高橋純也のデッキ予報 vol.7 -白々明けの『イニストラードを覆う影』環境-

高橋 純也





 こんにちは。らっしゅです。

 『イニストラードを覆う影』が導入されてまもなくの第1週を終え、おぼろげながらも新環境の輪郭が見えてきました。今週のデッキ予報では、先週に行われた大型トーナメント【SCG Standard Open Baltimore】の結果をもとに、これからのスタンダード環境を見据えるための要点と疑問について話します。

 まずは新環境を語るうえでの前提となる「SCG Standard Open Baltimore」の様子を見てみましょう。



【前提】 『イニストラードを覆う影』環境の白い夜明け

 4月9日に開催された「SCG Standard Open Baltimore」は、もはや恒例となった”最新セット発売直後のSCG Open”として世界中から注目を集めていました。なぜなら発売直後に開催される大型イベントは少ないため、誰でも参加できるオープントーナメントにもかかわらず、その結果こそが”新環境の出発点“だという暗黙の了解があるからです。

 キッチンプレイヤーからプロツアー参加者まで。誰もが待望したSCG Openを制したのはJim Davisの「バントカンパニー」でした。



Jim Davis「白青緑《集合した中隊》
StarCityGames.com – Standard Open 2016/04/10 Baltimore(優勝)

3 《森》
3 《平地》
2 《島》
4 《大草原の川》
3 《梢の眺望》
4 《伐採地の滝》
1 《要塞化した村》
1 《港町》
4 《進化する未開地》

-土地 (25)-

4 《薄暮見の徴募兵》
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《森の代言者》
1 《棲み家の防御者》
1 《隠れたる龍殺し》
4 《跳ねる混成体》
4 《反射魔道士》
2 《不屈の追跡者》
1 《巨森の予見者、ニッサ》
2 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー (27)-
3 《ドロモカの命令》
4 《集合した中隊》
1 《オジュタイの命令》

-呪文 (8)-
3 《否認》
2 《ランタンの斥候》
2 《翼切り》
2 《石の宣告》
2 《聖トラフトの祈祷》
1 《棲み家の防御者》
1 《隠れたる龍殺し》
1 《不屈の追跡者》
1 《オジュタイの命令》

-サイドボード (15)-
hareruya


 《薄暮見の徴募兵》と数種類の『イニストラードを覆う影』のカードを除けば、《ヴリンの神童、ジェイス》《反射魔道士》《集合した中隊》の3枚を軸に構築された、旧環境然とした見慣れた「バントカンパニー」の形をしています。環境初期においては、見慣れた(強さが証明されている)構成のデッキは、ただそれだけで強力です。以前の強靭なマナベースは失われたものの、デッキの核はそのまま残っていたことが試作品だらけの環境初期を制する原動力となりました。


薄暮見の徴募兵ヴリンの神童、ジェイス反射魔道士集合した中隊


 【Frank Karstenの記事】によると、2日目時点で会場には9.9%しかいなかった「バントカンパニー」は、Top64には15.9%も顔を見せていたそうです。このことから優勝したという実績だけではなく、ただただ強力なデッキである可能性が高いことが窺えます。

 しかし、上位入賞デッキの顔ぶれを見ると「バントカンパニー」の印象はやや薄まって感じられるかもしれません。旧環境からのエリートを押し退けて上位を独占していたのは、見渡すかぎりの「白系人間」だったのです。



Kellen Pastore「白単人間」
StarCityGames.com – Standard Open 2016/04/10 Baltimore(2位)

19 《平地》
1 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地 (20)-

4 《スレイベンの検査官》
3 《ドラゴンを狩る者》
3 《アクロスの英雄、キテオン》
3 《町のゴシップ屋》
2 《探検隊の特使》
4 《白蘭の騎士》
4 《サリアの副官》
3 《ハンウィアーの民兵隊長》
2 《領事補佐官》

-クリーチャー (28)-
4 《石の宣告》
3 《グリフの加護》
3 《永遠の見守り》
2 《停滞の罠》

-呪文 (12)-
3 《荒野の確保》
3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
2 《ウェストヴェイルの修道院》
2 《フェリダーの仔》
2 《絹包み》
1 《ランタンの斥候》
1 《神聖なる月光》
1 《停滞の罠》

