どもども。【はま屋】のはまさんです。
今僕はアメリカGP2連戦 (【グランプリ・ロサンゼルス2016】 → 【グランプリ・ミネアポリス2016】) のために、アメリカはロサンゼルスに来ています。
今回は先週行われた【グランプリ・ロサンゼルス2016】のレポートをお送りします。
■ デッキ選択
【グランプリ・ロサンゼルス2016】のフォーマットはモダンでした。
前回のモダンGPである【グランプリ・メルボルン2016】は、エルドラージ全盛というメタゲームを踏まえて、無限コンボがありエルドラージへの耐性もあるアブザンカンパニーを選択しましたが、今回は《ウギンの目》禁止を受けて大きくメタゲームが変化するということで、どのデッキを使うか非常に悩みました。
前回の【グランプリ・メルボルン2016】との違いは、禁止改定以外に『イニストラードを覆う影』が追加されたことです。
『イニストラードを覆う影』のカードのうちモダン環境でも良く見られるのが、《先駆ける者、ナヒリ》と、《傲慢な新生子》・《秘蔵の縫合体》・《縫い翼のスカーブ》のドレッジパーツです。
《先駆ける者、ナヒリ》はご存知のとおり、「-8」能力で《引き裂かれし永劫、エムラクール》を呼んで殴るという2枚コンボの影響で色々なデッキに採用されています。
《傲慢な新生子》は1ターン目からの「発掘」を可能にし、《秘蔵の縫合体》・《縫い翼のスカーブ》はこれまでの《墓所這い》や《復讐蔦》に加えて墓地から戻る生物として非常に優秀です。
新しいもの好きの僕も、もちろんこれらのカードを中心にニコニコ生放送などで放送しながら色々なデッキを試していきました。 (はまさんのニコ生!は【こちら】。このコミュニティで放送していますので、もし良かったら一度見てください!)
《先駆ける者、ナヒリ》はちょっと注目されすぎたこともあり、対応策を持っているデッキが多く (《真髄の針》、《袖の下》など) 、ドレッジはメイン戦は非常に強いもののサイドボード後の墓地対策に非常に弱かったりで、どちらも全体的な勝率はそこまで高くありませんでした。
そこで次に注目したのがエルドラージでした。
《ウギンの目》は失くなってしまったものの、《エルドラージの寺院》からの高速展開が可能なエルドラージデッキにはまだ可能性がありそうだなと感じていました。
しかし赤緑エルドラージや白黒エルドラージ、果てには《先駆ける者、ナヒリ》まで入れた赤白エルドラージなんかも試しましたが、イマイチしっくりこない……。
そんな中たどり着いたのが、【グランプリ・メルボルン2016】で対戦させてもらった【古谷 洋平さんのバントエルドラージ】でした。
1 《森》 1 《平地》 1 《寺院の庭》 1 《繁殖池》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 3 《低木林地》 1 《魂の洞窟》 4 《エルドラージの寺院》 4 《ウギンの目》 -土地 (24)- 4 《貴族の教主》 4 《空中生成エルドラージ》 3 《変位エルドラージ》 4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 4 《希望を溺れさせるもの》 1 《世界を壊すもの》 -クリーチャー (24)- |
4 《古きものの活性》 4 《流刑への道》 2 《四肢切断》 2 《仕組まれた爆薬》 -呪文 (12)- |
3 《はらわた撃ち》 3 《頑固な否認》 3 《石のような静寂》 2 《安らかなる眠り》 1 《自然のままに》 1 《自然の要求》 1 《霊気のほころび》 1 《崇拝》 -サイドボード (15)- |
このバントエルドラージは《ウギンの目》が禁止される前のリストですが、同系での殴り合いのときに《貴族の教主》の「賛美」が強く、マナ加速することで通常よりも早くエルドラージを出せるというデッキでした。
当時から《貴族の教主》のおかげで、《ウギンの目》や《エルドラージの寺院》がなくとも、ある程度安定してエルドラージの展開が可能でした。
《ウギンの目》の部分などを現代版に修正して何度かまわしてみると、《エルドラージの寺院》を引けたときは当時の猛威を振るったエルドラージデッキの再来といわんばかりの展開力を発揮し、仮に《エルドラージの寺院》がなくともマナ生物のマナ加速で全然戦えることがわかりました。
また、《古きものの活性》は《エルドラージの寺院》も強力なエルドラージも探せる非常に優秀なカードで、緑をベースカラーにする大きな理由になっていました。
《ウギンの目》を失った今、《エルドラージの寺院》がない状況でもある程度戦える必要がある中で、マナ生物を採用していたバントエルドラージはエルドラージに残された希望の光のように感じ、僕はこのデッキでのGP参加を決めたのです。
■ グランプリ・ロサンゼルス2016使用デッキの解説
これが僕が【グランプリ・ロサンゼルス2016】で使用したデッキリストです。
