グランプリ・東京2016を一週間後に控え、プレイヤーたちの調整も最終段階に入ってきていることだろう。
まだ【グランプリ・トロント2016】の結果もこれから届くとはいえ、それほど大きなメタゲームの変動はないのではないか、と考えられる。
ということは、今回のゲームデーのトップ8は、グランプリ当日のメタゲームを占う上でもかなり重要な参考資料になると考えられる。
そんなわけで、ここでは2日間のゲームデーのトップ8に関して、個人的に重要だと感じたポイントをいくつかピックアップしてみた。
■ 1. 黒緑アリストクラッツの同型対策は?
「黒緑アリストクラッツ」といえばこの1~2週間の間に一気に勢力を増したデッキだが、ここまで流行しているとなると、同型対策にも気を払っておきたいところだ。
「黒緑アリストクラッツ」の同型戦といえば、互いに地上は無限に固められる上に、互いに《ゲトの裏切り者、カリタス》を出し合ったりして勝負が決まらない、といった盤面が想定される。
自分が先に《ウェストヴェイルの修道院》を引けば話は早いが、それは相手にとっても同じ条件だ。
無論「《ナントゥーコの鞘虫》によるビート」や「《ナントゥーコの鞘虫》と複数体の《ズーラポートの殺し屋》」といったデッキ本来の勝ち筋を妨害する手段もまた、疎かにはできない。
つまり同型対策カードは、「《ゲトの裏切り者、カリタス》《ウェストヴェイルの修道院》《ナントゥーコの鞘虫》に触れるカード」であることが望ましい、ということになる。
とはいえ、そのような厳しい制約を潜り抜けるカードが存在するのか?と思うかもしれない。だが、今回のトップ8に入った「黒緑アリストクラッツ」はきちんとそれをクリアするカードを採用している。
2日間で準優勝&優勝と圧倒的な成績を収めたスズキの日曜日の方のデッキのサイドボードには、《穢れた療法》が採用されていた。このカードは《ズーラポートの殺し屋》勝ちを防ぎつつ《ゲトの裏切り者、カリタス》のコンバット性能も半減させる上に、《不敬の皇子、オーメンダール/Ormendahl, Profane Prince》の一方的なクロックも牽制できるという点で、「黒緑アリストクラッツ」同型戦において面白い効果を発揮しそうだ。
また他にも、サイドボードのみ青をタッチして《龍王シルムガル》を採用した形もあった。これも《ナントゥーコの鞘虫》と《ズーラポートの殺し屋》が並ぶのを邪魔できる上に、相手の《ゲトの裏切り者、カリタス》や《不敬の皇子、オーメンダール/Ormendahl, Profane Prince》を奪い取れる可能性もあるという点で、同型対策としても頼もしい。また、《薄暮見の徴募兵》で探しにいける点もグッドだ。
グランプリ・東京2016でも「黒緑アリストクラッツ」の隆盛が続くのかはわからないが、もし持ち込むつもりでいるのなら、こういった同型を意識したカードチョイスが必要になってくると思われる。参考にしてみるといいかもしれない。
■ 2. 《末永く》はグランプリで台風の目となるのか?
このゲームデー2日間のトップ8、合計16デッキの中でも最も異彩を放っているデッキといえば、間違いなくこのデッキだろう。
15 《沼》 4 《コイロスの洞窟》 2 《シヴの浅瀬》 4 《精霊龍の安息地》 -土地 (25)- 4 《搭載歩行機械》 3 《ファルケンラスの後継者》 4 《闇告げカラス》 4 《精神壊しの悪魔》 3 《現実を砕くもの》 1 《アンデッドの大臣、シディシ》 2 《龍王シルムガル》 2 《龍王コラガン》 -クリーチャー (23)- |
4 《闇の掌握》 2 《骨読み》 2 《悪意の調合》 4 《末永く》 -呪文 (12)- |
3 《強迫》 3 《無限の抹消》 2 《歪める嘆き》 2 《衰滅》 2 《死の重み》 2 《悪性の疫病》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード (15)- |
そう、黒単《末永く》である。
《末永く》で《龍王コラガン》を釣り上げるというのは早くから注目されていたところではあるが、この形はなかなかに斬新で、かつ、こうしてデッキとして見せられてみれば納得の構成だ。
というのも、このデッキのコンセプトは明確に飛行ビートダウンだからである。《ファルケンラスの後継者》《闇告げカラス》《精神壊しの悪魔》といった面々は、墓地に龍王を落としつつ空からダメージを刻む役割を担っている。
《闇の掌握》《悪意の調合》《現実を砕くもの》といったラインナップで攻守を入れ替える能力に長けている点も地味に手強そうである。
この《精神壊しの悪魔》と《末永く》の組み合わせは、グランプリ・東京2016でも活躍するのだろうか?カバレージや生放送にも注目だ。
■ 3. 黒系ミッドレンジ、黒系コントロール……時代は「黒」?
実はこの2日間のトップ8デッキ、合計16デッキを分類すると (1人だけカウントが重複するが) 、以下のようになる。
5人……黒緑アリストクラッツ
3人……バントカンパニー
2人……白緑トークン
2人……ジャンドミッドレンジ
4人……その他(黒単《末永く》/グリクシスコントロール/マルドゥミッドレンジ/スゥルタイミッドレンジ)
3人……バントカンパニー
2人……白緑トークン
2人……ジャンドミッドレンジ
4人……その他(黒単《末永く》/グリクシスコントロール/マルドゥミッドレンジ/スゥルタイミッドレンジ)
そしてここから主要なメタデッキである「黒緑アリストクラッツ」「バントカンパニー」「白緑トークン」を除いてみると、なんと黒系ミッドレンジ/コントロールの台頭という事実が浮かび上がるのである。
その裏には、白緑というカラーリングの中速デッキであるバントカンパニー/白緑トークンに対し、黒系ミッドレンジ/コントロールが対応してきているというメタゲーム的な進展があるのかもしれない。
だが、この週末の勝者は最終的には「黒緑アリストクラッツ」だった。となれば黒系ミッドレンジ/コントロール側も、《ゲトの裏切り者、カリタス》を増量するなど、それなりの対応をしてくることだろう。
はたしてグランプリ・東京2016の勝者はどんなデッキになるのか。あと一週間足らずだが、参加される皆さんはぜひとも自分のデッキを磨き上げ、優勝を目指してほしい。
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