皆さんこんにちは。らっしゅです。
【プロツアー『イニストラードを覆う影』】が終わり、「バントカンパニー」と「白系人間」が主流の環境は過ぎ去りました。今週末に開催される【グランプリ・東京2016】ではどのようなデッキが活躍するのでしょうか?
まずはプロツアー以後の、スタンダード環境の変容を見ていきます。
【話題1】新しい2つのリーダー
【プロツアー『イニストラードを覆う影』】で多くのボードコントロールが勝利した結果、スタンダード環境には大きな変化が訪れました。プロツアーでは会場の半分の席を埋めた「バントカンパニー」と「白系人間」は数を減らし、代わりに、プロツアーのTop8に登場したデッキタイプが流行し始めたのです。
「赤緑ゴーグルランプ」「黒緑《過ぎ去った季節》」「エスパーコントロール」。十人十色のTop8はさながらアイデアの宝庫でしたが、幾度となくテストされ改良された結果、特に有力なデッキタイプは2つにまで絞られました。
その2つとは「緑白トークン」と「黒緑アリストクラット」です。
8 《森》 7 《平地》 4 《梢の眺望》 4 《要塞化した村》 3 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地 (26)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《搭載歩行機械》 4 《森の代言者》 4 《ラムホルトの平和主義者》 4 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー (20)- |
4 《ドロモカの命令》 2 《荒野の確保》 4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文 (14)- |
3 《石の宣告》 2 《進化の飛躍》 2 《翼切り》 2 《次元の激高》 1 《優雅な鷺、シガルダ》 1 《龍王ドロモカ》 1 《荒野の確保》 1 《停滞の罠》 1 《隔離の場》 1 《悲劇的な傲慢》 -サイドボード (15)- |
Steve Rubinが【プロツアー『イニストラードを覆う影』】を制した「緑白トークン」が依然としてスタンダード環境の王者に君臨しています。紛らわしいデッキ名から混乱する人も多いのですが、この「緑白トークン」はトークン戦術に頼ったデッキではなく、ただただ単純に優秀なカードを右から左に詰め込んだグッドスタッフだということです。
もちろんトークンはたくさん出てくるので「緑白トークン」という名前も間違ってはいないのですが、それ以上に1枚1枚のカードのクオリティの高さを持ち味にしています。
対戦相手に1枚1枚のトレードを要求し、もし1枚でも撃ち漏らせば、それだけで致命傷を与えかねません。《森の代言者》《ラムホルトの平和主義者》《搭載歩行機械》という2マナ域の3種類ですら放置すれば見過ごせない脅威になるのです。ましてや《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》や《大天使アヴァシン》が残りでもすれば即座にゲームが壊れてしまうことは想像に難くないでしょう。
2色で事故することは少なく、(上のレシピには入っていませんが)《ニッサの誓い》が安定性をもたらし、引いてくるカードは極上。クリーチャーが対策されてもプレインズウォーカーという二の矢がある。なんだか要素を並べてみるだけでも強そうな「緑白トークン」は、現スタンダード環境において間違いなく最高のデッキです。
8 《森》 4 《沼》 4 《風切る泥沼》 4 《ラノワールの荒原》 3 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地 (23)- 4 《膨れ鞘》 4 《壌土のドライアド》 4 《エルフの幻想家》 4 《ズーラポートの殺し屋》 4 《薄暮見の徴募兵》 4 《ナントゥーコの鞘虫》 4 《地下墓地の選別者》 2 《異端の癒し手、リリアナ》 -クリーチャー (30)- |
4 《集合した中隊》 3 《謎の石の儀式》 -呪文 (7)- |
4 《精神背信》 4 《究極の価格》 3 《ゲトの裏切り者、カリタス》 2 《肉袋の匪賊》 2 《不屈の追跡者》 -サイドボード (15)- |
Channel Fireballが世に広めた「緑黒アリストクラット」は、「緑白トークン」ほどではありませんが、たしかな実力をもったデッキタイプとして注目を浴びています。このデッキの何よりの魅力は、戦場の膠着を苦にしないところです。2枚の《森の代言者》でビタリと戦場が封鎖される光景は、《ズーラポートの殺し屋》と《不敬の皇子、オーメンダール》が控える「黒緑アリストクラット」にとってはむしろ望ましい展開にもなりえます。
「黒緑アリストクラット」が単純な1枚1枚の性能で勝負するデッキではなく、《ズーラポートの殺し屋》《ナントゥーコの鞘虫》《ウェストヴェイルの修道院》の3枚を中心に構築されているシナジーデッキであることは、現在の環境では強みとして働きます。1枚1枚のクオリテイで戦うデッキでは「緑白トークン」と真っ向から勝負することになりますが、このようなカード間のシナジーを重視したデッキならば3枚 vs 3枚のように複数枚を組み合わせた総合力で戦うことができるのです。
