原根健太のプロツアー『異界月』地域予選レポート

原根 健太



皆さんこんにちは。

久しぶりのイベントレポートです。先日開催の【プロツアー地域予選(RPTQ)】に参加してきました。

フォーマットは『イニストラードを覆う影』(SOI)リミテッド。予選7回戦をシールドで争い、その上位8名で行われるブースタードラフトの1回戦を勝ち抜いた4名が、プロツアー『異界月』の出場権を得ることができます。

この枠は129名以上の参加があれば8名まで広がるのですが、日本国内での開催は西日本と東日本に分かれたため、単一のトーナメントがこの数値を上回ることはほぼないと言えるでしょう。


前回のRPTQはマジックオンライン(MO)上で開催されたものに出場しました。そのときの結果は、2試合続いたバブルマッチを連敗し権利獲得ならず。放心状態になりしばらく頭から離れませんでした(笑) 苦い記憶ですね。

リアルマジックのRPTQは上記の通り上位4名がプロツアー権利を獲得できますが、MOのRPTQは上位8名が権利を獲得できます。

これだけ聞けばMOを選択しない利点はないように思えます。しかし、今回は以下の理由でリアルマジックのプレイを選択しました。

まず1つは、フォーマットがシールドだったこと。

MOのシールドは勝手が悪く、苦手です。デッキ構築や戦闘に入る前のコンバット考慮など、自由にカードを動かして考えたい場面で融通が利かず、ミスを招きやすい要因になっていました。

構築やコンバットのミスはゲーム勝敗へのインパクトが大きく軽視できません。

2つ目は、引っ越したばかりで自宅にネット回線がなかったこと。

上記問題点は練習により克服できた可能性もありますが、その機会を設けることができませんでした。

友人宅やネットカフェでのプレイも可能ですが、連日の利用は現実的ではなく、当日も慣れない環境下で集中して8時間近くを戦うのは難しいと考えました。

といった運びで、今回は東日本会場である晴れる屋での出場を決めました。



■ 本番当日

『イニストラードを覆う影』のシールドは「両面カード」のシステムにより、カードプールに格差が生じやすいことで有名です。(両面カード封入の性質上、1パックに複数のレアが含まれることがあるため)

【グランプリ・名古屋2016】【グランプリ・北京2016】と連続で残念なプールを引いていたので、そろそろ何かしら当たりが欲しいところですが……今回のデッキは以下。



原根 健太「赤緑」
プロツアー『異界月』地域予選

9 《山》
7 《森》
1 《島》

-土地 (17)-

1 《針毛の狼》
1 《内陸の木こり》
1 《ケッシグの鍛冶場主》
2 《裏道の急使》
1 《既決殺人犯》
1 《容赦無い泥塊》
1 《首折れ路の乗り手》
1 《火の猟犬》
1 《剛胆な補給兵》
1 《ヴォルダーレンの決闘者》
1 《ガツタフの放火魔》
1 《古き知恵の賢者》
1 《ケッシグの不吉な豚》

-クリーチャー (14)-
2 《狂気の一咬み》
1 《アヴァシンの裁き》
1 《月夜の狩り》
1 《溶岩の地割れ》
1 《霊魂破》
1 《癇しゃく》
1 《ウルヴェンワルドの謎》
1 《忘れられていた家宝》

-呪文 (9)-
hareruya





レアがしょぼく、ビートダウンの割に2マナが薄いなど不満はありますが、カードの質は良く、中の上~上の下ぐらいはありそうな内容です。先の2大会のものとは比べ物になりません。

また幸いなことに、他の色は弱過ぎるあまり検討の余地がなく、青白黒の3色は全部合わせて30秒ほどしか検討せずに済みました。タッチを検討したいようなカードもなく、赤緑の2色で細かいバランスを決めるのに十分な時間を割くことができます。

20分近く一人回しを行い、2枚出た《月夜の狩り》がどれくらい運用できるかなどを慎重に確認していきます。


溶岩の地割れ


非クリーチャースペルに選択肢が多く取捨選択に迷いましたが、今回のRPTQの直前に公開された【ライザの『イニストラードを覆う影』シールド環境徹底攻略!】を参考に《溶岩の地割れ》を選ぶなどしてスロットを埋め、完成です。


