準々決勝: 大池 倫正(東京) vs. 中道 大輔(東京)

晴れる屋

By Sho Kajiwara


 中道 大輔(東京)

 関東で競技マジックをプレイしている人間ならば、この名前に聞き覚えがあるのではないだろうか。
 
 9代目ミスターPWCでもある彼は、とにかく構築フォーマットで安定して好成績を収めている。

 先月スタンダードにて開催されたWMCQ大阪予選でも4位に入賞、この神挑戦者決定戦でも今まで幾度も上位に入賞しているなどフォーマットを選ばない彼の実力にはまだまだ底が見えない。

 そんな中道が今回選択したのは赤タッチ白バーン。シンプルかつ無駄のない構造で古くから活躍するデッキと共に、初となる挑戦者の座を目指す。

 対するは大池 倫正(東京)

 彼が使用するドレッジは、ここ最近メタゲーム上で存在感を発揮し始めたアーキタイプだ。

 元々一部のプレイヤーには長きに渡って愛されていたアーキタイプだったが、イニストラードを覆う影より新加入した《傲慢な新生子》《秘蔵の縫合体》はデッキに安定感と爆発力を与え、一気に一線級のデッキへと進化させた。

 主な戦績はなし、と大池はトップ8プロフィールに記しているが、サイドボードを始めとしてまだまだ研究の進んでいないデッキを使用して勝ち上がった実力に疑いの余地は無いだろう。

 強豪か。新鋭か。墓地と火力を巡る攻防をお送りしよう。



Game 1


 スイスラウンド上位の中道は当然先手を選択。先手の利を生かし、発掘のエンジンが回り始める前に焼き切れるか。


僧院の速槍


 両者7枚キープで始まったゲームはフェッチされた《山》から飛び出した《僧院の速槍》でスタート。これが挨拶代わりの1点を与え、早期決着の意思をより確かなものとする。

 一方の大池は《山》から《信仰無き物あさり》と最高のスタート。更にディスカードは《ゴルガリの墓トロール》《恐血鬼》
 
 次のターンからの爆発的な展開を示唆するこの2枚には、ポーカーフェイスを崩さない中道も内心穏やかではないだろう。

 一点でも多く削りたい中道だが第2ターンは《僧院の速槍》で再度1点を与え、《大歓楽の幻霊》を唱えるのみで終了。多くのデッキを悩ませるこの生きた《紅蓮光電の柱》も、ドレッジ相手では少々頼りない。



大池 倫正


 大池はドローを置換して《ゴルガリの墓トロール》を発掘。これによって墓地に《燃焼》が落ちたのを確認した大池。そこからの判断が早かった。
 
 まず《樹木茂る山麓》セットで《恐血鬼》を戦場に戻したあと、それをそのまま起動しライフを15まで減らしつつ《踏み鳴らされる地》をショックインすると、《燃焼》をフラッシュバック。ためらいなく4枚の手札を追加コストに充て中道の盤面を一掃する。

 このディスカードに含まれるのは《ゴルガリの墓トロール》《恐血鬼》《燃焼》。手札を大きく減らしたというのに、全くアドバンテージを失わない動き。これぞまさしくドレッジの真骨頂と言ったところだろう。

 恒久的なダメージ源を失った上に土地も2枚で止まってしまい、何もせずターンを終了するほかない中道。

 こうなってしまうと決着まで時間はかからなかった。

 《ゴルガリの墓トロール》発掘。

 《ナルコメーバ》が墓地からそのまま戦場へ。それにより《秘蔵の縫合体》が誘発。

 《信仰無き物あさり》のドローを置換し発掘。

 これにより《ナルコメーバ》(2体目)が墓地から戦場へ。

 次のターンにセットランドで《恐血鬼》2体が戦場へ。それにより2体目の《秘蔵の縫合体》が誘発。


恐血鬼 ナルコメーバ 秘蔵の縫合体


 大池の怒涛の攻めに対し『上陸』未達成の《焼尽の猛火》などで必死に抵抗する中道だったが、戦場を埋め尽くすクリーチャーたちに対処しつつ相手のライフをゼロにするには時間もマナも足りないのだった。


大池 1-0 中道



Game 2


 再度先手の中道は7枚キープ。対する大池はワンマリガン。

 フェッチから持ってきた《山》をタップし《裂け目の稲妻》を待機する中道に対し、《傲慢な新生子》キャストと上々の立ち上がりを見せる大池。



中道 大輔


 中道は待機の明けた3点火力をプレイヤーへ打ち込みセットゴー。どうやらクリーチャーではなく火力呪文でライフを削りきるプランのようだ。

 それを察しているであろう大池はエンドに《傲慢な新生子》の効果を起動。《ゴルガリの墓トロール》を捨てそのまま発掘。墓地に落ちた《ナルコメーバ》が先ほどのゲームを再現すべく戦場へ。

 そのまま移った自ターンのドローフェイズに先ほど墓地に落ちた《臭い草のインプ》を発掘。これによって墓地は《臭い草のインプ》《壌土からの生命》《ゴルガリの墓トロール》の鎮座する非常に強力なものとなった。

 この強力なエンジンで一気に押し切りたい大池。まずは《血染めのぬかるみ》から《踏み鳴らされる地》をタップインの状態でサーチすると《燃え立つ調査》をキャスト。中道はスタックで《ボロスの魔除け》を唱え大池のライフを11に。

 大池は《燃え立つ調査》のドローを前述の3枚の発掘に置換。一気に大量のカードが墓地へと雪崩れ込んでいく。そして2体目の《ナルコメーバ》が戦場へと戻り、同時に墓地へ落ちていた《秘蔵の縫合体》2枚がそれぞれ誘発しターンの終了時に戦場へ。

 あとはもう第1ゲームと同様。

 《頭蓋割り》を打ち込み大池のライフを8まで減らした中道だったが、上陸により戦場へ戻った《恐血鬼》も含めた強大なクロックと墓地に落ちた《燃焼》を確認すると、仕方がないといった表情で自らの敗北を認めた。


大池 2-0 中道


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