この2つのデッキは先週末に【グランプリ・トロント2016】や【MOPTQ】など世界中で大流行しました。おそらく今週末の【グランプリ・東京2016】において最も警戒すべきデッキたちとなるでしょう。
これらが牽引するスタンダード環境を戦いぬくためには何が必要なのか。それでは、それを紐解くための鍵を探しにいきましょう。
【話題2】4ターン目《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を巡る攻防
「緑白トークン」が流行して以来、先手4ターン目の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》への解答は、あらゆるデッキに要求される必須項目となりました。
一見すると簡単そうにも思えるお題ですが、これが意外と複雑で難しいことが「緑白トークン」の人気を支えています。
はたして何が難しいのか。まずはここから整理してみましょう。
第一に挙げられるのは、「緑白トークン」には《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》も採用されている、ということです。
3ターン目に登場した《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》を前に1枚の《破滅の道》を握ったプレイヤーにできることは、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が登場しないことを願いながら《破滅の道》を叩きつけることだけです。このように8枚のプレインズウォーカーが採用されている「緑白トークン」対して、3~4枚の除去呪文だけで対抗することは難しい、と思われます。
またひとつは、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》に対応するために最低でも1手1ターンを費やしてしまうことです。これは特にソーサリーの《破滅の道》を使う際の問題として知られています。
たとえ4ターン目の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の返しに《破滅の道》で除去することに成功しても、その最高ともいえる交換はどう転んでも、こちらの損にしかならないのです。対戦相手には2/2の騎士が残りますし、次なる脅威を展開する主導権は相手が握っています。
この2つはボードコントロール系が抱える悩みですが、その他のアグロやミッドレンジの場合は更に深刻です。なぜなら直接的にプレインズウォーカーを対処する手段がないため、そもそも処理できずにターンを返すことも珍しくないからです。当然ながら処理できなければ不利なままゲームが進行してしまいます。
ここまでの話でわかることは、現環境においては《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が強いということです。【グランプリ・トロント2016】のTop8には6つのデッキに20枚も採用されており、ボードコントロールが活躍した後の環境らしく、攻撃的なプレインズウォーカーが幅をきかせる状況が続いています。
それでは、いよいよ《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を攻略する方法へと話を進めましょう。今回おすすめするのは以下の3つの方法です。
1.インスタントの対抗手段を用意する
もっとも単純な解答かもしれません。上で紹介した後者の問題は、返しの自分の1ターンを費やして処理していることが根底にあります。つまり相手の4ターン目のなかで処理できれば大きな問題にはなりません。そこで《否認》などのカウンター呪文や《苦渋の破棄》のようなインスタントスピードの対応策を用意することが重要です。
2.4マナ以下のクリーチャーを採用する
除去呪文だけではすべてのプレインズウォーカーを処理するには手数が足りません。そこで重要になるのはクリーチャーを採用することです。《衰滅》を軸にするボードコントロールは、《衰滅》の効果を最大化するため、あるいは《反射魔道士》を避けるためにクリーチャーの数は最低限まで減らすことが昨今の流行でした。しかし、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》という脅威に対抗するためには、呪文だけではなく、クリーチャーも必要になります。
ここでなぜただ除去呪文を水増ししないかというと、それは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》には騎士トークンがついてくるからです。《森の代言者》や《ゲトの裏切り者、カリタス》など、騎士トークンの存在を無視できるようなサイズのクリーチャーを用意することで、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》に圧力をかけるとともに、それを除去呪文で対処した際にも主導権を一方的に奪われることを避けられます。
3.除去呪文を水増しする