-サイドボード (15)-
hareruya


 これは惜しくも決勝戦で敗退した「白単人間」です。土地20枚の内訳が《平地》19枚、《ウェストヴェイルの修道院》1枚と、『テーロス』以来となる基本地形ばかりのマナベースには懐かしさを感じます。

 気になる戦略は、横に並べた人間達を《サリアの副官》《永遠の見守り》によって強化するというシンプルなもの。1マナ域のクリーチャーを15枚も採用しているため、少しでももたついた相手は圧倒的な展開力の前に押しつぶされてしまいます。環境初期で周囲のデッキが不安定なものが多かったであろうことは、このデッキにとって朗報だったに違いありません。

 
サリアの副官永遠の見守り


 こちらの「白単人間」では《グリフの加護》を加えてまでも、マナ域を低く抑えて手札の展開力を優先しています。しかし、すべての「白系人間」が肉抜きのメッシュ張りかというと、そんなこともありません。「白青」や「白緑」といった亜種は、2色目を迎え入れることでカードの質を優先させています。《反射魔道士》《龍王オジュタイ》《ドロモカの命令》など、1色を追加してでも使いたい良質なカードを用意しているのです。


反射魔道士龍王オジュタイドロモカの命令


 それにしても「人間」のシナジーが強力だとはいえ、なぜここまで「人間」が人気を集めたのかというと、英語圏の戦略記事でこぞって紹介されていたこともありますが、それ以上に《石の宣告》が優秀だったからだと思われます。《流刑への道》以来の万能除去は2マナのソーサリーながら、あらゆる難敵でも捌けるのです。白いアグロデッキが活躍するのは、いつだって白い軽量除去が強い時代です。《剣を鍬に》然り。《流刑への道》然り。そして《石の宣告》もまた然りです。


剣を鍬に流刑への道石の宣告




Brad Nelson「白黒エルドラージ」
StarCityGames.com – Standard Open 2016/04/10 Baltimore(21位)

6 《平地》
2 《沼》
4 《コイロスの洞窟》
4 《乱脈な気孔》
3 《戦場の鍛冶場》
3 《放棄された聖域》
1 《ラノワールの荒原》
2 《荒廃した湿原》
1 《崩壊する痕跡》

-土地 (26)-

4 《白蘭の騎士》
3 《面晶体の這行器》
2 《永代巡礼者、アイリ》
4 《変位エルドラージ》
1 《作り変えるもの》
4 《難題の予見者》
4 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー (22)-
4 《石の宣告》
2 《究極の価格》
2 《苦渋の破棄》
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
2 《死の宿敵、ソリン》

-呪文 (12)-
3 《悲劇的な傲慢》
2 《現実を砕くもの》
2 《強迫》
2 《精神背信》
2 《骨読み》
2 《悪性の疫病》
1 《永代巡礼者、アイリ》
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-サイドボード (15)-
hareruya


 強力な《石の宣告》とともに『イニストラードを覆う影』の看板を背負うのは、みんな大好きな《大天使アヴァシン》です。「白黒エルドラージ」は《永代巡礼者、アイリ》《変位エルドラージ》の力をもって、どのデッキよりも《大天使アヴァシン》を有効利用することをコンセプトに構築されています。

 5マナ4/4瞬速飛行警戒に加えて「変身」した際の誘発型能力も強力。こんなふざけた《セラの天使》はどう使ってもある程度は強いのですが、その真価を最大限に発揮させることは、それだけで1つのデッキが成立するほど強固なコンセプトだったようです。《変位エルドラージ》によって任意のタイミングで破壊不能がつき、《永代巡礼者、アイリ》があればむら気な天使の第1面・第2面のコントロールも容易になります。


永代巡礼者、アイリ変位エルドラージ


 クオリティ、シナジー、レアリティと3拍子の揃った、当大会以前からよく目にするデッキタイプでしたが、Brad NelsonやMichael Majorsなどの有名プレイヤーが結果を残したことでより高い人気を獲得しそうです。


大天使アヴァシン石の宣告永遠の見守り


 以上が「SCG Standard Open Baltimore」で登場した主要なデッキたちです。「バントカンパニー」を除いては白を主色に据えたデッキばかりという極端な結果となりました。この3枚のように見るからに強力かつ使いやすいカードが人気を集めるのは自然なことです。はじまりは真っ白。ここからどのようなデッキがいかなる思惑で登場してくるのでしょうか。

 さあ、予報に取り掛かかるとしましょう。



【話題1】 「白系人間」はいつまで強いのか?

