もとより、この「2016 Asia Vintage Championship」に参加しているプレイヤーは誰もがヴィンテージ界では強豪中の強豪、いずれ劣らぬ名の知れた猛者たちばかりなのだが。
そんな中でもトップクラスの実力を持っているプレイヤーをあえて選ぶとすれば、ヴィンテージ的には若輩に過ぎない八十岡 翔太や中村 修平ではなく、まずこの男の名が挙がることだろう。
Menendian Stephen。
まだヴィンテージの大型大会の開催頻度が少ない日本ではあまり知られていないかもしれないが、Menendianといえばヴィンテージとなれば本場アメリカでは名前が挙がらないことはないほど有名なプレイヤーなのだ。
そんな優勝候補筆頭のMenendianに、自身のことや今回のデッキのことなどについてインタビューさせてもらった。
--「Menendianさんは伊藤(裕道)さんと同じく、ヴィンテージで最も大きな大会の1つである、アメリカのVintage Championshipの優勝経験があるという話ですが」
Menendian「2004年にトップ8、2007年には優勝、2011年にもトップ4に入賞したことがあるね」
--「3回も入賞されているんですか!そんなにヴィンテージをやり込んでいるなんて、一体いつからマジックをやってらっしゃるんでしょうか?」
Menendian「始めたのは1993年の12月だったかな。『アラビアンナイト』が発売した後くらいだと思うよ」
--「それはもう最古参のプレイヤーなんですね。そういえばかつて開催されていた、優勝するとオリジナルのカードが作れる招待制の大会、【マジックインビテーショナル2007】にも出場されていたとか」
Menendian「そうだね、今回のAVCでたまたま再会した中村 修平や八十岡 翔太ともそこで一緒だった。対戦したことは今でも覚えているよ」
--「それは面白い縁ですね。さて今回のデッキについてですが、オーソドックスな『メンター』を持ち込んでいるとのこと。ですが一体なぜ『メンター』を選択されたのでしょうか?」
Menendian「僕は《噴出》というカードがとても大好きなんだ。このカードはカードアドバンテージ、テンポアドバンテージなど、複数の面においてアドバンテージがとれる超強力なカードで、このカードのヴィンテージにおける強さを説明するために“UNDERSTANDING GUSH: STRATEGY & TACTICS”という本を出したことがあるくらいだよ」
--「それほどまでに《噴出》というカードを評価していると。つまりこの『メンター』というデッキは、《噴出》を最もうまく使えるデッキだから選択した、ということですね」
Menendian「《僧院の導師》との相性は言うまでもないし、《ダク・フェイデン》の『+2』能力で手札に戻した《島》を有効牌にすることもできるからね。《噴出》のためのデッキといっても過言ではないと思うよ」
--「ちなみにこのデッキで最も悩んだ/入れ替えうるカードはどこの部分ですか?」
Menendian「1枚差しの《石のような静寂》かな。もし『メンター』同型が多ければ《瞬唱の魔道士》の方が良いところなんだけど、Staxなど、《石のような静寂》が刺さるデッキの方が多いだろうと踏んだんだ」
--「このデッキは誰と調整されたんですか?」
Menendian「LSV (Luis Scott-Vergas) やRandy Buehlerといった【Vintage Super League】のメンバーとだね」
--「Menendianさんは【Vintage Super League】の出場者でもあるんですね。ちなみに今回のAVCもVSLに負けず劣らず強豪たちが揃っていると思うんですが、他の21人の中で一番手ごわいと思うプレイヤーは誰でしょうか?」
Menendian「やっぱり同じくVintage Championshipの優勝経験がある伊藤 裕道が一番手ごわいと思うよ」
--「最後に、ヴィンテージをこれから始めたい/興味がある人に向けて、ヴィンテージのどんな部分が面白いのかをお伝えいただけるとありがたいです」
Menendian「それはもう“Exciting”なところだね!」
--「ありがとうございました、ぜひ本戦も頑張ってください!」
アメリカのトッププロたちとヴィンテージ対戦企画の配信などを通じて調整を続けるMenendianは、間違いなくヴィンテージ環境の最先端に立っている。
ヴィンテージで勝てるようになりたい人は、「《噴出》マスター」Menendian Stephenの著書をチェックしてみるといいかもしれない。
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする