コマンダー塚本の統率者最前線! vol.8 -テーマパークにいこう!-

塚本 樹詩



 突然ですが、皆さん。統率者戦を楽しんでいますか?そして勝っていますか?

 自分以外の対戦相手全員を倒さなければならない多人数戦において、勝ちを重ねることは難しいことです。しかも、勝てば勝つほどに出る杭として打たれやすく、どんどんと難易度は上がっていきます。ただ、それが難しいほどに勝ったときの喜びもひとしおというものです。

 しかし、統率者戦の楽しさは、それだけが全てではありません!

 気心の知れた仲間とのコミュニケーションの一環として。新しい友達と知り合うための手段として。統率者戦には、プレイヤー同士が仲良くひとときを過ごすことができる、「パーティーゲーム」としての側面を持っているのです。

 今回は、統率者戦がもつ「楽しいパーティーゲーム」としての顔に焦点を当ててみます。



■ おもてなしのこころ

 自分が勝つために、自分の有利をつくるカードをたくさんデッキに入れて使うこと。統率者戦をプレイするにあたっては当たり前のことです。

 しかし、たまに他のプレイヤーが、自分が勝利するために《ほとばしる魔力》のように全員に影響するリスキーなカードを使う場面に遭遇することがあるでしょう。残念なことに《ほとばしる魔力》を置いたプレイヤーはそのターン中に勝つことができず、代わりにターンを渡されたあなたが膨大なマナを手に入れたことでデッキが想定以上の回りを見せて勝ってしまった。そんな経験もあるのではないでしょうか?


ほとばしる魔力


 このように自分以外にもプラスの効果を及ぼすカードがプレイされると、卓にいる全てのプレイヤーのハッピーの期待値が上がります。そんなカードをたくさん使ってくれるプレイヤーが同じ卓にいたらあなたはどうしますか?


春の鼓動吠えたける鉱山


 《ほとばしる魔力》《春の鼓動》《吠えたける鉱山》《三日月の神》など。全てのプレイヤーのリソースを増やしてくれるカードは、自分がそれを使うのはともかく、誰かに使ってもらう分にはその状態を維持したいと思うはずです。つまり、あえてそのようなカードを自ら使っていくことで、あなたは段々と、プレイヤーという競争相手ではなく、まるでエンチャント(ワールド)のような存在に近づくのです。

 そうなると、あなたは他のプレイヤーたちが戦う舞台を作り上げる、さながらゲームマスターのような立ち位置になります。協力的なカードを使うあなたに他のプレイヤーが向かってくることはなく、ある一定の安全を手に入れることができるのです。



■ 相手の喜ぶカードとは?

 すでに紹介した”すべてのプレイヤーのマナを増やす《ほとばしる魔力》”のカードは外せません。《ほとばしる魔力》《春の鼓動》のほかに、追加として《ケイラメトラの指図》《集団的航海》もいいでしょう。


ケイラメトラの指図集団的航海


 ”すべてのプレイヤーのドローを増やす《吠えたける鉱山》系”のカードはよりどりみどりです。《三日月の神》《歩く書物》《神話の水盤》《栄華の儀式》《クルフィックスの指図》《ジェイス・ベレレン》。これだけあれば毎ターンたくさんカードを引き、それらを使うことができる状態になるので、いつも以上に楽しい統率者戦を行えると思います。


吠えたける鉱山クルフィックスの指図


 次に必要なのは、刺激です。

 《ラースの灼熱洞》のように”すべてのダメージが倍になる系”カードはエキサイティングな展開を呼びます。他のプレイヤーたちは血沸き肉躍る展開に大喜びでしょう。《戦争の最高潮》《双子神の指図》も使っていきましょう。


ラースの灼熱洞戦争の最高潮


 こうしてあなた自身がテーマパークとなることで、他のプレイヤーを喜ばせつつ、あなたも一定以上の安全を手に入れられる土台を作りあげました。これによってみんなはいつも以上のハッピーを手に入れることができるでしょう。



■ ワンランク上のおもてなし

 これだけで満足してはいけません。いくら全員の条件が同じだとしても、必ずハッピーには格差が生まれます。何枚引いても手札が良くならないプレイヤーもいれば、クリーチャーを出さないのでダメージが倍になることを苦痛に感じるプレイヤーもいるからです。

 そんなプレイヤーたちには個別で対応していく必要があります。


寛大なるゼドルーバザールの交易商人


 そんなときは《寛大なるゼドルー》《バザールの交易商人》を使って、一番不自由な思いをしているプレイヤーを助けてあげましょう。


崇拝土地税


 プレイヤーが何で困っているのか?できるだけ多くの状況に対応できるように、たくさんの”これがあるといいな”を用意しておく必要があります。《崇拝》《スパイクの織り手》で身の安全を守ってあげたり、《土地税》《彩色の灯籠》でマナの事故を助けてあげましょう。


