金川俊哉の緑黒ランプ調整録

金川 俊哉





どもども。【はま屋】のはまさんです。

【グランプリ・東京2016】9-5-1という微妙な成績でしたが、先週参加した室蘭でのPPTQでは無事権利を獲得することができました!(参加者8人でしたけどっ!)



どちらも緑黒ベースのランプデッキを使ったので、それについてお話したいと思います。



■ 緑黒ランプデッキについて

ランプというと赤緑というイメージがあるかなと思います。少し前の《ケッシグの狼の地》を使った【ケッシグ・ランプ】が印象深いためでしょうか。


ケッシグの狼の地


現代のスタンダードにおいて赤緑にするメリットといえば《コジレックの帰還》《龍王アタルカ》、そして《炎呼び、チャンドラ》が挙げられます。


コジレックの帰還龍王アタルカ炎呼び、チャンドラ


《コジレックの帰還》は序盤および中盤の除去として強力で、《龍王アタルカ》は最近流行りの白緑トークンなどのプレインズウォーカーを多用するデッキによく効きます。

《炎呼び、チャンドラ》はスイーパー、ドロー、フィニッシャーと、全ての能力がランプに噛み合っています。

「じゃあ赤緑でいいじゃん!」となってしまいそうですが、赤緑ランプにも弱点があります。

それは小回りが利かないこと、そして序盤のガードが低いことです。

赤緑はマナ加速からのアクションが強いデッキであるため、序盤を《ジャディの横枝》および《コジレックの帰還》に頼らざるをえず、マナ加速しきる前に押し切られて負けるといった光景がよく見られます。

緑黒ランプはこの序盤の弱さを黒の各種除去で補っています。

そして何といっても特徴的なのは《闇の誓願》でしょうか。《闇の誓願》から必要に応じて各種除去や生物をサーチしたり、《過ぎ去った季節》を持ってくることで《闇の誓願》を含めた墓地のカードを回収することができます。


闇の誓願過ぎ去った季節


緑黒ランプは選択肢が多岐に渡るおもしろいデッキなので、ぜひ一度使ってみてください。

それでは、僕がたどった緑黒デッキの変遷を見ながら、デッキの説明をしていこうと思います。



■ デッキの変遷

実は『イニストラードを覆う影』が入る以前から、Magic Onlineなどで緑黒のランプデッキは使っていました。

環境が変わることで失うカードは《精霊龍、ウギン》《命運の核心》程度で済み、代わりに得るカードも多かったので調整してみることにしました。

一番最初に使ったリストはこんな感じです。



金川 俊哉「緑黒ランプ」

5 《森》
5 《沼》
3 《進化する未開地》
4 《風切る泥沼》
4 《ラノワールの荒原》
1 《荒廃した湿原》
1 《ならず者の道》
1 《ウギンの聖域》

-土地 (24)-

4 《搭載歩行機械》
1 《巨森の予見者、ニッサ》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《ウルヴェンワルドのハイドラ》
2 《世界を壊すもの》
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

-クリーチャー (10)-
2 《ウルヴェンワルド横断》
2 《精神背信》
2 《闇の掌握》
2 《究極の価格》
4 《ニッサの巡礼》
2 《破滅の道》
4 《爆発的植生》
2 《衰滅》
3 《闇の誓願》
1 《ニッサの復興》
1 《過ぎ去った季節》
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》

-呪文 (26)-
hareruya





※画像をクリックすると拡大します。


『イニストラードを覆う影』から入ったカードは《ウルヴェンワルドのハイドラ》《ウルヴェンワルド横断》《過ぎ去った季節》の3枚です。


ウルヴェンワルドのハイドラウルヴェンワルド横断過ぎ去った季節


《ウルヴェンワルドのハイドラ》は様々な土地のサーチと打点の高さから各種特殊地形とセットで採用しました。大味なカードではありますが地味に到達も持っており、流行りの《大天使アヴァシン》もブロックできる点が優秀です。

