コマンダー塚本の統率者最前線! vol.1 -統率者戦とは何だ!-

塚本 樹詩





 プレイヤー諸君、Здравствуйте!

 縁あって晴れる屋さんにて記事を書くことになった塚本です!ご存知の方も、初めましての方もよろしくお願いします!

 タイトルを見ればわかる通り、僕の連載では「統率者戦」について扱っていきます。

 記念すべき初回のこの記事では、そもそも「統率者戦」とは何ぞや?という基本的な部分から触れていきますので、存在は知っていたり、気になっているプレイヤーは、この機会にまずルールやゲーム全体の概要だけでも覚えてくれたら幸いです!

 「統率者戦」のルールについては以下をご参照ください。


【ルール】
・初期ライフは40

・ゲーム開始時に「伝説のクリーチャー」1体を指定し、統率領域に置く。この「伝説のクリーチャー」を統率者と呼ぶ。

統率者が統率領域にある場合、オーナーはそれを統率領域から唱えることができる。統率領域から統率者を唱えるときは通常のコストに加えて、それ以前に統率領域から唱えられていた回数につき追加で(2)を必要とする。

・統率者が墓地や追放領域に置かれるとき、オーナーは代わりにそれを統率領域に置くことができる。

・通常のマジックの敗北条件に加えて、ゲームの間に、単一の統率者から21点以上の戦闘ダメージを受けたプレイヤーはゲームに敗北する。


【構築ルール】

統率者に指定できるのは伝説のクリーチャーのみである。

指定した統率者の固有色以外のカードは入れることができない。また、テキストに指定した統率者の色以外のマナ・シンボルが書かれたカードは入れることができない(無色は可)。

基本土地以外の同名カードは1枚しか入れることができない。デッキ枚数は、統率者1枚と上記の構築を守った99枚にしなければならない。



■ 1. 普段のマジックと何が違うの?


 普段のマジックと違う点としては、大きく分けて以下の3つがあります。


・多人数戦を推奨している
・山札も初期ライフも多い
・統率者と呼ばれるデッキのリーダーがいる


● 多人数戦を推奨している

 順を追って説明しますと、まずは『多人数戦を推奨している』についてですが、プレイヤー諸君たちの間では4人で遊ぶのが主流のようなので、この記事でも大原則として4人で遊ぶフォーマットとして書かせていただきます。

 ただし、必ずしも4人でないとだめ!というわけではないので、そこはご安心を!


● 山札も初期ライフも多い

 次に『山札も初期ライフも多い』についてです。

 普段、プレイヤー諸君が遊んでいるマジックはリミテッド戦が40枚から、構築戦では60枚+サイドボード最大15枚からで遊ばれていると思いますが、「統率者戦」ではデッキ枚数が (統率者を含めて) 100枚!さらにライフはいつもの倍の40点でスタート!と普段とは規模の違うゲームであることが想像できる初期設定ですね。


● 統率者と呼ばれるデッキのリーダーがいる

 次に『統率者と呼ばれるデッキのリーダーがいる』こと。

 これが最も特徴的でして、99枚で構築されるデッキとは別に1枚だけ伝説のクリーチャーを選び、統率者とします。そして、選んだ統率者を『統率者領域』と呼ばれる特殊な領域に置き、ゲームが開始されます。

 難しい単語のように聞こえますが、簡単です。あなたがクリーチャーを召喚できるタイミングであれば、いつでもマナを支払い統率者領域から統率者を召喚してもいいのです。

 もしも召喚した統率者が戦場から離れてしまった場合でも、代わりにあなたは統率者を統率者領域に戻すことを選択できます。こうして統率者領域に戻ってきた統率者を再び召喚できるようになります。ただし、この方法で統率者を召喚する場合、2回目以降は2マナずつコストが重くなっていくのでご注意を!


● 補足: 統率者ごとのデッキ構築上の制限

 最後に補足です。あなたが組むデッキ99枚は、基本土地以外のカードは同名のカード1枚ずつでないといけませんが、ほかにも統率者を決めた時点で、統率者のカード内に含まれるシンボルと同じ色のカードもしくは無色のカードでデッキを組むことになります。


スリヴァーの女王鐘突きのズルゴ鉄のゴーレム、ボッシュ


 《スリヴァーの女王》《鐘突きのズルゴ》《鉄のゴーレム、ボッシュ》という3体の統率者を例に詳しく説明すると、


《スリヴァーの女王》→デッキに入れられるカードに制限はなし!

《鐘突きのズルゴ》赤いカードと無色のカードのみ採用可能。「変身」して色が変わってしまうカード、別の色を含む分割カード、混成マナのカード、テキスト欄に<赤>以外の色のシンボルが書かれているカードは入れられません!

《鉄のゴーレム、ボッシュ》→テキスト内に<赤>のシンボルがあるので《鐘突きのズルゴ》のパターンと同じ!