探索するフェルダグリフPhelddagrif


 《探索するフェルダグリフ》《Phelddagrif》を使っていけば、より広範囲でのお手伝いができます。これらでハッピーの格差を埋めていきましょう。「1体で3種類ものニーズに応えてくれる!なんて凄いクリーチャーなんだ!」とテンションが上がるくらい色々してくれるので、あらゆるリソース差問題はこれで解決間違いなしですね。


気前のいい後援者


 最後に、最上のおもてなしの逸品を。プレイヤーがもっと喜ぶことは、”今一番欲しいカードをサーチできること”なので《気前のいい後援者》を用意すれば完璧でしょう。



■ その先にあるもの

 こうした「他のプレイヤーへのおもてなし」はマナやカードを提供するため、自然とゲームの速度は加速していきます。そのため、速やかに勝敗がつく可能性があがります。誰かひとりが速やかに倒されてしまう場合はいいのですが、誰か一人がコンボを決めたことで一瞬で全員が倒されてしまう可能性もあるのです。

 それまでに積み重ね続けていたテーマパークのアトラクション要素がすべて崩壊してしまうこと。それだけはあってはならないことです!もっとみんなの喜ぶ顔を見続けていたい!

 そのためには一時、誰か1人のコンボが決まらなくても、それは仕方がないことなのです。


突然の俗化時間停止


 そこで誰か1人だけがハッピーなゴールを迎えることを防ぐために《突然の俗化》《時間停止》を使いましょう。そうすればゲームに再びハッピータイムが訪れます。

 他のプレイヤーを助けて、自分はその攻撃に晒されないようにする。そうやってゲームを進めていくと、必然的に自分と一番ハッピーの利を得たプレイヤーだけが残ることになるのです。これで最低でも2位は確定します。

 これこそが本日の真のコンセプトなのです!!



■ テーマパークの事故はご法度

 こうして今まで他人に尽くすためのアレコレを紹介してきましたが、他人を立てる前にまずは自分から、ということで、自分のデッキにも少し気を使うことにしましょう。これまでに紹介してきたカードたちを見ればわかるように、お客様のニーズに応えるためには5色すべてのカードを使わないといけなくなります。もちろんデッキも5色になるので、土地事故と色事故をしないように工夫したいですね。


老練の探険者集団的航海


 先ほど登場した《集団的航海》と、お互いにハッピーになれる《老練の探険者》、それに加えて各種《吠えたける鉱山》系を使えばあんまり土地関係で不自由しなそうに見えますが、実は色事故に対しての工夫がされているわけではありません。そこでデッキを緑ベースにして《耕作》《木霊の手の内》《桜族の長老》などの色マナ調整のカードを入れられるだけ入れていきましょう。


根の壁前兆の壁


 序盤から無理なく召喚できる壁クリーチャーを採用しておくことで、無防備な自分に攻撃してくる目先の勝利に目がくらんだプレイヤーに対しても、ある程度の時間稼ぎができるようにしておきます。

 こうして「目指せ2位以上!」というコンセプトのもとにデッキ構築材料が集まりました。できあがったリストがこちら!



《大祖始》

1 《大祖始》

-統率者(1)-

7 《森》
4 《島》
3 《平地》
2 《山》
2 《沼》
1 《血の墓所》
1 《繁殖池》
1 《神聖なる泉》
1 《草むした墓》
1 《踏み鳴らされる地》
1 《寺院の庭》
1 《乾燥台地》
1 《血染めのぬかるみ》
1 《溢れかえる岸辺》
1 《湿地の干潟》
1 《霧深い雨林》
1 《汚染された三角州》
1 《沸騰する小湖》
1 《新緑の地下墓地》
1 《樹木茂る山麓》
1 《真鍮の都》
1 《統率の塔》
1 《マナの合流点》
1 《アカデミーの廃墟》
1 《海の中心、御心》

-土地(38)-

1 《老練の探険者》
1 《バザールの交易商人》
1 《三日月の神》
1 《桜族の長老》
1 《前兆の壁》
1 《花の壁》
1 《根の壁》
1 《永遠の証人》
1 《彼方地のエルフ》
1 《気前のいい後援者》
1 《歩く書物》
1 《ウッド・エルフ》
1 《ヤヴィマヤの古老》
1 《賢いなりすまし》
1 《Phelddagrif》
1 《スパイクの織り手》
1 《探索するフェルダグリフ》
1 《寛大なるゼドルー》
1 《クローサの大牙獣》