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 1緑白タッチ青 〇〇


2ゲームとも相手の方がマリガントラブルの不幸に見舞われました。

ラストシーンで《大天使アヴァシン》が出てくるも、その時点ではライフもアドバンテージも大差があり勝利。


大天使アヴァシン



ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 2白黒タッチ緑(中道 大輔さん) ×〇〇


3本とも接戦になりながらも辛勝。ゲーム内容はビデオマッチに記録されています。







チャンプアタック絡みのやり取りでこちらの仕掛けが上手くハマり、勝因になりました。


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 3青白タッチ緑 ××


《ゲラルフの傑作》を軸にした青に《優雅な鷺、シガルダ》をタッチしたもの。


ゲラルフの傑作優雅な鷺、シガルダ


クリーチャーの質が良く、序盤ほとんどライフを削れないまま膠着してしまい、神話レア2種が蹂躙。非常にパワフルなデッキでした。

この後同じく青白に敗北した行弘さんと会話したのですが、SOIシールドで青白になる可能性は極めて低いため、それでも青白になったということは逆に危険(=強い)とのことです。


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 4緑白 〇×〇
Round 5緑白 〇×〇
Round 6緑白 〇〇


緑白と3連戦。

緑白は今環境で最もベターな組み合わせですが、後半ラウンドでマッチングするこのカラーリングは仕上がりが良く強力です。

どのデッキも点数の高いコモン~アンコモンでガチガチに固められていましたが、《不屈の追跡者》ぐらいしか強力なレアは見えず、正面からのぶつかり合いをギリギリのところで制すことができました。


不屈の追跡者


この時点で5-1

スタンディング次第ではIDでトップ8が確定するラインですが、残念なことに僕の暫定順位は8位。IDではほぼ確実に9位か10位のため、IDをする選択肢は取れませんでした。


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 7緑黒タッチ赤(行弘 賢さん) 〇××


ラスボスは行弘さん。こちらもビデオマッチです。







2ゲーム目でひねくれた手を打った結果ライフが落ち込んでしまい、《内部着火》で詰められました。


内部着火


3ゲーム目はスペル4土地3の絶好の手札からスタートするも、その後のドローが引けども引けども土地。フラッドしてもイライラしないようにわざわざ揃えたサーガの美しい土地達に囲まれ敗北


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 1緑白タッチ青 〇〇
Round 2白黒タッチ緑 ×〇〇
Round 3青白タッチ緑 ××
Round 4緑白 〇×〇
Round 5緑白 〇×〇
Round 6緑白 〇〇
Round 7緑黒タッチ赤 〇××


バブルマッチに敗北し、5-2。最終成績は11位

プールは良いものだったと思いますし、今日という日が明確なチャンスだったことは間違いなかったと思うので、非常に悔いの残る1日となってしまいました。



■ 反省点

《溶岩の地割れ》がほとんど活躍しなかった点が引っ掛かりました。


溶岩の地割れ月夜の狩り狙いは高く


ここは少し無理をしてでも《月夜の狩り》の2枚目を取るか、もう1つの候補である《狙いは高く》のほうが良さそうでした。敗北した2マッチはともにこのカードが浮いてしまいました。

【Hareruya Pros】の先輩・井川さんに話を聞いてみたところ、僕のデッキはこのカードを投入するのに条件が不足しているとのことでした。(クリーチャーが若干少ない、コンバットトリックがないので場持ちが心配、など)

この辺りは恐らく、今環境の云々というよりかはリミテッドの経験値やゲーム感の理解不足が問題ですね。最近は週1回以上のドラフトを課しているので、この取り組みは継続して技術を磨き続けようと思います。

少しずつマシになっているとは感じているのですが、真に通用するにはまだまだですね。マジックは積み重ねのゲームだと再認識しました。



■ 今後の動き

これでまた振り出しです。

プロツアー『異界月』への道は断たれてしまいましたが、次の舞台であるプロツアー『カラデシュ』に向けた戦いは既に始まっています。

遅れて参加し始めたPPTQは先日幸いにも突破することができたので、現在見えているチャンスはそのRPTQ、それにグランプリ・台北2016、グランプリ・広州2016、となります。また並行してMOPTQにも参加し、プロツアーへのアプローチを積極的に増やしていきます

諸々の準備で4月・5月はほとんどマジックに手つかずとなってしまいましたが、その甲斐あってようやく態勢が整いました。ここからが勝負です。

また、直近ではWMCQ大阪予選にも参加します。昨年はベスト8敗退でしたので、今年その雪辱を果たしたいですね。

それではまた次回。


原根

この記事内で掲載されたカード


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