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こんにちは。らっしゅです。
まずは先週のスタンダードシーンの様子から見ていきましょう。
■ 【先週の天気】「ミッドレンジ」の大活躍と「4色《先祖の結集》」に陰り
先週末は、電脳世界では【MO PTQ 0312】 (以下MO PTQ) が、日本では【PWC Championship 2016】 (以下PWCC) と【第6期スタンダード神挑戦者決定戦】が開催されました。
【MO PTQ】では、中速以降のデッキたちがまばらに活躍するなか、最終的にはCantuの「4色《先祖の結集》」が優勝を掴みました。スイス予選ラウンドでは《森の代言者》型の「緑赤エルドラージ」が奮闘し、いよいよ「4色《先祖の結集》」も苦しいか、と期待も膨らみましたが、準決勝での敗退とあと一歩及ばなかったようです。
9 《森》 2 《山》 2 《燃えがらの林間地》 4 《樹木茂る山麓》 4 《見捨てられた神々の神殿》 4 《ウギンの聖域》 -土地(25)- 4 《森の代言者》 4 《世界を壊すもの》 2 《龍王アタルカ》 1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 -クリーチャー(11)- |
4 《コジレックの帰還》 4 《ニッサの巡礼》 4 《爆発的植生》 4 《ニッサの誓い》 3 《面晶体の記録庫》 2 《炎呼び、チャンドラ》 3 《精霊龍、ウギン》 -呪文(24)- |
4 《ジャディの横枝》 3 《焙り焼き》 2 《カル・シスマの風》 2 《塵への崩壊》 1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 1 《ムラーサの胎動》 1 《炎呼び、チャンドラ》 1 《精霊龍、ウギン》 -サイドボード(15)- |
日本で開催された【PWCC】と【第6期スタンダード神挑戦者決定戦】では、菅沼 貴之の「エスパードラゴン」や安田 真幸の「グリクシスコントロール」など「青系コントロール」が目覚ましい活躍を見せていました。印象的だったことは、【山川 洋明原案の「エスパーミッドレンジ」】で多くの人が好成績を残していたことです。このあたりの流行は日本ならではの特徴かもしれません。
気になる「4色《先祖の結集》」は、高橋 優太が【PWCC】で2位に入賞した以外には姿すら見えず、どうにも振るわない週末だったようです。
当日のデッキ分布などのデータが手元にないため、あくまでも結果からの推察にはなりますが、日本では「4色《先祖の結集》」攻略の兆しが見えてきたのかもしれません。《払拭》や《精神背信》がメインボードから飛び交い、しっかりと飛行クリーチャーが採用されていることは「4色《先祖の結集》」デッキにとって向かい風でしょう。
今週末には【グランプリ・パリ2016】が開催されます。この大型オープンイベントでは真に強力なデッキの姿が見えてくるはずです。「4色《先祖の結集》」に陰りが見えた先週末を経て、いよいよ現環境の総決算を迎える今週末の結果からは目が離せません。
■ 【今週の天気】「青系エルドラージ」と「エスパードラゴン」に注目!
さて、今週末の予報に参りましょう。
依然として強力な「4色《先祖の結集》」ですが、他のデッキも進歩と対策を重ねてきたことで、これまでにあった優位は埋まりつつあります。これは先週末に電脳世界でも日本でも見られた景色です。
それでは今週はどうなるのか?
おそらく大きな変化はなく、先週末の模様を繰り返すことになるでしょう。これは結局のところ「4色《先祖の結集》」が駆逐されたわけではなく、特定のデッキが大失敗するような変化も見られなかったからです。デッキ構造やカード選択の前提は変わらず、先週に成功した戦略は、また今週も成功する可能性は高いと思われます。
”対策されていた「4色《先祖の結集》」が減るのでは?”という疑問はもっともですが、【MO PTQ】では最終的に優勝しているように、メタゲーム上の立ち位置が多少悪い程度では覆せないほど高いポテンシャルを持っているデッキなので、その数が激減するということはないでしょう。
さて、仮に先週と変わらない構図だとすれば、改めて何を選ぶべきなのか。これが今週のテーマとなります。ここで活かすべき情報とは、”先週末はなにがなぜ勝ったか”です。
【MO PTQ】では「4色《先祖の結集》」、【PWCC】では「エスパードラゴン」、【第6期スタンダード神挑戦者決定戦】では「青赤エルドラージ」。こうして優勝したデッキを並べると、なんともバラバラな結果に見えるものですが、「エスパードラゴン」と「青赤エルドラージ」には奇妙なことに共通点があります。
それは中速のデッキ全般に対して強いことです。
「4色《先祖の結集》」及び《反射魔道士》の流行から、「アタルカレッド」など地上戦を得意とする速いデッキは環境から退場し、今ではほぼすべてのデッキが中速かそれ以降のデッキです。そのような環境で勝利するための条件は、シンプルに考えるならば同じ時間帯で戦うデッキに強いことになります。
半年前に「ダークジェスカイ」など中速のデッキを喰い物にした「エスパードラゴン」。新進気鋭のディスラプションである「青系エルドラージ」。この2つの”ミッドレンジキラー”が今週末も好成績を残すことになりそうです。
■ 【今週のおすすめ】「青単エルドラージ」
今週はズバリ「青単エルドラージ」がおすすめです。
11 《島》 4 《シヴの浅瀬》 1 《ヤヴィマヤの沿岸》 4 《精霊龍の墓》 4 《領事の鋳造所》 1 《精霊龍の安息地》 1 《ならず者の道》 -土地(26)- 4 《面晶体の這行器》 4 《次元潜入者》 4 《空中生成エルドラージ》 2 《破滅を導くもの》 4 《つむじ風のならず者》 4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 2 《氷瀑の執政》 -クリーチャー(28)- |
