窪み渓谷



次回はそれぞれのクリーチャーについて解説していこう。

ではまた。


高橋優太



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