 となっています。こうしてみるとガッチガチの制約&制約に見えますが、デッキにたくさんの種類のカードを入れることになるので、毎回デッキが違った顔を見せるようになるのです!

 「統率者戦」とは、似たような役割のカード群を探す楽しみ、限られた制限での強さの追及、縛られることに対しての快感など、面白い要素が溢れているフォーマットなのです!



■ 2. じゃあ具体的に何が面白いの?


 この記事を読むプレイヤー諸君は、デッキを組んでスリーブに入れてシャッフルするだけでも数分経っていたり、一人回しを延々としてしまうくらいマジック中毒だと思われるので、どんなフォーマットであれ一定以上の楽しさを感じやすい土壌ができているかと思われますが、一応先ほどの3つの要素に沿って統率者戦の面白さについて解説してみます。


● 多人数戦を推奨している→対戦相手が増えることで強くなるカードがある!

 対戦相手の数がいつもよりも多いので『すべてのプレイヤー~』『他のプレイヤー~』と書かれたテキストの強さがX倍になります。中には『対戦相手1人につき~』といったテキストもあるので、そういったカードたちが輝いてくれます。このように対戦相手やプレイヤー全てに影響を及ぼすカードを探し出し、効果的に使えることが上達の一歩ですね。


吸魂種子生まれの詩神露骨な窃盗


 さらに、《凶運の首輪》《議会の採決》のように特定のプレイヤーと仲良く?できるようなカードを使うことによって、統率者戦の持つパーティーゲームのような側面も味わえるので、多人数戦で戦うことに楽しみながら慣れてくれると幸いです!


凶運の首輪議会の採決


● 山札も初期ライフも多い→勝利条件を満たすために様々な工夫が楽しめる!

 山札もライフも多いとなると、最も影響が大きいのは勝利条件です。

 デッキ枚数が100枚もあるとなると、ライブラリーアウトで勝つのは気の遠い話!しかも対戦相手は一人ではないので、地道に削るには無理がありますね!そして初期ライフも40点なので、いつものマジックの感覚でクリーチャーを展開して攻撃をしても全員を倒すころには日が暮れてしまいそうです。なので、勝つためにはそれなりの工夫をしないといけなくなりますね!

 ところが冒頭のルール説明にも書いてあるように、統率者戦には「ライフがゼロになる」という通常のマジックの敗北条件とは別に隠された要素があります。それは……


 同一の統率者から21点以上の戦闘ダメージを受けると、何とそのプレイヤーは敗北してしまいます!

 わかりやすく目撃談を話しますと、B君の統率者《今田家の猟犬、勇丸》がC君を攻撃しているときに、D君が《今田家の猟犬、勇丸》《憎悪》を唱え、ライフを19点支払い「+19/+0」の修正を与えました。《今田家の猟犬、勇丸》から21点のダメージを受けたC君は突然敗北しました。you must die!!


今田家の猟犬、勇丸憎悪


 この事案からもわかる通り、40点のダメージを与えるよりは統率者での21点ダメージを与える方が簡単なので、統率者にオールインした構築をするのもいいですね!また、毒カウンターが10個溜まると敗北してしまうのは、この世界でも同じことなので、「感染」を持つクリーチャーを使うのも効率がいいですよ!


セラの高位僧フェリダーの君主ネクロポーテンス


 他にも、初期ライフが40点であることからライフを参照するカードや、ライフをリソースに変換できるカードが強くなっていることにも注視してください!


● 統率者と呼ばれるデッキのリーダーがいる→どんなデッキを組むのも思いのまま!

 いわば統率者とは、常に手札にあるキーパーツとしてカウントしても差し支えないので、統率者とコンボになるカードがあればそれは実質1枚コンボも同然なのです!


カーの空奪い、プローシュ食物連鎖

簡単に無限トークン+クリーチャーに使える無限マナ!


 このように統率者はコンボパーツとして選んでもいいですし、前述の通り統率者のダメージや、毒カウンターで勝つための統率者の選択もあります。


山賊の頭、伍堂荒廃のドラゴン、スキジリクス最後のトロール、スラーン


 ただ単に制限なくデッキを組みたいので5色の統率者を選んだりするのも自由です、「プレイヤー諸君がどう勝ちたいか」を優先してデッキを組むのが、このフォーマットの一番の肝なので、まずは好き勝手組んでみましょう!





 さて、とはいってもいきなり「100枚デッキを組む」というのは大変です。僕も一番最初にデッキを組んだときは、「欲望のままに選んだ250枚くらいの候補カードから150枚くらいを削る」といった、機知の欠片もないような工程を経て完成させたくらいです。

 ですので、オーソドックスな展開ではありますが、次回は統率者戦のデッキの作り方について解説していきますので、よろしくお願いします!

 それではプレイヤー諸君До свидания!



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