こんにちは、塚本です。今回の記事は「0」についての特集です。
マジックにおいて「0」は《金属モックス》や《メムナイト》など、タダで使える都合のよいカードがすぐに浮かんできますが、もっともっと探すと《ダークスティールの秘宝》や《若返りの泉》など、さすが0マナ!と言わんばかりの効果のカードがどんどん出てきます。
今回はそんな0マナのカードたちに価値を持たせようというテーマでデッキを組んでいこうと思います。
■ 0マナカードを生かすには?
デッキにマナコスト0のカードをたくさん入れることを想定すると、はたしてどうしたら勝てるのか?
タダでカードをたくさん使えると考えると、『ストーム』が相性良さそう!とすぐに思い浮かぶものの、《精神の願望》ではどんなに『ストーム』を稼いでも0マナ軍団が増えるだけで物凄く弱そうですね。かといって《苦悶の触手》を使うにしても最低でも59回呪文をプレイしないと3人いっぺんに倒せないので、もうひと要素必要だなと思いました。
そもそも無限に『ストーム』を稼ぐコンボを入れてしまうとデッキにたくさんの0マナを入れる意味がなくなってしまうので、『ストーム』でなくても良いのでは?という結論に至ります。しかしそれでもレガシーに存在する0マナを使った『ストーム』デッキは何らかのヒントになるのでは?と、いくつかのデッキリストを凝視することにしました。
そうして発見したのは、【コボルト・ストーム】の愛称で親しまれているデッキでした。ふむふむ0マナのクリーチャーと《垣間見る自然》で手札を肥やして、《スケープゴート》で戦場のクリーチャーを全て手札に戻して再び出し直すことによって更に手札を肥やす。なるほどなるほど……。
そして0マナのカードのリストを見直します。なるほどなるほど……クリーチャーが思ったよりいない!!
そうなのです。他の構築フォーマットと違い、1種類1枚という統率者戦の制限がここにきて響きます。さすが0マナ。それがよしんばクリーチャーであったとしても戦場に留まれるものが少なく、《スケープゴート》の恩恵を受けることは難しそうです。こうなると《垣間見る自然》ですらあまり効果的ではないのか?
疑似的に0マナになる《カイレンの使節》のような使節サイクルや、《ギックスの僧侶》を始めとした戦場に出たときにマナを出すクリーチャーを使って、《垣間見る自然》を無理やり使えるようにしようともしました。
しかしそれでもクリーチャー数の水増しにはならず、デッキの色が増え、デッキが不安定になる要因も増えてしまうことに!それだけでなく0マナのクリーチャー自体もX=0で出せるが戦場に残らないクリーチャーばかりなので、《スケープゴート》のようなカードとも相性が悪く、最終的にクリーチャー主体でデッキを作るのは難ありと判断。そもそもコストが0ではないのは美しくないですしね!
そこで次に目に留まったのが《リサイクル》です。
このカードなら《垣間見る自然》のような動きができますし、亜種である《有り余る無》もあるので、プレイさえできればデッキは成立しそうです。
が!統率者でもない6マナのカードは重い!!
こうなるとマナ加速のカードやドローカードもしっかり入れないといけなくなり、0マナの総数が減ってしまって本末転倒なので、より軽くてエンジンとなりえるカードを探さなければ……。《垣間見る自然》はマナコストが軽いことも強さの要因ですしね!!
■ カードタイプに注目!
0マナのカードがほぼアーティファクトだったので、マナコストでなくカードタイプに着目し、「アーティファクト」をメインテーマにしたブロックに的を絞りキーとなるカードを探すことにしました。
そうして見つかったのが《謎鍛冶》!!
むむ!!マナコストは軽いものの惜しい!手札が増えない!!
しかし『ミラディンの傷跡』ブロックにこの効果のカードがあるのなら、『ミラディン』ブロックには上位交換のカードが眠っているはず!と探すと……
そこについにキーとなるカードはあったのです!!
ようやく辿り着きました……青い《垣間見る自然》こと《ヴィダルケンの大魔道士》!!
マナコストも4なので全然許容範囲ですし最高!これで0マナをコンセプトとしたデッキの企画が瓦解せずに済みました!!
続いて《スケープゴート》の代わりは《ハーキルの召還術》がすぐに思い浮かびましたが、ついでに《撤収》と《変位の波》という亜種も発見!
後者は相手の厄介なパーマネントを巻き込めそうなので嬉しい発見でした。
これでコボルト役の0マナアーティファクトたち、青い《垣間見る自然》、青い《スケープゴート》こと《ハーキルの召還術》・《撤収》・《変位の波》と、【コボルト・ストーム】を構成する3要素全てをデッキに落とし込むことができました。
こうなってしまえばあとは勝ち手段を設定するだけです!
■ あとは勝ち手段を決めるだけ!