8枚のプレインズウォーカーをもつ「緑白トークン」に対抗するには、そもそも除去の枚数が足りないという話をしました。そこで単純な改善案として、それらを多く採用してしまえばいいのです。ただ、いたずらにプレインズウォーカー対策を増やすのではなく、《ヴリンの神童、ジェイス》や《ゴブリンの闇住まい》といった再利用できるシステムを用意することをおすすめします。
《ヴリンの神童、ジェイス》は最近ではやや評価の低いカードでしたが、これからのスタンダードでは再び重宝されるでしょう。ゲームの速度が全体的に遅くなり、再利用したい呪文にも目処がついてきたからです。《ゴブリンの闇住まい》もプレインズウォーカーを巡るゲームが増えてくるとともに評価を上げてきました。4/4威嚇というスタッツも《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》や《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》に対して確実な圧力を与えてくれます。
以上が《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》に対応する方法です。特に1つ目のインスタントスピードの対応は重要かもしれません。これは自分が《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を使う際に、後手でも相手の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》に悩まされずに済むからです。基本的に先手の先出しゲーが通説のプレインズウォーカーの鏡打ちですが、3ターン目にインスタントで対応することで逆転することができます。
7 《沼》 4 《平地》 4 《コイロスの洞窟》 4 《放棄された聖域》 4 《乱脈な気孔》 3 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地 (26)- 3 《ゲトの裏切り者、カリタス》 -クリーチャー (3)- |
4 《荒野の確保》 4 《闇の掌握》 2 《究極の価格》 4 《骨読み》 3 《苦渋の破棄》 2 《破滅の道》 3 《衰滅》 2 《次元の激高》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 3 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 2 《死の宿敵、ソリン》 -呪文 (32)- |
3 《石の宣告》 3 《神聖なる月光》 3 《精神背信》 2 《保護者、リンヴァーラ》 2 《強迫》 1 《苦渋の破棄》 1 《闇の誓願》 -サイドボード (15)- |
これは1.と2.を取り入れた「黒白コントロール」です。なんとも古典的な構成ですが、パーマネントを多めに採用していることが特徴かもしれません。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》《死の宿敵、ソリン》に加えて、序盤から中盤を支える《ゲトの裏切り者、カリタス》もしっかりと3枚採用されています。
5 《沼》 1 《山》 1 《島》 4 《燻る湿地》 2 《窪み渓谷》 3 《進化する未開地》 4 《凶兆の廃墟》 3 《シヴの浅瀬》 3 《さまよう噴気孔》 -土地 (26)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《ゲトの裏切り者、カリタス》 4 《ゴブリンの闇住まい》 2 《龍王シルムガル》 -クリーチャー (14)- |
3 《焦熱の衝動》 2 《精神背信》 2 《闇の掌握》 2 《究極の価格》 3 《骨読み》 3 《破滅の道》 3 《コラガンの命令》 1 《光輝の炎》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -呪文 (20)- |
4 《強迫》 3 《光輝の炎》 3 《熱病の幻視》 2 《竜使いののけ者》 1 《引き裂く流弾》 1 《シルムガルの命令》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード (15)- |
若き才覚として知られるOliver Tiuは【プロツアー『イニストラードを覆う影』】に引き続いて、【グランプリ・トロント2016】には自前の「グリクシスコントロール」を持ち込んだようです。このデッキには2.と3.のアプローチが採用されています。4枚の《ゲトの裏切り者、カリタス》は2.、そして《ヴリンの神童、ジェイス》《ゴブリンの闇住まい》《龍王シルムガル》が3.に相当する工夫です。
伝説のクリーチャーである《ゲトの裏切り者、カリタス》を4枚採用することは極端にも思えるかもしれませんが、《反射魔道士》が減ったことに加えて、「緑白トークン」と「黒緑アリストクラット」が有力な現在では理に適った選択です。《搭載歩行機械》のような除去耐性のあるクリーチャーに苦労する「グリクシス」では、より積極的に4枚の採用を検討できます。