2 《頑固な否認》 4 《幽霊火の刃》 -呪文(6)- |
4 《作り変えるもの》 3 《次元の歪曲》 3 《軽蔑的な一撃》 2 《氷固め》 2 《死者を冒涜するもの》 1 《頑固な否認》 -サイドボード(15)- |
このデッキの持ち味は、中長期戦を戦える粘り強さにあります。《幽霊火の刃》《精霊龍の墓》《領事の鋳造所》など余ったマナを注ぎこむ先が用意されているため、いわゆるラグと呼ばれる何も進展しないターンが少ないのです。
また、《つむじ風のならず者》や《領事の鋳造所》など横に戦線を伸ばすトークン戦略。
《難題の予見者》《現実を砕くもの》《幽霊火の刃》という一点突破。
《次元潜入者》《空中生成エルドラージ》による飛行ビート。
など多彩な攻撃手段をもっているため、生半可に防御的なデッキ程度は一息に踏み潰してしまいます。メインボードに除去が入っていないため、こちらよりも細かく速いデッキを苦手としますが、現環境でそのようなデッキは少ないのです。のびのびと一方的な攻め手として振る舞えること。これが現環境における「青単エルドラージ」の魅力です。
このリストでは《面晶体の這行器》となっていますが、これが《エルドラージのミミック》となりマナカーブがやや前傾したリストもあります。
どちらも一長一短といった印象を持っていますが、より早く4マナ域の《つむじ風のならず者》《難題の予見者》を展開したいことや、《領事の鋳造所》の確実な起動を見据えると、《面晶体の這行器》がやや勝りそうです。
序盤のゲーム展開が安定しないことがあるので、いっそどちらも採用して2マナ域を増量するのも悪くないと思います。未だ発展途上ながらデッキコンセプトはしっかりと強力なので、好みの調整を加えてみてください。
■ 【今週のおためし】「バントトークン」
3 《森》 3 《平地》 1 《島》 2 《梢の眺望》 2 《大草原の川》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《溢れかえる岸辺》 2 《樹木茂る山麓》 3 《伐採地の滝》 1 《ヤヴィマヤの沿岸》 -土地(25)- 4 《森の代言者》 2 《爪鳴らしの神秘家》 2 《層雲の踊り手》 4 《空中生成エルドラージ》 4 《反射魔道士》 4 《風番いのロック》 -クリーチャー(20)- |
2 《ドロモカの命令》 3 《ニッサの誓い》 2 《絹包み》 4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(15)- |
3 《払拭》 2 《アラシンの僧侶》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《神聖なる月光》 2 《荒野の確保》 2 《勇敢な姿勢》 1 《ランタンの斥候》 1 《挑発の咆哮》 -サイドボード(15)- |
今週なかばに登場した新型の「バントトークン」です。以前から《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《荒野の確保》という欲張り戦略を用意した「緑白大変異」の亜種はいましたが、《空中生成エルドラージ》と《反射魔道士》でデッキの基盤を綺麗に整えたものはこれが初めてです。
構造的には日本で人気の「エスパーミッドレンジ」と酷似しています。エスパーには最強除去である《残忍な切断》がありますが、バントにはその代わりとして《森の代言者》と《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》が用意されています。元より《空中生成エルドラージ》《反射魔道士》《風番いのロック》などグッドスタッフの塊であることがチャームポイントなデッキタイプなので、更なるグッドスタッフが追加されることは喜ばしい変化でしょう。
まだあまり触れていないのですが、《残忍な切断》がないだけ”受け”が弱いので、《絹包み》や《爪鳴らしの神秘家》といったゲームのリズムに影響するカードが強いと感じました。上のリストでは2枚に収まっていますが、どちらも増やしてもいいかもしれません。
《ニッサの誓い》は本当に難しいカードです。
このリストを初めて見たときには「《ニッサの誓い》って邪魔じゃないのかな?」と疑っていたのですが、実際に使ってみると、想像以上に便利かつ重要なカードだということがわかりました。《風番いのロック》や《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》など何枚でも欲しいカードを探す手段は貴重だったのです。
しかし、当然ながら《ニッサの誓い》は、デッキの貴重なカードスロットと、緑1マナを要求してきます。能力を鑑みるに本来ならば4枚必須な類のカードだと感じるのですが、その代わりに何を抜くべきかが見えてこなかったのです。それぞれのカードに優先順位を付けられれば問題ないのですが、グッドスタッフほどそれが難しいデッキはありません (なんといっても全てが単品で優秀なのですから)。
まだ登場して数日と、できたてほやほやのデッキなので、調整する余地は多く残されていると思います。「デッキの調整には自信があるぜ!」そんなあなたにぜひともおすすめしたいデッキです。
■ 今週末は復習テスト!
先週末とほぼ同じ局面にあるので、先週末の成功は再び繰り返し、先週末の失敗は糧になるはずです。
「4色《先祖の結集》」「マルドゥグリーン」「グリクシスコントロール」「アブザンアグロ」など、登場人物は変わらないなかで、最高の選択肢を改めて選べます。デッキタイプを変えてもいいですし、数枚の取捨選択で悩んだものを選びなおしてもいいでしょう。
先週の後悔を今週の成功に!それでは良い週末を!
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