 「SCG Standard Open Baltimore」のTop8に4人も顔を見せた「白系人間」は、現在のスタンダード環境において最もセンセーショナルなデッキの1つでしょう。そんな好成績を収めたデッキにつきまとう話題といえばこれだけです。

 ”このデッキはいつまで強いのか?

 現実世界ではじゃんけんのように綺麗にはいきませんが、グーが流行ればパーが、パーが流行ればチョキが、とイタチごっこが繰り広げられるのは常(とことわ)なることです。昨日まで最強だったデッキが、明日になってみれば最弱の可能性もあります。デッキの強度といいますか、「攻略されやすさ」というものは重要な観点なのです。

 それでは「白系人間」はどうかというと、その強度は低く、攻略されやすいデッキタイプに当たります。

 理由は大きく分けて2つあります。まず、ひとつは、”リセット効果に弱い“からです。手札から軽量クリーチャーを展開するデッキなのですが、ゲーム開始時以降に手札を増やす手段がなく、1枚のカードで対戦相手の複数枚のカードと交換できるほどクオリティの高いカードもありません。そのため、一度戦場の優位が崩れたが最後、そこから立て直す手段を持ち合わせていないのです。こちらの戦場を1枚で壊滅させる《衰滅》《悲劇的な傲慢》《炎呼び、チャンドラ》には滅法弱いことで知られています。


衰滅悲劇的な傲慢炎呼び、チャンドラ


 またひとつは、”不安定な効果量をもつカードに依存している“からです。

 デッキの核である《サリアの副官》《永遠の見守り》の価値は、戦場にどれだけ多くのクリーチャーを維持できるかによって大きく変化します。1~2ターン目に展開した3体のクリーチャーが残っていれば強力極まりないカードになりますし、戦場に1体もいなければ到底コストに見合わないカードに早変わりするのです。つまり、対戦相手から除去やブロッカーで妨害される度に、デッキの核をなすカードの価値が下がっていくことになります。

 このデッキが警戒されていなければ、相手がろくな抵抗もせずに勝利することもあるかもしれませんが、そうでなければ《焦熱の衝動》《アヴァシンの裁き》などの軽量除去に見舞われ、《サリアの副官》《永遠の見守り》の効果は想定を下回ることでしょう。


焦熱の衝動アヴァシンの裁き


 さて、冒頭の”いつまで強いのか?“に立ち返ると、その答えは”先週まで“になります。

 「白系人間」のように攻略されやすいデッキは、決して弱いデッキではありませんが、もっとも力を発揮する時期は限られています。先週末のように誰もが手探りの状況では大勝したものの、「白系人間」の存在が知れ渡った今週はその限りではないはずです。

 《否認》《荒野の確保》など、「白系人間」側にも対抗策は残されていますが、まず一度は苦境に追い込まれてからの話になるでしょう。



【話題2】 「バントカンパニー」と「白黒エルドラージ」の強さの秘密は?

 「白系人間」も気になるところですが、なんだかんだで期待がかかっているデッキは、Jim Davis、Brad Nelsonなどの有名プレイヤーが使用した「バントカンパニー」や「白黒エルドラージ」です。これらは「白系人間」が多くいた先週末を勝ち抜いたデッキであり、そのデッキリストもまだ完成とは程遠い荒削りな風貌を見せています。まさにこれからの活躍に期待したいデッキだといえるでしょう。

 色もコンセプトもまるで違う2つのデッキですが、意外にも共通点があります。それは”対峙した際のプレイングが難しい“ことです。「はぁ?」という声が聞こえてきそうなものですが、ここは落ち着いて聞いてみてください。どちらもゲームの勝敗に直結するようなインスタントトリックがあるため、一見するとなんてことのない状況でも想像以上に大きなリスクを背負わされることがあるのです。

 「バントカンパニー」には《集合した中隊》《オジュタイの命令》の2択がありますし、「白黒エルドラージ」はたっぷり4枚の《大天使アヴァシン》がこちらの攻撃宣言を待ち受けているのはもちろん、戦闘を離れても《永代巡礼者、アイリ》《変位エルドラージ》が複雑に干渉してきます。迂闊な攻撃はどちらのデッキに対しても命取りになりかねません。


