プレミアイベントのサイドイベントといえば、もはや「サイド」の枠に収まらないレガシー選手権だ。もちろん、このグランプリ・東京の会場でも226名という定員限界までのレガシープレイヤーが、この日のために磨いた技をみせるべく、会場に集結した。
そんなレガシープレイヤーたちの祭典を担うヘッドジャッジが、大川 晋平氏だ。
ここでは、そんな大川氏のジャッジとしての横顔にせまってみたい。
-- 「本日は日本レガシー選手権2016ヘッドジャッジ、お疲れ様です。早速ですが、ジャッジ歴は何年くらいですか?」
大川 「うーん……少なくとも5年で、7年はいっていないと思うんですが。京都でプロツアーがあったじゃないですか。あの時に認定されました」
-- 「2009年のプロツアー京都ですね。ちなみに、ジャッジをはじめようとしたキッカケってなんだったんですか?」
大川 「ちょっと、恥ずかしい話なんですが……広島出身なんですが、当時、広島に本田(雅也)さんというジャッジがいたんですが、すごく珍しいカード、いわゆるジャッジプロモなんですけど、羨ましいなと思って、どうやったらそのカードが手に入るか、って聞いたのがきっかけでしたね」
余談だが、過去に行われた本田氏へのインタビューにて、「ジャッジフォイルなんかに対しては羨ましいですね、っていう人は多いんですけど、だったらジャッジをやってみればいいんじゃないか、ってわたしなんかは思うんですけどね」と語っていた。
大川 「それと、『中で働く』っていうのが好きだって言うのもありましたね。イエサブ広島店のアルバイトだったですが、イベントを担当していて、認定ジャッジになったら箔がつくかなって思いまして」
--「なるほど。たしかに、マジックのジャッジは店舗によっては資格として扱ってもらえることも多いですからね」
大川 「そうですね。実際に自分も、ジャッジ資格を取ってからは、店舗でイベント運営を任せてもらえるようになりました。イベントスケジュールだけじゃなくて、商品をどうするかとか……そういう意味で、ジャッジ資格を取ったことは大きかったです」
--「なるほど。実際、認定ジャッジになって、ジャッジコミュニティとの情報交換が増えると、ルールだけじゃなくて、イベント全般について詳しくなりますもんね」
大川 「はい。あと、他のTCGに比べると、多くのルールが、特に、フロアルールがしっかりしているので、他のTCGの大会でも、マジックのジャッジ経験やイベント経験が活かせることは多いです。元々、アルバイトをはじめた時も、当時取り扱っていたほとんどのTCGを触れるってのをウリにして入らせてもらったので」
--「マジック以外のTCGの経験も豊富なのですか?」
大川 「はい。マジックをはじめたのは小学生の終わりくらいだったんですが、小学校を卒業して一緒に遊んでいたメンバーとバラバラになっちゃって、マジックをやらなくなった代わりに、色々なTCGをやるようになったんですよね。で、高校生になって時間とお金に余裕ができたので、ミラディンで戻ってきた感じです」
--「ちなみに、プレイヤーから認定ジャッジの間って、どんな感じでしたか?」
大川 「さきほど言ったように、店舗のアルバイトなので、お店のイベントを回してました。その後、ジャッジ資格を取る前に、グランプリに2~3回ほど参加させてもらいましたね。その頃、梅咲さんや牧野さんに良くしてもらってたんですが、その後認定を受けて今に至る感じです」
--「今回のグランプリと、ヘッドジャッジもその流れで、ですか?」
大川 「そうですね。コーディネーターをやっているホビステの横山さんにも昔からお世話になっているんですけど、『グランプリ・東京はウチでやることになったから来なよ』って声をかけていただいて、それで応募したら、ヘッドジャッジをやらせていただけることになりましたね」
--「そういえば、先ほど出身地を聞いた時から少し気になっていたのですけど、今回の日本レガシー選手権に協賛している『ジョニーのお店』って……」
大川 「そうですね、広島のお店です。復帰直後くらいにお世話になってます。僕も知らなかったのですが、みんなから『癒着かよ』ってからかわれてますね」
--「すごい個人的な意見になってしまいますけど、ジャッジのみなさんってそういう軽口を叩き合って談笑しているイメージがありますね」
大川 「えぇ。楽しいですよ。。やっぱり、個人的には裏方が楽しくて。今も続けられてるのは、楽しいからってのは間違いないですね」
-- 「多くのTCGを扱われているとのことですが、そんな中でのマジックの魅力ってなんですか?」
大川 「大人の趣味、ってことですかね。もちろん、ハードルをあげるつもりはないんですけど、やはり大人のプレイヤーも多いことから、他のゲームに比べても、騒ぐ人が少ないというか、落ち着いたプレイヤーが多いですね。それと、ルールがしっかりしているので、マジックのルールに精通すると他のゲームにも応用できますね」
--「もちろん、それぞれのゲームでルールは違うと思うんですが、『ルールとはこういうものであるべきだ』っていう根本的な思想を身につけられる、って感じですか?」
大川 「そういう感じでしょうかね。特に、いわゆるフロアルールがないTCGの大会はマジックのフロアルールの考えを応用してます」
--「なるほど。最後に、ジャッジとして、今の目標はありますか?」
大川 「多くのプレイヤーを引き込みたいってことですね」
--「それは、プレイヤーをジャッジに、ってことですか?」
大川 「いや、そもそも、マジックのプレイヤーを増やしたいですし、マジックでプレイヤーやるならジャッジにならなくてもルールを知ったほうがもっといいです。ルールがしっかりしている、ってのは繰り返しになりますけど、マジックの魅力の中でも大きい部分ですので」
--「でも、他のゲームをやってる人からすると、厳密すぎて複雑そうにみえたりもすると思うんですよね」
大川 「一見複雑に見えたとしても、一度触れてしまえば、むしろ『必ず解決される方法がある』というのは大きいですし、基本的なことを覚えてしまえば、シンプルなルールだと思います。僕はルールの質問をされた時は、もちろんその質問へも答えるんですが、『なぜその答えになるのか』も説明するようにしているんですよね。そうすると、ルールへの理解度がまして自分で答えを導き出せるようになります」
--「なるほど。マジックへの理解を深めるっていう意味では、プレイヤーとジャッジの垣根はほとんどないってことですね」
大川 「そうです」
--「ちなみに、プレイヤーを引き込みたい、という話ですが、それって、日本全体での話ですか?それとも、地元の広島の話ですか?」
大川 「日本全体……と言いたいところですが、そこまで話すのもおこがましいのと、あと、今、地元の広島はプレイヤーが減ってきてしまっていて、GPTとかやっても人が来ないこともあるので……なので、まずは地元で常にイベントが開催できるようにプレイヤーを増やすために行動したいと考えてます」
--「広島といえば、殿堂プレイヤーを2名も輩出した土地ですし、盛り上がって、第二の黄金期と言われるような時代が来ると面白いですね」
大川 「そうなれるようにがんばりたいです」
なお、大川氏は「マジックを始めたい人には、プレイヤーや店舗などの環境を紹介したい!」とのこと。氏がイベント用に解説しているtwitterアカウントも、今後、活動を活発にしたいとのことなので、広島周辺でマジックを始めてみたかったり、プレイ相手を求めている人は、このアカウントにリプライすれば、良い情報が手に入るかもしれない。
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