4ターン目の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は、プロツアー以後のスタンダード環境を攻略する上での1つの指標となりました。この行動をどのように攻略するのか、あるいはどのように活かすのか。これはありとあらゆるデッキにとっての課題です。グランプリに参加するデッキリストを決める前に、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》対策は万全か、ちょっと見直しておきましょう。
【話題3】《衰滅》と「白系人間」のこれから
プロツアー《衰滅》とも言うべき【プロツアー『イニストラードを覆う影』】が閉幕し、現在へと環境は移ろったわけですが、以前と比較して最も大きな変化とは「白系人間」が激減したことです。それも当然の話で、全体除去が流行している最中であっても喜んで白ウイニーを持ち込む人は、世界中でもCraig Wescoeくらいでしょう。いつだって全体除去はホードデッキの天敵なのです。
さて、【プロツアー『イニストラードを覆う影』】から2週間が経とうとしている現在の環境において、《衰滅》を使ったデッキたちはどのような活躍を見せているのでしょうか。先の【グランプリ・トロント2016】の上位には「エスパードラゴン」と「黒白コントロール」が顔を見せましたが、どうやら「緑白トークン」に耐性のあるものしか生き残っていないようです。「全体除去を採用したデッキ」という括りでは、他に「グリクシスコントロール」が該当するくらいでしょうか。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》などのプレインズウォーカーに弱い「ランプ系」や「黒緑《過ぎ去った季節》」などは随分と数を減らしています。
ボードコントロールはプレインズウォーカーが苦手。それではプレインズウォーカーは何が苦手なのでしょうか?その答えの1つは、意外にも「白系人間」です。
14 《平地》 4 《戦場の鍛冶場》 -土地 (18)- 4 《町のゴシップ屋》 4 《スレイベンの検査官》 4 《探検隊の特使》 4 《ドラゴンを狩る者》 3 《アクロスの英雄、キテオン》 2 《勇者の選定師》 4 《サリアの副官》 4 《白蘭の騎士》 2 《族樹の精霊、アナフェンザ》 -クリーチャー (31)- |
4 《石の宣告》 3 《グリフの加護》 4 《永遠の見守り》 -呪文 (11)- |
4 《ハンウィアーの民兵隊長》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 3 《鋭い突端》 2 《停滞の罠》 1 《往時の主教》 1 《グリフの加護》 -サイドボード (15)- |
たとえば今をときめく「緑白トークン」は「白系人間」を苦手にしています。プレインズウォーカーの生存率は、すなわちそれが登場した時点での戦場の形勢に左右されます。そのため、序盤から中盤にかけての展開力に長けた「白系人間」を相手には、《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》や《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が単なる時間稼ぎにしかならないことがしばしばあるのです。
時間を稼ぐことで何か (全体除去など) につながればいいのですが、「緑白トークン」には頼みの綱となる何かはメインボードにはありません。一発逆転の《大天使アヴァシン》まで戦場とライフが維持できればなんとか、といったゲーム展開になりがちです。
はたして今週末に「白系人間」の出番は回ってくるのか。これは1つ注目すべきトピックとなるでしょう。3色のコントロールが登場するほどに低速化した現在は、環境最速の「白系人間」にとって好ましい状況です。懸念である《衰滅》を採用したデッキも、おそらく【プロツアー『イニストラードを覆う影』】時点よりは数を減らしています。
「緑白トークン」や「黒緑アリストクラット」の流行。《衰滅》の価値。
様々な外的要素に振り回される「白系人間」ですが、今週末は活躍の兆しを感じます。
【話題4】【グランプリ・東京2016】で注目の5枚
それでは最後の話題として、【グランプリ・東京2016】で注目すべき5枚のカードについて触れてみようと思います。
1.《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
今回のグランプリで最も注目すべきカードが《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》です。これまでも話してきたように「緑白トークン」や「黒白系コントロール」の肝として活躍しており、このカードをいかに無理なく対処できるか、という課題は多くのデッキに課せられています。
《意思の激突》や《否認》でカウンターする、《餌食》《極上の炎技》《苦渋の破棄》などで除去する、あるいは序盤から戦場をクリーチャーで支配することによってプレッシャーを与える。4マナのプレインズウォーカーという重いカードなだけあって、その解決法は無数に存在します。ただ、そのどれが最も優れた解答なのかを導くことがプレイヤーの使命です。
2.《ゲトの裏切り者、カリタス》