1 《森》 1 《平地》 1 《寺院の庭》 1 《繁殖池》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《低木林地》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 2 《魂の洞窟》 4 《エルドラージの寺院》 1 《ガヴォニーの居住区》 -土地 (23)- 4 《貴族の教主》 3 《極楽鳥》 2 《漁る軟泥》 4 《空中生成エルドラージ》 3 《変位エルドラージ》 4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 4 《希望を溺れさせるもの》 1 《世界を壊すもの》 -クリーチャー (29)- |
4 《古きものの活性》 4 《流刑への道》 -呪文 (8)- |
3 《石のような静寂》 2 《呪文滑り》 2 《エイヴンの思考検閲者》 2 《仕組まれた爆薬》 2 《墓掘りの檻》 1 《スラーグ牙》 1 《火と氷の剣》 1 《崇拝》 1 《袖の下》 -サイドボード (15)- |
【グランプリ・メルボルン2016】の古谷さんが使ったリストからの変更点ですが、当時のメタゲームでは強かった《仕組まれた爆薬》をサイドに移し、その代わりにさらなる安定性を重視し《極楽鳥》を採用しました。《極楽鳥》の採用でマナ過多になることも想定されたため、《ガヴォニーの居住区》も1枚採用しました。
もともと《四肢切断》だった部分は2枚の《漁る軟泥》にしています。このスロットは最後まで悩んだ部分なのですが、サイドボードの兼ね合いなども考えて《漁る軟泥》を採用しました。2日間使ってみて、この部分は別のカードのほうが良かったです。今なら《作り変えるもの》をこのスロットに採用したいところです。
《空中生成エルドラージ》のスロットは《作り変えるもの》と非常に悩みましたが、親和への耐性 (飛行生物が強いマッチアップのため) や、《希望を溺れさせるもの》との相性の良さ、さらには《ヴェールのリリアナ》への耐性などを考えてこちらを採用しています。
ただ《作り変えるもの》自体は、ジャンドや各種コントロールデッキ相手に強いので、メタゲーム次第ではこちらのほうが良いかもしれません。
■ サイドボードの解説
《石のような静寂》
親和とトロン系にサイドインします。親和相手は基本的に不利なので多めに採用しています。
《エイヴンの思考検閲者》
《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》系のデッキにサイドインします。飛行が重要なマッチアップのため、親和相手の先手のときにもサイドインします。
《呪文滑り》
基本的には感染・親和相手にサイドインしますが、除去の多そうなデッキ全般にサイドインします。
《墓掘りの檻》
アブザンカンパニー・キキコード・グリセルシュートなどにサイドインします。流行のドレッジや《先駆ける者、ナヒリ》入りのデッキにも効果的です。
《仕組まれた爆薬》
マーフォーク・エルフ・親和相手にサイドインします。僕の構成だと除去が少ないため、ジャンド相手にも入れてました。
《崇拝》
相手がエンチャントを触れなければそれだけで勝てるため、速度で間に合わないデッキなどにサイドインします。
《スラーグ牙》
ジャンド・バーンを中心にサイドインします。お守り的なポジションです。
《火と氷の剣》
タフネスの低い生物が中心のデッキには非常に有効な1枚。今回《極楽鳥》や《空中生成エルドラージ》を採用しているため、強く運用することができました。
サイドボードは基本的に1枚引いたら劇的に効くカードを中心に採用しています。モダンという高速なゲームの性質上、「引いてすぐに強いカードが大事」なので、こういったサイドボード構成になっています。
サイドボードのインアウトですが、基本的には速いデッキ相手には重いエルドラージから順に抜いていきます。ただし抜きすぎるとフィニッシャー不足と《古きものの活性》が腐りやすくなるため減らしすぎに注意です。
全体除去が採用されていたり、コントロール寄りのデッキに対しては、《極楽鳥》などのマナ加速生物をサイドアウトします。
■ グランプリ・ロサンゼルス2016本戦結果
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | BYE | |
Round 2 | BYE | |
Round 3 | 親和 | 〇×〇 |
Round 4 | 親和 (準優勝のEthan Brown君) | 〇×〇 |
Round 5 | ジャンド | 〇×〇 |
Round 6 | ジャンド | 〇×〇 |
Round 7 | 感染 | 〇〇 |
Round 8 | トロン | ×〇〇 |
Round 9 | グリセルショール | ×〇〇 |
なんと初日全勝!