-クリーチャー(19)-
1 《天使の嗜み》
1 《苦悩火》
1 《集団的航海》
1 《オアリムの詠唱》
1 《汚れた一撃》
1 《ウルヴェンワルド横断》
1 《死体発掘》
1 《映像のもつれ》
1 《金言》
1 《耕作》
1 《木霊の手の内》
1 《クローサの掌握》
1 《突然の俗化》
1 《神秘の指導》
1 《憎悪》
1 《時間停止》
1 《調和の中心》
1 《土地税》
1 《クルフィックスの指図》
1 《春の鼓動》
1 《ほとばしる魔力》
1 《栄華の儀式》
1 《飛行の誓約》
1 《野生の誓約》
1 《混沌の呪い》
1 《ラースの灼熱洞》
1 《締め付け》
1 《戦争の最高潮》
1 《崇拝》
1 《流血の呪い》
1 《ケイラメトラの指図》
1 《双子神の指図》
1 《卓絶》
1 《魔力の墓所》
1 《師範の占い独楽》
1 《太陽の指輪》
1 《吠えたける鉱山》
1 《等時の王笏》
1 《彩色の灯籠》
1 《神話の水盤》
1 《精神隷属器》
1 《ジェイス・ベレレン》

-呪文(42)-
hareruya




■ 2位以上ということは……?

 さて、デッキの目論見通りに残り2人まで残ったとしましょう。それはつまり必然的に残り1人のプレイヤーとのタイマンとなります。そこで1 vs 1になったときに強いカードを使って勝利を目指しましょう。大勢に勝つよりも残った1人に勝つ方がずっと楽です。しかも、最後に残ったプレイヤーが、他のプレイヤーとの激闘で力を使い果たしている状況ならば、尚のこと都合がいいですね。


苦悩火精神隷属器


 そういった瀕死同然のプレイヤーに《ほとばしる魔力》などで爆発的に増えたマナを使って《苦悩火》でトドメを刺しても良し、《精神隷属器》《アカデミーの廃墟》のコンボで無限にターンを奪っても良し、と焼くなり煮るなりしてやりましょう!


卓絶


 他人にハッピーを分け与える《寛大なるゼドルー》《バザールの交易商人》を使って《卓絶》を押し付ける裏切りコンボも終盤にはためらいなく使っていきましょう。《卓絶》はタイマンになる前までは自分を守ってくれるので上手く使えば便利な1枚です。もし《卓絶》を押し付けても勝てない場合は、《探索するフェルダグリフ》《Phelddagrif》のライフを与える能力を使えば解決です。



■ テーマパークデッキの回し方

 それでは最後に、デッキの回し方やコツ、いかにテーマパークらしく擬態するかを説明して終わりたいと思います。


混沌の呪い


 まずは、1人だけで全員を一気に倒してしまいかねない危険なプレイヤーへの対抗策について説明しましょう。これまでの話では《時間停止》などを使って難を凌ぐとお伝えしましたが、その他にも他のプレイヤーがなんとなく危険なプレイヤーを狙うように仕向けましょう。

 たとえば《混沌の呪い》はうってつけのカードです。自分の障害となるプレイヤーに対して全員の矛先を向けることができます。これは今回のようなコンセプトでなくても、赤いデッキならば入れても損はないくらい多人数では強いカードです。使わない手はありません。


飛行の誓約野生の誓約


 そして“制約”サイクルのオーラ。今回は強力な回避能力を与える《飛行の誓約》と、ファッティを多用する対戦相手に付けてあげると効果を発揮する《野生の誓約》の2種類に留めていますが、どちらも自分の安全を確保しつつ他人の力を伸ばすのでコンセプトにピッタリですね。

 クリーチャーで地道に攻撃して勝つデッキには、コンボなどで一気に全員を倒してしまうようなことはありません。そこで、そういったプレイヤーに力を与えることで後々のタイマンの場面を作りやすいのです。彼らにとってもコンボデッキは天敵なので、まるで親の仇かのように優先して狙うはずです。そこで《憎悪》《汚れた一撃》で手助けしてあげると、潜在的に危険なコンボデッキを間接的に倒すことができます。


天使の嗜み等時の王笏


 最後に、あなたがテーマパークとして擬態しているにも拘らず、関係なく攻撃してくるプレイヤーのやる気を削ぐ《等時の王笏》コンボを用意しています。《天使の嗜み》《オアリムの詠唱》などを刻印すれば、相手は諦めてくれるでしょう。《気前のいい後援者》《神秘の指導》のサーチでは優先的に、こういった身の安全を確保するカードを優先することをおススメします!



■ テーマパーク開園!

 今回は始めから1位を目指すのではなく、みんなが嬉しがるカードをたくさん用意して喜ばせて、楽しい時間を過ごしたあとは、こっそりとタイマンまで残っていた自分が勝つ!そんな多人数ならではの戦略を紹介してきました。

 ちなみに、この戦略で一番大事なことは……

 こういった意図を他のプレイヤーに悟られないことです。なので、この記事のことは、みんなに内緒でこっそり読んだことにしてくださいね!


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