《ウルヴェンワルド横断》は土地を24枚に抑えている理由でもあるのですが、《闇の誓願》の「魔巧」をスムーズに達成するために採用していました。

これに伴い、「昂揚」達成のためにクリーチャーでありアーティファクトでもある《搭載歩行機械》も併せて採用しました。《衰滅》の存在や土地を伸ばすデッキであることから《森の代言者》のほうがデッキには合っているのですが、デッキのほとんどがソーサリーで構成されており、まったく「昂揚」を達成しなかったので《搭載歩行機械》の採用に至りました。


搭載歩行機械


《過ぎ去った季節》はプロツアー『イニストラードを覆う影』でJon Finkelが使用して評価が上がったカードで、緑黒の強さを一段階上げてくれました。《闇の誓願》からアクセスすることで《闇の誓願》を含む大量のカードを回収し、驚異的なアドバンテージを得ることが可能です。このカードのおかげで、1対1の交換を繰り返すだけで自然とゲームに勝てるようになりました。

基本的にはマナ加速からの《世界を壊すもの》《絶え間ない飢餓、ウラモグ》で相手を圧倒するランプデッキの動きですが、黒を採用することによりハンデスや除去を絡めた妨害も可能となります。


このコンセプトは悪くなかったのですが、一時期流行った白単系や白緑トークンに速度で間に合っていなかったために調整を余儀なくされました。その結果、僕がグランプリ・東京2016で使ったリストはこんな感じです。



金川 俊哉「緑黒ランプ」
グランプリ・東京2016

5 《森》
5 《沼》
3 《進化する未開地》
4 《風切る泥沼》
4 《ラノワールの荒原》
1 《荒廃した湿原》
1 《ならず者の道》
1 《ウギンの聖域》

-土地 (24)-

4 《搭載歩行機械》
2 《巨森の予見者、ニッサ》
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《ウルヴェンワルドのハイドラ》
2 《世界を壊すもの》
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

-クリーチャー (12)-
3 《ウルヴェンワルド横断》
3 《究極の価格》
2 《精神背信》
2 《闇の掌握》
3 《破滅の道》
3 《衰滅》
2 《爆発的植生》
4 《闇の誓願》
1 《ニッサの復興》
1 《過ぎ去った季節》

-呪文 (24)-
hareruya





※画像をクリックすると拡大します。


マナ加速である《ニッサの巡礼》を0枚に、《爆発的植生》を2枚に抑え、代わりに《闇の掌握》《究極の価格》《破滅の道》といった序盤に打てる除去を増やしています。


闇の掌握究極の価格破滅の道


理由としては、土地を伸ばしてからの大きなアクションだけでは白単や白緑トークン系の速いデッキに対応しきれなかったためです。この変更は《ニッサの巡礼》を打つターンには《破滅の道》を打ちたいし、《爆発的植生》を打つターンには《衰滅》を打たないといけないデッキが多く存在するといった理由からでした。

しかし、この考察は半分正解で半分不正解でした。

白単や白緑トークン系への勝率が上がる分、バントカンパニーや赤緑ランプのような中盤から終盤にかけて強いデッキへの勝率が下がってしまったのです。

実際、グランプリ・東京2016では白緑トークンには全部勝ち、バントカンパニーには全部負けました。

ではどうすればよかったのか。

2~3マナ圏の生物の質の向上と増量がそれに対する解答です。

上記で述べたように《ウルヴェンワルド横断》のために2マナ圏の生物を《搭載歩行機械》にしていましたが、《搭載歩行機械》は序盤から殴ってくる生物へのブロッカーとしては基本的にチャンプブロックからのチャンプブロックといった働きしかしません。

《ウルヴェンワルド横断》を抜いて土地を26枚まで増やし、《搭載歩行機械》《森の代言者》に変え、サイドイン率の非常に高かった《不屈の追跡者》をメインに昇格させました。


森の代言者不屈の追跡者


《不屈の追跡者》《衰滅》との相性の悪さから敬遠していましたが、結論から言うとめちゃくちゃ強かったです。

3/2という初期サイズでさえ《森の代言者》《ラムホルトの平和主義者》と相打ちを取り、一度成長し始めればフィニッシャーにすらなれる打点の高さ。

「土地しか引かない!」と嘆くランプ使い垂涎の救世主的カードでした。


そんなこんなで、先日のPPTQで使ったリストはこのように変更しました。



金川 俊哉「緑黒ランプ」
プロツアー『カラデシュ』予備予選(優勝)