一番簡単そうなのは《Mana Crypt》や《オパールのモックス》といったマナの出るアーティファクト2枚と《ヴィダルケンの大魔道士》と《気流の言葉》のコンボ。これはエンチャントレスのデッキの勝ち手段として、馴染みのある人も多いのではないでしょうか?マナを出さないアーティファクトでもクリーチャーであれば《絡み樹の根》を使い、同じ挙動ができますね。
《絡み樹の根》で<緑>マナをある程度確保できそうなので、《永遠の証人》で《ハーキルの召還術》と《撤収》を戻せば手札増強がさらに捗りますが、加えて《液鋼の塗膜》で《永遠の証人》をアーティファクトにすれば無限循環できるようになりますね!
続いて《絡み樹の根》がなくてもこのコンボが使えるように、ある程度<緑>マナの出るアーティファクトを入れようと構想。<緑>マナが余りそうなことを考えると、やはり《リサイクル》だけはデッキに入れてもいいかもしれませんね。また《永遠の証人》の亜種として《公証人》や《記憶の壁》もいるので、デッキを組む際にスロットが空けば考慮に値するので頭の片隅に置いておきます。
現状《気流の言葉》以外特に勝ちに向かうカードがないのですが、筆者自身が大好きな《研究室の偏執狂》は当然いれるとして、まだ足りないので追加の勝ち手段が欲しく感じます。
今は青と緑のカードだけで収まりそうですが、デッキにたくさんの0マナのカードが入っているとなるとサーチ系のカードは全力で採用したいので、《吸血の教示者》をはじめとした強力なサーチ呪文が豊富な黒も足したい!そうなると無限循環するコンボが複数用意できそうなので、《苦悶の触手》も必殺となりそうなので採用に至りますね。
そんなこんなで0マナという常識的に考えれば強力な効果を持っているわけもないガラクタ同然の塊を何としても使ってやろうという卑しい発想に、もっともらしい理論を肉付けすることができたので構築開始!
34枚の0マナでプレイできるアーティファクトと33枚の土地を合わせて、デッキ内の2/3が0コスト!リストにするとますます際立つ中身の薄さ!!
その他32枚の合計が77コストなので《むかつき》も大活躍しますよ!!
そして統率者は《狩るものヴォラシュ》です。なぜかというと理由は簡単で最も弱そうだから!つまりは【ガンジー】的な理由です!
そもそも青黒緑の組み合わせの統率者は現在
次に34枚の0マナでプレイ可能なアーティファクトの中で、たまに役立つガラクタの使い方を解説していきます。《仕組まれた爆薬》や《トーモッドの墓所》といったガラクタとは呼べないほどに強いカードの説明は割愛しますね!
■ たまに役立つガラクタの使い方
・ガラクタその1:《Lodestone Bauble》
このカードの効果は自分以外も対象に取れるため、相手が《吸血の教示者》などでカードをサーチして決めにくるターンに使えばその場を凌げます!!しかしカードを引かせてしまうデメリットもあるので、相手の墓地に基本土地が何枚落ちているかによって強さが変わりますね。もちろん、自分に使っても可。
・ガラクタその2:《Gustha's Scepter》
このカードを使えばハンデスの脅威からキーカードを守れるだけでなく、自分で《時のらせん》を使うときにも、手札のカードを疑似的に逃がすことができるので便利!
・ガラクタその3:《若返りの泉》
冒頭では使えないような発言をしましたが《むかつき》の可能性を広げるために大事な1枚!!序盤は本当にやることなさそうなので間を持たすためにも、ゲームに参加している気になるためにも実は一番大事な1枚!!かも。
そして最後に、このデッキを使う際に気を付けなければいけない現象を説明して終えたいと思います。
■ 恐るべき現象
● 現象その1 ~ゼロ・ヴィジョン~
《師範の占い独楽》でめくった上3枚が全て0マナだったときを指す現象。普段も土地3枚をめくる場面には良く遭遇しますが、このデッキではそれ以上の頻度でこのゼロ・ヴィジョンが起こるので、冷静にフェッチランドで対処しましょう。その際にはゼロ・ヴィジョン・セカンドが訪れる可能性もあるので、強い心を持ちましょう。
● 現象その2 ~グランド・ゼロ~
これは初期ハンド7枚の合計コストが0だったときを指す現象です。幸い、統率者では1回だけフリーマリガンが許容されるので最初の1回は回避できますが、第2、第3のグランド・ゼロがあなたを待ち構えているので、土地がある程度あるなら広い心でキープするのも得策かもしれません。
● 現象その3 ~ジ・エンド・オブ・ゼロ~
《仕組まれた爆薬》や《花崗岩の凝視》・《虚空》といった呪文でX=0と指定されると起こる現象というか、デッキほぼ0マナなのにこの仕打ち!弱い者いじめかよ!!
《虚空の杯》もやめちくれーーー!
え?《機械の行進》???
Xとか以前に完封ですやん!!こんなのってないよ!!!
といった感じで辛い目に遭うことも多いこのデッキですが、ガラクタを使って勝ったときの達成感は他では味わえないので、気になった方はぜひ試してみてください!
それではまた次回!!
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