初日はまちゃん全勝、トモハル8-1*\(^o^)/*#GPLA pic.twitter.com/5ATKfaCR0u
— TomoharuSaito/トモハル (@TomoharuSaito) 2016年5月22日
あらゆるミスを帳消しにするドロー連発で、正直かなりついてました。
その反動で2日目は……。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 10 | 親和 | ×〇〇 |
Round 11 | マーフォーク | ×× |
Round 12 | バーン | 〇〇 |
Round 13 | ジャンド | ×× |
Round 14 | 親和 | ×× |
Round 15 | スケープシフト | ×〇× |
嘘のようにボロ負けに……結果11勝4敗の63位でした。
正直初日がかなりラッキーだっただけに惜しい感じもしますが、練習時間などを加味してトータルで見ると上ぶれしたかなって気もします。
■ はまさんはなぜ勝てなかったのか
恒例のなぜ勝てなかったのかですが、今回はこれに尽きます。
・メタゲームの読み違い
僕の使ったエルドラージは、親和・マーフォークが非常に厳しく、サイドボードに枚数を割いていないジャンドも厳しいマッチアップになっていました。
今回練習を主にMagic Online (以下MO) 上で行っていた際に、ジャンドにもマーフォークにもほとんど当たることがありませんでした。
代わりに《先駆ける者、ナヒリ》入りのデッキやドレッジにはめちゃくちゃ当たりました。それに伴いジャンド対策がおろそかになっていきました。
MOのようにすぐに色々なデッキが作れる環境と違い、実際はモダンのデッキとなると昔から使っているデッキを選択するプレイヤーが非常に多く、その場の流行に左右されにくいということを実感しました。
実際に《先駆ける者、ナヒリ》系のデッキもドレッジも1度も当たらず……。
前回のモダンGPでは流行のエルドラージデッキが、MO上にもGP上にもあふれていたのですが、それはエルドラージが新しいカードを中心に構成され、金銭的にも組みやすいという土壌があったためかなと思います。
そんなこんなで僕は今回のメタを大きくはずし、ラッキーで初日は全勝で駆け抜けたものの、2日目の上位には苦手なデッキしか残っておらず、若干残念な結果となりました。
もう少しジャンドに意識を割いていれば、2日目のジャンド戦は別の結果になっていたかもしれません。
具体的にはサイドボードに《台所の嫌がらせ屋》を取るなどです。
他の反省点としては、もう少し早めに使用デッキを決めて練習する!と言ったとこです。
【グランプリ・メルボルン2016】は前日に使うデッキを急遽変更し、今回の【グランプリ・ロサンゼルス2016】にいたってはサイドボード含めて75枚デッキが決まったのが当日の朝という……。
色々反省することは尽きませんが、次に生かせるように頑張っていきたいところです。
そんなところで、次は【グランプリ・ミネアポリス2016】レポートでお会いしましょう。
ではでは。
はまさん
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