2番目に注目すべきカードは、この《ゲトの裏切り者、カリタス》です。上でOliver Tiuの「グリクシスコントロール」を紹介しましたが、現在の環境では4枚の採用も不自然ではないほどの強さを秘めています。【環境の20%程度しかコントロールがいない現状】では、ほとんどのマッチアップにおいて4ターン目の《ゲトの裏切り者、カリタス》は活躍を約束されているのです。
絆魂によるライフ獲得は《苦渋の破棄》や《苦い真理》のコストをいくらか軽減してくれますし、除外能力も「黒緑アリストクラット」と《搭載歩行機械》の流行を加味すると素晴らしいの一言です。何かしら黒いデッキを使う予定ならば、メインボードとサイドボードを合わせて、最低でも3枚は採用することをおすすめします。
3.《苦渋の破棄》
以前よりも環境が低速化したことで、コントロールやミッドレンジは様々なパーマネントへの対処を迫られることとなりました。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》、《大天使アヴァシン》、《紅蓮術師のゴーグル》など。カードタイプも散り散りな脅威のあれこれへの対処を考えた結果、白羽の矢が立ったのは《苦渋の破棄》でした。痛いけれどなんでもござれ。低速化した環境では若干ながらライフにも余裕が生まれたため、「黒白コントロール」「エスパーコントロール」「マルドゥコントロール」「アブザンコントロール」など様々なデッキに迎え入れられています。
今回このカードを3番目の注目株として選んだのは、これが最も簡単な《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》対策だと考えているからです。ライフ損失の都合から喜んで4枚採用できるデッキが少ないことは残念ですが、台頭してきた「黒白系コントロール」を筆頭にメインボードでもサイドボードでもよく見かけるカードになりそうです。
4 & 5.《ゴブリンの闇住まい》《棲み家の防御者》
前環境の「マルドゥグリーン」の原動力だった《ゴブリンの闇住まい》は、環境が低速化してきた今、あらためて注目を浴びるべきカードの1枚です。「白系人間」が流行していた頃は、そもそもデッキのなかの呪文が軽く、5マナ4/4威嚇というスペックもただ重いだけ、という評価がくだされていました。
しかし、現在のスタンダード環境のように3マナ以降のカードによる叩き合いが始まれば、《ゴブリンの闇住まい》は最高のクリーチャーとなります。特にプレインズウォーカー絡みの戦いに長けており、《破滅の道》の再利用や4/4威嚇というスペックが大きなプレッシャーを与えるのです。
同様の理由で《棲み家の防御者》も再評価したい1枚です。ブロック制限能力のおかげで《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》や《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》に対してガンガン殴りにいけます。特に「ジャンド」における《アーリン・コード》とのコンビネーションは格別です。これまでは大変異システムも合わせて「少し重い」と遠ざけられていたカードでしたが、これからは「緑系ミッドレンジ」全般でよく見かけることになりそうです。
以上が今週末に注目したい5枚のカードです。特に《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》と《ゲトの裏切り者、カリタス》は、現環境では頭一つぬけて強力な2枚なので、使う方はより多い枚数を、使わない方はしっかりと対策を用意しておいたほうがいいでしょう。
【まとめ】「緑白トークン」の覇権を崩すのは誰か?
ボードコントロールの登場から息もつかせぬ間に「緑白トークン」と「黒緑アリストクラット」が流行する環境となりました。しかし、先週末の【グランプリ・トロント2016】でも攻略の糸口は発見されていましたし、この流行も長くは続かないでしょう。
ただ、どのデッキが次に抜け出すのかは気になります。
より遅いアプローチの「青黒系」「黒白系」のコントロールでしょうか?それとも一転して早いアプローチの「緑系」「白系人間」なのでしょうか?
今週末の【グランプリ・東京2016】に参加される方は、この2つのデッキへの対策はお忘れなく!
それではまた来週お会いしましょう!
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このシリーズの過去記事
- 高橋純也のデッキ予報 vol.9 -プレインズウォーカー西風バースト-
- 高橋純也のデッキ予報 vol.8 -曇天「バントカンパニー」-
- 高橋純也のデッキ予報 vol.7 -白々明けの『イニストラードを覆う影』環境-
- 高橋純也のデッキ予報 vol.6 -《徴税の大天使》前線北上中-
- 高橋純也のデッキ予報 vol.5 -五月雨《風番いのロック》-
- 高橋純也のデッキ予報 vol.4 -ミッドレンジの小春日和-
- 高橋純也のデッキ予報 vol.3 -「ミッドレンジ」前線に動きあり-
- 高橋純也のデッキ予報 vol.2 -「4色《先祖の結集》」警報発令-
- 高橋純也のデッキ予報 vol.1 -晴れときどき《反射魔道士》–