集合した中隊オジュタイの命令永代巡礼者、アイリ変位エルドラージ


 【Jim Davisが自身の記事】で語っているように、《集合した中隊》《オジュタイの命令》の選択を迫るさまは、悪名高い「青黒フェアリー」の《霧縛りの徒党》《謎めいた命令》の2択にも似ています。かつてほどの理不尽さはないものの、依然としてプレイヤーに選択を押し付けてくる4枚の土地は脅威です。「白黒エルドラージ」にはこのような2択はありませんが、飛び出してくるものが確実に《大天使アヴァシン》だとわかっていることは、それはそれで憂鬱なものです。

 このようなインスタントトリックは対戦相手のミスを誘引するため、デッキのポテンシャルを見た目以上に高めてくれます。各々がやりたいことをやるだけの環境初期は、多くのデッキがインスタントスピードの駆け引きに対応できるように構築されていません。よほど研究が進まないかぎりは「バントカンパニー」と「白黒エルドラージ」は今週も成功を収めるでしょう。



【話題3】 これからのスタンダード環境の要点はなに?

 これまで「SCG Standard Open Baltimore」で登場した主要のデッキタイプの魅力と、これからについて簡単に触れてきました。では、いよいよ核心へと迫ることにしましょう。これからのスタンダード環境を紐解くには、一体何が必要なのか。第1週を終えた今、いくつか思い当たる要素があるので、それらを紹介しましょう。


・「白系人間」対策を怠らないこと

 今週末は勝たないと予想した「白系人間」ですが、それは弱いデッキだからではなく、対策されやすい単純なデッキ構造をしているからです。《焦熱の衝動》で1ターン目から1枚ずつ丁寧に除去したり、《衰滅》などの全体除去でまとめて流したり、《不毛の地の絞殺者》で1対2の交換を要求するなど、軽量クリーチャーへの対抗策はしっかりと用意しておきましょう。油断をすると手がつけられない類のデッキなので、徹底的だと思えるくらいの準備が適当かもしれません。


不毛の地の絞殺者焦熱の衝動衰滅



・優秀な白除去をかわすこと

 「SCG Standard Open Baltimore」のTop16に入賞した14人がか《反射魔道士》《石の宣告》の最低でもどちらかを採用していました。対象にさえ取れればどんなクリーチャーでも対処できる万能な除去である2枚は、白の全盛期を象徴するかのような使用率を誇っています。これほどまでに見かけるとなると、これらの2枚をかわす工夫が必要になるでしょう。ただ重いクリーチャーなどは言語道断!重いクリーチャーを使いたいならば戦場に出た時点で仕事を果たすものに限ります。

 また、どちらもソーサリースピードの除去なので、《大天使アヴァシン》などの瞬速持ちは立派な対策です。どのデッキもこれらを採用していることを逆手に取って、いっそのことクリーチャーを採用しないというのもひとつの手です。


反射魔道士石の宣告



《集合した中隊》《大天使アヴァシン》に翻弄されないこと

 「バントカンパニー」と「白黒エルドラージ」の強さを説明する際に、インスタントスピードの脅威について話しました。戦闘中、あるいはターン終了時の状況に応じて助っ人を展開されるため、その緩急に振り回されないためにも、必ずインスタントスピードで干渉する手段を用意しておきましょう。自ら《集合した中隊》《大天使アヴァシン》を使ってもいいですし、《シルムガルの嘲笑》《オジュタイの命令》のようなカウンター呪文も効果的です。

 《集合した中隊》《大天使アヴァシン》によって致命的な損害を受けないようなデッキを構築できればいいのですが、それはなかなかの難題に違いありません。


シルムガルの嘲笑オジュタイの命令


 これらは主にこれまでの話題の総括に近い内容ですが、先週末の結果とこれからを結びつける上でどれも大事な要点となります。

 その上で、今週末は特に”「白系人間」対策を怠らないこと“を重視しましょう。まだ基本的にはクリーチャーデッキばかりの環境なので、本格的なコントロールが登場するまではクリーチャーデッキへの対策は多すぎるくらいでも問題ありません。

 予想される今後の環境の推移はというと、「白系人間」に強いボードコントロールが登場し、更にそれを倒すための青系コントロールが遅れて登場して一段落といった形になりそうです。《時を越えた探索》を失ったことでドロー能力に難を抱える青系コントロールが代わりにどのようなアドバンテージ獲得手段を見つけるのかについては、ぜひとも注目したいポイントです。


