人生は選択の連続です。
些細な選択から重要な選択まで、大小様々な選択によって今の自分がいます。
そしてそれは、デッキ構築においても同じことが言えます。
【前回のvol.6】では『0』というテーマを”選び”、《ヴィダルケンの大魔道士》を”選んだ”のです。この1つ1つの選択によって「《狩るものヴォラシュ》デッキ」は体を成しました。
しかし、もしそこで別のテーマやカードを選択していたら、別のデッキが誕生していたのです。
■ 今回の主役は《謎鍛冶》だ
【前回のvol.6】で発見はしたものの採用にまでは至らなかった《謎鍛冶》。
使い辛い印象なので前回のデッキでは採用されませんでしたが、『カードを捨てるというデメリット』をメリットに変えることができれば、きっと《ヴィダルケンの大魔道士》を超えるドローエンジンになる予感がしました。何より2マナとマナコストが軽く、誘発条件も簡単なので、序盤に出せば《ヴィダルケンの大魔道士》を探しつつ手札を理想の状態に近づけられそう!!
ということで、今回は《謎鍛冶》と前回の主役である《ヴィダルケンの大魔道士》の両方を採用してみることに!!
前回のデッキを使っていると、《絡み樹の根》が強すぎて0マナのアーティファクトにこだわらなくてもデッキが動くことが判明しました。ある程度の0マナアーティファクトとマナの出るアーティファクトや、《師範の占い独楽》と《ヴィダルケンの大魔道士》だけでもデッキがぐるぐる動くので、今回はガラクタ同然の0マナアーティファクトは採用しないようにして、空いたスロットに《謎鍛冶》を有効に活かすギミックを入れる方針でデッキを模索!!
あとは《謎鍛冶》の『カードを捨てるというデメリット』をどう有効利用するのか?だけになりましたが、「マッドネス」や「フラッシュバック」のように捨てることや墓地にあることがメリットになるキーワード能力はあるものの、マナが掛かってしまうカードでは駄目なので活かしきることはやはり難しそうです。
と、思いきや「フラッシュバック」の中にはマナコストがかからない素晴らしいカードがありました。それは《戦慄の復活》!!こうなるともう今回のテーマは決まったも同然!!
そう!「発掘」です!!
「ストーム」に匹敵する凶悪なキーワード能力を活用すればデッキが強くなるのは当然!!これなら《謎鍛冶》の『カードを捨てるというデメリット』をメリットに変換できそうです。
■ 希望のアイデアを「発掘」せよ!
さっそく「発掘」を持つカードを洗い出します。まずは《臭い草のインプ》や《ゴルガリの墓トロール》《ゴルガリの凶漢》といった各種「発掘」持ちクリーチャーたち。《謎鍛冶》の能力を使うたびに「発掘」するため、墓地を沢山肥やすことができそうです。
こうして必要となるクリーチャーが増えると《俗世の教示者》《森の教示者》の選択肢も増えので嬉しい限りです。他にも「発掘」を持つカードはありますが、「発掘」の数が小さく、山札を削れる枚数が少ないカードは頼りにならないので、今回はこの3種類のみに留めます。
続いて《戦慄の復活》の「フラッシュバック」には3体のクリーチャーが必要なので、そのコストとなるクリーチャーたちをどうやって用意するのかですが、ここは定番中の定番である《黄泉からの橋》を使います。前回の構築では《搭載歩行機械》のように戦場に残らない0マナクリーチャーたちを使うことはできませんでしたが、今回のデッキでは墓地に落ちるのでゾンビ・トークンを生み出します!やったね!
しかし、この《謎鍛冶》と「発掘」のコンボだけでデッキを全部掘りつくすのは骨が折れそうなので、墓地をある程度肥やすだけでも瞬殺できるコンボを用意しましょう。《死闘》や《勇壮な戦闘》のような特殊勝利カードが理想ですが、どちらも設置してからのタイムラグが気になります。できればコンボが決まったターンに勝てるカードが欲しいですね。
《戦慄の復活》や《再活性》で釣り上げたら勝てるクリーチャーがいればいいのですが、一番良さそうな《グリセルブランド》は統率者戦では禁止カード!!
禁止ならば仕方がない!
それならば疑似的に《グリセルブランド》相当のクリーチャーを用意しようではないですか!!
ということで注目したのは《壊死のウーズ》!
もともとは墓地に《グリセルブランド》が落ちているときの《壊死のウーズ》はやばい!!なんてコンボがあるので、そこから《壊死のウーズ》が想起されたのですが、頼みの相方が禁止されているので、なんとかして墓地に落とした複数枚のクリーチャーを組み合わせて《グリセルブランド》級のキメラを誕生させるしかありません!!
しかし困ったことに、起動コストにタップを含まないドロー能力を持つクリーチャーで使えそうなものは《愚鈍な自動人形》くらいしかありませんでした。これも+1/+1カウンターが2つないとドローできないので、+1/+1カウンターを乗せる起動型能力を持つクリーチャーも必要になります。そこで《屍肉喰らい》と《死体生まれのグリムグリン》を採用することに。《黄泉からの橋》で生まれたゾンビの使い道にもなりそうです。
また、《死体生まれのグリムグリン》と《血統の守り手》の2つの能力があれば《壊死のウーズ》の上に任意の数の+1/+1カウンターを置けるようになります!個人的にはデッキを作るうえで1つは必要だと思っている『無限コンボ』が見つかって大喜び!!
これに加えて《役馬》の能力があれば『無限マナ』!!
さらに《トリスケリオン》まで墓地に落ちれば『無限ダメージ』!!