8 《森》
5 《沼》
3 《進化する未開地》
4 《風切る泥沼》
4 《ラノワールの荒原》
1 《荒廃した湿原》
1 《鏡の池》

-土地 (26)-

4 《森の代言者》
1 《棲み家の防御者》
4 《不屈の追跡者》
1 《巨森の予見者、ニッサ》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《ウルヴェンワルドのハイドラ》
1 《世界を壊すもの》
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

-クリーチャー (14)-
1 《強迫》
2 《闇の掌握》
1 《精神背信》
2 《ニッサの巡礼》
2 《破滅の道》
1 《餌食》
3 《爆発的植生》
1 《衰滅》
3 《闇の誓願》
1 《ニッサの復興》
1 《過ぎ去った季節》
1 《大オーロラ》
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》

-呪文 (20)-
hareruya





※画像をクリックすると拡大します。


最低限のマナ加速カードを増やし、除去を少し絞りました。生物を多めにすることで、除去に頼らなくとも戦線の構築を行えるようになってます。

その他の変更点は、《搭載歩行機械》を抜いたことに伴い《ウギンの聖域》《鏡の池》に変更し、フィニッシャーが増えたことにより《世界を壊すもの》を1枚減らしました。


鏡の池


《餌食》《大オーロラ》はSam Blackさんが使ってるのを見て採用してみましたが、結構微妙だったので次は別のカードにしそうです。

再来週もスタンダードのグランプリがありますが、このデッキを調整して参加の予定です。何か変更があれば次回のレポートにてお話いたします。



■ 緑黒デッキの弱点

そんなこんなで最近よく使っているので、逆にこうされたら緑黒デッキはキツイ!ってのをご紹介します。


1: 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》即奥義


ゼンディカーの同盟者、ギデオン


基本的に《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は唱えたターンは「0」能力で2/2トークンを出して、次のターンから「+1」能力によって《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》自身が殴るのが一般的ですが、緑黒にとってはいきなり「-4」能力によって+1/+1の「紋章」を得られるのがキツイです。

そもそも場に残った《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《破滅の道》で対応できますが、「紋章」は対処できません。《闇の掌握》《衰滅》とタフネス4までの生物への対応策はたくさんありますが、タフネスが5を超えると途端に対応手段が少なくなります。

「紋章」を得ることで《大天使アヴァシン》への解答も非常に少なくなってしまいしますし、終盤の《荒野の確保》の威力が跳ね上がるのも厄介です。



2: オールイン

実はデッキの大部分がソーサリーで構成されています。そのため「相手に何か持たれてたら負けだけど、全部使えば勝てる!」といった動きに非常に弱いです。

具体例としては《嵐追いの魔道士》です。《嵐追いの魔道士》は多色のため《究極の価格》では触ることができず、それ以外にインスタントタイミングで動けるカードの選択肢は限られています。その上こいつは飛んでます。


嵐追いの魔道士


最近見ることが減ったのは追い風ですが、先日の室蘭PPTQで当たった青赤の果敢デッキは苦手なデッキです。

他には《ウェストヴェイルの修道院》からの《不敬の皇子、オーメンダール》も対処方法が非常に限られているので厳しいです。



3: 《熱病の幻視》

青赤果敢デッキ続きというわけでもないですが、《熱病の幻視》も厳しいカードです。


熱病の幻視


黒緑は手札を減らさずコントロールしていくデッキなので、自身の手札を能動的に減らしづらく対応が難しいです。

それに加えてこちらは殴り始めるのが遅いため、《熱病の幻視》の効果も相まってそれまでライフが持たないことがほとんどです。上述の室蘭で当たった青赤果敢デッキにメインから入っていて即死しました。

室蘭PPTQのレポートは、【はま屋が出しているメルマガ】に掲載予定なので、もしよければそちらもご覧ください。

来週からアメリカでのグランプリ2連戦(モダン→スタンダード)ですが、いい結果が出せるよう頑張りたいと思います。

ではでは。


はまさん


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