【今週のオススメ】 「エスパードラゴン」


「エスパードラゴン」

4 《島》
3 《沼》
1 《平地》
4 《大草原の川》
4 《窪み渓谷》
4 《進化する未開地》
4 《詰まった河口》
2 《乱脈な気孔》

-土地 (26)-

4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《龍王オジュタイ》
2 《龍王シルムガル》

-クリーチャー (10)-
4 《闇の掌握》
4 《シルムガルの嘲笑》
4 《忌呪の発動》
4 《苦い真理》
2 《苦渋の破棄》
2 《衰滅》
2 《オジュタイの命令》
2 《死の宿敵、ソリン》

-呪文 (24)-
2 《払拭》
2 《強迫》
2 《否認》
2 《精神背信》
2 《破滅の道》
2 《死の重み》
1 《衰滅》
1 《悪性の疫病》
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》

-サイドボード (15)-
hareruya



 今週末のオススメは「エスパードラゴン」です。

 「白系人間」には全体除去とライフコントロール、他の中速のボードコントロールに対してはカウンター呪文とドロー能力で差をつけます。デッキの根幹をなす《龍王オジュタイ》は比較的《石の宣告》《反射魔道士》の影響を受けにくいカードではあるので、現状の白いデッキの人気を踏まえると好ましいフィニッシャーといえます。白いデッキばかりであろう今週末にはうってつけのデッキです。

 《シルムガルの嘲笑》《忌呪の発動》という2種類のドラゴン呪文は、デッキコンセプトと環境ともにマッチしています。特に《忌呪の発動》、前環境ではがっつりと4枚採用されるほどの人気はありませんでしたが、この環境の「エスパードラゴン」では3枚以上は採用したいところです。

 その理由は、《時を越えた探索》を失ったことでドロー呪文の核が《苦い真理》になり、何かしらでライフの補填が必要となったからです。《オジュタイの命令》も《浄化の天使、アヴァシン/Avacyn, the Purifier》への解答だけでなく、4点回復モードの恩恵を期待して採用しています。


詰まった河口シルムガルの嘲笑龍王オジュタイ


 ただ、一見すると万能に見える「エスパードラゴン」ですが、実はかなりの無理を通しているデッキとして知られています。それはマナベースとドラゴン呪文の不安定さが原因です。

 《シルムガルの嘲笑》《闇の掌握》と2マナ域からして2種類のダブルコストを要求しますし、デッキにはたった6枚のドラゴンしか採用されていないため、ドラゴン呪文の効果も常に100%の力を期待できるわけではありません。特にサイドボード後の戦いにおいては、《精神背信》などの手札破壊が頻繁に飛んでくるため、ドラゴンを手札に維持することはより難しくなります。

 青白黒のコントロールというコンセプトはいいものの、所々の無理が祟っているデッキなので、いっそのことドラゴン関係の要素を取り除いてしまうのも1つの手かもしれません。青白黒のコントロールといえば「エスパードラゴン」という日々がもう1年ほど続いてきましたが、以前ほどマナベースも強いわけではありませんし、《時を越えた探索》を失ったことで遅いゲームにおける盤石さも揺らいできています。

 しかし、それでも環境は「青白黒のコントロール」を求めています

 現状の「エスパードラゴン」という形では無理が見え始めていることも事実ですが、現環境にハマるような新しい形が見つかればそれはきっと素晴らしい結果を残すことでしょう。それはドラゴンからは離れたものかもしれませんし、また新しい形の「エスパードラゴン」かもしれません。

 今週末に使ってみようかなと検討している方は、是非ご自身で思いついたアイデアや構成を試してみてください。環境的に、状況的には、とても強いデッキタイプながらいまだ完成度は低い。このジレンマを超えれば一躍最強デッキに名乗り上げることでしょう。



【まとめ】 今週末は「白系人間」の真価が試される!

 新環境の第1週を勝利して先頭に踊りでたのは「白系人間」でした。しかし、強いデッキの筆頭候補として、このまま環境に生き残れるかどうか。プロツアー『イニストラードを覆う影』の開催を目前に控えて、いよいよ役者が出揃うであろう今週末は「白系人間」の真価が試されます。

 果たしてコントロールは登場するのか。「バントカンパニー」と「白黒エルドラージ」はどう変化するのか。今から今週末の結果が楽しみです。

 それでは、加熱してきた新環境を思う存分楽しみましょう!



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