これで究極生命体の誕生ですね!あとは自身を守るための《粘体投げの小蛙》、再生をもつ《荒廃のドラゴン、スキジリクス》があれば安心安全!特に《荒廃のドラゴン、スキジリクス》は速攻も与えられるため、《死体生まれのグリムグリン》の『無限コンボ』をすぐに決められることもポイント高いです。
■ さっそくデッキを組んでみよう!
こうして低マナ域のアーティファクトをドローエンジンに変える《ヴィダルケンの大魔道士》、墓地のリソースを増やす「発掘」+《謎鍛冶》のコンビ加えて、増やした墓地リソースの使い道である《壊死のウーズ》と、デッキを組む上で必要だったコンセプトと強いコンボが揃ったので、デッキの骨組みは完成しました!
なので早速デッキ構築!!
今回はデッキが強そうなので、【ガンジー】じゃなくても戦える!!という意気込みのもとに統率者を《擬態の原形質》にチェンジ!《壊死のウーズ》のリカバリーにはピッタリな1枚ですね。
統率者はいつでも使える分、強力なコンボパーツになるので、改造案として《ファイレクシアン・ドレッドノート》のようなパワーが高いクリーチャーを入れて《粘体投げの小蛙》や《荒廃のドラゴン、スキジリクス》と組み合わせるのも楽しそうですね!!
《背教のドッペルゲンガー》は、《謎鍛冶》と《壊死のウーズ》をコピーすることで活躍します。《謎鍛冶》をコピーすれば倍の速度で「発掘」し、《壊死のウーズ》をコピーすれば安全にコンボを決めることだってできるのです。前もって《背教のドッペルゲンガー》を戦場に置いておくと、疑似的に速攻をもった《壊死のウーズ》を作れるのでコンボが決まりやすくなります。《ファイレクシアの変形者》は、《謎鍛冶》や《ヴィダルケンの大魔道士》をコピーしていきましょう。
このデッキで一番難しいのは、《生き埋め》で何を埋めるのかです。
基本的にはコンボパーツの『《死体生まれのグリムグリン》+《血統の守り手》+なにか』となりますが、手札や墓地に《戦慄の復活》あるいは《再活性》などの”釣り竿”があれば《壊死のウーズ》もいい選択です。手札に《壊死のウーズ》がいるなら《荒廃のドラゴン、スキジリクス》を墓地に落とすことも強力なので、状況に応じて最適な3枚を埋めましょう。悩んだときは『《死体生まれのグリムグリン》+《血統の守り手》』の無限コンボを優先するのがいいですね。
■ 惜しくもメインデッキに入らなかった「未来の100枚以内枠」
今回はデッキに入れたいカードが沢山あり、100枚に収めるのが大変だったので、惜しくもデッキに入らなかった100枚目以降のカードをいくつか紹介します。それが何故入らなかったのかも解説しますよ!!
・《ファイレクシアン・ドレッドノート》
《擬態の原形質》との相性の良さで知られる《ファイレクシアン・ドレッドノート》ですが、今回は100枚の選出からは漏れてしまいました。その理由は、これを使うコンボがサブプランでしかないからです。あくまでもデッキの中心は《壊死のウーズ》なので、そのコンボのいずれにも関係しない《ファイレクシアン・ドレッドノート》は余分なカードなんです。しかし、デッキの戦略としてサブプランをもつことはとても重要なので、将来的に採用される可能性は大いにあります。「未来の100枚以内枠」ですね。
統率者戦のデッキ構築においては、まずはメインコンセプトに沿ったカードを採用し、余分だと感じたカードと徐々に差し替えていくとデッキは強くなっていきます。
《真髄の針》や《白鳥の歌》なども相手の墓地対策に対抗するために、いずれは必要になるカードです。でも、まずは焦らずにデッキのメインコンセプトを育てていきましょう。そしてなにかしら余分な枠が見つかれば、それと「未来の100枚以内枠」とを入れ替えていきましょう。こうするとデッキが作りやすくておすすめですよ!
・《視野狭窄》《心の傷跡》
デッキを一気に掘ることだけを考えるなら、《視野狭窄》や《心の傷跡》などの呪文がお手軽です。これらがあれば《ヴィダルケンの大魔道士》+《謎鍛冶》+アーティファクトのような回りくどいことをせずとも、《壊死のウーズ》などの墓地利用コンセプトでデッキが楽しめるうえにデッキのカードスロットの節約も見込めます!!
……そう、デッキが変わっちゃうね!!
とはいえ空いたカードスロットの自由度も高いので、墓地対策に弱いコンセプトデッキが不安な方は、これらを使ってコントロール気味に構築すれば安心です。この採用不採用もデッキの分岐点と言えるでしょう。
・《苦痛鍛冶》
《謎鍛冶》と同じサイクルの黒いやつ。なんとアーティファクトを19枚置けば人を1人屠れる!!と、一瞬ながら可能性は感じたものの、《汚れた一撃》や《Berserk》とともに使わないとちょっと厳しそう。そして、それらを入れると、やっぱりデッキが変わっちゃうので悲しくもお蔵入りでした。え?《生命鍛冶》?知らない子ですね……
そんなわけで今回は、一度作ったデッキのコンセプトをもとにしつつも、違うカードを選択することで別のデッキも作れるという一例を紹介しました。皆さまもデッキを作る過程で選ばなかったカードに目を向けて、それをもとに別のデッキへと生まれ変わらせてみてはいかがでしょうか?
それではまた次回!!
この記事内で掲載されたカード
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする