By Hiroshi Okubo
ついにそのヴェールのすべてを脱ぎ捨てた【『イニストラードを覆う影』のカードギャラリー】。
やはり多くのレガシープレイヤーにとって最大の注目点は「レガシー級のカードはあるかどうか」だろうが、実際に蓋を開けてみるまでカードの強弱を判定するのはなかなか難しい。ここではあえて列挙することはしないが、「レガシーでワンチャンある」そう言われて埋没してきたカードがどれほどあることか……
だがしかし、常日頃から多くのカードに触れ、プロプレイヤーならば、その命題に深く切り込むことができるかもしれない。
そこで、今回は現役でプロツアーを巡っているプレイヤーや、プロツアー経験者を中心にインタビューを試みた。
加茂 里樹 【プロツアー『ニクスへの旅』】出場
加茂 「《秘蔵の縫合体》とか可能性を感じますね。やっぱり本命はドレッジみたいなデッキだと思うんですけど、戦場に戻ってくるのに(条件はあれど)マナもかかりませんし、ほかのデッキでも可能性があるかもしれません」
松本 友樹 BIGMAGIC所属プロ/【RPTQ『イニストラードを覆う影』東京大会】権利獲得
松本 「《氷の中の存在》は強いと思います。2マナと軽いですし、ストームみたいなスペルを多用するコンボデッキのサイドボードに採用されるかもしれません。《僧院の導師》にも強いですよね」
安田 真幸 プロツアー『イニストラードを覆う影』出場予定
安田 「まぁやっぱ《侵襲手術》やないかなぁ……もともとレガシーでは《被覆》が使われてますし、その上位互換だったら使われると思います。《ギトラグの怪物》も5マナはちょっと重いですけど、コンボ的な使い道があるのでおもしろそうですよね」
安田 「あとは個人的に《謎の石の儀式》には期待してますね。《調和の中心》と組み合わせたら、《大地の知識》的な動きができそうな気がしません? レガシーならではの使い道があるんじゃないかと」
行弘 賢 Dig.cards所属プロ/【第5期モダン神挑戦者決定戦】準優勝
行弘 「《秘蔵の縫合体》はドレッジで使われる可能性があるよね。戻ってくるのが終了ステップなのが玉に瑕だけど、ドレッジは意外とクロックを刻むデッキでもあるからパワー3のゴツさがいいし、ブロッカーにもなるのが好印象」
行弘 「他には《石の宣告》とか、ミラクルに採用される可能性がありそう。同型対決で《天使への願い》でトークンを出されても処理できるしね」
高橋 優太 Hareruya Pros所属/【The Last Sun 2015】トップ4
高橋 「【前も言ったとおり】《氷の中の存在》は強いと思うよ。あとは《秋の憂鬱》とか。レガシーは『昂揚』を達成しやすいし、変身後の4/4呪禁トランプルはさすがに驚異的だよね」
高橋 「レガシーではたまに《情け知らずのガラク》が使われてるから、《アーリン・コード》ももしかするとどこかに居場所を見つけるかも」
高橋 「話は変わるけど、【両面カードのルール変更】で《仕組まれた爆薬》は少し強くなるかな? 《昆虫の逸脱者》と《僧院の速槍》を同時に処理できるようになるし、今後はプレイングにも影響してくるかも」
5名のプレイヤーの意見には意外にもバラつきが見られたが、《秘蔵の縫合体》と《氷の中の存在》はそれぞれ2名のプレイヤーから強そうだという声が挙がった。
やはりレガシーでは「墓地利用カード」や「軽めのスペルと相性のいいカード」の評価が高いことが伺える。高橋は「レガシーは『昂揚』を達成しやすい」と述べていたが、フェッチランドなどのナチュラルな墓地肥やしに加えて《納墓》や「発掘」のようなカード(メカニズム)があるため、『イニストラードを覆う影』にはまだまだ他にもレガシーで使用され得るカードがあるかもしれない。
また、安田の「《謎の石の儀式》と《調和の中心》を組み合わせる」という発想もおもしろい。この2枚の影響下であれば《野生の朗詠者》や《炎樹族の使者》はマナ加速と化すなど、様々な化学反応が起こりそうだ。
カードプールの広範なレガシーならではのシナジーやコンボがあるかもしれない。『イニストラードを覆う影』がリリースされる4月8日(金)が楽しみだ。